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名古屋鉄道 3300系電車(Ⅱ)

2008-12-05 22:39:06 | 電車図鑑・私鉄電車(中部)
廃車になった旧型車両の機器を流用して昭和62年に3連4本が登場したものである。

車体は鋼鉄製で当時、新鋭の通勤型車両であった6000系電車をベースにしている。
正面は貫通型で標識灯にLEDを使用しており、前年、同様の方法で登場した
瀬戸線の6750系の初期車によく似ている。

ドアは両引き戸が3箇所あり、窓は一枚ずつ独立した一段下降式である。
登場時はドアの上半分を白く塗っていたが、後にグレーとなり、
最終的に車体色の赤一色になった。
車内はオールロングシートである。

先述のとおり、足回りは旧型車のものを流用したもので、AL(間接自動制御)車の
3850系と3900系(※1)のものを使用している。
駆動方法は吊り掛け式となっている。
ただし、エアコンプレッサーや補助電源装置は新造されている。

編成は電動車2両(運転台付と中間車)、制御車1両(運転台付)で3両編成を組む。
名鉄で3連を基本とする車両は極めて少なく、前例は昭和60年で引退した
元東急3700形電車を譲り受けた3880系電車(※2)ぐらいである。

本形式は主に各務原線、小牧線、広見線、築港線のローカル運用で使用された。
稀ではあるが、別のAL車と組んで運行されることもあった。
しかし、車体は新しかったものの流用品の足回りの老朽化が進んだため、
小牧線の上飯田地下化、平安通線直通を控えて登場した300系と置き換わる形で
平成15年に引退した。

引退後、車体は解体されたが台車やモーターはえちぜん鉄道に譲渡されたほか、
まだ新しかった補助電源装置やLED標識灯は、1380系や「パノラマSuper」1030系の
一般車の一部、6500系初期車の交換部品となっている。

3850系と3900系(※)
昭和26年~27年に登場したAL車。張り上げ屋根に埋め込み式の前灯という
スッキリした出で立ちをしていた。
3850系は2両編成、3900系は4両固定編成で、名鉄の戦後の標準色の一つである
クリームとマルーンのツートンカラーを採用した最初の形式である。
車内はセミクロスシートでクロスシート部分は4人用のボックスシートであった。
車内照明は3850系が白熱灯であったが、3900系より蛍光灯となった。
3900系の第4編成は次期高性能車の試作車と位置づけられていたため、
パンタグラフや制御器などが他の車両と異なっていた。
登場時は特急で運用されていたが、後継の高性能車やパノラマカーにその座を
譲って、本線のローカル運用や支線運用が増えていった。
しかし、退役間近でも急行などの優等列車で走ることもあった。
平成2年に引退し、足回りを3300系と瀬戸線の6750系に譲っている。

3880系電車(※2)
東急の3700系電車(昭和22年製)を昭和50年と55年に譲り受けた車両である。
昭和50年代前半当時、オイルショックにより、自動車通勤者が急速に鉄道に
シフトしてきたため、保有車両のほとんどが2ドアクロスシートの名鉄では
慢性的な輸送力不足を来たしていた。早急な輸送力改善が望まれたが、
当時の名鉄の内外には「2ドアクロスシート車以外の新車は認めない」風潮が
強く、ラッシュ対策に行き詰まりを感じていた車両担当者や幹部社員により、
3ドアロングシートの通勤型車両のテストケースとして(効果を経営陣に見せ付けるため)
譲り受けることになったものである。終戦直後に作られた運輸省規格型
車両ということもあり、足回りが、同規格で作られた自社の電車と同等で
整備に不安もなく、即戦力となる3ドアロングシート車が手ごろな価格で
手に入れられるとあって、名鉄にとってはこれ以上ない掘り出し物であった。
3両編成を組み、高速性維持のため2両が電動車である。東急時代に更新改造は
済ませていたため、行き先札や運転関係の機器を名鉄の規格に合わせた以外、
大きな改造はされていない。
営業運転投入後は担当者の思惑通り、混雑時にその収容力を遺憾なく発揮し、
6000系新造の原動力となった。ラッシュ時以外には優等列車にも投入され、
凡そ東急時代には考えられなかった高速運転を行うこともあった。
しかし、元々が高速運転向きでなかったため、無理がたたり、機器の寿命を
縮めてしまい、昭和60年に全車引退した。
引退後、台車は瀬戸線の3780系のク2780形や3800系のク2800形に流用された。
特にク2780形は機器流用車でたった10両に台車が3種類もあったため、
その統一に貢献した。
3780系引退後は、この台車の一部が大井川鉄道に譲渡され、お座敷客車のナロ80と
展望車のスイテ82に流用され、現役である。


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