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名古屋鉄道 3700系/3730系/3770系電車

2009-11-17 21:51:11 | 電車図鑑・私鉄電車(中部)
老朽化の進んだ木造電車や初期に導入された半鋼製車の置き換えのため、
その機器を流用して車体のみを新造した車両として登場したものである。
昭和32年~41年までに3700系が2両編成×21本=42両、3730系と3770系が合わせて
77両(2両編成×38本+1両)の119両が製造された。

編成の組み方は豊橋側からモ3700+ク2700(モ3730+ク2730/モ3770+ク2770)が
基本である。

車体は全鋼製車体で名鉄と関係の深い鉄道車両メーカーの日本車輛が
昭和30年代に地方私鉄向けとして製造していた「日車標準車体」を初めて
採用している。
正面は貫通型で正面中央部に貫通扉がある。3700系では通常の高さに
運転席があるが、3730系から踏切事故対策で運転席を高くし、正面窓も
その分細くなった。
3700系でも事故からの復旧で同形態にされたものがある。

塗装は、登場時がクリームとマルーンのツートンカラー、後にライトパープル、
クリームに赤帯、スカーレットに白帯と変化していき、最終的にスカーレットに
統一されている。

ドアは片側2箇所で3700系が片引き戸、3730系と3770系が両引き戸である。
車内は3700系と3730系がロングシート、3770系が転換クロスシートであったが、
後に3700系と3730系の一部も転換クロスシートに改造された。
また、3770系でも一部でロングシートに改造されたものがある。
当初は扇風機すら装備されていなかったが、昭和53年ごろに取り付けた。
冷房は屋根が高いため、最後まで搭載されなかった。

主制御装置は抵抗制御で本形式では改造元となった電車(種車)が採用していた
HL(間接制御・手動進段・架線電源方式)制御方式を採用している。
この制御器は単位スイッチ制御器を運転士が徐々に進段させるもので、
その制御電源に架線からとった電流を抵抗器で低圧化して使ったものである。
ただし、本形式では制御電源を安定供給するため、車載の電動発電機で
賄っているので、厳密には「HB制御(間接制御・手動進段・独立電源)」である。
台車や駆動装置は旧式のイコライザー台車・釣り掛け駆動となっている。
搭載していたモーターは種車のものをそのまま流用していたので出力が
他の車両に劣り、平坦線での最高速度が85km/hであった。
上り勾配区間では、60km/hまでしか出せなかったという。
このモーターの出力の低さは製造時より、指摘されていたため、
3700系の最初の2両編成×2本は全車電動車になっていた。
しかし、更新の速度を上げるためと、コストダウンのため、2両編成で1両が
電動車という構成に直されている(最初の2本も後に同形態に)。
ク2700形・2730形・2770形では、木造・小型車の履いていた古い台車を
使用していたが、晩期には、やはり廃車になった別の電車のものを流用していた。

運用線区は本線系と瀬戸線で、瀬戸線では600V時代に3700系が昭和48年~53年まで
運行されたほか、1500V昇圧化後も昭和53年~平成2年まで3730系と3770系が
運用されていた。
この時、3770系の一部は混雑緩和のため、転換クロスからロングシートに
改造されている。
本線系統では主に区間列車や支線での運用が目立ったが、パノラマカーなどの
高性能車が入れない区間に乗り入れる特急列車などに使われたこともある。

しかし、元々の機器が古すぎる上、性能も大きく劣るため、早い時期から廃車が
開始され、昭和44年~48年までに3700系2連×8編成=16両が高松琴平電鉄に
譲渡された。
他の3700系も2両編成を組むものは平成3年までに全廃となった。
昭和62年に3700系のうちモ3716号は相棒のク2716号が廃車となった後、
自らもモーターを降ろして制御車となり、ク3716号として築港線専用の
増結車として残され、平成8年まで使用された。
3730系、3770系については昭和62年に3730系2連×1本=2両が豊橋鉄道渥美線に
譲渡されたほか、三河線での運用を最後に平成8年で全車廃車となった。

譲渡された分についても豊橋鉄道渥美線に譲渡されたものが平成9年に、
高松琴平電鉄のものが平成16年までに引退している。

余談であるが、本形式に機器を提供した車両のうち、初期に製造された
半鋼製車のモ3200形(旧愛知電気鉄道電7形。大正15年製造)の車体を使用した
ク2320形は3700系列が引退した後も1年ほどであるが現役で、車体更新車よりも
種車の車体の方が長生きするという珍しい現象が見られた。


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