07/30 私の音楽仲間 (410) ~ 私の室内楽仲間たち (383)
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これまでの 『私の室内楽仲間たち』
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音の形と sf
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[譜例 ①]は前回と同じ、Beethoven の弦楽四重奏曲
ヘ長調、作品18-1で、やはり第Ⅰ楽章。
今回は再現部からです。
音のニュアンスの表現に苦しんだのは、Violin 私、I.さん、
Viola S.さん、チェロ I.さんの4人。
[譜例 ①]
相変わらず fp、sf のオンパレードですね。
[演奏例の音源]は、譜例の最初からスタートし、この後
7小節間を挟んで、音楽は[譜例 ②]へと続きます。
また現われた sf。 長い音符で2小節間、それも二箇所
あります。 フェルマータまで付いており、“音の勢い” では
なく、持続力が試されます。
しかし、音が長くなったのに反比例して、音量が弱くなって
は困ります。 弦楽器は弓を返すことが出来ますが、今回は
“一期一会の譜読み” という私たち…。 全員が一弓でした。
たとえ弓を返しても、それなりに弓の量は節約しなければ
なりません。 ところが、直前の四分音符6つが大問題。
これらはスピードのある弓で弾かねばならないので、奏法
を転換するのが難しいようです。
こうなると、「sf の頭を強く弾くかどうか」…は、それほど
重要ではありません。
[譜例 ②]
二つのフェルマータを過ぎると、演奏はカットされ、(35) に
は入らず、(37) に跳びます。
またしても現われた sf。 でも、先ほどの “太い sf” とは
趣きが異なるようです。
見かけは最初と同じ、付点二分音符です。 ニュアンスも
似ていますが、どこか違いますね。
強いて言えば、音の頭の “スピード感” でしょうか。 かと
言って、音が無くなってしまってもいけません。
「なぜそうしたいのか、理由を言葉で説明しろ!」
そう言われると、困りますね…。
「強いリズムが一拍目にある」、「二小節フレーズ」、
「“減七” 中心の衝撃的なハーモニー」、「抒情的」…
などが、私の頭にあった言葉です。
「sf は、どう演奏すべきか?」
答は、色々あるような気がします。
「sfp とは、どう違うのか?」
p が書いてなくても、音量を落とす場合が多い。 書いて
あれば、“落差が大きい” ことが明確に伝わる。
つまり、同じ場合もあれば違うこともある。 要は、「活字
の差だけでは決まらない」…ということですね。
「sf を問題にする際、何が重要なのか?」
持っている音のニュアンスのイメージを、
豊富にすることではないでしょうか。
「一つ一つの音符を、どう処理するか」…を絶えず考える
ことは、すべてに繋がる突破口のようです。
引き出しの中の材料は、多いに越したことがありません。
[音源ページ ①] [音源ページ ②]