今回は、中国の軍隊について考えて見ました。習近平は国防予算を増やして、組織を改革し、装備の近代化を進めています。将来、米軍に対抗出来る軍隊になると思われます。すでに、周辺の国が、数か国纏まっても対抗出来なく無くなっています。
【中国の侵略】
ソビエトは、第二次世界大戦で広大な領土を獲得し、それを維持するためと、西側諸国との対陣の為に軍備増強に注力しました。 共産中国は建国後、清朝から独立した国の併合と、清朝末期に帝政ロシアに奪われた領土の回復のために、軍事行動をしました。
『ファーウェイの問題(その2)』で述べた様に、内モンゴール、ウイグル及びチベットには膨大な地下資源が眠っていたので、侵略は大成功だったのです。 そのため、中国は十九世紀の植民地時代の(弱小国を武力で手に入れる)考え方を放棄する必要がないのです。
清国の東の端は樺太で、ウラジオストクの北方も清国の領土でした。その広大な領土を、帝政ロシアが奪ったのです。 江沢民の時代に、ほぼ中ソの国境線は確定しました。習近平は、江沢民を「広大な国土を譲りわたした国賊だ」と言っている様で、ロシアに内紛が起こったら奪還を図る可能性があります。
中国の新聞が、清国に朝貢していた国(属国)の一部を、『我が領土である」と主張しています。その中に沖縄が含まれています。 属国で現在独立しているのは、ベトナム、ミャンマー、タイ、ネパール、ブータン、朝鮮半島等々・・・。 中国は、”痛い目”に遭うまで、領土拡張の夢を捨てないと思われます。
★ 東トルキスタン共和国併合 : 1946年 ⇒ウイグル自治区
★ 朝鮮戦争 : 1950年
★ チベット併合 : 1951年 ⇒チベット自治区
★ 中印紛争 : 1962年 カシミール地方に侵攻 ・・・現在も係争中
★ 中ソ国境紛争 : 1969年 ダマンスキー島事件(珍宝島事件)など
★ ベトナム領西沙諸島に侵攻 : 1974年 ⇒占領
★ ベトナム侵攻 : 1979年 ・・・失敗して撤退
★ 南沙諸島の領有権を主張 : 1992年
(余談) 樺太は清国の領土だった⇒帝政ロシアが奪い取り⇒日露戦争で日本へ⇒日本の敗戦でソビエトへ
【中国の軍隊】 中国人民解放軍
共産党の紅軍が、蒋介石の国民党軍を台湾に追い出して、1949年に中華人民共和国を建国しました。当時の兵力は400万人で、(戦艦を所有する部隊が有りましたが、)ほぼ陸軍でした。毛沢東は台湾に侵攻するために、建国の年に海軍と空軍を創設しました。
中国の軍隊は今でも共産党の下にあります。 中国の軍事組織には、人民解放軍、武装警察部隊と民兵があります。
武装警察部隊は、平時は警察の仕事をしていますが、事ある時は人民解放軍の指揮下に入る事になっています。 尖閣諸島で問題になる”海警局”は、武装警察部隊の下部組織です。日本の海上保安庁とは違って、海上交通安全業務や海上捜索救助業務は行っていません。(これらの業務は、交通運輸部の担当です。)
”民兵”は、全国的な組織では無く、地方政府が管理しています。 隊員はそれぞれ職についていて、軍事訓練を受けています。昔は、3,000万人もいた様ですが、2004年には1,000万人,2011年には800万人まで減らしました。人民解放軍を退役した人達の、受け皿の一つになっています。
① 人民解放軍 : 約230万人
② 人民解放軍の予備役 :人数などは公表されていない様です。
③ 武装警察部隊 : 66万人
④ 民兵 : 全国組織ではなく、地方の管轄 2011年の発表では800万人
【中国人民解放軍】
中国人民解放軍は、陸海空の他に、2015年にロッケット軍(兵力10万人以上)が独立しました。 数万人規模の”特殊部隊”も存在する様です。 国防予算(2018年:18.5兆円)は年々増加している様ですが、兵員数は減少しています。特に、かってはエリート集団だった陸軍の兵員数は、(民兵も含めて)大幅に削減されています。
ロンドン大学のステュプルス教授が2018年に発表した所によると、中国では通信/信号傍受等々に20万人以上が投入され、国防予算の10%程度を廻しているそうです。 アメリカのお家芸だった通信/信号傍受の分野でも、中国は肩を並べ様としているのです。 (レーザー情報は軍事機密のはずです。 韓国が自衛隊機にレーザーを照射した問題ですが、『平時にレーザー情報を与えた』と言う重大な問題だったと私は思います。)
中国は徴兵制です。人口が多いい割に兵員数(約230万人?)が少ないために、応募兵(志願兵)だけで十分な様です。前稿で述べました”農村戸籍”の人達は、所得が少なく、移動の自由が制限されている為に、募集に応じるのです。競争が激しく、賄賂が横行しているとの噂もあります。 習近平は、軍人や退役軍人の特権を削減しようとしていますから、豊かな地域の人達にとって軍人になる事は魅力が無くなるでしょう。 兵隊の出身地が極端に偏ってくると、何か問題が発生しそうに思われます。
【紅軍のビジネス】
中国共産党が軍隊(紅軍)を持ったのは、1927年です。それ以来、長い間戦い続けました。 共産党は最初から領地を持っていたわけでは有りません。 占領(解放)した地域の農地を小作人に与えて税を取り立てましたが、もっと戦費が必要です。自分たちで稼ぐ必要が有ったので、商売もやったのです。
軍隊がビジネスをする慣例は、建国後も続いてきました。例えば、土木工事を軍が請け負う、豚や牛を飼育して一部を販売する等々。 2018年になって、習近平が軍隊のビジネスを禁止する命令を出しました。
【軍隊の腐敗】
中国では賄賂が常態化している様ですが、軍隊も例外ではありません。 金で民間人の夫婦が将官になり、バレテ逮捕されたと言う記事を読んだことが有ります。募集兵になるために、賄賂を要求される事も多々ある様です。
軍隊の”ビジネス”で得た金を、将官達の懐に入れる腐敗も横行していた様です。巨額の蓄財をして逮捕された将官の記事が、多数インターネット上に流れています。「腐敗に満ちた軍隊ならそんなに恐れなくても良いが、日本の自衛隊の様に清廉潔白な軍隊になったら大変だ!」と私は考えています。
現金を使用しないキャッシュレス化が急激に進んでいますが、さらに進んだら、現金以外に何を渡す様になるのでしょうか? ほんとか?嘘か?知りませんが、中国の”乞食”はスマホでお金を頂くそうです。 スマホでのお金の遣り取りでは、証拠が残ってしまいます。 キャッシュレス化は、賄賂の問題に多少は効果が有るかも知れません。
【退役軍人の問題】
2018年時点で、退役軍人が5,700万人いて、毎年数十万人増加している様です。退役後の処遇や手当に不満があり、習近平が腐敗撲滅の運動で高級将校を多数摘発したこと、共産軍設立以来の派閥/伝統にとらわれない習近平の軍制改革に対する不満等々で、近年全国各地で退役軍人のデモが発生しているのです。
市民や学生のデモとは違って、元将官の指揮下での隊列を組んだデモであり、取り締まる側の”武装警察部隊”の隊員は将来退役軍人になるわけですから、難しい問題です。「運動が激しくなって共産党が崩壊する」と言う人がいましたが、「共産党有っての退役軍人です」から適当な所で妥協するでしょう。 ただし、元将官達が手を引いて、下級退役軍人達だけの運動になったら、分かりません。
【江沢民と国境問題】 国家主席:1993年~2003年
鄧小平が引退した後、1993年から江沢民が中国のトップになりました。 改革開放政策をさらに進めて、中国を”世界の工場”にしたのです。 江沢民は外交にも注力して、近隣諸国との国境線を確定して行きました。
鄧小平の時代から、ソビエト及びロシアとの国境線を確定する交渉をして、2001年に”中露善隣友好協力条約”を締結しました。 交渉の過程で、344万平方キロ(日本の面積の9倍以上)をロシアに譲ったと言われています。将来、中ロ間で国境紛争が起こる可能性は高いと私は見ています。
中国は、14か国と国境を接していて、国境線の総延長は22万キロメートルもあります。 まだ国境紛争が続いているのは、インド、ブータン、パキスタンの3か国です。 ベトナムとは2000年に、陸上及び海上の国境線について一応の協定が結ばれましたが、まだ南沙・西沙諸島の問題が残っています。
【その後の問題】
日本とは尖閣諸島の問題が有ります。 台湾は、尖閣諸島周辺で昔から漁業をして来たのだから、我々の物だと主張しています。 中国は、『台湾は我々の領土だから台湾の物は我々の物だ』と言い、さらに『そもそも、沖縄は中国の属国だったので、我々の物だ』とも近年は主張しています。 韓国は、この中国の主張を支持している様ですが、朝鮮半島は大昔から中国の属国だったのですが!(2012年、中韓ロによる”東アジアにおける安全保障と協力会議”)
ソビエトから独立したタジキスタンは資源の無い、貧しい国です。 2011年に中国に1,000平方キロメートルの土地を譲って、国境を画定しました。 然し、2017年に習近平は27,000平方キロメートル(タジキスタンの国土の約20%)を寄越せと言い出しました。 人口が1千万人も満たない小国ですから、中国軍が攻め込んだら一溜まりもなく、併合されてしまうでしょう!
【習近平の軍事改革と世界戦略】
各種報道で、習近平が近年国防予算を増額していると報じています。 単なる増額では無くて、費用対効果を良く考えた戦略的な予算配分をしている様に見えます。 空母、各種艦艇、ステルス戦闘機、ステルス爆撃機,各種ミサイル、軍需用アンテナ等々の開発と実戦配備をしています。現在すでに、ハイテク兵器の開発分野で中国と競争出来る国は、アメリカとロシア以外には有りません。
軍備を増強して、世界の警察になる考えは全くないと思われます。経済的に貧しい国に,金の力で用地を提供させて軍事基地を設けています。アメリカに対抗する、世界の軍事大国化を狙っているのです。
長期的な展望で考えれば、世界の安定/平和は中国にとっても好ましいと思われます。然し、中国が影響力を高める過程では、後進国の混乱/内戦は都合が良いと考えているのでは? 資源の少ない国の混乱を抑える国連の活動に、中国が積極的に参加するとは思えません。ベネズエラの様に資源が豊富な国の混乱は、中国にとっては大歓迎だと思われます。
中国の経済発展と軍備拡張は、局地的な紛争/内乱を新たに発生させたり、長期化させる恐れがあります。 近年、EU諸国は経済的に中国との関係が深くなっていますが、地理的に遠いからと言って、安易な関係を続けていると将来思い知らされる事になるでしょう。ロシアも世界の混乱に乗じて、武器輸出で稼いでいますが、経済力では既に中国とは大きな差が有りますから、近年中に武器の価格競争では太刀打ち出来なくなると思われます。
【中国の侵略】
ソビエトは、第二次世界大戦で広大な領土を獲得し、それを維持するためと、西側諸国との対陣の為に軍備増強に注力しました。 共産中国は建国後、清朝から独立した国の併合と、清朝末期に帝政ロシアに奪われた領土の回復のために、軍事行動をしました。
『ファーウェイの問題(その2)』で述べた様に、内モンゴール、ウイグル及びチベットには膨大な地下資源が眠っていたので、侵略は大成功だったのです。 そのため、中国は十九世紀の植民地時代の(弱小国を武力で手に入れる)考え方を放棄する必要がないのです。
清国の東の端は樺太で、ウラジオストクの北方も清国の領土でした。その広大な領土を、帝政ロシアが奪ったのです。 江沢民の時代に、ほぼ中ソの国境線は確定しました。習近平は、江沢民を「広大な国土を譲りわたした国賊だ」と言っている様で、ロシアに内紛が起こったら奪還を図る可能性があります。
中国の新聞が、清国に朝貢していた国(属国)の一部を、『我が領土である」と主張しています。その中に沖縄が含まれています。 属国で現在独立しているのは、ベトナム、ミャンマー、タイ、ネパール、ブータン、朝鮮半島等々・・・。 中国は、”痛い目”に遭うまで、領土拡張の夢を捨てないと思われます。
★ 東トルキスタン共和国併合 : 1946年 ⇒ウイグル自治区
★ 朝鮮戦争 : 1950年
★ チベット併合 : 1951年 ⇒チベット自治区
★ 中印紛争 : 1962年 カシミール地方に侵攻 ・・・現在も係争中
★ 中ソ国境紛争 : 1969年 ダマンスキー島事件(珍宝島事件)など
★ ベトナム領西沙諸島に侵攻 : 1974年 ⇒占領
★ ベトナム侵攻 : 1979年 ・・・失敗して撤退
★ 南沙諸島の領有権を主張 : 1992年
(余談) 樺太は清国の領土だった⇒帝政ロシアが奪い取り⇒日露戦争で日本へ⇒日本の敗戦でソビエトへ
【中国の軍隊】 中国人民解放軍
共産党の紅軍が、蒋介石の国民党軍を台湾に追い出して、1949年に中華人民共和国を建国しました。当時の兵力は400万人で、(戦艦を所有する部隊が有りましたが、)ほぼ陸軍でした。毛沢東は台湾に侵攻するために、建国の年に海軍と空軍を創設しました。
中国の軍隊は今でも共産党の下にあります。 中国の軍事組織には、人民解放軍、武装警察部隊と民兵があります。
武装警察部隊は、平時は警察の仕事をしていますが、事ある時は人民解放軍の指揮下に入る事になっています。 尖閣諸島で問題になる”海警局”は、武装警察部隊の下部組織です。日本の海上保安庁とは違って、海上交通安全業務や海上捜索救助業務は行っていません。(これらの業務は、交通運輸部の担当です。)
”民兵”は、全国的な組織では無く、地方政府が管理しています。 隊員はそれぞれ職についていて、軍事訓練を受けています。昔は、3,000万人もいた様ですが、2004年には1,000万人,2011年には800万人まで減らしました。人民解放軍を退役した人達の、受け皿の一つになっています。
① 人民解放軍 : 約230万人
② 人民解放軍の予備役 :人数などは公表されていない様です。
③ 武装警察部隊 : 66万人
④ 民兵 : 全国組織ではなく、地方の管轄 2011年の発表では800万人
【中国人民解放軍】
中国人民解放軍は、陸海空の他に、2015年にロッケット軍(兵力10万人以上)が独立しました。 数万人規模の”特殊部隊”も存在する様です。 国防予算(2018年:18.5兆円)は年々増加している様ですが、兵員数は減少しています。特に、かってはエリート集団だった陸軍の兵員数は、(民兵も含めて)大幅に削減されています。
ロンドン大学のステュプルス教授が2018年に発表した所によると、中国では通信/信号傍受等々に20万人以上が投入され、国防予算の10%程度を廻しているそうです。 アメリカのお家芸だった通信/信号傍受の分野でも、中国は肩を並べ様としているのです。 (レーザー情報は軍事機密のはずです。 韓国が自衛隊機にレーザーを照射した問題ですが、『平時にレーザー情報を与えた』と言う重大な問題だったと私は思います。)
中国は徴兵制です。人口が多いい割に兵員数(約230万人?)が少ないために、応募兵(志願兵)だけで十分な様です。前稿で述べました”農村戸籍”の人達は、所得が少なく、移動の自由が制限されている為に、募集に応じるのです。競争が激しく、賄賂が横行しているとの噂もあります。 習近平は、軍人や退役軍人の特権を削減しようとしていますから、豊かな地域の人達にとって軍人になる事は魅力が無くなるでしょう。 兵隊の出身地が極端に偏ってくると、何か問題が発生しそうに思われます。
【紅軍のビジネス】
中国共産党が軍隊(紅軍)を持ったのは、1927年です。それ以来、長い間戦い続けました。 共産党は最初から領地を持っていたわけでは有りません。 占領(解放)した地域の農地を小作人に与えて税を取り立てましたが、もっと戦費が必要です。自分たちで稼ぐ必要が有ったので、商売もやったのです。
軍隊がビジネスをする慣例は、建国後も続いてきました。例えば、土木工事を軍が請け負う、豚や牛を飼育して一部を販売する等々。 2018年になって、習近平が軍隊のビジネスを禁止する命令を出しました。
【軍隊の腐敗】
中国では賄賂が常態化している様ですが、軍隊も例外ではありません。 金で民間人の夫婦が将官になり、バレテ逮捕されたと言う記事を読んだことが有ります。募集兵になるために、賄賂を要求される事も多々ある様です。
軍隊の”ビジネス”で得た金を、将官達の懐に入れる腐敗も横行していた様です。巨額の蓄財をして逮捕された将官の記事が、多数インターネット上に流れています。「腐敗に満ちた軍隊ならそんなに恐れなくても良いが、日本の自衛隊の様に清廉潔白な軍隊になったら大変だ!」と私は考えています。
現金を使用しないキャッシュレス化が急激に進んでいますが、さらに進んだら、現金以外に何を渡す様になるのでしょうか? ほんとか?嘘か?知りませんが、中国の”乞食”はスマホでお金を頂くそうです。 スマホでのお金の遣り取りでは、証拠が残ってしまいます。 キャッシュレス化は、賄賂の問題に多少は効果が有るかも知れません。
【退役軍人の問題】
2018年時点で、退役軍人が5,700万人いて、毎年数十万人増加している様です。退役後の処遇や手当に不満があり、習近平が腐敗撲滅の運動で高級将校を多数摘発したこと、共産軍設立以来の派閥/伝統にとらわれない習近平の軍制改革に対する不満等々で、近年全国各地で退役軍人のデモが発生しているのです。
市民や学生のデモとは違って、元将官の指揮下での隊列を組んだデモであり、取り締まる側の”武装警察部隊”の隊員は将来退役軍人になるわけですから、難しい問題です。「運動が激しくなって共産党が崩壊する」と言う人がいましたが、「共産党有っての退役軍人です」から適当な所で妥協するでしょう。 ただし、元将官達が手を引いて、下級退役軍人達だけの運動になったら、分かりません。
【江沢民と国境問題】 国家主席:1993年~2003年
鄧小平が引退した後、1993年から江沢民が中国のトップになりました。 改革開放政策をさらに進めて、中国を”世界の工場”にしたのです。 江沢民は外交にも注力して、近隣諸国との国境線を確定して行きました。
鄧小平の時代から、ソビエト及びロシアとの国境線を確定する交渉をして、2001年に”中露善隣友好協力条約”を締結しました。 交渉の過程で、344万平方キロ(日本の面積の9倍以上)をロシアに譲ったと言われています。将来、中ロ間で国境紛争が起こる可能性は高いと私は見ています。
中国は、14か国と国境を接していて、国境線の総延長は22万キロメートルもあります。 まだ国境紛争が続いているのは、インド、ブータン、パキスタンの3か国です。 ベトナムとは2000年に、陸上及び海上の国境線について一応の協定が結ばれましたが、まだ南沙・西沙諸島の問題が残っています。
【その後の問題】
日本とは尖閣諸島の問題が有ります。 台湾は、尖閣諸島周辺で昔から漁業をして来たのだから、我々の物だと主張しています。 中国は、『台湾は我々の領土だから台湾の物は我々の物だ』と言い、さらに『そもそも、沖縄は中国の属国だったので、我々の物だ』とも近年は主張しています。 韓国は、この中国の主張を支持している様ですが、朝鮮半島は大昔から中国の属国だったのですが!(2012年、中韓ロによる”東アジアにおける安全保障と協力会議”)
ソビエトから独立したタジキスタンは資源の無い、貧しい国です。 2011年に中国に1,000平方キロメートルの土地を譲って、国境を画定しました。 然し、2017年に習近平は27,000平方キロメートル(タジキスタンの国土の約20%)を寄越せと言い出しました。 人口が1千万人も満たない小国ですから、中国軍が攻め込んだら一溜まりもなく、併合されてしまうでしょう!
【習近平の軍事改革と世界戦略】
各種報道で、習近平が近年国防予算を増額していると報じています。 単なる増額では無くて、費用対効果を良く考えた戦略的な予算配分をしている様に見えます。 空母、各種艦艇、ステルス戦闘機、ステルス爆撃機,各種ミサイル、軍需用アンテナ等々の開発と実戦配備をしています。現在すでに、ハイテク兵器の開発分野で中国と競争出来る国は、アメリカとロシア以外には有りません。
軍備を増強して、世界の警察になる考えは全くないと思われます。経済的に貧しい国に,金の力で用地を提供させて軍事基地を設けています。アメリカに対抗する、世界の軍事大国化を狙っているのです。
長期的な展望で考えれば、世界の安定/平和は中国にとっても好ましいと思われます。然し、中国が影響力を高める過程では、後進国の混乱/内戦は都合が良いと考えているのでは? 資源の少ない国の混乱を抑える国連の活動に、中国が積極的に参加するとは思えません。ベネズエラの様に資源が豊富な国の混乱は、中国にとっては大歓迎だと思われます。
中国の経済発展と軍備拡張は、局地的な紛争/内乱を新たに発生させたり、長期化させる恐れがあります。 近年、EU諸国は経済的に中国との関係が深くなっていますが、地理的に遠いからと言って、安易な関係を続けていると将来思い知らされる事になるでしょう。ロシアも世界の混乱に乗じて、武器輸出で稼いでいますが、経済力では既に中国とは大きな差が有りますから、近年中に武器の価格競争では太刀打ち出来なくなると思われます。