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名古屋鉄道 7500系電車

2011-05-10 21:40:40 | 電車図鑑・私鉄電車(中部)
日本で初めて運転台を屋根上に設置して最前部まで展望室を設けた7000系
「パノラマカー」をベースに走行機器に大幅な改良を加えた車両である。
昭和38年~昭和45年にかけて6両編成×12本=72両が製造された。
製造を担当したメーカーは日本車輛である。
構成形式は以下の通り。

モ7500形(奇数):豊橋側に運転台のある制御電動車。パンタ無し。補機付き。
モ7500形(偶数):新岐阜側に運転台のある制御電動車。パンタ付き・制御器付き。
モ7550形(奇):中間電動車。モ7500形(奇)から運転台と展望室を取り除いた構造。
モ7550形(偶):中間電動車。モ7500形(偶)から運転台と展望室を取り除いた構造。
モ7570形:奇数向きの中間電動車だが元は8連化用の中間付随車。
サ7570形:8連化用の中間付随車。全車モ7570形に改造され形式消滅。
モ7650形:(奇)中間電動車。7550形と同様の構造。モ7665号のみ制御電動車。
モ7650形:(偶)中間電動車。7550形と同様の構造。モ7666号のみ制御電動車。

基本的に奇数向きの電動車と偶数向きの電動車がユニットを組む構造となっている。
一時期、付随車が存在したが、最終的に全て電動車となった。

車体は普通鋼鉄製で7000系「パノラマカー」に準拠したスタイルのものを採用している。
ただし、本形式では重心を低くとるため、床の高さを低くとっており、側面の裾部分の
段差が無い他、運転台の高さは7000系と同じとなったため、運転台部分が7000系よりも
飛び出たようになっている。
先頭部分は展望室となっており、7000系同様前面展望を楽しむことが出来る。
この他に事故や修理などで正規の先頭車が使用できない場合に備え、
中間電動車のモ7650形のうち、モ7665号とモ7666号の2両を本格的な運転台を
備えたものとした。
この部分の形状は3780形の正面窓を低運転台としたような貫通型で運転室の位置も
通常の車両と同じ位置にあったが、進行方向左側は最後尾に付くときに車掌用の
スペースを確保した程度なので前面展望も確保されている。
行き先表示と種別表示は正面が逆富士山型の札差・札めくり式のもの、側面は
サボが設置され、後年、これらを字幕式に変更した車両が存在する。
塗装はスカーレット一色である。

車内は戸袋部分をロングシート、車体構造上、客室内にある車掌台部分を
乗務員不在時に折りたたみ式の固定クロスシートとしたほかは
全て転換式クロスシートとなっている。
側面窓は固定式の連続窓で客用ドアは片側2箇所、片引き戸となる。
本形式では両引き戸の車両は登場していない。

主制御装置は他励界磁制御方式を採用し、定速度制御機構を併せて装備した。
ブレーキは回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキである。
定速度制御機構は後に撤去され、界磁制御に用いる磁気増幅器もトランジスタから
IC回路へ更新されたが、先進的な機器を多く採用した結果、他の車両との
連結や併用が出来なくなってしまった。
台車はダイレクトマウント式の空気バネ台車で駆動方式は中空軸平行カルダンである。
運転台はツーハンドルで他のパノラマカー同様、タイフォン、電気ホーン、
ミュージックホーンの3種類の警笛を有する。

パノラマカーの増備車として登場し、最新鋭の機器を装備していたものの
それを活かせる区間がまだまだ少なかった。
特に名古屋本線以外に本形式が入線して回生ブレーキを使用したときは、
架線に戻した電圧が変電所から供給される電圧を上回り停電したほどであったという。
性能上120km/hでの運行も可能であったが、ダイヤ上の時間短縮が僅かであった点と
本形式登場時に多発していた踏切事故発生時のリスクが大きい点から、最高で
110km/hまでとなった。
また、パノラマカーとして唯一、付随車のサ7570形を組み込んで7両固定編成
(後に8両固定編成)になった時期があったが、すぐにサ7570形を奇数側の電動車に
改造して全て6両編成とされた。
それでも本線の特急や高速(全車自由席の特急のこと。特急が全列車指定席だった
時期に使用された種別)などの優等列車に使われた。
昭和63年より車体の重整備(車体更新)を実施し、内装を当時の新車であった5700系並に
張り替え、外板張り替え、行き先表示の字幕化などの改造が行われた。
この改造は6両編成×7本に留まり、平成4年より混雑時のダイヤ乱れの原因となる
2扉車を順次引退させる方針に転換したため、後期に登場した残り5編成30両は
廃車となった。
廃車された車両の機器は一部改良の上で「パノラマSuper」1030系、1230系、1850系へ
流用されている。
平成16年になり、中部国際空港への乗り入れ対応とバリアフリー対応で
ホームのかさ上げが行われることとなり、他の車両よりも床の高さが低い
(本形式=990㎜/他の形式1100㎜~1150mm)本形式の引退が決定し、
平成17年に全車が引退した。

引退後、全車が解体処分されたが、台車1台は名鉄舞木工場にて保存されている。


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