箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

少子化問題により見通すお国事情

2022年10月11日 07時18分00秒 | 教育・子育てあれこれ


日本では少子化が進み、出生率は下降の一途をたどっています。

2021年には、女性一人が生涯にわたって出産する子どもの数が1.30になりました。

これだけでも大きな少子化の課題を突きつけますが、韓国の出生率はもっと深刻です。

2021年に韓国は0.81となりました。OECD加盟国のうちで、韓国だけが1.0に届かないという結果でした。

このままでは、将来、韓国の若者は極めて少なくなります。

韓国は少子化対策として子育て環境の改善に多額の予算を投じてきました。

その結果、この10年間で子育て環境は大きく改善されてきました。

それなのに、出生率は上がるどころか下がり続けています。

それはどうしてでしょうか。

それは、経済的に子どもを育てられないという韓国の事情があるからです。

韓国の場合、首都ソウルを中心とした首都圏に人口は一極集中しています。

それは日本の東京の一極集中の比ではありません。

韓国の場合、全人口およそ5200万人の約半分の2600万人が首都圏に住んでいます。

そして、ソウルを中心とした首都圏の生活と地方都市との生活では歴然とした大きな差があります。

そこで、韓国らしく向上心の高い若者はソウル近郊の大学へ進学し、その後も首都圏に住む志向が強く、大勢が押し寄せます。

その結果、ソウルでは人口集中で不動産は高騰し、若い世代には手が届きません。

生活していくのに精一杯で、結婚して子どもをもつという選択肢は遠くなってしまうのが現状です。

こういう事情で、出生率が0.81となっているという考え方には、ある程度納得がいきます。

日本の場合、向上心がさほど高くない若い人びとが多いし、東京への一極集中とはいえ、大阪、名古屋、福岡、札幌などに住む若い人も多いという事情が、まだ出生率の低下をひきとめているという考えができます。

実際東京で不動産を探すと、家賃が高すぎて、地方都市の値と比較になりません。

また、絶対東京に住みたいという人びとだけでなく、地元愛をもっている人も多いのが日本です。

私などは大阪で生まれ、大阪でくらし、大阪以外のところに住みたいとは思いません。

それぞれの国に応じた少子化対策が必要なのだと思います。