ブギーポップ・スタッカート ジンクス・ショップへようこそ（抜粋）

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　紀美香が茫然としていると、影は何の感情もない言葉で静かに言った。
「どうやら――君はもう世界の敵ではなくなったようだ。後は勝手にするがいい。――もっとも」
　向こうに歩いていく影は、彼女の方を振り向きもしない。その彼女は、形相が一変していた。その髪の毛は、一本残らず真っ白になっていて、ぱらぱらと抜け落ち始めていた。そこにあった力が根こそぎなくなってしまったことは明白だった。今や――彼女に残っているものは、自分の行為がもたらした、隠しようもなく目の前に迫ってくる現実だけだった。
「君に、そこから動けるだけの未来が残っていれば、の話だが――」
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上遠野浩平『ブギーポップ・スタッカート　ジンクス・ショップへようこそ』、株式会社メディアワークス《電撃文庫》、2003年3月25日初版、263、264頁（一部省略）