講談 碑 夜十郎 半村 良
講談 碑夜十郎(上・下) 半村 良 講談社
【上巻】天保奇譚女白波/御存知白無垢鉄火/風流蛇骨長屋/隅田川新衣縫針/
男伊達春駆引/花吹雪宵敵討
【下巻】狐塚時白波/名医山井養仙/御供先血祭坊主/上州屋姫人質/
偐紫田舎巨人/古玉川長屋手習/根津権現俄剣戟/跡始末目白禁山
狐塚時白波(きつねつかときのしらなみ)碑夜十郎迦兮(カッヘイ)との出会いの場
碑夜十郎(いしぶみやじゅうろう)は本石町(ほんこくちょう)にある長崎屋にいた。
・・・
チロチロと器の触れ合う音が近付いて来た。
亭主が指示したのだろう。品のいい老女が盆の上に器類をのせて運んで来た。
その老女が卓子(テーブル)の上に阿蘭陀渡りらしい取ってのついた茶碗(カップ)を置いた。
カップからは湯気が立っている。
桂川甫賢は得意そうに言った。
「迦兮(カッヘイ)です」
夜十郎はニヤリとした。
「ほう、それは久しぶりだ」
甫賢の顔にまた驚きが走る。
「ご存知か!」
「阿蘭陀語ではカッヘイと言うのですか!。
わたしは仏蘭西(フランス)語のカフェか英語の珈琲(コーヒー)くらいしか知らないので」
「英・・・語・・・」・「こ、こーひー・・・」
「あ、失礼しました。英吉利(イギリス)語です」
甫賢は度肝を抜かれたらしく、うろたえ気味に言った。
「ど、どうぞ、飲んでみてください」
・・・
江戸での「珈琲(コーヒー)」迦兮(カッヘイ) 飲み始めでした・・・!
講談碑夜十郎 (上・下巻) 集英社文庫
上巻:税込価格:¥700 (本体:¥667)
下巻:税込価格:¥650 (本体:¥619)