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『美しい星』

2017年06月04日 | 映画(あ行)
『美しい星』
監督:吉田大八
出演:リリー・フランキー,亀梨和也,橋本愛,中嶋朋子,佐々木蔵之介,
   羽場裕一,春田純一,友利恵,若葉竜也,坂口辰平,藤原季節他

野球観戦前にTOHOシネマズ西宮で3本ハシゴの3本目。
『夜明け告げるルーのうた』『光をくれた人』→これ。
この日の3本はどれもタイプがちがって面白く、いいハシゴでした。

難解だろうと決めつけて、読んだことのなかった三島由紀夫
春先に職場で部屋の移動などがあり、断捨離する人、多数。
「ご自由にお持ち帰りください」と廊下に出された段ボール箱の中に、
三島由紀夫の『美徳のよろめき』と『仮面の告白』が。
誰かが貰って行く気配もなく、これは私に読めということじゃなかろうか。
頂戴して帰り、まずは『美徳のよろめき』を読んでみたら、
お、面白いやんか。“ブクログ”にUPしたレビューはこちら

初三島由紀夫に若干興奮していたら、今度は映画があるという。
リリー・フランキーが妙なポーズを取っているポスター。
しかも監督は吉田大八。また何を思って三島由紀夫に手を出したのか。
好奇心は捨てがたく、封切り日だったこの日に観たのでした。

お天気キャスターを務める気象予報士・大杉重一郎(リリー・フランキー)。
当たらなすぎる予報がおもしろがられて人気者。
後輩気象予報士と浮気した帰り、運転中に謎の光に包まれ、
気がつくとお日様の下、田んぼの中に車ごと突っ込んでいた。
番組スタッフのUFOオタクに尋ねると、宇宙人ネタを伝授してくれる。

重一郎の妻・伊余子(中嶋朋子)は専業主婦。
ママ友とランチに出かけた折り、ミネラルウォーターの購入を勧められる。
飲んでみると本当に美味しい気がするし、肌にもよさそう。
購入者を集めればかなりの収入になると聞き、100ケース購入。
ディストリビューターとしての活動を始める。

夫妻の息子・一雄(亀梨和也)はフリーター。
バイク・メッセンジャーの仕事で日々をやりくりしていたが、
あるとき国会議員・鷹森紀一郎(春田純一)の車のせいで転倒。
文句を言いに行くと、鷹森の秘書・黒木克己(佐々木蔵之介)から
事務所のアシスタントとして働かないかと誘われる。

夫妻の娘・暁子(橋本愛)は女子大生。
美人ゆえにちやほやされるのにうんざりしていた日、
路上で弾き語りしていた歌手・竹宮薫(若葉竜也)に惹かれ、
金沢でのライブに押しかけたところ、竹宮から声をかけられる。

このようなことをきっかけに、重一郎、一雄、暁子は、
それぞれ自分が火星人、水星人、金星人だと思い込みます。
美しい星=地球を救うために使命を果たそうと行動を開始。
たったひとり「地球人」の伊余子は、家族の言動に唖然としつつ、
マルチ商法に引っかかるのが笑うに笑えません。

原作が1962年の作品であることが信じられないぐらいイマ風。
三島由紀夫の原作では核兵器による人類滅亡とされているのを
吉田監督は地球温暖化に置き換えています。

人には説明しづらいけれど、感覚に訴える不思議な作品。私は好き。
三島由紀夫が凄いのか、吉田監督が凄いのか、
原作未読のままではなんとも言えません。読んでみなければ。

妙ちくりんな設定のはずなのに、ラスト間際、
青い地球を見たら胸に迫るものがあって泣きそうになった私は、
もしかしてほかの惑星の人間!?(笑)

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