Deep Purple『CONCERTO FOR GROUP AND ORCHESTRA』(1969)&Jon Lord『CONCERTO FOR GROUP AND ORCHESTRA』(2012) by Mr.Rapport
まずはディープ・パープルのほうから。
このライブアルバムが発売された当初、ジャケ帯には「ロックとクラシックの融合についに成功。ロック史上に燦然と輝くアルバム」みたいなことが記されていた。
しかし、正確にいえばロックとクラシックの融合ではない。ロックとクラシックの競演である。もっと正確にいえば、ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラとディープ・パープルがコンチェルトを交互に演奏するスタイルをとっている。その意味で、成功作なのか失敗作なのかは、実に微妙なところ。これはもうリスナー一人一人の感性・嗜好に判断を委ねるしかないだろう。
本稿の作成にあたって、十数年ぶりに改めて聴きなおした感想は「リッチー、なかなか頑張っているじゃないか」。
このプロジェクトはジョン・ロード主導の下、企画されたものであり、リッチーからすれば本意ではなかった。「ならば、やけのやんぱち。好き勝手に演らせてもらうぞ」という開き直りの精神が、良い意味でプラスに転化したのだろう。
それに比べると、ジョンのプレイはいまいち精彩にかける。ジョンは指揮者のマルコム・アーノルド同様、曲全体の流れを、終始、的確に把握しなければならない立場にあった。そちらのほうに意識が向いてしまったため、本業のオルガン・プレイに専念できなかったのだろう。ましてや、初の試み、きっと緊張感とプレッシャーにもさいなまれたに違いない。
もう一つは、その『CONCERTO FOR GROUP AND ORCHESTRA』のスタジオ盤。ジョンのソロ作品であり、彼の遺作でもある。
一発勝負のライブ録音と違って、スタジオ盤には丁寧に緻密に時間をかけながら制作できるというメリットがある。そんな特権をフルに生かしたのだろう。管弦楽器の細部の音色に至るまで再検証がなされている。そうしたこともあって、ディープ・パープルの作品よりも、より洗練され、より聴きやすくなっている。
参加ゲストもなかなか豪華。第一楽章ではアイアン・メイデンのブルース・ディッキンソンが、第二楽章ではジョー・ボナマッサが、第三楽章では現・ディープ・パープルのスティーブ・モーズがそれぞれギターを担当している。彼らに負けじといわんばかりに、ジョンのハモンドも随所で炸裂。やっぱ、ジョンのプレイはこうでなくちゃ。
思うに、ディープ・パープルはHRの礎を築いただけでなく、クラシカル・ロック、シンフォニー・ロックの胎動・創成にも一石投じたような気がしてならない。それも小さな石ころではない。大きな、大きな、とてつもなく大きな石を……。
そういったことを鑑みると、ディープ・パープル、とりわけジョン・ロードはHR界のみならず、プログレ界の進歩・発展にも貢献した類稀なるアーティストだったといってもいいのではないだろうか。
まずはディープ・パープルのほうから。
このライブアルバムが発売された当初、ジャケ帯には「ロックとクラシックの融合についに成功。ロック史上に燦然と輝くアルバム」みたいなことが記されていた。
しかし、正確にいえばロックとクラシックの融合ではない。ロックとクラシックの競演である。もっと正確にいえば、ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラとディープ・パープルがコンチェルトを交互に演奏するスタイルをとっている。その意味で、成功作なのか失敗作なのかは、実に微妙なところ。これはもうリスナー一人一人の感性・嗜好に判断を委ねるしかないだろう。
本稿の作成にあたって、十数年ぶりに改めて聴きなおした感想は「リッチー、なかなか頑張っているじゃないか」。
このプロジェクトはジョン・ロード主導の下、企画されたものであり、リッチーからすれば本意ではなかった。「ならば、やけのやんぱち。好き勝手に演らせてもらうぞ」という開き直りの精神が、良い意味でプラスに転化したのだろう。
それに比べると、ジョンのプレイはいまいち精彩にかける。ジョンは指揮者のマルコム・アーノルド同様、曲全体の流れを、終始、的確に把握しなければならない立場にあった。そちらのほうに意識が向いてしまったため、本業のオルガン・プレイに専念できなかったのだろう。ましてや、初の試み、きっと緊張感とプレッシャーにもさいなまれたに違いない。
もう一つは、その『CONCERTO FOR GROUP AND ORCHESTRA』のスタジオ盤。ジョンのソロ作品であり、彼の遺作でもある。
一発勝負のライブ録音と違って、スタジオ盤には丁寧に緻密に時間をかけながら制作できるというメリットがある。そんな特権をフルに生かしたのだろう。管弦楽器の細部の音色に至るまで再検証がなされている。そうしたこともあって、ディープ・パープルの作品よりも、より洗練され、より聴きやすくなっている。
参加ゲストもなかなか豪華。第一楽章ではアイアン・メイデンのブルース・ディッキンソンが、第二楽章ではジョー・ボナマッサが、第三楽章では現・ディープ・パープルのスティーブ・モーズがそれぞれギターを担当している。彼らに負けじといわんばかりに、ジョンのハモンドも随所で炸裂。やっぱ、ジョンのプレイはこうでなくちゃ。
思うに、ディープ・パープルはHRの礎を築いただけでなく、クラシカル・ロック、シンフォニー・ロックの胎動・創成にも一石投じたような気がしてならない。それも小さな石ころではない。大きな、大きな、とてつもなく大きな石を……。
そういったことを鑑みると、ディープ・パープル、とりわけジョン・ロードはHR界のみならず、プログレ界の進歩・発展にも貢献した類稀なるアーティストだったといってもいいのではないだろうか。
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