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『望み』

2020年11月03日 | 映画(な行)
『望み』
監督:堤幸彦
出演:堤真一,石田ゆり子,岡田健史,清原果耶,三浦貴大,
   早織,加藤雅也,市毛良枝,松田翔太,竜雷太他
 
前述の『星の子』とハシゴ。
同じくTOHOシネマズ伊丹にて。
 
原作は雫井脩介の同名小説で既読です。レビューはこちら
 
石川家は4人家族。
一級建築士の一登(堤真一)とその妻である貴代美(石田ゆり子)、
長男で高1の規士(岡田健史)、長女で中3の雅(清原果耶)。
自宅隣に事務所を持ち、設計の相談に来た顧客に自宅を見せることもある。
 
恵まれた生活を送っているように見えていたが、
サッカーで前途有望視されていた規士が試合中に負傷、
膝を痛めて選手生命を絶たれ、以来自暴自棄に。
夜中に出かけたまま帰ってこないことも多く、
いつもふてくされた態度の規士を夫婦ともに持て余し気味。
 
そんなある日、いつもなら翌日の昼には帰宅する規士が
いつまで経っても帰ってこない。
貴代美のLINEに一度返信があったきりで連絡もつかなくなる。
やきもきしているところへ、テレビで衝撃のニュースが。
高校生とおぼしき少年の他殺体が発見されたというのだ。
 
殺されたのは規士の友人だと判明。
遺体のそばから逃走する同じような年頃の2名が目撃されていた。
警察は規士が2名のうちのひとりと決めつけて行方を追っている様子で……。
 
のちに2名とは別にもう1名が殺されていることがわかります。
自分の息子は加害者で逃げているか、もしくは被害者で殺されているか。
どちらのほうがいいと思いますか。
 
父親は、自分の息子は人を殺せるわけがない、加害者ではないと信じようとする。
しかし母親はそんな話を受け入れられない。
なぜなら夫の言うことがあっていれば、息子はすでに死んでいることになるから。
たとえ殺人を犯していたとしても、息子には生きていてほしい。
 
原作ではどちらの結末が待っているのだろうとドキドキしましたが、
映画版では堤真一と石田ゆり子が親の役だから、
息子は絶対に被害者のほうでしょう。悪いことなんかしない。
 
それにしてもマスコミの酷いことよ。
どこから聞きつけるのか、規士が帰宅していないことを知り、
家に押しかけて両親の写真を撮ろう、声を録ろうとする。
テレビに映ればどこの家かはわかるから、
これもまた心ない人たちが壁や車に落書きをする。
規士の妹が「お母さんの前では言えないけれど、
お兄ちゃんが被害者のほうでないと私は困る」という言葉は切実です。
 
シリアスな人間ドラマではありますが、堤幸彦監督だからエンタメ性に富んでいる。
わかりやすい感動があるといえば皮肉っぽいですけれども、
老若男女だれが観ても感動できると思います。
 
石川家を訪れる女刑事役の早織、今まで何度か見ているはずなのに印象なく。
能面のように凍った表情がめっちゃ怖かった。怖すぎたから気になります。
コンビを組む加藤雅也から逆に珍しく若干温かい印象を受け、
ちょっと面白いキャストでした。

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