最新刊 127巻
『 遠いうねり 』
前巻、ゴーラ王:イシュトヴァーンが パロの女王:リンダに求婚しに 突然やって来ました。
さらには 侍女フロリーが生んだという まだ見ぬ己の息子に逢わせろと、宰相ヴァレリウスに詰め寄ったところで この巻に続きました。
ヴァレリウスの知略をもってしても イシュトヴァーンの勘には敵わず、イシュトバーンは フロリー母子の向った場所がミロク教徒の聖地:ヤガであることを見抜いてしまいます。
そこで、イシュトヴァーンは ヤガへ往くことを決めます。
折りしも 豹頭王グインの国:ケイロニアでは、恐ろしい流行病:黒死の病がサイロン市中に蔓延するという非常事態に…。
そして、アルゴスの黒太子:スカールとパロの王立学問所教授:ヨナが、ヤガへと到着します。
ミロク教徒の聖地:ヤガ…何事も質素で清らかに生活し、欲を去り、偶像崇拝を禁止し、平和主義で一切不戦を信条とする教えのミロク教の都…。
敬虔なミロク教徒であるヨナは、戸惑いを覚えます。
何故なら、ヤガは自分の信じてきたミロクの教えとは 反する様相を呈していたのです。
出逢った店の主人に訊くと、ここ7,8年でかなり変わってきているとのこと…。
今まで僧官・祭司ですら設けられていなかった筈のヤガに、今では 《 超越大師 》 ヤロール様の下 、《 五大師 》 《 ミロクの騎士 》 《 ミロクの聖姫 》 《 ミロクの使途 》 なる者達が存在しているのだとか。
諸国にじわじわと増えつつあるミロク教徒…。
噂とは程遠いミロクの聖地ヤガと ヤガを仕切る者たちの存在…。
謎の地:ヤガに足を踏み入れたスカールとヨナ、ヤガを目指すイシュトヴァーン、パロを守るリンダとヴァレリウス、サイロンの非常事態に奔走するグイン…。
ますます物語は、複雑な展開を見せています。
面白い…面白いのに…。
ご存知の方も多いと思いますけれども、作者の栗本薫さんは、先月亡くなられました…。
つまり、この先 【 グイン・サーガ 】 が完結する日は来ないのです。
栗本さんはとっても筆の早い方で、私たち読者が新刊を手にする頃には 既に2,3巻先の原稿が上がっていることも多かったので、もしかしたら 出版社にはストックがあるのかも知れません。
でも、最終巻である 『 豹頭の花嫁 』 を読むことは 叶わないのですね…。
私たち 【 グイン・サーガ 】 の愛読者は、それぞれの心の中で、それぞれの物語を紡いでゆくしかないのです。
それがどんな結末であろうと、栗本さんは きっと笑って許してくれることでしょう。
私も、私の 【 グイン・サーガ 】 の頁を増やしてゆこうと思います。
この巻の帯に、こんな言葉が添えられていました。
すばらしい物語を
ありがとう
ございました。
本当に、本当に、そう思います。
素晴らしい物語を、本当にありがとうございました…。