夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『散歩する侵略者』

2017年09月17日 | 映画(さ行)
『散歩する侵略者』
監督:黒沢清
出演:長澤まさみ,松田龍平,高杉真宙,恒松祐里,前田敦子,満島真之介,
   児嶋一哉,光石研,東出昌大,小泉今日子,笹野高史,長谷川博己他

これまた晩ごはんをつくらなくてよかった平日、
阪神vs巨人のテレビ中継を観るのも恐ろしくて映画に逃避(笑)。
仕事帰りに1本だけ、109シネマズ箕面にて。
ちなみに、結果的には映画を観終わって車を出庫、
ラジオのスイッチを入れたら9回表で、ドリスが打たれて追いつかれ。
帰宅してから入浴するタイミングも逃し、12回まで中継を観るはめに。
で、結局引き分けかよ(泣)。

原作者の前川知大は、劇団イキウメの主宰者で劇作家で演出家。
これもそのイキウメの舞台劇で、舞台初演は2005年、2007年に書籍化。
10年経って文庫化され、このたびの映画化に至る。

黒沢清監督といえば、『ヒッチコック/トリュフォー』(2015)にも出演したぐらい、
日本を代表する映画監督となっているわけですが、
私は正直なところ、黒沢監督の作品はなんだかイマイチ。
『クリーピー 偽りの隣人』(2016)なんて去年のワースト3に入るかも。
それでも、観たかどうか忘れてしまうような作品はないから、
私にとって良くも悪くも印象に残る作品を撮る監督ではあります。

そんなだから、これもそれほど気乗りはしなかったのですけれども、
最近すごくいい長澤まさみがクレジットタイトルの最初に表示されているのなら、
観に行っておこうかなと思いました。

日本のどこかにある地方都市での出来事という設定。

ポスター等のデザインの仕事を在宅で受注している加瀬鳴海(長澤まさみ)。
ある日、夫・真治(松田龍平)が行方不明になり、数日後に保護される。
戻ってきた真治は性格が一変、妙な行動を繰り返すように。
一時的な記憶障害ではないかと医者から言われるが、本当にそうなのか。
やがて会社も辞めてしまった真治は、毎日散歩するように。

同じ頃、町で一家惨殺事件が発生し、不可解な現象が頻発。
週刊誌の記者・桜井(長谷川博己)はヤバイ自体だと感じて取材しようとするが、
会社は彼の話に聞く耳を持たず、これではやっていられない。

そんな桜井の目の前に青年・天野(高杉真宙)が現れる。
彼は地球侵略を目論む宇宙人で、桜井に「ガイド」を頼みたいとのだと。
イカレた話につきあう気はなかったが、
天野は惨殺事件の唯一の生き残りである女子高生・立花あきら(恒松祐里)を探しているらしい。
興味を惹かれた桜井は、ガイドを引き受ける。

一方の鳴海も、真治から宇宙人だと告白され、ガイドを頼まれるのだが……。

冒頭の惨殺事件の様子がグロくて、『クリーピー』を思い出す。
何もこんなにグロくしなくてもいいのにと、嫌な予感を抱きました。

不可解な宇宙人ネタならば、『美しい星』のほうがずっと好き。
それに、松田龍平演じる真治は通称「しんちゃん」なものだから、
『映画 クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ』をも思い出し、
そっちのほうが面白かったなぁなんて思ってしまったりもして。
でもこれまでの黒沢監督作品に比べるとまぁ面白く観られたほう。

宇宙人が地球侵略のために何をするかというと、人類とはどういうものかの把握。
それには人類の持つ概念を理解することが必要で、
面白いなと思った概念を次々に奪って行くのです。
たとえば、家族、自分、仕事などなど。
概念を奪われた人間は、その概念をなくしてしまう。
仕事の概念を奪われた光石研演じる会社社長がいきなり解放感に包まれたりして。

ウケたのは、お役人役の笹野さんが概念を奪われた瞬間。
わざと大根役者のふりをしているでしょうというぐらいの倒れっぷりに笑いました。

「愛」の概念は奪えるか。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『スキップ・トレース』 | トップ | 『三度目の殺人』 »

映画(さ行)」カテゴリの最新記事