今回は、中国の金融機関(銀行、保険会社、証券会社)等について書きます。銀行と保険会社はすでに、世界的な企業に成長しています。民間企業の数が増え/成長していますが、さらに1993年ころから国有企業が株式を発行出来る様になりました。株式市場はこれから拡大し、それに伴って証券会社が成長すると予想します。
【中国人民銀行】
日銀に相当するのが中国人民銀行です。共産軍は支配した地域で、それぞれ紙幣を発行する銀行を持っていましたが、建国の前年(1948年)に統合して中国人民銀行が設立されました。建国後、外国資本の銀行に大幅な規制をして、国内の民族銀行は全て中国人民銀行に併合させました。その後、長い間、貨幣を発行する中央銀行の役割と市中銀行の業務を行う、国内唯一の銀行になったのです。
1966年~76年の文化大革命では、資本主義の否定の一環として”貨幣”も否定したため、中国人民銀行は大混乱に巻き込まれました。1978年から始まった改革開放政策によって、再建が図られたのです。
鄧小平は、1979年に中国人民銀行の市中銀行部署を独立させて、中国農業銀行、中国銀行、(現在の)中国建設銀行を設立しました。
【中国の巨大銀行】
中国には巨大な市中銀行が多数あります。(次に示す4銀行は全て国有銀行です。)公表されている2018年の総資産、2017年の純利益と不良債権比率を整理してみました。 中国の銀行は毎年成長していますので、ウォッチングが必要です。 (中国が公表する数値は信用出来ないと言うコメンテーターが多いいので、割り引いて眺める必要が有るかも知れません。特に、不良債権比率の値は怪しいです!)
中国工商銀行 :総資産=440兆円、純利益=4.5兆円、不良債権率=1.6%
中国建設銀行 :総資産=374兆円、純利益=3.7兆円、不良債権率=1.5%
中国銀行 :総資産=329兆円、純利益=2.9兆円、不良債権率=1.5%
中国農業銀行 :総資産=356兆円、純利益=2.9兆円、不良債権率=2.4%
三菱UFJ :総資産=307兆円 (世界第5位 2017年S&P G.M.Iによる)
2018年の中国の名目GDPは1,474兆円で、4銀行の総資産は1,499兆円もあります。 中国観光客の爆買いが話題になりますが、日常は贅沢をしないで、せっせと貯蓄しているのでしょうか? (昔の日本の様に!)
習近平は、近年、外貨の流出を抑える政策を始めていますから、銀行に集まった金は、国内の企業に投資する事になります。 習近平はさらに、内外から疑いの目で見られていた各市中銀行の公表数値を、正確な値にさせるための銀行改革を始めている様です。
世界最大にまで成長した中国工商銀行の自己資本比率は”13%”と公表されています。三菱UFJは2018年12月時点で16%でしたが、中国工商銀行が不健全とは言えない値だと思います。
【中国の民間銀行】
中国の銀行の大半は国有銀行ですが、租借地であった香港には民間銀行が多数あり、返却された後も存続しています。1999年までポルトガルの領土であったマカオにも民間銀行があるようです。
2015年に、中国政府は民間銀行の設立を推進する方針を出し、同時に外国資本が銀行に投資する規制も緩和しました。
(余談) 1985年頃に、私は香港上海銀行の本社ビル(?)新築工事に機械を納入しました。香港が1997年に返還された後、国営銀行になるのか?注目してい来ましたが、現在でも民間銀行として存在しています。
【シャドーバンキング(影の銀行)】
2010年に中国政府が金融引き締めを行った時に、地方政府が所轄の投資会社に高利(10%ほど)で金融商品を発行させ、得た金で開発を行ったのが、シャドーバンキングの始めの様です。その総額は300兆円とも1,000兆円とも言われています。公表されていませんが、巨額の金が回収不能になっているようです。
”影の銀行”だから銀行は無関係の様に思えますが、実際は”深く深く”銀行が絡んでいるのです。本来はやってはいけない方法で、各銀行は金を流したのです。
習近平は、シャドーバンキングの圧縮を始めています。銀行、国有企業、個人投資家、地方政府が関係しているために、何年も掛けてユックリと対応して行くのだと思います。(習近平は早く治すべき病気には即効性の薬を使用しますが、副作用の激しい薬は無理やり使用するのでは無くユックリと効く薬を与えるのです。) なお、シャドーバンキングには外国の企業や投資家は関与していない様です。
【個人の借金】
昔は、倹約が美徳で”せっせと”貯蓄していましたが、中国の現在の若者は貯蓄しなくなっています。ローンの返済に困っても、一人っ子ですから親か祖父母に助けてもらえるわけです。
日本のサラ金に相当するのが”ピア・ツー・ピア(P2P)金融”で、金利は20%程度の様ですが、40%のも有る様です。公表されていませんが、総額で400兆円と言う予想も有ります。日本政府はサラ金を長く放置していましたが、習近平は近年対策に乗り出している様です。
中国ではキャッシュレス化(スマホ決済)が進んできており、個人情報の保護も無いため、色々な金融機関から借金しても、データが集められ個人の借金総額が把握出来る様になります。返済が滞ると、情報が各金融機関に流れ追加の借金が出来なくなります。
ネット通販の巨大企業に成長したアリババ(阿里巴巴)が運営している決済システムの”アリペイ”では、会員の信用度のランク付け(350~950点で判定)を行っており、点数が低いと制約を受け、逆に高得点だと優遇される様です。(自分の得点はスマホで見れる様です。) 真面目に働いている中国人はより高得点を得ようと、努力する様になると思います。
「個人の借金が焦げ付いて中国経済は破綻する」と言う人がいましたが、P2P金融の圧縮とスマホ決済システムが効果を発揮して、韓国の様には大きな問題にならずに、乗り越えられるのではと私は見ています。
(余談) アリババの筆頭株主はアメリカのソフトバンク(株式の29%)で次がYahoo!(15%)です。孫正義氏と密接な関係があります。Yahoo!が”アリペイ”のシステムを導入したら、怖いですね!
(余談) 日本では、賃貸アパートに入居する場合、家賃保証会社に加入させられるケースが増えて来ています。家賃を滞納して強制執行になった(追い出された)場合は、その情報が他の家賃保証会社に流れて、新たな契約が難しくなっています。”アリペイ”のやり方が、すでに導入されているのです。
【中国の保険会社】
中国の保険会社は近年急激に成長しています。人口や物流が多いいことを考えると、さらに成長すると思われます。
2017年の総資産を下に示します。中国平安保険会社の総資産はすでに"かんぽ生命”を超えています。
★ 中国平安保険会社 :資産総額 81兆円 上場会社
★ 中国人寿保険 :資産総額 42兆円 上場会社 (生命保険が主)
★ 中国人民財産保険 :資産総額 12兆円 上場会社
◎ かんぽ生命 :資産総額 76兆円
◎ 日本生命 :資産総額 64兆円
【中国の証券取引所】
現在中国には、3か所に証券取引所があります。香港の取引所は外国人にも門戸が開放されています。他の2か所は中国人用ですが、外国機関投資家や外国人投資家が売買出来る株もあります。
中国の国有企業も株式を発行する様になって来ていますので、証券取引所の取り扱い金額は巨額になって来ると予想されます。(私は責任は持ちませんが)国有企業の公表される経営数値が透明で/正確だと考えられる様になれば、中国企業の株価はもっと高くなるのでは?と思います。
★ 香港証券取引所 :外国人も取引出来る。
★ 上海証券取引所
★ 深セン証券取引所
【中国の証券会社】
中国の証券会社はまだ世界的な大企業には成長していません。証券会社の特異な点は、平均給与が異常に高く、会社によって格差が大きい(500万円~2,000万円)ことです。(平均給与が2,000万円! どんな会社なんでしょうか?)
【中国人民銀行】
日銀に相当するのが中国人民銀行です。共産軍は支配した地域で、それぞれ紙幣を発行する銀行を持っていましたが、建国の前年(1948年)に統合して中国人民銀行が設立されました。建国後、外国資本の銀行に大幅な規制をして、国内の民族銀行は全て中国人民銀行に併合させました。その後、長い間、貨幣を発行する中央銀行の役割と市中銀行の業務を行う、国内唯一の銀行になったのです。
1966年~76年の文化大革命では、資本主義の否定の一環として”貨幣”も否定したため、中国人民銀行は大混乱に巻き込まれました。1978年から始まった改革開放政策によって、再建が図られたのです。
鄧小平は、1979年に中国人民銀行の市中銀行部署を独立させて、中国農業銀行、中国銀行、(現在の)中国建設銀行を設立しました。
【中国の巨大銀行】
中国には巨大な市中銀行が多数あります。(次に示す4銀行は全て国有銀行です。)公表されている2018年の総資産、2017年の純利益と不良債権比率を整理してみました。 中国の銀行は毎年成長していますので、ウォッチングが必要です。 (中国が公表する数値は信用出来ないと言うコメンテーターが多いいので、割り引いて眺める必要が有るかも知れません。特に、不良債権比率の値は怪しいです!)
中国工商銀行 :総資産=440兆円、純利益=4.5兆円、不良債権率=1.6%
中国建設銀行 :総資産=374兆円、純利益=3.7兆円、不良債権率=1.5%
中国銀行 :総資産=329兆円、純利益=2.9兆円、不良債権率=1.5%
中国農業銀行 :総資産=356兆円、純利益=2.9兆円、不良債権率=2.4%
三菱UFJ :総資産=307兆円 (世界第5位 2017年S&P G.M.Iによる)
2018年の中国の名目GDPは1,474兆円で、4銀行の総資産は1,499兆円もあります。 中国観光客の爆買いが話題になりますが、日常は贅沢をしないで、せっせと貯蓄しているのでしょうか? (昔の日本の様に!)
習近平は、近年、外貨の流出を抑える政策を始めていますから、銀行に集まった金は、国内の企業に投資する事になります。 習近平はさらに、内外から疑いの目で見られていた各市中銀行の公表数値を、正確な値にさせるための銀行改革を始めている様です。
世界最大にまで成長した中国工商銀行の自己資本比率は”13%”と公表されています。三菱UFJは2018年12月時点で16%でしたが、中国工商銀行が不健全とは言えない値だと思います。
【中国の民間銀行】
中国の銀行の大半は国有銀行ですが、租借地であった香港には民間銀行が多数あり、返却された後も存続しています。1999年までポルトガルの領土であったマカオにも民間銀行があるようです。
2015年に、中国政府は民間銀行の設立を推進する方針を出し、同時に外国資本が銀行に投資する規制も緩和しました。
(余談) 1985年頃に、私は香港上海銀行の本社ビル(?)新築工事に機械を納入しました。香港が1997年に返還された後、国営銀行になるのか?注目してい来ましたが、現在でも民間銀行として存在しています。
【シャドーバンキング(影の銀行)】
2010年に中国政府が金融引き締めを行った時に、地方政府が所轄の投資会社に高利(10%ほど)で金融商品を発行させ、得た金で開発を行ったのが、シャドーバンキングの始めの様です。その総額は300兆円とも1,000兆円とも言われています。公表されていませんが、巨額の金が回収不能になっているようです。
”影の銀行”だから銀行は無関係の様に思えますが、実際は”深く深く”銀行が絡んでいるのです。本来はやってはいけない方法で、各銀行は金を流したのです。
習近平は、シャドーバンキングの圧縮を始めています。銀行、国有企業、個人投資家、地方政府が関係しているために、何年も掛けてユックリと対応して行くのだと思います。(習近平は早く治すべき病気には即効性の薬を使用しますが、副作用の激しい薬は無理やり使用するのでは無くユックリと効く薬を与えるのです。) なお、シャドーバンキングには外国の企業や投資家は関与していない様です。
【個人の借金】
昔は、倹約が美徳で”せっせと”貯蓄していましたが、中国の現在の若者は貯蓄しなくなっています。ローンの返済に困っても、一人っ子ですから親か祖父母に助けてもらえるわけです。
日本のサラ金に相当するのが”ピア・ツー・ピア(P2P)金融”で、金利は20%程度の様ですが、40%のも有る様です。公表されていませんが、総額で400兆円と言う予想も有ります。日本政府はサラ金を長く放置していましたが、習近平は近年対策に乗り出している様です。
中国ではキャッシュレス化(スマホ決済)が進んできており、個人情報の保護も無いため、色々な金融機関から借金しても、データが集められ個人の借金総額が把握出来る様になります。返済が滞ると、情報が各金融機関に流れ追加の借金が出来なくなります。
ネット通販の巨大企業に成長したアリババ(阿里巴巴)が運営している決済システムの”アリペイ”では、会員の信用度のランク付け(350~950点で判定)を行っており、点数が低いと制約を受け、逆に高得点だと優遇される様です。(自分の得点はスマホで見れる様です。) 真面目に働いている中国人はより高得点を得ようと、努力する様になると思います。
「個人の借金が焦げ付いて中国経済は破綻する」と言う人がいましたが、P2P金融の圧縮とスマホ決済システムが効果を発揮して、韓国の様には大きな問題にならずに、乗り越えられるのではと私は見ています。
(余談) アリババの筆頭株主はアメリカのソフトバンク(株式の29%)で次がYahoo!(15%)です。孫正義氏と密接な関係があります。Yahoo!が”アリペイ”のシステムを導入したら、怖いですね!
(余談) 日本では、賃貸アパートに入居する場合、家賃保証会社に加入させられるケースが増えて来ています。家賃を滞納して強制執行になった(追い出された)場合は、その情報が他の家賃保証会社に流れて、新たな契約が難しくなっています。”アリペイ”のやり方が、すでに導入されているのです。
【中国の保険会社】
中国の保険会社は近年急激に成長しています。人口や物流が多いいことを考えると、さらに成長すると思われます。
2017年の総資産を下に示します。中国平安保険会社の総資産はすでに"かんぽ生命”を超えています。
★ 中国平安保険会社 :資産総額 81兆円 上場会社
★ 中国人寿保険 :資産総額 42兆円 上場会社 (生命保険が主)
★ 中国人民財産保険 :資産総額 12兆円 上場会社
◎ かんぽ生命 :資産総額 76兆円
◎ 日本生命 :資産総額 64兆円
【中国の証券取引所】
現在中国には、3か所に証券取引所があります。香港の取引所は外国人にも門戸が開放されています。他の2か所は中国人用ですが、外国機関投資家や外国人投資家が売買出来る株もあります。
中国の国有企業も株式を発行する様になって来ていますので、証券取引所の取り扱い金額は巨額になって来ると予想されます。(私は責任は持ちませんが)国有企業の公表される経営数値が透明で/正確だと考えられる様になれば、中国企業の株価はもっと高くなるのでは?と思います。
★ 香港証券取引所 :外国人も取引出来る。
★ 上海証券取引所
★ 深セン証券取引所
【中国の証券会社】
中国の証券会社はまだ世界的な大企業には成長していません。証券会社の特異な点は、平均給与が異常に高く、会社によって格差が大きい(500万円~2,000万円)ことです。(平均給与が2,000万円! どんな会社なんでしょうか?)