へんくつゃ半睡の「とほほ」な生活!

 奇人・変人・居眠り迷人。医療関連を引退⇒
某所で隠遁準備中。性質が頑な、素直ではなく、
偏屈でひねくれています。

【語】お腹立ちさま!@日々のなりわい

2009年01月14日 | 日本語入力

日々のなりわい

お腹立ちさまでしょうが」・・・

 

あやまるのは慣れているさ詫びが言えたら一人前、と先代口癖にしていたよ

 

 なるほどなあ、と私は感心し、さきほどの母堂の謝辞(この語には、お詫びとお礼の、
正反対の意味がある。こういう語も珍しいだろう)を思い出していた。

 

お腹立ちさまでしょうが」という言葉である。なつかしいような響きの、文句であった。

     

 そういえば、何々さまと、様のつく言葉がずいぶん、ある。
おあいにくさま」「おかげさま」「お気の毒さま」「お世話さま」「お粗末さま
お互いさま
おまちどうさま」「お疲れさま」「ご苦労さま」「ご愁傷」「馳走さま」・・・

      

 結婚式場で、「よいお日和(ひより)さまでございますという挨拶を聞いたことがある。
よいお日和とは口にするが、かくも丁寧に述べるのを聞くのは初めてだった。結婚式場に
ふさわしい言葉と感じ、挨拶のぬしを優雅に見た。年配のご婦人だった、と思う。

        

お腹立ちさまでしょうがと言われると、それ以上、突っかかるわけにはいくまい。
さまが、微妙に、角立てない役を果たしている。さまを抜いてお腹立ちでしょうが
言ったら、「当たり前だと、こう返ってくるだろう。

     

 さまが濁ると、ざまになる。「ぶざま」「ざまを見ろ」「死にざま」・・・
 侮蔑がこもって、良い言葉ではない。
 
生きざま」は誤用だが、これは「生き様」と書かれたものを誤読したのではないか。

と私は推測している。

    
何様だと思っているのだ」の「何様」は、何ざまでなかろうか、と友人が言ったが、真偽は
ともかく気持ちはわかる。

 

 

出久根 達郎
「セピア色の言葉辞典」 より
文藝春秋  文春文庫  税込価格:¥660

コメント (16)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする