みんなのライヴ・ブログ

行ったつもりのリクエスト「おうち DE apple-cart」。毎日朝5時に1曲、全力更新中!

ラモウんの「プログレ放浪聴(ほうろうき)100選」その29

2016年08月15日 05時10分00秒 | 僕の私のプログレ放浪聴(ほうろうき)

Roger Glover 「ELEMENTS」(1978)
By Mr.Rapport

 ボクはこのアルバムを初めて聴いたとき、「これは傑作だ」と思った。
 その気持ちは今も変わりない。
 新旧DPのメンバーがソロ名義で発表したアルバムの中で、個人的には「ダントツ一位」の評価を下している。

 テーマはタイトルにもあるように「エレメンツ」。
土・火・水・風の計4曲から成り立つ壮大なシンフォニック・ロックなのだが、各々10分足らずということもあって、聴いていて飽きる……ということがない。

 その4曲はどれも素晴らしい出来なのだが、圧巻は二曲目の「火」。
 基本はゲストのサイモン・フィリップスのドラムがイニシアティブをとるスピード感あふれるナンバーなのだが、そのリズムに合わせて交響曲を彷彿させるオーケストラが紅蓮の炎のごとくメラメラと聴覚を刺激してくれるのである。
 しかも、オーケストラの使い方――アレンジが実に巧みときた。
 このへんのセンス・演出は、正直、ジョン・ロードよりも上手かもしれない。

 残念なのは、このアルバム、あまりにも過小評価され過ぎていること。
 レビューらしきレビューを見た(読んだ)ことがないのだ。
 そういうこともあって、現在は廃盤になっているみたいで、アマゾンでも「再入荷の見込みが立っていない」という表示が……。


 例によって、YOUゝUBEを貼り付けておきましたので、興味のある方は、是非、試聴をお勧めします。

https://www.youtube.com/watch?v=9fV6E7-3fjI
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ラモウんの「プログレ放浪聴(ほうろうき) 100選」その28

2016年06月26日 20時10分00秒 | 僕の私のプログレ放浪聴(ほうろうき)
Mandala Band 「MANDALA BAND」(1975)
by Mr.Rapport

はじめに
みんブロを引退した自分でしたが、
管理人さんのHDDにトラブルが発生し、大ピンチ!
そこで、リッチーを見習い、数回だけ、現役復帰いたします。
それでは本題へ。

 ボクがプログレに求める要素は多数ある。
 様式美、シンフォニック、ドラマチックなコンセプトが主菜だとしたら、副菜はキャッチーなメロディ、叙情性、神秘、スピード感、荘厳、緊張感、陰湿さ、ユーモアなどなど。
 そのどれをも兼ね備えたアルバムはそうそうない。強いて挙げるとすれば、『キング・クリムゾンの宮殿』くらいか。
 ところが、放浪に放浪を重ねれば見つかるものである。それが今回紹介するイギリスのプログレ・シンフォ系のMandala Band(マンダラ・バンド)。

 これこそ、まさしく「隠れた名盤」といっていいだろう。HRテイストはもちろんのこと、クラシカルテイスト、ジャズテイスト、クロスオーバーテイスト、メタルテイスト……。こういったモノが実にバランス良く配合されているのである。
しかも、テンメE音量の変化が巧みときた。抑揚もバッチリ。これはもう満点をあげてもいいだろう。

まず、のっけから壮大な組曲で始まるのだが、一曲一曲が比較的コンパクトで3~5分台の曲で構成されているので、最後まで飽きないで聴けるのが嬉しい。

 何よりも感心してしまうのは、メンバー各人が自分の役割分担を踏まえ、的確な仕事を行っていること。
「ギターはここでむせび泣き、ここでハードに弾きまくらなければならない」
「このパートはキーボードの腕のみせどころ。よし張り切ってやるか」
 こうしたプレイヤーの繊細な意図がひしひしと伝わってくるのである。

弦楽オーケストラの使い方も実に効果的。控えめでもなければ、でしゃばることもない。イヤミのない範囲に適度な存在感を打ちだす。

「シンフォニック・ロックは苦手」という人にこそ是非、聴いていただきたい。
 プログレ放浪聴の100選の中でも、ベスト20に入れたい一枚である。

https://www.youtube.com/watch?v=eTBGuJBrPTY


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ラモウんの「プログレ放浪聴(ほうろうき) 100選」 その27

2015年09月27日 05時12分00秒 | 僕の私のプログレ放浪聴(ほうろうき)
Pink Floyd「A Saucerful of Secrets」(1968)
by Mr.Rapport

 ボクが生まれて初めて購入したプログレのアルバムがこれ。
 当時、確か高校二年になったばかりの頃だったと記憶しているが、同バンドの『狂気』(The Dark Side Of The Moon)が世界的に大ヒット。
 そういうこともあって、音楽の話題になると、クラスメートの多くが「ピンクフロイド」という言葉を口走るようになった。ロックの「ロ」の字も知らない女の子までもが「原子心母」とか「おせっかい」とぬかしやがる。
 HRばかり聴いていると話題についていけなくなる……。ならば、オイラも……と意気込んで購入したのが、このアルバム。

 それにしても、なぜこのアルバムを購入したのか。
 それは「神秘」という邦題のアルバムタイトルもさることながら、ジャケットに惹かれたからである。そう、いわゆるジャケ買いというやつである。

 肝心の中味であるが、レコードでいうA面はプログレというよりもサイケデリック・アートの世界。どことなく中期のビートルズを彷彿させてくれる曲もあってこれはこれでなかなかいい。全体的にどこかミステリーな雰囲気が漂うのも◎。そう、だからアルバムタイトルにもあるように「神秘」なのだ。
 このへんは本アルバム制作中に脱退したシド・バレットの影響によるものが大なのだろう。

 そして、盤をB面に返すと、コンパクトながらも壮大な四部型式のアルバムのタイトルチューン・A Saucerful of Secretsがいよいよ始まる。
 これは傑作である。とにかく、ものの見事な「起承転結」で成り立っている。今、聴いても色褪せないし、目を閉じて聴いていると、SF映画の世界に引き込まれていくような錯覚に陥ってしまう。
 たとえば、こんな感じに……。

 第一部 → 隊員たちが未知の惑星(無人島)を不時着(漂流)
 第二部 → 得体の知れない怪物が出現し、隊員たちが襲われ、逃げまどう
 第三部 → 生き残った隊員と怪物の壮絶な闘い
 第四部 → 最後はようやく勝利をおさめる

 非常に短絡的だが、これほどわかりやすくビジュアル化できる曲もそうそうないと言っていいだろう。

 続く、B面2曲目のSee Sawもなかなかの傑作。どうってことのないサイケデリック・バラードなんだけど、前曲A Saucerful of Secretsを聴いて頂点に達した緊張感をここで一気に緩和してくれる。

 第五部 → 生き残った隊員たちが惑星(無人島)で癒しの場を発見

 みたいな感じなのである。

 この展開には恐れ入谷の鬼子母神。
「狂気」も「原子心母」も「おせっかい」も、それから「炎」も「アニマルズ」も悪くはない。でも、一枚だけ挙げるとしたら、やっぱりこのアルバム。

 プログレを2000枚以上聴いてきた中で、生まれて初めて買ったプログレアルバムが「プログレ放浪聴 100選」にランクインするというのも、良い意味でものすごい因果を感じてならないのである。


https://www.youtube.com/watch?v=YLW0n2sLCG4
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ラモウんの「プログレ放浪聴(ほうろうき) 100選」 その26

2015年08月06日 04時39分00秒 | 僕の私のプログレ放浪聴(ほうろうき)
Carlos Santana & Mahavishnu John Mclaughlin「Love Devotion Surrender」(1973)
by Mr.Rapport

 ロックの世界において、自分にとっての「夢の対決」「夢の競演」と呼ばれるものが、過去、いくつかあった。
 DCとジミー・ペイジの「カヴァーディル・ペイジ」などがそう。
 ジェフ・ベックとスタンリー・クラークなどもそう。

 幸いなことに、どちらもタイムリーで来日。ライブを存分に楽しむことができたが、このアルバムのこの二人のギタリスト、すなわちカルロス・サンタナとジョン・マクラフリンに関しては、残念ながら、夢の対決・夢の競演を目の当たりにすることができなかった。

 まずバックのメンツがすごい。サンタナが率いるのはダグ・ローチ、マイケル・シュリーブら。これに対し、マクラフリンが率いるのはヤン・ハマー、ビリー・コブハムらマハヴィシュヌ・オーケストラのメンバー。

 こうした家臣団を従え、両雄が壮絶なギターバトルを繰り広げるという算段になっている。まさにロック界の川中島の合戦である。

 ただ、畑が違う二人だけに「対決」「競演」になるのかなという一抹の不安もあったのも確か。でも、実際に聴いてみるとなかなかどうして。基本はジャズ・ヒュージョン・ロックなのだが、スリリングな展開がたまらなくいい。

 お互いがお互いのホームとアウェイを行ったり来たり。マハヴィシュヌ・オーケストラのホームにサンタナが乗り込み、存分にギターを弾きまくったかと思えば、今度はサンタナのホームにマクラフリンが乗り込み、存分にギターを弾きまくる……という感じなのである。

 それでいて、違和感がない。実に自然体にお互いがお互いの世界に溶け込んでいき、斬新な音を紡ぎだそうとする。
 そう、この斬新な音を紡ぎだそうとする姿勢がプログレたる所以なのだ。

 ボクがこのLPを初めて聴いたのは20代前半のころ。正直、当時はHR一辺唐セったため、このアルバムの良さがそれほどわからなかった。

 しかし、50代半ばを過ぎた今、こうしてアルバムを聴き返すと、ツェッペリンやパープルやサバスにはないHRとしての凄まじさを感じ取ることができ、20代のころとは違った意味で脳が刺激される。
 いや、脳の新たな部分が刺激を受け、覚醒した……といったほうが正解だろうか。

 ともかく「プログレ放浪聴 100選」にランクインして当然の名盤であることは断言しておきたい。


https://www.youtube.com/watch?v=iB25LcL2pRA
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ラモウんの「プログレ放浪聴(ほうろうき)100選」 その25

2015年07月31日 04時45分00秒 | 僕の私のプログレ放浪聴(ほうろうき)
Tai Phong 「TAI PHONG」(1975)
by Mr.Rapport

 Tai Phong――タイフォンはベトナム出身の兄弟が中心となって結成されたフランスのプログレバンド。

 このバンドの最大の売りは、とにもかくにも心に響く“泣きのフレーズ”“泣きのメロディ”。「これでもか。これでもか」といわんばかりに泣きで攻め立ててくるので、こちらも思わずもらい泣き(ウソ)。
 ただ、泣きだけでは「プログレ放浪聴(ほうろうき)100選」には収まらない。では、収まった決め手は何かというと、それは基本HRバンドであるということ。

 クィーン風のナンバー、スコーピオンズ風のナンバー、ゲイリー・ムーア風のナンバー、そしてレインボー風のナンバーが満載されているので、聴く者を飽きさせない。
 しかも、一曲一曲の出来もなかなかいい。二曲目の「Sister Jane」はオジーの「Mr. Crowley」と双璧をなす出来だし、ラストの「Out of The Nigh」に至ってはロイ・ブキャナンの「メシアが再び」をHR化させたような傑作。

 メンバーのテクもなかなか。ギター、キーボードは言うに及ばず、ベーシストの音色も大胆かつ繊細でどことなくグレン・ヒューズに似ている。
「プログレは苦手。だけどHRは大好き」という人にこそ、是非とも聴いていただきたい一枚である。

https://www.youtube.com/watch?v=Nt_kDnKwojQ
https://www.youtube.com/watch?v=pIyCcMg6HOA
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