虫プロには変な伝説があった。
手塚の漫画は売れないというものであった。
出所は、営業か、役員あたりからであったと思う。
つまりパイロットフィルムを作っても、営業できないのであった。
その言い訳にテレビ局側が「視聴率が取れなきゃ、うちは。困るんですよ。いまは、劇画のブームです。手塚先生の丸っこいキャラクターは子供たちも、もう飽きちゃったんですよ。 手塚先生の原作以外だったら、話を伺いましょう。」
と言われた。というのである。
営業自分たちの無能のせいで、セールスできないのを、手塚先生のせいにする、最低の者たちであった。
東京のテレビ局はNHKを含めると6局あったが、そのすべてをまわることすらしていない。ましてや、大阪や名古屋など、地方に目を向けるものなど皆無であった。
手塚治虫の原作を制作すると、校閲で直しが出て、スケジュールの遅れが出る。
これも、手塚アレルギーとして,役員に定着していた。
調べるまでもなく、手塚先生が、手を出した作品は、少ない。それなのにこのような、伝説が生まれ、定着してしまっていた。
何度も役員会が開かれ、手塚先生原作抜きで虫プロを、経営していく方針に決まった。そして、組合もでき、社長としての手塚治虫をさらに苦しめていった。
虫プロは、アニメの夢集団から、単なる漫画制作工場の道を選び、一企業としての虫プロとなり、合理化が叫ばれ、力のある人たちが、大挙してやめて行くこととなってしまった。
手塚治虫が虫プロ社長としての最後の作品「さすらいの太陽」が放送された。
さすらいの太陽
「少女コミック」誌で連載された同名コミックを原作に、1971年に放送されたアニメーション作品。
昭和29年,同じ病院で二人の赤ちゃんが生まれる。一人は大財閥の令嬢、もう一人は下町の貧しい屋台のおでん屋の家の娘だった。
だが、ひねくれた看護婦の野原美智子は、私怨から二人をすり替えてしまう。
成長した令嬢、香田美紀は貧しい峰のぞみをいじめるが、二人は歌手になりたいという同じ夢を抱いていた。実は、香田美紀は、峰のぞみの歌手としての才能に嫉妬していたのである。
香田美紀が親の財力によって難なく芸能界デビューを果たしたのに対して、峰のぞみは、流しの歌手として下積み生活を続けることになる。
やがて、苦しい下済みの中で先輩歌手のいじめにあったのぞみは、心を癒すために、芸能界を離れて日本中を放浪する旅に出た。
素直な性格で誰にも優しいのぞみの行動は、時々披露される自作の「心の歌」とともに旅先で出会った人々に強烈な印象を与えることになる。
その後、峰のぞみが芸能界から去り、一安心していた香田美紀は、奇妙な噂を聞くことになる。ラジオの深夜番組に心の歌のリクエストが殺到しているというのである。
この噂は芸能関係者の間で「謎の歌手峰のぞみ」「幻の心の歌」として、あっというまにひろがった。
相変わらず地方を旅していた峰のぞみは、音楽祭に参加するというあるバンドグループと知り合った。
このバンドと一緒に参加することになった峰のぞみは音楽祭という思いがけない大舞台で、心の歌を熱唱することになる。
会場は大感動の渦に包まれた。
大財閥令嬢としての幸せを奪い、さまざまな試練を見ること生きがいにしていた野原美智子にとって、峰のぞみが芸能界に衝撃的デビューを飾ったことは最悪の展開であった。
追い詰められた美智子は最後の行動に出るのであった。
「さすらいの太陽」
昭和46年4月8日
4月 8日 第 1話 すりかえられた運命 脚本 雪室俊一・星山博之 演出 林 政行
4月15日 第 2話 二つの誕生パーティー 脚本 山崎忠昭 演出 高橋良輔
4月22日 第 3話 盗まれたメロデー 脚本 藤川桂介 演出 斧谷喜幸
4月29日 第 4話 私には歌がある 脚本 雪室俊一 演出 北島満章
5月 6日 第 5話 始めてのアンコール 脚本 鈴樹三千夫 演出 斧谷喜幸
5月13日 第 6話 訪ずれたチャンス 脚本 山崎忠昭 演出 北島満章
5月20日 第 7話 歌を忘れたカナリヤ 脚本 藤川桂介 演出 斧谷喜幸
5月27日 第 8話 二人のちかい 脚本 山崎忠昭 演出 北島満章
6月03日 第 9話 さようならファニー 脚本 山崎忠昭 演出 北島満章
6月10日 第 10話 あすへの旅立ち 脚本 鈴樹三千雄 演出 斧谷喜幸
6月17日 第 11話 ひびけ!トランペット 脚本 山崎忠昭 演出 斧谷喜幸
6月24日 第 12話 泣くな花笠 脚本 鈴樹三千雄 演出 北島満章
7月 1日 第 13話 ふまれた野の草 脚本 藤川桂介 演出 徳丸海太郎
7月 8日 第 14話 涙のワンピース 脚本 山崎忠昭 演出 徳丸海太郎
7月15日 第 15話 めざせチャンピオン 脚本 鈴樹三千雄 演出 徳丸海太郎
7月22日第16話夕陽にうたえ脚本山崎晴哉星山博之演出徳丸海太郎
7月29日 第 17話 海女の特訓 脚本 伊東恒久 演出 徳丸海太郎
8月 5日 第 18話 港にこだまする歌 脚本 山崎晴哉 演出 徳丸海太郎
8月12日 第 19話 遠い歌手への道 脚本 伊東恒久 演出 徳丸海太郎
8月19日 第 20話 帰ってきたファニー 脚本 鈴樹三千雄 演出 徳丸海太郎
8月26日 第 21話 海に歌えば 脚本 山崎晴哉 演出 徳丸海太郎
9月 2日 第 22話 のぞみのデビュー 脚本 伊東恒久 演出 徳丸海太郎
9月 9日 第 23話 まぼろしの歌手 脚本 山崎晴哉 演出 徳丸海太郎
9月16日 第 24話 知らされた秘密 脚本 伊東恒久 演出 徳丸海太郎
9月23日 第 25話 父との別れ 脚本 沖島 勲 演出 徳丸海太郎
9月30日 第 26話 心の友・心の唄 脚本 沖島 勲 演出 徳丸海太郎
ほとんど参加したスタッフがわからなくなってしまったが、11話のスタッフが、少し判明した。
脚本 山崎忠昭 演出 斧谷善幸
作画協力 スタジオ・テイク
美術監督 半藤克美
背景 スタジオ・ユニ
撮影監督 大岩久剛
撮影 宮内征雄
編集 伊藤 叔
音響監督 左近允 洋
効果 月岡 弘(イシダサウンドプロ)
録音 アオイ・スタジオ
現像 東京現像所
声の出演
藤山ジュンコ
平井道子
「こころのうた」
山上路夫 作詞
いずみたく 作曲
堀江美都子 唄
誰かに踏まれた 野の草も
いつか空を 振り仰ぐ
涙でなにも 見えないときも
私たちも 生きているのよ
さすらいながら 傷つきながら
明日の太陽 探しているの
原作 藤川桂介 すずき真弓
プロデューサー 岸本吉功
チーフディレクター 勝井千賀雄
アニメーションディレクター 野辺駿夫
美術監督 半藤克美
撮影監督 大岩久剛
声の出演
藤山ジュンコ
嘉手納清美
平山道子
井上真樹夫
富田耕生
来宮良子
その後岸本 吉功 伊藤 昌典 伊藤 昌典 岩崎 正美、渋江 靖夫、沼本 清海、米山 安彦の七人は、独立してサンライズを創業することになる。
初代社長である岸本 吉功、二代目の伊藤 昌典、三代目の山浦 栄二と続いていくのであった。
手塚の漫画は売れないというものであった。
出所は、営業か、役員あたりからであったと思う。
つまりパイロットフィルムを作っても、営業できないのであった。
その言い訳にテレビ局側が「視聴率が取れなきゃ、うちは。困るんですよ。いまは、劇画のブームです。手塚先生の丸っこいキャラクターは子供たちも、もう飽きちゃったんですよ。 手塚先生の原作以外だったら、話を伺いましょう。」
と言われた。というのである。
営業自分たちの無能のせいで、セールスできないのを、手塚先生のせいにする、最低の者たちであった。
東京のテレビ局はNHKを含めると6局あったが、そのすべてをまわることすらしていない。ましてや、大阪や名古屋など、地方に目を向けるものなど皆無であった。
手塚治虫の原作を制作すると、校閲で直しが出て、スケジュールの遅れが出る。
これも、手塚アレルギーとして,役員に定着していた。
調べるまでもなく、手塚先生が、手を出した作品は、少ない。それなのにこのような、伝説が生まれ、定着してしまっていた。
何度も役員会が開かれ、手塚先生原作抜きで虫プロを、経営していく方針に決まった。そして、組合もでき、社長としての手塚治虫をさらに苦しめていった。
虫プロは、アニメの夢集団から、単なる漫画制作工場の道を選び、一企業としての虫プロとなり、合理化が叫ばれ、力のある人たちが、大挙してやめて行くこととなってしまった。
手塚治虫が虫プロ社長としての最後の作品「さすらいの太陽」が放送された。
さすらいの太陽
「少女コミック」誌で連載された同名コミックを原作に、1971年に放送されたアニメーション作品。
昭和29年,同じ病院で二人の赤ちゃんが生まれる。一人は大財閥の令嬢、もう一人は下町の貧しい屋台のおでん屋の家の娘だった。
だが、ひねくれた看護婦の野原美智子は、私怨から二人をすり替えてしまう。
成長した令嬢、香田美紀は貧しい峰のぞみをいじめるが、二人は歌手になりたいという同じ夢を抱いていた。実は、香田美紀は、峰のぞみの歌手としての才能に嫉妬していたのである。
香田美紀が親の財力によって難なく芸能界デビューを果たしたのに対して、峰のぞみは、流しの歌手として下積み生活を続けることになる。
やがて、苦しい下済みの中で先輩歌手のいじめにあったのぞみは、心を癒すために、芸能界を離れて日本中を放浪する旅に出た。
素直な性格で誰にも優しいのぞみの行動は、時々披露される自作の「心の歌」とともに旅先で出会った人々に強烈な印象を与えることになる。
その後、峰のぞみが芸能界から去り、一安心していた香田美紀は、奇妙な噂を聞くことになる。ラジオの深夜番組に心の歌のリクエストが殺到しているというのである。
この噂は芸能関係者の間で「謎の歌手峰のぞみ」「幻の心の歌」として、あっというまにひろがった。
相変わらず地方を旅していた峰のぞみは、音楽祭に参加するというあるバンドグループと知り合った。
このバンドと一緒に参加することになった峰のぞみは音楽祭という思いがけない大舞台で、心の歌を熱唱することになる。
会場は大感動の渦に包まれた。
大財閥令嬢としての幸せを奪い、さまざまな試練を見ること生きがいにしていた野原美智子にとって、峰のぞみが芸能界に衝撃的デビューを飾ったことは最悪の展開であった。
追い詰められた美智子は最後の行動に出るのであった。
「さすらいの太陽」
昭和46年4月8日
4月 8日 第 1話 すりかえられた運命 脚本 雪室俊一・星山博之 演出 林 政行
4月15日 第 2話 二つの誕生パーティー 脚本 山崎忠昭 演出 高橋良輔
4月22日 第 3話 盗まれたメロデー 脚本 藤川桂介 演出 斧谷喜幸
4月29日 第 4話 私には歌がある 脚本 雪室俊一 演出 北島満章
5月 6日 第 5話 始めてのアンコール 脚本 鈴樹三千夫 演出 斧谷喜幸
5月13日 第 6話 訪ずれたチャンス 脚本 山崎忠昭 演出 北島満章
5月20日 第 7話 歌を忘れたカナリヤ 脚本 藤川桂介 演出 斧谷喜幸
5月27日 第 8話 二人のちかい 脚本 山崎忠昭 演出 北島満章
6月03日 第 9話 さようならファニー 脚本 山崎忠昭 演出 北島満章
6月10日 第 10話 あすへの旅立ち 脚本 鈴樹三千雄 演出 斧谷喜幸
6月17日 第 11話 ひびけ!トランペット 脚本 山崎忠昭 演出 斧谷喜幸
6月24日 第 12話 泣くな花笠 脚本 鈴樹三千雄 演出 北島満章
7月 1日 第 13話 ふまれた野の草 脚本 藤川桂介 演出 徳丸海太郎
7月 8日 第 14話 涙のワンピース 脚本 山崎忠昭 演出 徳丸海太郎
7月15日 第 15話 めざせチャンピオン 脚本 鈴樹三千雄 演出 徳丸海太郎
7月22日第16話夕陽にうたえ脚本山崎晴哉星山博之演出徳丸海太郎
7月29日 第 17話 海女の特訓 脚本 伊東恒久 演出 徳丸海太郎
8月 5日 第 18話 港にこだまする歌 脚本 山崎晴哉 演出 徳丸海太郎
8月12日 第 19話 遠い歌手への道 脚本 伊東恒久 演出 徳丸海太郎
8月19日 第 20話 帰ってきたファニー 脚本 鈴樹三千雄 演出 徳丸海太郎
8月26日 第 21話 海に歌えば 脚本 山崎晴哉 演出 徳丸海太郎
9月 2日 第 22話 のぞみのデビュー 脚本 伊東恒久 演出 徳丸海太郎
9月 9日 第 23話 まぼろしの歌手 脚本 山崎晴哉 演出 徳丸海太郎
9月16日 第 24話 知らされた秘密 脚本 伊東恒久 演出 徳丸海太郎
9月23日 第 25話 父との別れ 脚本 沖島 勲 演出 徳丸海太郎
9月30日 第 26話 心の友・心の唄 脚本 沖島 勲 演出 徳丸海太郎
ほとんど参加したスタッフがわからなくなってしまったが、11話のスタッフが、少し判明した。
脚本 山崎忠昭 演出 斧谷善幸
作画協力 スタジオ・テイク
美術監督 半藤克美
背景 スタジオ・ユニ
撮影監督 大岩久剛
撮影 宮内征雄
編集 伊藤 叔
音響監督 左近允 洋
効果 月岡 弘(イシダサウンドプロ)
録音 アオイ・スタジオ
現像 東京現像所
声の出演
藤山ジュンコ
平井道子
「こころのうた」
山上路夫 作詞
いずみたく 作曲
堀江美都子 唄
誰かに踏まれた 野の草も
いつか空を 振り仰ぐ
涙でなにも 見えないときも
私たちも 生きているのよ
さすらいながら 傷つきながら
明日の太陽 探しているの
原作 藤川桂介 すずき真弓
プロデューサー 岸本吉功
チーフディレクター 勝井千賀雄
アニメーションディレクター 野辺駿夫
美術監督 半藤克美
撮影監督 大岩久剛
声の出演
藤山ジュンコ
嘉手納清美
平山道子
井上真樹夫
富田耕生
来宮良子
その後岸本 吉功 伊藤 昌典 伊藤 昌典 岩崎 正美、渋江 靖夫、沼本 清海、米山 安彦の七人は、独立してサンライズを創業することになる。
初代社長である岸本 吉功、二代目の伊藤 昌典、三代目の山浦 栄二と続いていくのであった。