言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

武器輸出三原則の見直し

2010-10-12 | 日記
時事ドットコム」の「尖閣防衛、共同で対応=武器輸出見直し伝達-北沢・ゲーツ会談」( 2010/10/11-14:05 )

 【ハノイ時事】北沢俊美防衛相は11日午前(日本時間同)、ハノイのホテルでゲーツ米国防長官と約30分間会談し、沖縄県・尖閣諸島を含む島嶼(とうしょ)防衛に関し、「日米で共同してしっかり対応する」方針で一致した。北沢氏は、海外への武器の輸出を禁じる政府の武器輸出三原則について「新たな防衛計画大綱の見直しの中で方向性をつくりたい」と述べ、見直しを検討する考えを表明。ゲーツ氏は「大いに歓迎したい」と応じた。
 北沢氏は会談で、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件に関し、米側が同諸島を日米安全保障条約の適用対象としていることに謝意を表明。「今後とも日米間で緊密に連携、協力することが重要だ」と述べた。ゲーツ氏も「海洋における関係国の間で協議を続けることが重要だ」と指摘した。
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について、ゲーツ氏は「着実に進めることが重要だ」として、同県名護市辺野古周辺を移設先とした5月の日米合意の実行を要求。北沢氏は移設実現に取り組む意向を伝えた。
 北沢氏は会談後、記者団に「日米同盟のしっかりした基盤強化を確認した。有意義だった」と強調した。武器輸出三原則の見直しに関しては「内閣の意見の統一が大事だ」と指摘し、政府の「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の報告書も参考にしながら、閣内調整に入る考えを示した。


 北沢俊美防衛相は海外への武器の輸出を禁じる政府の武器輸出三原則について「新たな防衛計画大綱の見直しの中で方向性をつくりたい」と述べ、見直しを検討する考えを表明したところ、ゲーツ米国防長官は「大いに歓迎したい」と応じた。また、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について、ゲーツ氏は同県名護市辺野古周辺を移設先とした5月の日米合意の実行を要求した、と報じられています。



 武器輸出三原則の見直しについて、内閣がどう動くか、ですが、



日本経済新聞」の「武器輸出3原則見直し 官房長官が前向き」( 2010/10/12 11:37 )

 仙谷由人官房長官は12日の閣議後の記者会見で、北沢俊美防衛相がゲーツ米国防長官との会談で海外への武器輸出を禁じる武器輸出三原則の見直しを検討する方針を表明したことに前向きに対応する考えを示した。官房長官は「武器三原則を決めた時代とは、時代状況や技術体系の状況が大きく変わってきていることも間違いない」と説明した。

 武器輸出三原則の見直しを巡って年内にまとめる防衛計画大綱で方向性を示すかどうかについては「その可能性もまったく無いとは思わない」と指摘した。


 仙谷由人官房長官は12日の閣議後の記者会見で、前向きに対応する考えを示したという報道もあれば、



読売新聞」の「武器輸出3原則見直し、官房長官は慎重」( 2010年10月12日11時56分 )

 仙谷官房長官は12日午前の閣議後の記者会見で、北沢防衛相が武器輸出3原則の見直しに前向きな姿勢を示したことについて「現段階で菅内閣として3原則を見直す方針を決めた事実はない。引き続き政府として堅持していかなければならない」と述べ、見直しに慎重な考えを示した。

 ただ、「時代状況や技術体系などは3原則を決めた段階と大きく変わってきている。(3原則を)21世紀型に見直す必要があるのかないのか、これから議論が展開されるだろう」とも述べ、年末にまとめる防衛大綱に関する議論の中で、見直しの是非を検討する意向を示した。


 仙谷官房長官は12日午前の閣議後の記者会見で、見直しに慎重な考えを示したという報道もあります。



 官房長官の態度は、「どちらなのか、わからない」わけですが、要は、「どちらにも取れる、あいまいな発言」をしたということでしょう。「あいまい」な発言を、日経新聞は「前向き」と報じ、読売新聞は「慎重」と報じた、ということではないかと思います。

 官房長官が「あいまい」な発言をしたのは、おそらく世論の動向をみながら、「見直すか見直さないか」を決めようとしているのではないかと思います。



 そこで私の意見を述べます。

 武器輸出三原則 (とその運用) について、現状がどうなっているかについては、



日本経済新聞」の「武器輸出三原則、防衛相が見直し意向 米に伝達へ 「大綱見直しで一定の方向性を」」( 2010/10/10 23:50 )

 北沢防衛相は三原則見直しにかねて前向きで、同日も「国際的には(戦闘機などの)共同開発が主流で、(国内防衛産業が)身動きが取れず、生産・技術基盤が劣化するのを手をこまぬいて見ているわけにはいかない」と強調。次期主力戦闘機(FX)の選定で、米国が他国と共同開発する装備品の開発に日本企業が参加できない現状を踏まえての発言とみられる。

 武器輸出三原則を巡っては、1967年に佐藤栄作首相が国会答弁で共産圏諸国などへの武器輸出禁止を表明。76年には三木武夫首相が技術や製造設備の輸出も禁止する「全面輸出禁止」を政府の統一見解とした。その後、83年に中曽根康弘政権が米軍向けの武器技術の供与を例外規定にし、2004年には小泉純一郎政権が米国との弾道ミサイル防衛(MD)システムの共同開発・生産を例外扱いにした。

 北沢防衛相はその他の装備品の国際共同開発に道を開きたい考えだが、こうした装備品の紛争当事国への流出にどう歯止めをかけるかが課題となる。同時に菅直人政権としてこの課題にどう向き合うかも焦点となる。政府の「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・佐藤茂雄京阪電気鉄道最高経営責任者)が8月にまとめた報告書も、武器輸出三原則の緩和を提言している。


 国際的には武器の共同開発が主流であるにもかかわらず、武器輸出三原則によって身動きが取れなくなっている。生産・技術基盤が劣化しつつある。武器輸出三原則については、徐々に例外規定が増え続けている、と報じられています。



 生産・技術基盤が劣化しつつあるなら、日本の安全が次第に失われつつあるということであり、武器輸出三原則を緩和してもよいのではないかと思います。

 私は以前、「武器輸出解禁論について」において、「民間企業の経営 (つまり金儲け) のために、外国に武器を売ってよいのか」と疑問を呈し、武器輸出の解禁に反対していましたが、私は自分の意見を変更します。

 私が意見を変える理由は、上記報道にあるように、「生産・技術基盤の劣化」に伴い、日本の安全が失われつつあることももちろんですが、最大の理由は、

   日本は「自分からは戦争を始めない (攻撃しない)」ことが国是なので、
   独自開発のみで輸出を認めなければ、武器の性能・品質に不安が残る

というものです。工業製品は、「実際に使用してみたときに、思わぬ不具合が見つかる」こともあると思います。もちろん、さまざまな実験・試験がなされているとは思いますが、「実際の環境 (戦場など) で使われないかぎり、思わぬ不具合がみつかる可能性は、否定しきれない」と思います。

   いざ日本が侵略されそうになったときに、
   じつは不具合でうまく機能しなかったというのでは、困る

と思います。そこで武器輸出三原則の緩和 (武器の共同開発容認、武器輸出の解禁) を認める方向に、私は意見を変えます。



 武器輸出三原則の見直しについて、ゲーツ米国防長官が「大いに歓迎したい」と応じたというのですから、米国も見直しを期待しているとみてよいと思います。日本の場合、米国の同意がなければ自衛能力を高めることも難しいのではないかと思いますが、その米国が見直しを期待しているのです。

 尖閣諸島沖漁船衝突事件のこともあり、世論も、見直しに反対しないのではないかと思います。

 日本は武器輸出三原則を見直す (=緩和する) べきだと思います。



 なお、緩和を容認した場合、どの程度緩和するのかが問題になりますが、これについては、あとで考えたいと思います。



■追記
 読売新聞の記事について。いま、リンクチェックをしたところ、(報道) 記事のタイトルと内容が書き換えられていました。「慎重」という表現・ニュアンスが消されています。訂正が入ったとすると、内閣は「積極的に見直す」と考えて間違いないでしょう。
 なお、検索エンジンで「武器輸出3原則見直し、官房長官は慎重」と検索すると、記事の書き換えを確かめられます。