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『クリーピー 偽りの隣人』

2016年07月20日 | 映画(か行)
『クリーピー 偽りの隣人』
監督:黒沢清
出演:西島秀俊,竹内結子,川口春奈,藤野涼子,戸田昌宏,
   最所美咲,笹野高史,東出昌大,香川照之他

ダンナが数日間出張中のため、仕事帰りにTOHOシネマズ西宮へ。
18:00上映開始の綾野剛を観ようと車を走らせましたが間に合わず。
18:13ぐらいに劇場に到着、窓口ならば販売してくれたかもしれませんが、
券売機ではすでに18:00開始の回は〆切。
無理を言ってみるほどではないので、18:30からの本作に気持ちを転換。

原作は第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作だそうです。
この賞自体を知らなくて調べてみたら、第1回は1998(平成10)年。
審査員は内田康夫、北方謙三、西村京太郎、森村誠一といった大御所で、
島田荘司、夏樹静子、赤川次郎、大沢在昌らと入れ替わったりしながら、
第19回だった今年度は、あさのあつこ、綾辻行人、笠井潔、朱川湊人が審査員。
ここ数年の審査員は別として、歴代の審査員の顔ぶれを見れば、
私はほとんど読んだことのない人が目立ち、道理でこの賞も知らないわけで。
観る前からちょっとテンション下がり気味。

高倉幸一(西島秀俊)は犯罪心理学に精通する刑事として名を上げていたが、
8人も殺したサイコパスの取り調べで痛恨のミス。
署内で死亡者を出したほか、自らも犯人に刺されて負傷、退職する。

大学で犯罪心理学の教鞭を執ることとなった高倉は、
妻の康子(竹内結子)とともに郊外の一軒家に引っ越す。
張り詰めていた刑事時代とはちがって、静かで落ち着いた日々を送るはずが、
隣近所に挨拶に行くとどうも皆感じが悪い。つきあいを拒んでいるようだ。
憂鬱な顔をする康子に、たいていの犯罪者は愛想が良いもの。
そうでないから逆に安心かもしれないと高倉は笑う。

そんななか、後輩刑事だった野上(東出昌大)が突然訪ねてくる。
野上は、6年前に起きた未解決の一家失踪事件の捜査に手を貸してほしいと言う。
たまたま大学の同僚から同じ事件について問われていた高倉は、
一家のうち唯一取り残された当時中学生の娘(川口春奈)に会うことに。

一方、康子は隣家に住む西野(香川照之)の言動に振り回され始める。
西野の娘として紹介された澪(藤野涼子)は、高倉に何か話したいことがある様子。
ある日、澪から「あの人はお父さんなんかじゃない」と耳打ちされ……。

とことん嫌な話で救いがありません。
救いがなくても面白い作品というのはいくらでもあるけれど、これは駄目。
原作の出来がどうだったか知りませんが、放置されているものが多すぎる。

そもそも最初に登場したサイコパスは何なのか。
世の中にはこういう異常犯罪者がいるものだということを知らせたかっただけ。
それをきっかけに高倉が転職したというだけ。
また、失踪事件に遭った一家の娘の扱いも適当すぎ。
東出昌大や笹野高史演じる刑事も不用心すぎて、殺されて当たり前。
殺しの始末をさせられる澪の姿も異常ならば、康子はどういうつもりだったのか、
最後の高倉はなぜいきなりシャキッとしたのか、納得できないことだらけ。

台詞や動きのひとつひとつが大げさで白々しく、
芸達者な役者が揃っているだけに余計に不自然。
不気味なだけでミステリーではない。中途半端なホラーの印象。
ちょうどTOHOシネマズデーだったので1,100円だったし、
金返せとは言わないけれど、観なきゃよかった(泣)。

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