銀の人魚の海

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白いリボン~リボンをつけた偽善者

2010-12-30 | 2010年鑑賞新作映画
今年は多忙で館での映画が激減した。(昨年もだが、さらに)
これがラスト映画。

ハネケは好きな監督のほうだがマイベストだった。
これまでに3本見ていて、確かユーロでの特集はみていないので
普通に公開された作品のみでのベスト。
家族ミステリアス物。

未見はツタヤで探してみよう。

初めてテアトル系でネット予約で見た。

モノクロ、150分近い映像は、そのまま絵画、写真にできそうで
それだけでも、みごたえあり。

でもお隣の60代老人は寝ていたし、途中、大いびきが2回(^_^)
すぐやんだが・・

好み映画である。

1910年代のドイツのいなかって、こうだったんだ、という知識から
男爵、医師、牧師、家令?4つの家族の物語だと思う。

戦争、歴史もからんでいるが、私は家族とは何か、という風に見た。
この村自体が1つの家族でもある。

物語は唯一、ここでの善良者(たぶん)のような31歳、教師の語りで進む。

彼は先生と呼ばれてもいいだろうが、
医師、牧師は先生と呼ばれてはいけない行為を
何と上手く、こっそり行っているのだろう。

その巧みさに驚き、それを村人が知っていたのか?
それすらもわからないような、村全体が男爵を中心とした集団になっている。

狭い狭い世界のことだが、実は現代の日本でも、
あってもおかしくないようなことが起こる。

現実に日本でも解決していない地方の誘拐事件、
殺人事件などが、かぶってしまった。

不吉で、不気味なできごとと言えばそうだが、
一体、誰が?あやしいのはあの人?あの子?

大人が嘘で生きているので、子供まで不安定になるのは当然で
ネタばれだが、牧師のあの息子が

夜、火事を見て「ほどいてよ!」という意味が、初め何?
と思ったが、ああそうか、そういうことか!

これは思春期少年にとり、かなりきつい縛りだなと。
牧師の父は避妊などしてないし、ない時代。
SEX大好きだよね、たぶん、
生みたいだけ生ませてる感じで子供が多い。

リピーター割引千円が放映されたが、確かに、
再見しないと、あの子は誰?がある。
子供が多く出るので誰の子?が確認しにくい。

モノクロ、服も似たようなので。
あえてそうして、いるのだろうか?
考えれば、誰の子でもいいのだ、村の子供たちなのだと、今想う。

唯一、障害を持った子供だけが「村の子供」ではない気がする。

「セブン」での7つの大罪を想うが、ここでも
ごうまん、好色、厳格、暴力、近親相姦、不倫など、多数の罪があるのだが、
その罪を大人は意識していない、
普通のこととして生活が進んでいるところが怖い。

怖いできごとは過激になり、
警察でも解決せず、時が経過し戦争となるが
「戦争」が、この村、家族を、救ったのかもしれないと考えてしまう。

語り役の教師は、この戦争により当時ではロリコンと思われた
14下の娘と早く結婚できることになったので、
そういう意味でハッピイエンドなの?
と監督に聞きたいが・・

男爵の妻は去り、戦争で、この村は解体され、
あのできごとも、きっと戦争という大きな物ですべて消滅するだろう。

未来が戦争により変えられた。
先生と名がつく大人の偽善者たちは、戦争で心も変化するのだろうか・・

戦争、は人を変えられるのか?
変わるのが当然だと監督は考えているのか?

ほぼない音楽、クレジットがとても小さくバック音もない。
静かだが、裏ではそれぞれの心の大声が渦巻いているような映像だ。

「隠された記憶」をDVDで再見した時に、2カットか?
うっすらと入る子供?らしきものは何?と今も思う。
停止して確認したのだが・・
館ではなかったと記憶しているカット。

監督は子供に対しても強い思いを持っているのだろう。
ここでの生まれながらにして障害を持った子供二人が
医師との子でもあるというのも(語りで入る)意味がありそうだ。

「白いリボン」とは「純真無垢」の印(プロテスタントでそうらしい)だが
結果的に障害児のみが、この村では、真の純粋さを持っていた人、
そして彼は突然、消えてしまったので、白いリボン、は消滅した村となった。

ハネケ、68歳、ウィーン生まれ、哲学、心理を学び
TV界から47歳の時映画の道へ。
ほぼ脚本も書いている。
遅いデビューだが、ひっそりとした、強烈な映像を見せてくれた。
これを見て68歳で、とても大人になった、と書くと失礼かな?

小説家になってもいいのでは、と感じた作品だ。

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