へんくつゃ半睡の「とほほ」な生活!

 奇人・変人・居眠り迷人。医療関連を引退⇒
某所で隠遁準備中。性質が頑な、素直ではなく、
偏屈でひねくれています。

【読】火鉢と火箸!@時代小説

2008年10月26日 | 江戸を歩く

しばち しばち・・火鉢 火箸

 

 

ちうくらいの  ほどよい  しあわせ


 江戸っ子だと  火鉢(ひばち)も  火箸(ひばし)も
しばち」だから、ちょっと聞くと、どっちのことやら分からない。


あたるほうかい、さすほうかい」となる。

 

を取るのに あたるのが火鉢、その灰に つっさすのが 火箸

 

 

 

 どちらにしろ、生活の場面で みかけなくなって久しい。
 一人で ぼんやりしているとき、

あるいは二人でいても 言葉を さがしているとき、

火箸で 灰をいじっているうちに、

部屋の 空気が やわらかく 和んでくる。

 

火箸にて やぼめ やぼめと 書いて 見せ


 部屋の二人。話が途切れて 互いに を見つめ合う。
言葉を失って 灰をいじる。

 

ぇえ、野暮なひとだ、じれったい!」


 ゆっくりと、時が ながれている。
所在なげな うつろいを 火箸が とりもってくれる。

 

杉浦日向子  隠居の日向ぼっこ
新潮社 ¥380-(税別¥362-) より

コメント (11)
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