彼女が次に案内してくれたのはピガールから下った通りで、ここもYouTubeで見て未訪の通りだった。
小さな骨董店と言ってもリーズナブルなものが置いてある店に行きたかった。しかし、下りていけばあるだろうし、アンジェルが頼みだったので、ちゃんとメモもしないで来たら、アンジェルはどうやら自分の勤めているところを見せたかったようで、そこを目指して歩いたのだった。
どこに勤めているのかそれまで知らなかったのだが、彼女は、パリで人気のお茶のお店、「パレ・ド・テ」で働いていたのだった。
ここの紅茶は、2019年にリヨンでフランソワーズたちのおすすめで買ってみたが、なかなか美味しかった。
彼女の顔も立てて、いくつか買って、またアンジェルに預かってもらうことにしよう。本来はティーバッグよりリーフなのだが、ディアンヌがコロナ禍に送ってくれたここのティーバッグは布製なところがよかったので、あえてティーバッグも買ってみる。
この通り沿いにあったパン屋さんもアンジェルのお気に入りで、そこで甘いパンを買ってくれた。どうやらおやつになりそう。
そしてまたメトロに乗って、アンジェルのパートナーが勤めている小学校へ向かった。
会議中ということだったので、待ちながらパンをほおばった。
そして、近くのカフェで待つことにした。
会議を抜け出してきたティボーとは、「初めまして」だった。本来なら彼女が1年滞在していた期間(2020年2月から)の9月に来日するはずだったが、コロナであえなく消えてしまった。
彼らによると、2023年の9月に、3年越しの夢を実現するそうだ。
アンジェルはまだほとんど日本語は話せないが、「ほんとー?」とか「だいじょうぶ?」とかごくわずか日本語なら話すので、なんとなくほっとする。
そして帰り際に、メトロの新しいチャージ制のカード購入のお手伝いもしてくれた。
日本でお世話になったと思っている彼女は、なんとかそのお礼に一生懸命パリでお返しをしようとする気持ちが伝わってきて、嬉しくなった。
そして、またメトロで、サンラザール駅での乗換が工事中でややこしいからと、そこまで送ってもらい、月末に会う約束をして別れた。
またRue St Maurの駅まで戻り、今日2回目になる6階までの階段を上る。朝からずっと歩き疲れている足を引きずるようにのぼった。ステラが帰宅していた。ただアントワンヌはいったん帰宅した後、歯医者に行き、留守だった。
マリーアンジュとステラに挨拶をした後、荷物を受け取って、エリック夫妻の待つ家へとメトロで帰った。
この時点では、10月の後半からのマリーアンジュの家族のバカンスに出かけた後も、このアパルトマンを貸してもらうことは多分ないと思っていたが、ご主人のマニュエルが27日のお昼まではいるから鍵も渡せるし、それまでに考えておいたらいいと言ってくれた。
エリック宅では、簡単な夕食を用意して待っていてくれた。
エリックとイザベルも「(今回の旅行の)後半も、もしよかったらまた来て」と言ってくれているが、たぶん明日の朝でお別れすることになるだろう。
いよいよ明日はミッシェル夫妻の待つニースへ向かう。この旅の一番の目的である。