あるいて・みつける

歩く速さで見つけたものを、記録に残していきます。ゆっくりと歩けば、いろいろなものが見えてきます。

SMC Takumar 35mmF2

2018-06-04 08:14:19 | タクマー・レンズ
タクマー・レンズの中では、飛び切り多くのトリウムが使われているアトム・レンズで、黄変というかまっ茶色になったレンズを良く見かけます。黄変が始まると中古価格がいきなり安くなってしまったレンズでもあり、現在でもかわいそうな感じの値札が付けられています。よくスーパータクマー50mmF1.4の放射線量が話題になりますが、それの上を行くのが35mmF2のレンズで、黄変はそう簡単になくなりません。

しかし、個体によってはトリウム含有量が少ないものもあるようで、黄変度合いが少ないレンズは、今でも価格が高い様です。簡易型の放射線量計で計測すると、レンズ後端付近で3マイクロシーベルト位はあります。それでも1年中肌身離さず付けていれば何かおかしなことになると思いますが、現実その様なことはしないので、X線の健康診断よりははるかにましと考えて使っています。

しかし、トリウムレンズを嫌がると、スーパータクマー35mmF2の前期型バージョンになります。探してもなかなか見つからない上に、大型のレンズで価格も飛び切り高くなります。何回か購入しようと思いましたが、何しろ中古品を探しても見つからない希少さと、見つかっても飛び切り高いので、AWBの効いたディジタル一眼レフ・カメラで撮影すれば問題も発生しませんので、今は購入しないでいます。

35mmF2レンズは、広角レンズなのにかなり柔らかなぼけ味が得られますから、探される方も多いと感じています。パキパキできっちりと写す35mmF3.5のレンズと比べて、少し柔らかめで大きなぼけ味となるF2レンズは、昔から垂涎の的でした。黄変さえなければといった感じですが、トリウム・レンズを使わないとスーパータクマー35mmF2前期型の様な大きさになってしまいます。

コンパクトでF2のぼけ味が得られますので、SMCタクマー35mmF2もかなり作られたのではないかと考えています。今となってみれば昼間に撮影しても夕方のように写ってしまいますから、あえてこのレンズといった感じではなくなって来ています。しかし、ディジタル一眼レフ・カメラの出現で、AWBが効きますからファインダー像が夕方になるだけで、実写像はまともな感じになります。

それでもコンパクト性を優先したおかげで、写りにも少し無理が感じられます。ぐるぐるボケが出てきますので、F5.6くらいまで絞り込むことも必要ですし、背景にあまりざわついたものを持ってこない工夫も必要です。そうなってくるとSMCタクマー35mmF3.5の写りとも一緒になってくるわけで、あまりメリットを感じなくなってしまいます。

背景にあまりざわついたものが少ない場合は、このレンズの持ち味を最大限に活かすことが出来ますので、広角レンズの特徴と柔らかな後ボケを愉しむことが出来ます。初夏になる前までは生えている草もあまり目立ちませんので、積極的にF2レンズを持ち出すことで優雅なボケ味を楽しめます。

広角レンズらしく、ある程度被写界深度の深さを持っていますので、少し大振りな花をきれいに写しこみたい時に威力を発揮します。今回は初夏の花が咲き始めましたので、花全体にピントを合わせながら、背景から花を浮かび上がらせます。このような芸当が出来るのも35mm大口径レンズのなせる業で、多少画像は甘くなりますが今回の撮影でも満足の行くカットが得られました。

それでは、先月中旬に撮影した写真から掲載します。

tessen
PENTAX K-5 SMC Takumar 35mmF2
撮影データ:1/320sec F5.6 ISO100
庭のてっせんの花も満開になっています。35mm大口径レンズらしく、後ボケも柔らかくて立体感も良く出てきます。AWBのおかげで色合いも見たままに出せています。
コメント
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