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台湾の総統選、馬英九が再選

2012-01-16 | 日記
日本経済新聞」の「対中関係の安定を選んだ台湾の有権者」( 2012/1/16付 )

 台湾の総統選挙で、中国との関係改善を実績に掲げた国民党の馬英九総統が再選を果たした。独立志向の強い最大野党、民進党の蔡英文主席が当選すれば、中台関係は仕切り直しが避けられないとみられていた。有権者は対中関係の安定と拡大を選んだといえる。

 4年前に馬総統が就任してから、中台間では途絶えていた準公的な対話が再開した。自由貿易協定(FTA)にあたる経済協力枠組み協定(ECFA)も結んだ。

 こうした動きの前提となったのは「一つの中国」という考え方。これを蔡主席は拒否し、中国は蔡主席が当選すれば台湾との関係を見直すと示唆していた。馬総統の再選で中台関係はさらに拡大する足場が整ったといえよう。

 2期目の馬政権に対し、中国は統一に向けた政治的話し合いを求める可能性がある。ただ、中国との統一を望む台湾の有権者は少なく圧倒的な多数は現状維持を希望している。勝ったとはいえ馬総統の得票率は前回を下回った。

 中国は台湾の民意を読み誤るべきではない。共産党政権はいまも台湾に対する武力行使の可能性を否定していない。これでは台湾の有権者の信頼は得られまい。

 一方の馬総統も、民意を踏まえた慎重な対中政策が求められる。総統選と同時に実施した立法委員(国会議員)選挙で、国民党は過半数こそ維持したが議席を減らした。格差の拡大や高い若年失業率など、民進党が提起した経済問題への取り組みも問われる。

 民進党は惨敗した4年前に比べれば党勢を盛り返した。同党と国民党が競い合う二大政党制が一段と定着した印象だ。停滞している中国の政治改革を促す力を、台湾の民主主義は秘めている。国民党の強力なライバルとして一層の努力を民進党に期待したい。

 中台関係の改善は、台湾と国際社会の関係拡大にもつながっている。中国の外交的圧力が和らいだためで、昨年9月の日台投資協定の締結はその一例だ。台湾の民主主義の成熟に応えるためにも、国際社会は台湾との関係をないがしろにしてはならない。

 東日本大震災に対する台湾からの義援金は空前の規模だった。日本にとって台湾は米国に次ぐ第2の貿易黒字の相手で、物心両面で日台のきずなは強い。台頭する中国とどう向き合っていくかという課題も共有している。しっかりと関係を深めていきたい。


 台湾の総統選で、現職の馬英九が当選した、と報じられています。



 馬英九は経済面で有能、しかし対中関係で不安あり、というのが台湾人の評価だと思います。

 ところが、このところ台湾経済に陰りがみえていたために、蔡英文が当選するのではないかと予想していたのですが、馬英九が再選されたようです。



 これをどう評価するか、が問題になりますが、おそらく、
 台湾経済には陰りがみえるが、だからといって蔡英文に替えればもっと経済が悪化する。経済を立て直すには馬英九続投がよい。今後も経済成長が見込まれる中国との関係を強化すべきである、
と台湾人が判断したということなのでしょう。

 日本では、台湾は反中・親日である、といった思い込みが強くみられますが、今回の選挙結果は、そのような思い込みが正しくないことを示していると考えてよいと思います。その観点でみて、「2期目の馬政権に対し、中国は統一に向けた政治的話し合いを求める可能性がある」ばかりか、台湾側にも、統一に向けた動きがでてくる可能性もあると思います。

 もっとも、「勝ったとはいえ馬総統の得票率は前回を下回った」ということなので、台湾側(台湾人)には中国に対する警戒感が依然として強く残っている、ともいえます。

 したがって、中台の統一はただちには進まず、次第に両者が近づく、といったレベルにとどまるのではないかと思います。



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