【はじめに】
前回は老人の健康管理/維持の重要性について書きましたが、今回は「元気な内は働くべきだ!」と言う私の持論を書きます。
【町や都市と過疎地は別個に考えるべきです!】
過疎地には農地が沢山有りますから、老人は自分の土地が無くても、野菜を作る土地なら安い賃料で借りられます。 私の故郷の集落には国道が通っています。集落の老人達は野菜を作って、国道の脇に小さな小屋を建てて、無人の販売所にして小遣い稼ぎをしています。
街なかの無人の販売所だったら、金を入れない輩が出てくると想像しますが、町から来た方でも(不思議と)過疎地では名札に書かれた金額をチャント払います。金を入れる箱を持って行く人もいません。
全国の殆どの『市』に公益社団法人の『シルバー人材センター』が有り、60歳以上の方が働いています。 大阪市内には、老人も派遣する人材派遣企業が有って、時々ポストにチラシが入っています。 チラシによると、交通費や制服が支給され、賃金は最低賃金以上もらえる様です。
【シルバー人材センターの事務所】
私が考えるシルバー人材センターの最大の問題点は、事務所が少ない事だと思います。神戸市と大阪市ではたったの4ヶ所しか有りません。故郷の田辺市の面積は1,000km2も有りますが、事務所は1ヶ所のみの様です。 歩いて行ける距離に事務所が有ったら、チョットした仕事を気軽に頼めると思うのですが!
ウイキペディアによると、2006年時点で全国に交番は6,362ヵ所有り、その内267ヵ所は空き交番だそうです。警察官を増やして空き交番を無くそうとしている様ですが、日本は安全な国であり、110番に電話したらパトカーが直ぐ駆け付けてくれますから、交番の多くは廃止すべきだと考えます。 廃止した交番をシルバー人材センターの事務所にしたら、一挙両得です!
事務所の運営は、市町村の指導の下で、(時給500円程度支払って)老人達に任せたら十分やっていけるでしょう! 市町村が、公平に運営しているか?をチェックする必要は有ります。
(余談 :シルバーと老人) 日本ではシルバーが老人を指す言葉になっています。昔・JRが電車に老人優先の座席を設けた時、新幹線用に用意していた銀色の布を使ったので『シルバーシート』と命名した様です。それ以来、シルバーが老人の意味で使われる様になった様です。 現在は『優先座席』と呼ばれています。
私はシルバーの年齢になりましたが、銀は安いですから、せめてプラチナと言って欲しいです。そして、『シルバー人材センター』では長ったらし過ぎますから、愛称または略称が必要です。『プラワーク』を提案します。 プラチナワーク( platinum work)の略称です。
・・・ 2022年4月22日の小売価格 ・・・
★ 金≒8,900円/g
★ プラチナ≒4,500円/g
★ シルバー(銀)≒115円/g
【仕事の種類】
シルバー人材センターで紹介する仕事の種類を増やすべきだと考えます。私が思いついた仕事を書きます。老人が出来る仕事を皆で考えたたら沢山出て来そうに思います。
❶ 年金生活者のイメージは、「パソコンやスマホの操作が難しい老人」でしたが、近年・年金生活に入った方の中にはパソコンやスマホに詳しい方が結構沢山おられると思われます。 データ入力、パソコン操作の指導・・・仕事は沢山有りそうです。
❷ 「二、三時間子供を預かって欲しい」お母さんが沢山いると想像します。現在では『認定ベビーシッター』の資格が必要です。 子供を育てた経験の有る老人に少し研修を受けて貰ったら、短時間の子供の世話なら十分出来ると思います。 全く知らない人でなく、近所で顔を見た事の有る人に依頼した方が安心出来ます。
❸ 喫茶店などのウエイターやウエイトレスは不思議と若者ですが、「小奇麗な服装をした老人でも良いのでは」と思います。70歳を過ぎたマスターの店も有りますから、ウエイターやウエイトレスが老人でも構わない様に思います。
(余談) 筑波に良く行っていた頃、ジャンボ・ビールを出す居酒屋が有りました。633ml瓶ビール2本分が、分厚い硝子製のジョッキに入っていました。今の私ではジョッキを持ち上げるのすら難しいと思いますが、当時は私の適量でした。(飲みにくい容器でビールを飲むと、美味しい様に思いました。) 筑波にはジャンボが付いたメニューが色々有りました。例えば、小さいバナナ・サイズの餃子をジャンボ・餃子と呼んでいました。美味しかったです。 ・・・ジャンボ・ビールは、老人では運べません。
【最低賃金の適用外です】
シルバー人材センターの仕事は通常の雇用契約では無いので、最低賃金の規制を受けません。仕事の対価として支払われる金は、給与では無く『配分金』と呼ばれています。
シルバー人材センターの事務所の入り口に、仕事の種類と標準価格を書いた紙を貼って、気軽に依頼出来る様にすべきだと思います。
シルバー人材センターは安い値段設定が出来ます。 「今日は体調が悪いので、買い物して欲しい!」と電話が有ったら、「料金は500円です。直ぐに〇✕がお伺いいたします。」・・・顔見知りが増えて→→皆で助け合って生きる様になり→→『街』が活性化する様になりそうです!
【職場の老人】
私が中小企業に出向した時に出会った老人について書きます。
❶ パートの女性が十数人働く、一品生産の機械と種々の部品を製造する会社に70歳を超えた女性がいました。素晴らしい技術を持った方でした。地元では有名な資産家の奥さんでしたから、金銭的には全く働く必要が無い方でした。(正社員は全て男性でした。)
❷ 年金生活者で生涯独身の70歳を超えた男性が、部長の肩書で雇われていました。 ほぼ毎日出勤して、定時までいましたが、月給は数万円しか貰っていませんでした。最低賃金法違反だと思いましたが、仕事以外にする事が無かったので、定年後も置いて貰っていた様でした。
❸ 作業員が100人以上の大規模な工事現場で働いた事が有ります。作業員が弁当を食べたり、お茶を飲む場所が確保されていて、そこを掃除する御婆さんがいました。 彼女は地元の工事現場を転々として働いていた様でした。顔見知りの作業員が多く、何時も明るく/頓智を利かせて叱咤激励(しったげきれい)していました。実に愉快で、私は思わず笑ってしまう事もありました。
❹ 製紙機械を設計/製造する社員30名程の会社に出向した時の話です。大中小の古い手動式の旋盤が3台有り、旋盤工が2名いました。定年は65歳でしたが、旋盤工の一人は70歳以上でした。彼が退職したので、代わりの職人が必要で、私が人材派遣会社とハローワークで探す事になりました。 有効求人倍率が”1”近くになると、中小企業の求人は難しくなります。
複数の人材派遣会社の担当者達は、「今時、手動の旋盤を扱える職人はいない」と言って、相手にしてくれませんでした。
求人票には、「給与は当社の規定による」と書くのが一般的ですが、中小企業では「月給○○円、賞与2回」等と明記しないと応募者が殆どいません。 最初にハローワークに提出した求人票には私が妥当と考えた給与を書きました。全く応募が無かったので、思い切った金額に変更して見ましたが駄目でした。社長から、「退職した職人に支払っていた金額にする様に」と言われて調べたら、70歳過ぎの人に、なんと!年間800万円ほど支給していたのです。
(余談 :仕事には尊卑は無い!) 1980年代初めの頃、私は東京勤務で時々・銀座で呑んでいました。「夜中にロールスロイスで老婆が銀座にやって来る」という噂が有りました。新聞か雑誌で、「毛皮のコートを着た老女が、運転手付きのロールスロイスから降りてビルに入った。作業着に着かえてビルの掃除をしていた。・・・」と言う様な記事を読みました。 仕事には尊卑(そんぴ)は無いのだと教えられました。
【家政婦/家政夫】
知り合いに、奥さんが買い物や料理を作るのが難しくなった家が有ります。 シルバー人材センターから、2年間ほど女性を派遣して貰いました。最初の女性は味が濃く、薄口にして欲しいとお願いしても駄目でした。次の女性は創作料理が自慢でした。 私も一回試食して見ましたが、トンデモナイ食材の組み合わせで、若い人でも毎日は食べられない料理でした。「良くも一年間我慢した!」と感心しました。 そして、彼女は「雪が降っているから今日は休みます」、「体調が悪いから・・・」と約束の日に来てくれませんでした。
そんな訳で、私がインターネットで家政婦を探す事になりました。家政婦を派遣する会社が沢山有るのでビックリしました。電話やメールで数社にコンタクトして見ました。 私が持っていた家政婦のイメージは、中年の女性でしたが、現在は全く違っています。
40歳代の男性がホームページを作って、個人でやっている方がいました。料亭の板前をしていたそうです。料金は高かったのですが、コンタクトすると「仕事がいっぱいで、現在は引き受けられない」と言われました。
私が選んだのは、全国展開している家政婦の派遣会社です。 営業マンは好青年で、家政婦が必要な家には種々の事情が有る事を良く理解していました。 彼と家政婦候補者(Kさん)と私の三人で知人宅に行って打合せしました。私は事前に、味付け、嫌いな食べ物、・・・をメモして置きました。Kさんは、しっかりされた女性で『引く手あまた』の様でした。
Kさんは、もう2年以上知人宅に通っています。一回行くと、(昼食と夕食二人分)✕(一週間分)作ります。Kさんは自家用車で通勤しているので、買い物は途中でやっています。 これは、私の提案でしたが、「買い物に要する時間も勤務時間に含め、Kさんのカードで支払って、ポイントはKさんが自由に使って良い」事にしたのです。
(余談) 裕福な家の家政婦は、老人では難しいと思いました。一方、介護が必要なケースでは介護士が買い物、料理、洗濯、掃除をしてくれる様です。
【公園の管理】
神戸市では一部の公園の掃除や花壇の手入れを老人達に(少額の金を出して)委託しています。 そして、花壇のコンテストをして賞を出しています。 なかなか良い制度だと私は思います。
神戸市は公園の管理を、建前上は町内会に委託している様です。 私の家の近所の公園は、昔は町内会が受託していましたが、35年以上前から一部の老人達が町内会の名前を騙って受託している様です。
35年程前に家を建てた時、「日曜日に公園の掃除をするので参加して下さい」と言う回覧が来ました。私の子供達が利用する公園でしたから、参加しました。私以外は、全て老人でした。 てっきりボランティアだと思ったのですが、終わると、「市からです」と言って、千円入りの封筒とタオルを渡されました。 「〇✕(私)は金に細かい男だ!」と吹聴して回る輩がいました。 町内の老人達が、公園の掃除で小遣い稼ぎをしていたのです。
公園の掃除には、昔から住んでいる老人以外は参加して欲しく無かったのです。それ以来、公園を掃除すると言う回覧は来なくなりました。 掃除は現在も続けています。閉鎖的な組織でやっていると、関係者が年老いて来て、消滅してしまいます。 35年前の老人達は殆ど鬼籍に入っているので、近隣の町内の人を集めて、我が町内会の名前を騙って、市から受託していると想像しています。
町内会長で無い人間が窓口になっていると思われるので、市の担当者は「名前を騙っている事」を承知しているはずです。何か、公園を私物化している様に思います。 市はシルバー人材センター経由で人を集めるなどして、公明正大にすべきです。
【選挙・投票所のアルバイト】
投票所には受付案内のスタッフが必ずいますが、近所の奥さん達によると、市役所のOBとその友人達だそうです。 時給は1,100円程の様です。 簡単な誰にでも出来る仕事ですから、奥さん達はやりたい様で、「選挙を私物化している」と不満を言う方もいます。
市営の駐輪場の管理人も市役所のOBだそうです。 私は、この手の仕事も公明正大に、シルバー人材センター経由で人集めすべきだと考えます。
【F氏の思い出】
子供に手が掛からなくなった頃、妻は近くの写真屋でアルバイトを始めました。その顧客の一人のF氏と親しくなりました。F氏は外国航路の商船に乗っていたそうで、既に年金生活者になっていました。船員の年金は、厚生年金よりもズット高かった様です。F氏は一生独身で、妹さんと、その息子の3人で悠々自適の生活をされていました。 F氏宅で何回かお茶を頂いた事が有ります。
昭和の初め頃に、イギリス人のアーネスト・ウイリアムス・ジェームスが神戸市垂水区の塩屋に60棟以上も洋館を建てました。第二次世界大戦が始まった頃に、洋館を所有していた多くの外国人が日本人に住居を安い値段で売って帰国したそうです。F氏の親も1棟買い取り、そこでF氏は育てられたそうです。
200坪程の敷地に木造の洋館が建っていて、ガラス張りの温室があり、種々のシンビジュウムを沢山育てていました。F氏は器用な方で、広い庭の植木を植木屋さんに負けない技(わざ)で剪定していました。我が家にも時々来られて、雨樋(どい)に溜まった枯れ葉の除去などを無償で色々して頂きました。
子供達が網戸を破った時、妻に網の張り方を教えてくれた様です。多分、妻は今でも網戸の張替えは出来ると思います。 神戸市の近辺では、各家でイカナゴの『くぎ煮』を作りますが、我が家の『くぎ煮』はF氏のレシピで作っています。
F氏は『老害者』とは真逆の方でした。『美人薄命』の言葉通りに70歳そこそこで亡くなりました。
(余談 :ジェームス邸) 前述のジェームスが自宅用に建てた洋館を、三洋電機の創業者・井植歳男氏が購入し、井植氏の故郷・淡路島が見えるので『望淡閣』と命名しました。現在は結婚式場兼レストラン『ジェームス邸』になっています。 我が家から徒歩三、四分なので、オープンした頃は時々ですがランチやディナーを頂きました。二階に洒落たベランダが有り、何時もそこで珈琲を楽しみました。 予約が必要ですが、神戸に来られたら是非とも寄ってみて下さい。
前回は老人の健康管理/維持の重要性について書きましたが、今回は「元気な内は働くべきだ!」と言う私の持論を書きます。
【町や都市と過疎地は別個に考えるべきです!】
過疎地には農地が沢山有りますから、老人は自分の土地が無くても、野菜を作る土地なら安い賃料で借りられます。 私の故郷の集落には国道が通っています。集落の老人達は野菜を作って、国道の脇に小さな小屋を建てて、無人の販売所にして小遣い稼ぎをしています。
街なかの無人の販売所だったら、金を入れない輩が出てくると想像しますが、町から来た方でも(不思議と)過疎地では名札に書かれた金額をチャント払います。金を入れる箱を持って行く人もいません。
全国の殆どの『市』に公益社団法人の『シルバー人材センター』が有り、60歳以上の方が働いています。 大阪市内には、老人も派遣する人材派遣企業が有って、時々ポストにチラシが入っています。 チラシによると、交通費や制服が支給され、賃金は最低賃金以上もらえる様です。
【シルバー人材センターの事務所】
私が考えるシルバー人材センターの最大の問題点は、事務所が少ない事だと思います。神戸市と大阪市ではたったの4ヶ所しか有りません。故郷の田辺市の面積は1,000km2も有りますが、事務所は1ヶ所のみの様です。 歩いて行ける距離に事務所が有ったら、チョットした仕事を気軽に頼めると思うのですが!
ウイキペディアによると、2006年時点で全国に交番は6,362ヵ所有り、その内267ヵ所は空き交番だそうです。警察官を増やして空き交番を無くそうとしている様ですが、日本は安全な国であり、110番に電話したらパトカーが直ぐ駆け付けてくれますから、交番の多くは廃止すべきだと考えます。 廃止した交番をシルバー人材センターの事務所にしたら、一挙両得です!
事務所の運営は、市町村の指導の下で、(時給500円程度支払って)老人達に任せたら十分やっていけるでしょう! 市町村が、公平に運営しているか?をチェックする必要は有ります。
(余談 :シルバーと老人) 日本ではシルバーが老人を指す言葉になっています。昔・JRが電車に老人優先の座席を設けた時、新幹線用に用意していた銀色の布を使ったので『シルバーシート』と命名した様です。それ以来、シルバーが老人の意味で使われる様になった様です。 現在は『優先座席』と呼ばれています。
私はシルバーの年齢になりましたが、銀は安いですから、せめてプラチナと言って欲しいです。そして、『シルバー人材センター』では長ったらし過ぎますから、愛称または略称が必要です。『プラワーク』を提案します。 プラチナワーク( platinum work)の略称です。
・・・ 2022年4月22日の小売価格 ・・・
★ 金≒8,900円/g
★ プラチナ≒4,500円/g
★ シルバー(銀)≒115円/g
【仕事の種類】
シルバー人材センターで紹介する仕事の種類を増やすべきだと考えます。私が思いついた仕事を書きます。老人が出来る仕事を皆で考えたたら沢山出て来そうに思います。
❶ 年金生活者のイメージは、「パソコンやスマホの操作が難しい老人」でしたが、近年・年金生活に入った方の中にはパソコンやスマホに詳しい方が結構沢山おられると思われます。 データ入力、パソコン操作の指導・・・仕事は沢山有りそうです。
❷ 「二、三時間子供を預かって欲しい」お母さんが沢山いると想像します。現在では『認定ベビーシッター』の資格が必要です。 子供を育てた経験の有る老人に少し研修を受けて貰ったら、短時間の子供の世話なら十分出来ると思います。 全く知らない人でなく、近所で顔を見た事の有る人に依頼した方が安心出来ます。
❸ 喫茶店などのウエイターやウエイトレスは不思議と若者ですが、「小奇麗な服装をした老人でも良いのでは」と思います。70歳を過ぎたマスターの店も有りますから、ウエイターやウエイトレスが老人でも構わない様に思います。
(余談) 筑波に良く行っていた頃、ジャンボ・ビールを出す居酒屋が有りました。633ml瓶ビール2本分が、分厚い硝子製のジョッキに入っていました。今の私ではジョッキを持ち上げるのすら難しいと思いますが、当時は私の適量でした。(飲みにくい容器でビールを飲むと、美味しい様に思いました。) 筑波にはジャンボが付いたメニューが色々有りました。例えば、小さいバナナ・サイズの餃子をジャンボ・餃子と呼んでいました。美味しかったです。 ・・・ジャンボ・ビールは、老人では運べません。
【最低賃金の適用外です】
シルバー人材センターの仕事は通常の雇用契約では無いので、最低賃金の規制を受けません。仕事の対価として支払われる金は、給与では無く『配分金』と呼ばれています。
シルバー人材センターの事務所の入り口に、仕事の種類と標準価格を書いた紙を貼って、気軽に依頼出来る様にすべきだと思います。
シルバー人材センターは安い値段設定が出来ます。 「今日は体調が悪いので、買い物して欲しい!」と電話が有ったら、「料金は500円です。直ぐに〇✕がお伺いいたします。」・・・顔見知りが増えて→→皆で助け合って生きる様になり→→『街』が活性化する様になりそうです!
【職場の老人】
私が中小企業に出向した時に出会った老人について書きます。
❶ パートの女性が十数人働く、一品生産の機械と種々の部品を製造する会社に70歳を超えた女性がいました。素晴らしい技術を持った方でした。地元では有名な資産家の奥さんでしたから、金銭的には全く働く必要が無い方でした。(正社員は全て男性でした。)
❷ 年金生活者で生涯独身の70歳を超えた男性が、部長の肩書で雇われていました。 ほぼ毎日出勤して、定時までいましたが、月給は数万円しか貰っていませんでした。最低賃金法違反だと思いましたが、仕事以外にする事が無かったので、定年後も置いて貰っていた様でした。
❸ 作業員が100人以上の大規模な工事現場で働いた事が有ります。作業員が弁当を食べたり、お茶を飲む場所が確保されていて、そこを掃除する御婆さんがいました。 彼女は地元の工事現場を転々として働いていた様でした。顔見知りの作業員が多く、何時も明るく/頓智を利かせて叱咤激励(しったげきれい)していました。実に愉快で、私は思わず笑ってしまう事もありました。
❹ 製紙機械を設計/製造する社員30名程の会社に出向した時の話です。大中小の古い手動式の旋盤が3台有り、旋盤工が2名いました。定年は65歳でしたが、旋盤工の一人は70歳以上でした。彼が退職したので、代わりの職人が必要で、私が人材派遣会社とハローワークで探す事になりました。 有効求人倍率が”1”近くになると、中小企業の求人は難しくなります。
複数の人材派遣会社の担当者達は、「今時、手動の旋盤を扱える職人はいない」と言って、相手にしてくれませんでした。
求人票には、「給与は当社の規定による」と書くのが一般的ですが、中小企業では「月給○○円、賞与2回」等と明記しないと応募者が殆どいません。 最初にハローワークに提出した求人票には私が妥当と考えた給与を書きました。全く応募が無かったので、思い切った金額に変更して見ましたが駄目でした。社長から、「退職した職人に支払っていた金額にする様に」と言われて調べたら、70歳過ぎの人に、なんと!年間800万円ほど支給していたのです。
(余談 :仕事には尊卑は無い!) 1980年代初めの頃、私は東京勤務で時々・銀座で呑んでいました。「夜中にロールスロイスで老婆が銀座にやって来る」という噂が有りました。新聞か雑誌で、「毛皮のコートを着た老女が、運転手付きのロールスロイスから降りてビルに入った。作業着に着かえてビルの掃除をしていた。・・・」と言う様な記事を読みました。 仕事には尊卑(そんぴ)は無いのだと教えられました。
【家政婦/家政夫】
知り合いに、奥さんが買い物や料理を作るのが難しくなった家が有ります。 シルバー人材センターから、2年間ほど女性を派遣して貰いました。最初の女性は味が濃く、薄口にして欲しいとお願いしても駄目でした。次の女性は創作料理が自慢でした。 私も一回試食して見ましたが、トンデモナイ食材の組み合わせで、若い人でも毎日は食べられない料理でした。「良くも一年間我慢した!」と感心しました。 そして、彼女は「雪が降っているから今日は休みます」、「体調が悪いから・・・」と約束の日に来てくれませんでした。
そんな訳で、私がインターネットで家政婦を探す事になりました。家政婦を派遣する会社が沢山有るのでビックリしました。電話やメールで数社にコンタクトして見ました。 私が持っていた家政婦のイメージは、中年の女性でしたが、現在は全く違っています。
40歳代の男性がホームページを作って、個人でやっている方がいました。料亭の板前をしていたそうです。料金は高かったのですが、コンタクトすると「仕事がいっぱいで、現在は引き受けられない」と言われました。
私が選んだのは、全国展開している家政婦の派遣会社です。 営業マンは好青年で、家政婦が必要な家には種々の事情が有る事を良く理解していました。 彼と家政婦候補者(Kさん)と私の三人で知人宅に行って打合せしました。私は事前に、味付け、嫌いな食べ物、・・・をメモして置きました。Kさんは、しっかりされた女性で『引く手あまた』の様でした。
Kさんは、もう2年以上知人宅に通っています。一回行くと、(昼食と夕食二人分)✕(一週間分)作ります。Kさんは自家用車で通勤しているので、買い物は途中でやっています。 これは、私の提案でしたが、「買い物に要する時間も勤務時間に含め、Kさんのカードで支払って、ポイントはKさんが自由に使って良い」事にしたのです。
(余談) 裕福な家の家政婦は、老人では難しいと思いました。一方、介護が必要なケースでは介護士が買い物、料理、洗濯、掃除をしてくれる様です。
【公園の管理】
神戸市では一部の公園の掃除や花壇の手入れを老人達に(少額の金を出して)委託しています。 そして、花壇のコンテストをして賞を出しています。 なかなか良い制度だと私は思います。
神戸市は公園の管理を、建前上は町内会に委託している様です。 私の家の近所の公園は、昔は町内会が受託していましたが、35年以上前から一部の老人達が町内会の名前を騙って受託している様です。
35年程前に家を建てた時、「日曜日に公園の掃除をするので参加して下さい」と言う回覧が来ました。私の子供達が利用する公園でしたから、参加しました。私以外は、全て老人でした。 てっきりボランティアだと思ったのですが、終わると、「市からです」と言って、千円入りの封筒とタオルを渡されました。 「〇✕(私)は金に細かい男だ!」と吹聴して回る輩がいました。 町内の老人達が、公園の掃除で小遣い稼ぎをしていたのです。
公園の掃除には、昔から住んでいる老人以外は参加して欲しく無かったのです。それ以来、公園を掃除すると言う回覧は来なくなりました。 掃除は現在も続けています。閉鎖的な組織でやっていると、関係者が年老いて来て、消滅してしまいます。 35年前の老人達は殆ど鬼籍に入っているので、近隣の町内の人を集めて、我が町内会の名前を騙って、市から受託していると想像しています。
町内会長で無い人間が窓口になっていると思われるので、市の担当者は「名前を騙っている事」を承知しているはずです。何か、公園を私物化している様に思います。 市はシルバー人材センター経由で人を集めるなどして、公明正大にすべきです。
【選挙・投票所のアルバイト】
投票所には受付案内のスタッフが必ずいますが、近所の奥さん達によると、市役所のOBとその友人達だそうです。 時給は1,100円程の様です。 簡単な誰にでも出来る仕事ですから、奥さん達はやりたい様で、「選挙を私物化している」と不満を言う方もいます。
市営の駐輪場の管理人も市役所のOBだそうです。 私は、この手の仕事も公明正大に、シルバー人材センター経由で人集めすべきだと考えます。
【F氏の思い出】
子供に手が掛からなくなった頃、妻は近くの写真屋でアルバイトを始めました。その顧客の一人のF氏と親しくなりました。F氏は外国航路の商船に乗っていたそうで、既に年金生活者になっていました。船員の年金は、厚生年金よりもズット高かった様です。F氏は一生独身で、妹さんと、その息子の3人で悠々自適の生活をされていました。 F氏宅で何回かお茶を頂いた事が有ります。
昭和の初め頃に、イギリス人のアーネスト・ウイリアムス・ジェームスが神戸市垂水区の塩屋に60棟以上も洋館を建てました。第二次世界大戦が始まった頃に、洋館を所有していた多くの外国人が日本人に住居を安い値段で売って帰国したそうです。F氏の親も1棟買い取り、そこでF氏は育てられたそうです。
200坪程の敷地に木造の洋館が建っていて、ガラス張りの温室があり、種々のシンビジュウムを沢山育てていました。F氏は器用な方で、広い庭の植木を植木屋さんに負けない技(わざ)で剪定していました。我が家にも時々来られて、雨樋(どい)に溜まった枯れ葉の除去などを無償で色々して頂きました。
子供達が網戸を破った時、妻に網の張り方を教えてくれた様です。多分、妻は今でも網戸の張替えは出来ると思います。 神戸市の近辺では、各家でイカナゴの『くぎ煮』を作りますが、我が家の『くぎ煮』はF氏のレシピで作っています。
F氏は『老害者』とは真逆の方でした。『美人薄命』の言葉通りに70歳そこそこで亡くなりました。
(余談 :ジェームス邸) 前述のジェームスが自宅用に建てた洋館を、三洋電機の創業者・井植歳男氏が購入し、井植氏の故郷・淡路島が見えるので『望淡閣』と命名しました。現在は結婚式場兼レストラン『ジェームス邸』になっています。 我が家から徒歩三、四分なので、オープンした頃は時々ですがランチやディナーを頂きました。二階に洒落たベランダが有り、何時もそこで珈琲を楽しみました。 予約が必要ですが、神戸に来られたら是非とも寄ってみて下さい。