そして、6月にやってきたのは、フェリックス。
彼は10年前、両親とともに初来日、その時は小学生だった。
大学生になり、友人二人を連れての再来日である。
両親はトゥールーズ在住だが、彼は今大学生活を北のリール(Lille)という大学都市で送っていて、映画製作を専攻しているそうだ。
両親が誰経由(誰の紹介)だったか、もはや思い出せないのだが、10年前に来た時の忘れられないエピソードは、フェリックスは8月だったこともあり、とにかくかき氷ばかり食べていたことである。ランチの時もかき氷、途中で休憩したときもかき氷だったのだ。まったく食事はせずに。
フランス人の子供で食事をあまりとらないことも確かにあった。レイラもそうだった。
小学生の頃はそんな感じでも成長期になると普通に食べるようになることが多いのだろう。
年齢より幼く見えた彼らも成長とともに 普通の大人になっていく。
両親によるとフェリックスの場合は、今でも偏食であるということであるが、さすがにかき氷だけということはなく、日本食も楽しんでいるようだった。
話が前後するが、フェリックスは今回まず東京から入り、一カ月余りの滞在予定で、まだ今も滞在中なのである。関西は京都・大阪で宿を取っていて、広島へも足を伸ばすそうだ。
東京で一週間余りの滞在の後京都へ移動したわけだが、彼らは夜行バスを使ったとのこと、いかにも若者らしい。なかなか頑張っている。
奈良での待ち合わせについて、「JRパスを使っているか」と聞いた時「使っていない」ということだったので、近鉄奈良で待ち合わせをということにし、京都発・奈良着の時刻も送っておいた。
しかし、あろうことか、彼らはJR奈良駅に着いて近鉄奈良駅まで歩いてきたのだ。しかも普通に乗ったとのことで、1時間ほどかかったとか。
これはフランス人によくあるあるなのだが、このJRと近鉄の待ち合わせは、間違えやすく今までにも他の人で何度かあった。今回はJRパスも使っていないこと、また若い彼らの事なので、大丈夫であろうと思っていたのだ。それでも、こんなことになる。
こちらから迎えに行かなくてもJRから近鉄の方へ歩いて来れただけ、ましということだ。
一瞬、女の子の友だちも一緒かと間違えたほど、10年ぶりの再会のフェリックスは髪が長く小柄だったが、小学生の時と変わらないいたずらっぽい目をしていて、笑顔を絶やさず安心させてくれた。