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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ロイヤルホテル』

2024年08月16日 | 映画(ら行)
『ロイヤルホテル』(原題:The Royal Hotel)
監督:キティ・グリーン
出演:ジュリア・ガーナー,ジェシカ・ヘンウィック,トビー・ウォレス,ヒューゴ・ウィーヴィング,
   ダニエル・ヘンシュオール,ジェームズ・フレッシュヴィル,アーシュラ・ヨヴィッチ他
 
テアトル梅田で4本ハシゴの2本目。
 
『アシスタント』(2019)のキティ・グリーン監督によるオーストラリア作品。
ピート・グレッソン監督がハラスメントをテーマに2016年に撮ったドキュメンタリー、
“Hotel Coolgardie”をモチーフとしているそうです。
 
カナダ出身のハンナとリブは親友同士。
アメリカで生活していたふたりは、客船に乗り込んでオーストラリアへ。
旅を楽しむ予定だったのに、リブが船中でクレジットカードが使えなくなったと言い出す。
現金の持ち合わせはなく、旅行するどころではなくなってしまう。
 
致し方なくワーキングホリデーの道を選び、紹介されたのは田舎のパブ“ロイヤルホテル”での住み込み。
お気楽な接客仕事だと思いきや、ほかに娯楽施設のないここでは客たちが好き放題。
オーナーのビリーはパワハラ極まりない飲んだくれで、常連客のセクハラも横行していて……。
 
鑑賞前にあらすじを読んだとき、もの凄いパワハラとセクハラなのだろうと思っていました。
そう思って観てみると、そこまで凄いとも思えない。
ただ、逃げることはできないこの土地でこんなところに押し込まれたら、それは恐ろしくてたまらない。
 
軽くいなせばいいものを、ハンナはそうはできなくていちいち腹を立てます。
するとそれが客の怒りを呼ぶのか、ストーカーのごとく執着されるようになる。
一方のリブは逆に脇が甘すぎて、飲んではヘラヘラと笑い、どこかに連れ去られそうにも。
もとはといえばこんなことになったのはリブのせいなのに、厳しいハンナに逆ギレ。
 
逃げようよ早く!と思うものの、完全にはハンナとリブの味方になれず、
特にリブには無性に苛立たせられます。
リブがハンナに「大嫌い。放っておいて」と言い放ったときなどは、
こんな奴はホントに放っておいていいよと思いました。
 
“マトリックス”シリーズのエージェント・スミス役が懐かしい。
 
いろいろともやもやして、スッキリしません。でも面白い作品でした。
この町には住みたくない。

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『ルックバック』

2024年07月11日 | 映画(ら行)
『ルックバック』
監督:押山清高
声の出演:河合優実,吉田美月喜他
 
『チェンソーマン』の人気漫画家・藤本タツキによる同名漫画をアニメ映画化。
割引なしの特別料金1,700円で公開中。イオンシネマ茨木にて。
 
主人公女子ふたりの声を河合優実吉田美月喜が務めています。
私は『チェンソーマン』を知らないので、このふたりに惹かれて観に行ったようなものです。
 
藤野は自身の漫画を描く才能に対して絶対的な自信を持つ小学4年生女子。
学年新聞に毎回自作の4コマ漫画を連載し、同級生や家族からいつも称賛を浴びていた。
 
そんな彼女にある日、教師が声をかけてくる。
学校新聞の漫画の1枠を不登校の同級生女子・京本に譲ってやってほしいと言うのだ。
教師曰く、京本は学校には来られないけれど漫画は描けるそうだと。
 
余裕を持って京本に1枠譲った藤野だったが、できあがった学年新聞を見て愕然とする。
京本の巧さは一目瞭然。同級生らが思わず「藤野より上」と口走るほど。
 
以降、相変わらず不登校の京本に負けじと藤野は明けても暮れても漫画を描きつづけるが、
どれだけ頑張ろうが京本には敵わないことを悟り、小学6年生の半ば、突然描くことをやめる。
 
小学校卒業の日、やはり学校に来なかった京本。
教師から卒業証書を届けるように言いつけられた藤野は渋々出向く。
すると、藤野の姿を見た京本は驚愕し、「藤野先生!」と呼ぶ。
学校に行けなかった京本は藤野の漫画の熱烈なファンだと言う。
 
こうして初めて対面した藤野と京本は、共同で漫画を描くようになるのだが……。
 
好きな絵です。そして話も面白かった。
 
藤野と京本、ふたりが仲睦まじく漫画を描きつづけるわけじゃない。
途中、京本は美大に進んでもっと絵を学びたいと言い出し、すでに爆売れ漫画家だったこのコンビは解散。
ひとりになったからって藤野の人気が下がるとかいう安直な展開ではなくて、
ひとつの悲惨な事件を機に、物語がふたつに分かれます。
 
ネタバレになりますが、ひとつはこの流れのままの物語。
もうひとつは、「小学6年生で漫画を描くのをやめた藤野」が「藤野と出会わないままだった京本」を救う物語。
後者は本来の世界とは異なるわけで、こちらは空想上の世界のように思えます。
 
窓の外の景色で感じる四季がとても心地よいけれど、起きたことは残酷。
ペンを走らせつづける藤野の背中を見ていると切なくなります。
 
実写化もできそうな作品。でもこれはきっと漫画の世界の中にあるほうがいい。

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『ライド・オン』〈吹替版〉

2024年06月04日 | 映画(ら行)
『ライド・オン』(原題:龍馬精神)
監督:ラリー・ヤン
出演:ジャッキー・チェン,リウ・ハオツン,グオ・チーリン,ユー・ロングァン,ユー・アイレイ,ジョイ・ヨン,
   アンディ・オン,シー・ヤンネン,ラン・ユェティン,シャオ・シェンヤン,レイ・ロイ,ウー・ジン他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『映画 からかい上手の高木さん』の次に。
21時半も過ぎてからの回でしたが、ジャッキー・チェンはやはり人気。
絶対字幕版を観たかったのに、上映している劇場も回数も少なすぎる。致し方なく吹替版を鑑賞。
 
引く手あまたのスタントマンだったルオ・ジーロンは、撮影中に負った怪我のせいで第一線から退く。
今は愛馬のチートゥと広場に出かけて小銭を稼ぐのみで、借金取りに追いかけられることもしょっちゅう。
 
ある日、旧知の会社のワン社長が亡くなったことから、その債務トラブルに巻き込まれる。
チートゥはワン社長が私費で得た馬だったから、会社の資産ではない。
それゆえワンから譲り受けたチートゥはルオのものであるはずなのに、会社側はチートゥの所有権を主張。
チートゥを手放したくないルオは困り果てる。
 
そんなルオに友人たちは一人娘のシャオバオに頼ることを提案。
スタントの仕事で各地を飛び回っていたルオは、妻子と共に過ごすことができなかったせいで離婚。
父親に棄てられたと感じていたシャオバオと疎遠になり、妻が亡くなった今は連絡も取れず。
シャオバオは弁護士を目指してロースクールに通う身で、相談すれば力になってくれるに違いないと友人たちは言うのだ。
 
恥を忍んでシャオバオのもとを訪ねたところ、予想通りつれない態度。
自分はまだ弁護士ではないから何もできないし、そもそもアナタと私は何の関係もないとまで言われる。
肩を落として帰るルオだったが、後からこっそり父親の様子を見に来たシャオバオは、やはり放っておけなくなる。
 
シャオバオは自分の恋人で新米弁護士のナイホァにこの件を相談。
訴訟沙汰となったルオを援護しつつ、エキストラで人気者となったチートゥのことも守るのだが……。
 
シャオバオ役のリウ・ハオツンがめちゃめちゃ可愛い。
世の中のお父さん方、特に娘と円満な関係が築けていない人はこれを観て泣くしかありません(笑)。
 
チートゥがまた愛らしすぎる。
私は特に馬が好きなわけではないけれど、ルオがチートゥを引き取ることになった経緯も含めて、
こんな馬だったらそりゃもう手放したくなくなるでしょう。
シャオバオにも泣かされるけど、そうだった、私が泣かされたのはチートゥのほうでした。
 
ジャッキー・チェンのこれまでのスタントシーンも挟み込まれています。
すべてのスタントマンに贈る賛歌。
 
これ、エンドロールのNGシーンまで吹替なんですよね。
やっぱり字幕版が観たい。

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『Ryuichi Sakamoto | Opus』

2024年05月21日 | 映画(ら行)
『Ryuichi Sakamoto | Opus』
監督:空音央
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
昨年3月にこの世を去った坂本龍一。
10年近く前に中咽頭がんであることがわかり、3年前には直腸がんに。
あちこちに転移して手の施しようがなくなり、相当つらかったろうと思われます。
彼が「あと何回満月を見るだろう」とつぶやいていたと聞くと、
 
その年の9月、坂本龍一が最後の力を振り絞って演奏に臨む。
東京のNHK509スタジオで8日間にわたって収録した演奏が本作です。
ただひたすら、ピアノに向かう彼を収めただけといえば収めただけ。
凝った演出はされていないように見えるところが余計に素晴らしい。
 
静謐としか表現できません。
彼の表情は穏やかで、死が近いとは思えない。けれど、それを感じながらの演奏だったのでしょう。
 
彼自身の選曲による20曲。
心地よすぎてたまにうとうとしてしまってごめんなさい。
空の上にいるような気持ちでした。
 
あらためてご冥福をお祈りします。

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『リバウンド』

2024年05月08日 | 映画(ら行)
『リバウンド』(英題:Rebound)
監督:チャン・ハンジュン
出演:アン・ジェホン,イ・シニョン,チョン・ジヌン,チョン・ゴンジュ,キム・テク,
   キム・ミン,アン・ジホ,イ・ジュンヒョク,キム・ジンス,チャン・ヒョンソン他
 
前述の『あまろっく』の次に、同じくなんばパークスシネマにて。
 
実話に基づくスポ根韓流映画。面白くならないわけがない。
2012年にあったことなのだそうです。
 
伝統はあるものの、昔と違って弱小チームになりさがってしまった釜山中央高校バスケットボール部
あまりのダメっぷりに、就任したコーチは次々と辞め、何人かいた部員も今は2人のみ。
ついには校長が廃部を言い渡そうとするが、OBが黙っていないかもしれないと、
教頭以下の教師たちが安月給でも来るコーチを雇って形だけ存続させましょうと校長を説得する。
 
そんなバスケ部のコーチとなったのは、高校生当時はMVP選手に選ばれたこともあったのに、
その後は鳴かず飛ばずで冴えない日々を過ごしていたカン・ヤンヒョン(アン・ジェホン)。
「形だけのバスケ部」の「形だけのコーチ」のはずが、ここは一発逆転の人生にしたい。
まずは部員を集めて試合に出られるようにしようと、各校選手のデータを集めはじめる。
 
スター選手として崇められながら身長の伸びが止まると同時にスランプに陥っているチョン・ギボム(イ・シニョン)。
かつてはギボムのチームメイトであったが脚を傷めて逃げ出したペ・ギュヒョク(チョン・ジヌン)。
高身長を買われてサッカー部からバスケ部に移ることになったホン・スンギュ(キム・テク)。
ストリートボールを楽しんでいたところをスカウトされたチョン・ガンホ(チョン・ゴンジュ)などなど。
ヤンヒョンの元教え子で将来を有望視される生徒も入部したおかげでそこそこ以上に強いチームになるはずが……。
 
驚いたのは、大会試合当日に明らかになる選手の引き抜き。
スポーツ選手として全国的に認められると後の人生にも影響が及ぶのはインドと同じか
親も必死だから、少しでも強いチームに子どもを入れたい。
子ども本人がこのチームに居たいと願ったとしても、親が移したければそうなるのですね。
当日会場に行ってみると、昨日まで自分のチームにいた選手が相手チームに引き抜かれているなんてビックリ。
 
強豪校には余るほどの部員がいて、こちらの釜山中央高校にはたった6人。
1人怪我をすれば交代選手がいなくなり、ぜぇぜぇ言いながらコートを駆け回る。
 
選手(ほぼ)みんなイケメンでカワイイから、俄然応援したくなります。
特にイ・シニョンとチョン・ジヌン。チョン・ゴンジュもいいねぇ。
後からチームに入るホ・ジェユン役のキム・ミンがなかなか泣かせるし、
第二のマイケル・ジョーダンを自負するお調子者ながらスター性ありのチョン・ジヌク役のアン・ジホも○。
そして一応ヘッドコーチのイ・ジュンヒョクが笑わせてくれます。名バイプレイヤー
 
楽しかった!

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