シャトードヴァンセンヌに遅れないようについた。
でもまだ誰も来ない。連絡もない。
お城の前のベンチで座って待つことにしたが、だんだん暗くなってくる。
暗くなると知らないところはやはり不安になる。
イタリアンレストランでの食事と聞いていたので、見当をつけて歩いてみたが、その名前はなかった。
すると、アニエスの親戚の奥さんのディアンヌから、「少し仕事で遅くなるので、店で待っていて」と店の住所が送られてきた。
いつまでもベンチで待っているよりはいいので、また歩き出した。さっき歩いたところとは反対の方だった。
それらしい店があり、予約を聞くと正解だった。入って待っていた。
すると、しばらくして、きょろきょろしながら、歩いているカップルが店の前を通った。
「あっ、アンリ!!」と思ったが、大きな声が出せず、手を振っても気づかず、通り過ぎていった。
そしてやっぱりまた戻ってきた。こういうところが彼等らしい。
アヴィニョンから来た二人だ!!
数日前にパリに来ていた彼らだが、聞くと何と、同じ日に「ナビ派」の展覧会も見に行ったというではないか。また今夜も凱旋門からメトロでやってきたという。
連絡をこまめにしていたら、彼らと会う時間がとれたかもしれず、残念に思った。
彼らは今日は、ルイ・ヴィトン財団で行われている「印象派」の展覧会に行っていたという。
そんな話をしていると、遅れて二人がやってきた。アンリの奥さんのアニエスの従弟の息子のJ・フィリップと妻のディアンヌだ。
彼らが奈良に来た時、案内をした。そのあと、2018年のヴァンサンの結婚式でブルゴーニュに行ったとき、アニエスのお母さんの家で泊めてもらったのだが、J・フィリップの両親、つまりアニエスの従弟夫婦に家にも招待してもらったりもした。
アンリ夫妻は私にとって親戚のような友人なので、彼らもまたそれに近いのだ。
ヴァンサンは、そのアンリ夫妻が洗礼式の両親ということで、来日の時、私を紹介したことから交流が始まっていて、彼もまた親戚に近い関係にまでなった。
たくさん友人がいるが、ここまでの関係の友人は10組もいないだろう。
特に今回の旅行で会う友人は、親戚レベルの友人が少ないので、貴重な再会であった。
アンリ夫妻も、ヴァンサンママも、ブルゴーニュ生まれのブルギニオンだ。
エスカレーターと言い、どうも私はブルゴーニュ縁で、親戚関係になりやすいのかもしれない。私だけかもしれないが、ブルゴーニュに、より「フランス人」を感じるのである。