小学生だったフェリックスはどのくらい初来日の時のことを覚えているのだろう。
そんなことを思いながら案内をしていたが、彼は「東大寺の大仏様と脇侍の仏像」について冗談交じりに言った言葉を覚えていると言った。
そうか、覚えていてくれているのか。
もちろんその説明は初来日である彼の友人たちにもするつもりである。
まずは県庁の屋上からスタートしよう。
この日は前日の雨の影響でお天気が怪しかった。時々小雨が降ったりやんだりであったが、
霧がかかっているものの、屋上からの眺めは霧と新緑で美しかった。
彼らもそう感じてくれたようだ。
そして、地震対策装置を備えた建設会社の施設へ寄るつもりであったが、あいにく休館日だった。
これは多くのフランス人が興味ぶかく見学するところなので、少し残念であったが、そのまま東大寺へ向かう。
大仏殿では上記の説明をし、柱くぐりを前回はしたフェリックスは「もう無理だ」と笑っていた。フェリックスと彼の友人の料理人のマティスは細いのでおそらく通れたと思うが、友人たちはシャイな青年たちだった。
売店で以前買った鹿の小さなマスコットのつれを探すというフェリックス。以前のものもずっと大事に持っているそうだ。
「どこで買えばいい?」と聞かれたが、売店はどこも大差がないであろうと思い、東大寺の売店なら忘れないだろうと言うと、彼はそれに従い、ここで買った。
もう一人の友人で日本語を勉強しているというヴィクトールは、鹿の角のカチューシャを買っていた。
そして二月堂へ向かう前に、まずはランチ。この店は10年前に来て、フェリックスがかき氷しか食べなかった店だ。
今回は照り焼き丼とそばのセットを注文したが、彼の好みではなかったようで、ほとんどマティスが彼の分も食べていた。
マティスは細いがよく食べるし、さすがに料理人とあって、興味深くいろいろなものにチャレンジしているようだ。
食事のあとは、二月堂へ向かい、ここではいくつかの伝説を話した。
そのまま手向け山神社から春日大社へと向かった。
春日大社の近くの茶店で以前かき氷を食べたので、そこでかき氷を食べようと思って入ってみたが、今はかき氷はやってないということだった。思い出の店を優先するか、かき氷を優先するか迷い、結局かき氷を求め歩くことにした。
やっと見つけたかき氷の店で休憩もかねて食べることにした。昨今のモードのようなかき氷ではなく昔ながらのかき氷だったが、それでも彼らは喜んでくれた。
京都では中からアイスクリームが出てきたと笑っていたが。
そして浮御堂を回り、水琴窟を紹介すると興味深く見ていた。
かなり歩いたので、若いかれらでも相当疲れたようだ。
家に帰る前にいちご大福を買って帰り、夕食はお好み焼き、そしていちご大福で抹茶体験となった。このいちご大福はかなり好評だった。
いろいろなフルーツ大福があるが、やはりいちご大福は一番人気がある。
最後に折り紙も体験してもらい、9時前に見送りに駅まで同行した。
3分ほど電車が遅れたので、少し不安そうな顔をしていたが、無事に急行への乗り換えもできたと嬉しそうな返事が来た。
その後、数泊京都、そして大阪で数泊し、宮島へ向かうと言っていた。
温泉の体験がしたいと言っていたので、宮島がいいのではないかと言った。そのせいで、「どこかいい温泉がないか」という緊急メールが届いたが、その時私はまた別のフランス人を案内している最中で、返事が遅れてしまった。しかもその後調べてもあまりいい条件の宿が見つからなかった。
もしかしたら断念してしまったかもしれないと、少し気になるところである。
東京に戻る前に、今もまだ滞在を楽しんでいることだろう。