MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

息をのむ

2013-11-16 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

11/16 私の音楽仲間 (534) ~ 私の室内楽仲間たち (507)



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                    息をのむ
                  憐れみたまえ

                 室内楽で Viola




      Lacrimosa dies illa

      Qua resurget ex favilla

      Judicandus homo reus.



      涙の枯れぬ その日には

      起き上がるよ 焼けた灰から

      裁きの場へと 罪ある者が。  (拙訳)




 第8曲は Lacrimosa。 ただし、Mozart が “参加” したの
は、上の歌詞の部分まで。 最初の8小節間だけです。



 その先は、ズュ―スマイアが懸命に補い、30小節から成る曲
を作りました。 全体は、なかなかの出来栄えではある。

 しかし、最初の8小節がもたらす感銘は、やはり圧倒的です。
聞き終わっても、この冒頭部分しか、私の場合は記憶に残って
いないのです。




 さて、今回は弦楽器用の編曲版ですから、もちろん
歌詞がありません。 各パートは、原曲のあちこちの
動きを拾い集めながら、作られている。

 Viola だけ見ても様々です。 Violin、チェロ、バセット
-ホルン、トロンボーン。 声のパートでは、独唱バス、
合唱アルト、合唱テナー…。



 どのパートも、音域が原曲よりオクターヴ上になること
があります。 すべてを四声部に減じて表現するのです
から、それは止むを得ない。

 そうでもしなければ、有り余る制約を乗り越えられず、
原曲の感動に近づくことは出来ないでしょう。 編曲者
リヒテンタールの苦労が、しのばれます。




 しかし物事は、本当に難しい…。

 “良かれ” と思って断行した改変が、
裏目に出ることもあるからです。




 [譜例 1]は、曲の冒頭。 原曲のスコアで、弦楽器
と合唱の部分だけをご覧いただいています。

 3小節目からは、合唱が加わります。







                          Lacrimosa dies illa

                         涙の枯れぬ その日




 [譜例 2]は、編曲版の Viola パート。 音程など、細かい
事柄は抜きにして、後半の二段目だけをご覧ください。

 それも、音符の長さだけ。



 二段目は、ほとんどが付点四分音符。 そして最後だけ、
細かい動きに変わります。

 今回の記事で扱う問題点は、このことだけです。







 演奏例の音源]は原曲ではなく、編曲版のほうです。




 さて、この編曲版での改変は、音域だけではない。
音符の長さまで、変更されていました。

 [譜例 3]は、原曲の5~8小節です。 二段目を、
上の譜例と見比べてください。




     ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑



 (1) 原曲の5、6小節目は、休符が頻繁にある。 特に
合唱部分では、歌詞が切れ切れになっています。

 しかし編曲版では、これが長い音符に変わり、切れ目の
無い歌になってしまった。



 (2) 続く7、8小節目は、原曲でも “長音符” が現われる。
編曲版では前から続いていますが、違うのは最後の小節。
原曲の “長音符” は、“細かい音符で反復” されている。

 こうすれば、弦楽器は弓を頻繁に返せます。 したがって、
音量が出やすくなる。 「四つの楽器、四つの声部しか無い」
…という “非力ぶり” も、少しは解消できます。




 ところが、歌詞との関係を見てみましょう。 問題は
それほど単純でないことが解ります。

 小節ごとに歌詞をご覧いただくと、次のとおりです。



 5、6小節目  Qua resurget ex favilla

          起き上がるよ 焼けた灰から

 7、8小節目  Judicandus homo reus.

          裁きの場へと 罪ある者が。

 (この拙訳は、ほぼ逐語訳になっています。)







 原曲で切れ切れになっているのは、この譜例の
前半です。 「おずおずと身をもたげる」…。

 でも、一体誰が? 聴き手が目を見張り、息を
飲むような光景が、巧みに表現されています。



 それに引き換え、7、8小節目のドラマチックな
帰結はどうでしょうか。 起き上がるのは死者で、
これから審判の場へ向かうというのです。

 それまでの休符は無くなり、クレシェンドと共に、
一気に頂点へ!



 オペラ作家としての Mozart。 その手腕は、この
僅か8小節間でも示されているのではないでしょう
か。 題材となった歌詞は、典礼文の “ありふれた”
とも言える一節なのです。



 涙を誘われずして聞けない、この “Lacrimosa”。
単語の意味は、まさに “涙が一杯の” です。

 それまでの誰が、いや、その後の誰が、これを
超える “Lacrimosa” を残したでしょうか?




       [レクィエム 音源ページ



うろたえて

2013-11-14 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

11/14 私の音楽仲間 (533) ~ 私の室内楽仲間たち (506)



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                 室内楽で Viola




 引き続き、Mozart の レクィエム、その編曲版です。

 第7曲は、Confutatis maledictis。 もちろん
ラテン語の題名です。



 [譜例 1]は原曲の冒頭。 合唱と弦楽器の部分
のみをご覧いただいています。

 演奏例の音源]も、ここからスタートします。







 編曲版では、2つの Violin パートが男声合唱を
担当しています。



 次の[譜例 2]は 15小節目からの様子で、私が
受け持った Viola パートです。







 (1) 弦楽器全員の、同じ動き。

 (2) トロンボーン、(3) バセット-ホルン を経由して、

 (4) 2つの Violin のユニゾンを、一手に引き受けています。
   Violin さんたちは、ここでは女声合唱に回っている。

 (5) Violins、Viola が鳴らす3つの音を部分的に受け持つ。
   Vn.Ⅰ は、ここでも合唱を担当しています。




 さて、今回の記事の題名は 『うろたえて』 ですね。

 「ははあ。 曲をよく知らないものだから、演奏ぶり
が不安なんだな?」



 そう貴方がお考えになっても、無理はありません。 事実、
そのとおりですから。

 でも今回ばかりは、そうとばかりは言えないようなのです。




 今回の “Confutatis” ですが、解説書によっては 呪われた
、あるいは 呪われ、退けられた者たちが呪われた
者たちが退けられ
…などと記されています。

 どれも一見、もっともそうなのですが…。



 ところでこの単語、英語の “confused” に似ていませんか?
“混乱した”、“困惑した”…という、あれです。




 さて、私はラテン語の知識など、ゼロに等しいのですが、
いくら辞書を引き、また検索しても、“呪われて” なる語句
には行き当りません。

 “退けられて” も、ほぼ同様です。 これ、意味不明…。



 ただし “Confutatis maledictis” の後者のほうは、
“呪われて” と訳せなくもありません。

 接頭辞や接尾辞が二つ。 “mal” は “悪く”、
“dict” は “言われた” の意味だからですね。



 しかし前者を差し置いて、“呪われて” を題名
にするのは、おかしくはないか。

 識者のかたがたは、どうお考えでしょうか?



 では、この “Confutatis” は、一体どういう意味なのか?
いくら検索を続けても、結果は同じようなものでした。

 審判を受けた者は誹謗され呪われ、弁解の口
を封じられた者たちに
…となると、混迷の度は深まる
ばかりです。



 “Confused”…。




 仕方なしに、英語で検索したときのこと。

 English Translation of Mozart's Requiemなる
ページに、以下の英訳文があるのを目にしました。




   1 Confutatis maledictis,
   2 flammis acribus addictis,
   3 voca me cum benedictus.

   4 Oro supplex et acclinis,
   5 cor contritum quasi cinis,
   6 gere curam mei finis.



   1 When the accused are confounded,
   2 and doomed to flames of woe,
   3 call me among the blessed.

   4 I kneel with submissive heart,
   5 my contrition is like ashes,
   6 help me in my final condition.




   1 罪ある者 うろたえ
   2 紅蓮の炎に 包まれるとき
   3 祝福される側に 我を置きたまえ。

   4 跪きひれ伏す 我が心の
   5 砕かれし様 灰の如し
   6 最期に臨みて 守りたまえ。  (拙訳)



 1、2は、容赦の無い厳しいリズムと、男声合唱。

 3 は Viola の優しい歌と、女声合唱。

 4~6は、16分音符が切れ切れに喘ぎながら、
神秘的な転調が続く箇所です。







 同じ演奏例の音源]です。




 さて、英訳文自体が正確かどうか。 今の私には解りません。
詳しいかたから、ぜひご教示いただければ幸いです。

 しかし、もしそれが正しければ…。 “Confutatis maledictis”
を直訳すると、“告発された者たちは狼狽し”、“罪に問われて
うろたえ”…となります。




 とにかく、“Confutatis” が “呪われて” でないことは確か
です。 曲の題名としては相応しくない。



 また、“maledictis” を “誹謗、中傷され”、あるいは
“呪われて” と訳すことも、可能ではあります。

 しかし “炎に包まれる” のは、最後の審判の結果
ですね。 それならば、“告発され”、“罪に問われ”
…のほうが自然ではないでしょうか。




 いずれにせよ、10人足らずの私たちは、まだ演奏を
続けなければなりません。

 厳しい耳を持った貴方に、今後も罪を問われながら。




        [レクィエム 音源ページ



最後の審判

2013-11-13 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

11/13 私の音楽仲間 (532) ~ 私の室内楽仲間たち (505)



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                 室内楽で Viola




 譜例は、Mozart の レクィエム から Tuba mirum、その
冒頭です。



 前回も触れたリヒテンタールによる編曲版。 それを基にした
弦楽五重奏版から、Viola パートです。

 ただし、本来の Viola に与えられた音符は一つもありません。







 (1) トロンボーン。 ただし、原曲より1オクターヴ高く書か
   れています。

 (2) トロンボーン。 音域は同じです。

 この間でチェロが、前と同じ形を繰り返しますね。 これは
独唱バスのパートで、「奇しきラッパは鳴り響く」…と歌って
います。 “最後の審判” を告げるラッパのこと。



 (3) その “独唱バス” の続き。 音域は、原曲
   のオクターヴ上です。

 (4) Bassi。 チェロとコントラバスのことです。




 今回の演奏例の音源]は、曲の冒頭から。 ただし譜例の
最下段の途中からは、曲の最後の部分へ跳躍してしまいます。

 各パートとも、ほぼ2倍の人数で “演奏” した際のものです。



 この間には、様々な風景が見られます。

 同じテナー-トロンボーンが、Violin に化けたり。

 独唱テナーを、チェロが歌ったり。 それは譜例
の最後、(4) から後の部分に当ります。




 以上は、もちろんスコアと対照した結果です。 弟子の
Süßmayr (ズュ―スマイア) が補作したスコアのことですが。

 そして、後から録音を聞きながら、こんなことを私は書い
ている。 スコアを見るのも、これが初めてではありません。
このパート譜に接する、はるか前から、何度も。



 またオケ時代には、一応この曲は何度も経験している。

 でも、それは私の場合です。 10人近くいる、今回の仲間
たち。 事情はそれぞれ異なります。




 仲間のほとんどは、曲の存在は知りながらも、接するのは
今回が初めてと思われる。 もちろん、送られた譜面を見て、
準備してきてはいますが。

 しかし、10曲以上から成る作品の全貌を把握するのは、
パート譜だけでは不可能でしょう。 音源を何度も聴く余裕
があれば、また別の話でしょうが。



 その中で、この曲を今回提案した幹事さん。 全員に宛てて、
こんなふうに書いておられました。

 「別のかたがたと全曲試奏しました。 全員、感涙の連続。
今回の演奏が楽しみです。 … この曲を演奏しないで死ぬ
のは、はっきり申しまして、一生の大損と断言できます。(笑)



 さらに、こんなかたがたも。

 「たまたまですが、年末に本番があり、6月より1回/月の
ペースで総合練習に参加しております。 … 本番を弾くの
は10年ぶりの2回目で、この曲を弾ける機会にこの上ない
喜びを感じているものの、弾くとなると、全てが大変難しい
曲で (ことに8番の “Domine Jesu” は技術的にも至難)
四苦八苦しておりますが、今回の機会には、何とか合わ
せられるように努めたいと思います。」




 さて、今回の曲。 題名は『奇しきラッパ』。 それを奏で
るのはトロンボーン。 “天国の楽器”、“天上の音色” と
言われることもある、崇高な楽器です。

 でもここでは、それが Viola に割り当てられている…。
「どうしよう…。」 このパート譜を最初に見たときの、私
の率直な印象です。



 それに出だしは、音域が1オクターヴ高く書かれている。
明るく響いてしまうのは止むを得ない。 「困ったね。 それ
に近いイメージで弾くしかないな…。」

 “奇しきラッパ” どころか、私にとっては “恐ろしいラッパ”
です。 最後の審判には、打ってつけ。




 この譜例では、三段目が終るまで延々と続きますが、途中
からは Violin が受け継いでいます。

 これ、昔の仲間が、いつも練習していました。 オケ時代の、
トロンボーン吹きが、ステージ裏で。 まったく無関係の演奏
会の、直前の話ですが。

 それだけ難度も高く、音楽的にも意味が深いからでしょう。



 もし私が、そんな様子を見聞きしていなければ…。 音域
が本来より高かろうが、まったく無関心でいられます。

 これを、我が国では【知らぬが仏】というようです。




 前回の “イントロ” (Introitus)が不安げに聞えたとしても、
無理はありませんね…。 “手探り” で弾いている仲間が
大半だから。

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 その意味でも、編曲者リヒテンタールの功績は偉大です。
そんな様々な私たちに、Mozart の世界の一端を体験させ
てくれるのですから。




 それに、これは “最後の審判” ではない。 誰しも “初めて”
ということがあるのは、なにも “合奏の場” に限りません。

 演奏の場、その一つ一つが、もし “最後の審判” だったら…。

 私などは、何度も地獄へ送られている。 こんなことを書き
続けているのが、赦されるはずはありません。



         関連記事 ヴァイオリンで叩く?




          [レクィエム 音源ページ



おずおずと

2013-11-11 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

11/11 私の音楽仲間 (531) ~ 私の室内楽仲間たち (504)



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                 室内楽で Viola




 恐る恐る始まる、今回の演奏例の音源]。 いつもに
増して “不安げに聞える” のは、なぜでしょうか。



 曲名がすぐ分るかたでも、一瞬 「あれ?」…と思われる
でしょうね? むしろ、室内楽に詳しいかたほど…。

 実は、ある “管弦楽曲” の編曲版なんです。




 色が塗ってある箇所は、管楽器などを受け持った部分。

 本来の Viola パートが、色の無い箇所です。



 音源は、 譜例の2小節目から始まっていました。
4/4拍子、Adagio。
                





 譜例中の、小さな番号に沿って見てみましょう。

 (1) バセット-ホルン。 クラリネットに似た、
  落ち着いた音色の楽器です。

 (2) ファゴット

 (3) 同じ動きをする Viola に移行します。

 (4) トロンボーン

 (5) 再び Viola に帰り、半終止で、次の2曲目に続きます。




 曲は、Mozart の レクィエム です。

 うち、第1曲 Requiem aeternam、その
終わりの部分が、今回の箇所でした。



 合唱、独唱を伴うので、“管弦楽曲” と言っては
間違いですね。 この編曲版では、私たち弦楽器
が “声を担当する” ことも珍しくありません。




 同時代人のリヒテンタールは、この壮大な曲を、
弦楽四重奏に編曲しました。 今回用いたのは、
後に他の人間がコントラバスを加えた五重奏版。

 それを、ほぼ倍の人数の “室内オケ” で演奏
したのが、今回の音源です。



 今回の “序” に当る部分は、“Introitus” (入祭唱)
と名付けられている。

 “おずおずと” 心もとないのは、曲の性格からして
当然です。



 しかし、それ以上に “不安げ” に聞えますね。

 何か、わけがありそうです。




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       [レクィエム 音源ページ



アメリカ広し

2013-11-10 00:00:00 | 私の室内楽仲間たち

11/10 私の音楽仲間 (530) ~ 私の室内楽仲間たち (503)



               アメリカ広し



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               Viola 弾きのジレンマ
                   燃える楽器
                 培われた性格?
                  不一致じゃと!?
                   窒息すらぁ
                 現場に急行せよ
                   アメリカ広し

                 室内楽で Viola




      Salagadoola mechicka boola

      bibbidi-bobbidi-boo

      Put 'em together and what have you got

      bibbidi-bobbidi-boo …




 これ、どなたも一度は聞いたことがあるでしょう。

 ディズニー映画 『シンデレラ』に出て来る歌、
『ビビディ・バビディ・ブー』です。



 歌は、まだ続きますよ?




      Salagadoola mechicka boola

      bibbidi-bobbidi-boo

      It'll do magic believe it or not

      bibbidi-bobbidi-boo …




 意地悪な継母や姉妹。 邪魔をされ、せっかくの
舞踏会へ行けない、可哀そうなシンデレラ。 でも
そこへ妖精が現われ、魔法の杖を一振りすると…。

 なんとカボチャが馬車に! 見ていたネズミたちは
馬に。 くたびれた犬は、御者や従者に大変身!

 そのときの歌でした。



 無事に王子様に逢えたものの、真夜中の十二時が過ぎ、
ガラスの靴が片方脱げて…。 あとは、よくご存じですね。



 それでは、ビビディ・バビディ・ブー。 お好みの
音源でお楽しみください。

 今回はこれで失礼します。













 …と言いたいところですが、そうも行かない…。
これは “室内楽のコーナー” でしたね。

 「コーナーを間違えたな!」…って思ったでしょ?

 今回は、なぜこうも狂っているのか。 




 一年近く前のこと。 私は家で楽器をさらっていました。

 すると、部屋を出入りしながら、それを聞いていた家族が、
しばらくしてから言いました。

 「さっき、“ビビディ・バビディ・ブー”、弾いてたよね、Viola で。」



 私はビックリ! そんな覚えはないもん。 変だねー…?

 そこで後からよく考えてみると…。 あったんです、そっくり
の箇所が! ほんの一瞬で終わってしまうほど短いけど…。




 さて、ここでいよいよ、貴方にも参加していただきましょう。

 今回の演奏例の音源]は、1分ほどの長さです。



 その中に、この “ビビディ・バビディ・ブー” の
一節が確かにあるのですが、聴き取れますか?

 ほんの1~2秒間ですが。 きっとすぐお分り
になるでしょう。 Viola の、中低音域です。



 「いや、分らない。 何度でも聞いて、自分で探すぞ。」…
というかたは、この先は注意してご覧ください。

 この奥には譜例があり、併せて、音源の「最初から**秒
のところに、その箇所がある」…と書いてありますから。



 “解答” が見当たらないときは、左下の
“続きを読む” をクリックしてください。




 曲は、ドヴォルジャーク (Dvořák)の弦楽四重奏曲
ヘ長調 『アメリカ
から、第Ⅳ楽章の一部です。




           [音源ページ




 解答です。

   ↓

   ↓









   ↓

   ↓




 譜例には、“Salagadoola mechicka boola bibbidi-”
と、そっくりの部分があります。

 ちょっとリズムが違うんだけどね…。 ほかの音が
無ければ、そう聞えてもしょうがないなぁ。

 これ、音源が始まってから 26秒ほどの箇所です。







 あの日、私が一人で練習していた Viola の曲は、この
『アメリカ』だけでした。 その中で、この歌に聞えるよう
な一節は、ほかには見当らないのです。

 何度思い返してみてもね。 「アメリカ広し」…といえど。

 確かに両方とも “アメリカ音楽” だけど。 この箇所を
突きとめるのに、どれほど時間を割いたことか…。



 でも、もし貴方が、ほかに “それらしい箇所” を見つけたら、
そっと教えてくださいね?