これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

電気料金の問題 (その3)

2022-11-05 12:19:31 | 社会問題
【はじめに】
 総括原価方式の時代よりも、電力自由化によって電気料金は下がると予想しますが、真夏の暑い日にエアコンを動かせないと→→熱中症で死亡するケースが増加する恐れが有ります。

 「電力の需給が切迫して、計画停電が必要になる事態にならない様にするにはドウシタラ良いか?」他人事にしないで、皆で考える必要が有ります。『検討使』の能力を遥かに超える、複雑な問題だと思います。

【電力自由化の歴史】
 日本政府は、1995年から電力自由化を少しずつ始めました。(従来からの電力会社10社以外の会社に、)発電所を建設して電力を販売する事を認めました。更に、特定の地域に限って電気を売る電力会社の設立を認めました。 これらの会社を、『独立系発電事業者』と『特定電気事業者』と呼びます。

 株式などの金融商品を取引する東京証券取引所の様な、電力を取引する『日本卸電力取引所』が2005年に設立されました。東京証券取引所で個人が株式を直接取引する事は出来ませんが、日本卸電力取引所でも認められた『会員』だけが取引に参加出来ます。 株式では、個人は証券会社に依頼して株式の売り買いが出来ますが、電力には個人が投資出来る証券会社に相当する会社は有りません。然し、『電気』も株式の様な商品になっているのです。

 2016年に一般家庭と企業に電力を供給する会社(新電力会社)の設立が認められ、2020年に『発送電分離』が実施されました。

 雨後の筍の様に新電力会社が誕生しました。既に倒産した会社もありますが、2022年10月14日時点で、新電力会社の数は『763社』も有ります。 (詳細は、資源エネルギー庁のホームページの『登録小売電気事業者一覧』で見られます。)

 国の方針に従って電力10社は、2020年に送電線や変電所などを運用する子会社を設立して資産と要員を移管しました。 例:関西電力送配電株式会社

★ 1995年 :電力自由化が始まる→→独立系発電事業者(IPP)と特定電気事業者が認められる様になった。 ・・・村山政権
★ 2005年 :日本卸電力取引所 ・・・小泉政権
★ 2016年 :電力小売完全自由化→→新電力会社の乱立 ・・・安倍政権
★ 2020年 :発送電分離 ・・・安倍政権

(豆知識 :送配電会社) 昔は、電柱や電線は電力10社の所有でしたが、電力自由化によって電力10社以外の会社も所有しています。送配電設備を所有する会社は国に届ける必要が有りますが、国は4種類に分類しています。

 日本は「電線の地中化(埋設化)」が遅れています。パリは『100%』、ソウルは『46%』ですが、東京23区は『8%』だそうです! 電力自由化で電線の地中化は、更に遅れそうです!外国からの観光客に笑われてしまいそうです!

★ 一般送配電事業者 :電力10社が設立した送配電の会社・・・2020年~
★ 登録特定送配電事業者 :送電設備を有する新電力会社・・・現在30社有ります。
★ 送配電事業者 :2016年~ ・・・現在3社有ります。
★ 特定送配電事業者 :特定の供給地点に電気を供給する会社・・・1995年~;現在37社有ります。

【(株)JERA(ジェラ)】
 東京電力と中部電力が、2015年に折半で『JERA(ジェラ)』と言う巨大企業を設立しました。 そして、2社の火力発電所、LNG基地などをJERAに移管したので、JERAは発電とLNGの分野では日本一の会社になっていると思います。

 JERAは海外事業も進めようとしており、足枷を外された『普通の会社』になって発展すると私は見ています。「他の電力会社も吸収/合併して巨大化するのでは?」と予想します。 企業は利益を追求するのが使命の一つですから、国内で種々の問題が発生する恐れが有ります。

 例えば、過疎地や離島の多くでは、電力事業は儲かりそうに無いですから、将来・電力会社が撤退する恐れが有ります。 JR各社が、民営化された後で、赤字路線を次々と廃止している様に! 「まさか、そんな事態にはならないだろう!」と思われるかも知れませんが、大昔、九州の離島の発電所は町営か村営でした。九電が”しぶしぶ”引き受けて、今日に至ったのです。

・・・ (株)JERA(ジェラ) ・・・
★ 発電量 :2,446億kWh・・・2020年度
★ LNG輸入量 :3,130万トン・・・2020年度
★ 石炭輸入量 :1,570万トン・・・2020年度
★ 発電容量 :6,548万kWh ・・・2020年4月
★ 資本金 :1,000億円 ・・・2020年3月・・・現在は非上場会社です。
★ 売上 :2.9兆円 ・・・2020年3月
★ 経常利益 :1,238億円
★ 従業員数 :5,062人 ・・・2022年3月

【安倍政権による電力自由化の問題点】
 日本人の多くは、「故人は批判せず、美化すべきだ!」と言う考え方を持っておられる様です。然し、電力の自由化について考える時、安倍政権の愚策を指摘せざるを得ません。 安倍氏は『緻密な頭脳』の持ち主では無かったと私は見ています。村山富市氏と小泉純一郎氏は、「完全な電力自由化には種々の問題が有る」事に気付いて、不完全な自由化に留めたのだと想像します。

 電力自由化を全面的に実施たら発生する問題は、素人の私でも直ぐに予想出来ました。

❶供給義務の足枷を外した! :電力10社に供給義務を負わせていましたが、義務を解除したら→→政府が安定供給義務を担う事になります→→政府は全国の発電設備能力と電力需要予想を調査して→→供給が不足する恐れが有る場合は→→国が発電所の増設/新発電所の建設と送電設備の増設を行う必要が有ります。

 『電力小売完全自由化』は2016年に実施され、既に6年経過していますが、安倍氏、菅氏、岸田氏は、「政府に電力の安定供給責任が有る事に気付いていないのか?」対策を講じている様には見えません。 最近の報道によると、岸田氏は、今年の冬も国民に節電をお願いして乗り越えようとしています。

 大停電が発生したら、政府は重い腰を上げるでしょうが、発電所を新設するには突貫工事でやっても数年は掛かります。今から着手する必要が有ります。 この話しを先日妻にしたら、「岸田さんに期待するのは無理よ!」と言いました。皆さんはどう思われますか?

(注記 :新電力会社と供給義務) 私の家の近くに老夫婦二人で作る、美味しいケーキ屋が有りました。開店前に作ったら追加は一切作りませんでした。午後には殆ど残っておらず、3時には売り切れで、閉店していました。新電力会社には安定供給義務は有りません。「本日売り切れ」でも許されるし、「儲からないから、会社を整理する(倒産させる)」と言っても良いのです。

❷災害対策/復旧工事 :日本は台風、水害、地震、津波、火山噴火などの被害の多いい国です。電力10社と・その協力会社には資金と人員に余力が有ったので、今までは多少の災害には迅速に対応出来て来ました。

 完全自由化になって、まだ6年しか経過していないので、電力10社と・その協力会社に余力が残っていますが、新電力会社が力を付けてきて→→競争が激しくなったら電力10社の体力が低下すると予想されます→→災害対策/復旧工事の責任を国が負わなければならなくなっているのです。

❸燃料の安定的確保 :電力10社は長期契約で燃料を輸入してきました。ウクライナ戦争でヨーロッパ諸国は燃料の確保に苦慮していますが、電力10社の長期契約のお蔭で日本は今の所、助かっています。

 ヨーロッパ諸国が、ロシアから石油と天然ガスを買わない様になると、長期契約でも価格は上昇してきます。 各国の政府が、石油と天然ガスの争奪戦を始めると予想します→→石油と天然ガスの売買は外交マターになると予想します→→日本も政府が主体になって、石油と天然ガスを確保する必要が有ると思います。

【経済安全保障推進法】
 2022年5月に『経済安全保障推進法』が成立しました。結構な分量の有る法律です。政令で指定する重要物質を取り扱う企業が守らなければならない事を規定しています。 然し、政令は現在検討中です。如何にも『検討使』が作った法律だと思います。「何を重要物質に指定するか?これからユックリ検討しよう!」と言うスタンスです。

 検討使君!重要物質の安定供給の責任は国家に有る事を忘れてはいませんか? 経済安全保障推進法には、企業に報告の義務を規定していますが、安定供給の義務を負えとは書いていません。

《私の危惧 :災害対策》 福島第一原発の事故で、全国に有る原子力発電所は地震と津波対策を実施してきました。 重要物質の貯蔵及び生産設備には、地震、津波、台風、洪水対策が必要だと考えますが、経済安全保障推進法には何も規定していません。

 南海地震、東南海地震と東海地震の発生予想の話は時々聞きます。これらの地震が発生したら、日本のインフラと工業は、壊滅的な損害を被ると予想されています。対策を、出来る事から始めるべきです。国会で定期的に議論して→→予算を毎年・確保して→→少しずつでも対策を進めるべきです!

【新電力政策の提案】
 私は、1972年~84年までガスタービン発電装置の設計/販売の仕事をしたので、電気事業法と関連法規を勉強する必要が有りました。 「電力会社・10社には、供給義務が有るが、お互いが競争する事が無く、無駄な事をやれば利益が大きくなり、世の中が不景気になっても赤字にならない制度で守られているのはおかしい!」と考えていました。

 先進国の電力政策は、『てんでバラバラ』です。各国の電力政策は、それぞれ種々の問題を抱えており、参考に出来る国は、今の所見付かっていません。

 電力を自由化してしまいましたから、問題が顕著になっても今更、総括原価方式の時代には戻せません。 資本主義経済には貧富の格差が出来る等々の問題が有り、種々の社会主義的な修正が行われてきました。 電力自由化政策についても、種々キメ細かい修正を行って行く必要が有ると私は考えています。

予想問題➊ :過疎地や離島
 電力の自由化とは、「電力10社に、お互いと、新電力会社と競争させて、電気料金を下げさせる」と言う事です。然し、電力10社は今でも儲けの少ない過疎地や離島に電力を供給しています。競争が激化したら、過疎地や離島については国が支援金を出す等の対策が必要になると予想します。

予想問題❷ :災害時の配電設備の復旧工事
 前述の様に近い将来、大災害が発生した時、送配電会社だけでは短時間に復旧する事が難しくなると予想します。自衛隊の力を借りるのが良いと思います。自衛隊に復旧工事に必要な機材と資材を保管して貰って、定期的に復旧工事の訓練をして貰うのです。

予想問題❸ :電力の調査機関に権限を持たせるべき!
 石油、天然ガス及び鉱物の安定供給の為に、経済産業省の外局として『資源エネルギー庁』があり、資源エネルギー庁の下に『独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構』と言う長ったらしい名前の組織が有ります。

 現在は、資源エネルギー庁が『電力』を含めた重要物質の供給責任を負う必要が有ります。所轄大臣と官僚達に責任が有る事を自覚させる為に、資源エネルギー庁を『重要物質供給責任庁』か『重要物質安定供給庁』に改名した方が良いと考えます。 (資源エネルギー庁は、現在でも電力の供給能力の調査と需要予測は担当している様です。)

 災害でも無いのに、真夏日や寒い寒い日に家庭と企業に節電をお願いする必要が無い様に、政府は対策を行う責任が有ります!

(私が危惧している事❶ :不正な金の流れをチェック出来ているか?) 資源エネルギー庁と石油天然ガス・金属鉱物資源機構の年間予算を合計すると『2.3兆円』にもなります。一方、職員数は二つの組織を合わせて1,100人程しかいません。

 巨額の金が動く時は、悪い輩が虎視眈々と狙っています。東京オリンピックの高橋治之容疑者が良い例です。資源開発は外国で殆ど行われますから、外国に出張して適正な事業計画か?どうか?少人数で調査/チェック出来るとは思えません。資源エネルギー庁と石油天然ガス・金属鉱物資源機構に不祥事が無かった、将来も無い事を祈るのみです!

(私が危惧している事❷ :発電能力の余裕) 受給が切迫しそうになると、政府は余裕率が『2%』だとか『3%』だと平気で公表します。受給が切迫している時に、『震度6』程度の地震が発生すると複数の発電所が停止すると予想され→→一部の地域で停電が発生します!

 「2011年に発生した東日本大震災の時に、首都圏の電気の復旧は早かったですが、東北電力の発電能力に余裕が有って、その火力発電所が一早く運転を再開して、都市圏に電力を供給したためだ!」と言う様な記事を読んだ記憶が有ります。 「余力分の発電所の費用は国が負担する」様にするべきです!

★ 資源エネルギー庁 ・・・経済産業省の外局
    職員の定員≒445人
    予算≒5,597億円 
・・・職員一人当たり『13億円』ほど使っている事になります。

★ 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 
      ・・・資源エネルギー庁の下部組織
業務内容 :石油、天然ガス、鉱物に関し、❶備蓄、❷開発する企業に対する支援(資金の貸付、投資、債務保証など)、❸情報収集、❹技術支援などを行っています。
    職員数≒637人 ・・・2021年
    資本金≒1兆1,203億円 ・・・2021年
    予算≒1兆7,850億円 ・・・2021年度
    ・・・職員一人当たり『28億円』ほど使っている事になります。
    負債≒9,270億 ・・・2015年



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