障害者や高齢者の福祉サービスを提供する施設で補助金の不正請求や適切ではない運営が、いま目立っています。
収益重視の会社の参入が急増する背景には、「福祉はもうかる」と分野違いの福祉のことに精通していない会社の参入が増えている実態があるのです。
不正にはあたらないのかもしれませんが、サービスの質より制度のすきまを突いて収益を吸い上げることを優先することもあります。
そしてうまくいかなければ利用者を置き去りにして撤退することもあります。
その一方で「社会貢献」と外向けには華々しくPRします。
そんな「福祉ビジネス」が後を絶たないのです。
行政からの相助金がだましとられるさだけでなく、共生社会が根っこから崩されていく悪徳性ががそこにあります。
もちろん、利用者の最大の利益のために新しい福祉の実践を各地で見せている質の高い事業所もあります。
そこでは、強度の行動障害や認知症など難しい支援にも真正面から取り組んでいます。
そうした実績が地域住民や行政の信頼を得て、福祉予算の拡充をもたらす原助力となってきました。
それなのに、みんなが苦労して作ってきたものをなし崩しにして、私利私欲に走るビジネスはとんでもないことです。
一般的なビジネスの場合なら、粗末な商品やサービスは消費者に選ばれず、質の良いものが売れるという原理が働きます。
しかしながら、障害者や認知症の人の場合は、サービスが劣悪でも、それを自分自身で判断できず、苦情も言えないことが多いのです。
家族も自らの老いや不安から、少々のことには目をつぶり、あげるべき声をのみ込んでしまいます。
そうした弱みに付け込んでビジネスチャンスを得ようとするのは、障害者や高齢者を食い物にする詐欺行為で、許してはなりません。