MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

借りる甘え、手中の強み

2012-07-05 00:00:00 | 生活・法律

07/05      借りる甘え、手中の強み




           これまでの『生活・法律




 私の友人が、「お金を貸してくれ」と頼まれました。

 いわゆる "借金問題"。 Aさんに頼んできたのは、仲良しの
友人で、日頃 Aさんが世話になっているかたらしいのです。



 それを私が知ったのは、Aさんが交流サイトで呟いたから。
さっそく殺到した、山のような書き込み。



 「金の切れ目は、縁の切れ目。」

 「"自分も厳しいので無理だ" と言って断ったほうがいい。」

 「止めたほうがいい。」

 「自分ならキッパリ断る。 最初が肝心で、実際に何度か機会が
あったが断った。 友人関係を続けたいなら、そうするべきだ。」

 「金を貸せば金と友を失う。 金を借りれば倹約がバカらしくなる
という素晴らしい言葉がある。」




 貴方なら、どうしますか? 金額は5万円です。



 さて私はかつて、"借金問題" について、この場で書いていた
のを思い出しました。

 それは、『頭の体操 (90) 漢字クイズ 問題/解答』 (7) に記した
内容ですが、それを一部手直ししたのが、以下の文です。




        (7) ローカル線  (E) 朗借銭



 どんな顔で借りるにせよ、借りたお金は必ず返さねばなりま
せん。 ところが中には、『借り得! 借金の勧め!』…なる
主旨の書物の宣伝を見かけることがあります。

 居酒屋さん、スナックなど、飲食店さんが悩むのが、ツケ代金
の回収。 「請求権は1年間で消滅する」という時効があります。

 民法第174条 「次に掲げる債権は、1年間行使しないときは、
消滅する。」 (4) 旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の
宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に
係る債権。

 お店としては、時効成立前に、まず内容証明郵便で督促する
など、迅速に行動しないと時効を中断できません。 そんなの、
よほど多額でなければやってられないよ。 …と言っても、私は
客側ですが…。 

 親しいお店でも、ちゃんとこう貼ってあります。 「当店では
ツケ払いを受けツケておりません。 いつも朗らか現金払い!」



 おや、誰ですか? 「もうすぐ時効が完成するぞ!」なんて
喜んでるのは!

 信頼関係は壊れ、"借金の踏み倒し" を喧伝されて、信用
に傷が付き、名誉が汚されても、文句は言えません。 それ
でもよければどうぞ。



 私事で恐縮ですが、私の亡父は、老人ホームにまで押しか
けて来た親族に頼み込まれ、住宅資金として多額の貸付を
しました。 しかし、この "内容証明郵便による督促" という
法的な手段を知らなかったため、結局返済してもらえないまま
亡くなりました。 親族間では、普通はそこまで事態が進むこと
はあり得ませんが。

 身体が不自由で足を運べなかったため、ただ手紙で請求を
繰り返すだけでした。 でもシラを切られ、無視されただけで、
法的な効力は無いんですね。

 その親族の家庭内でも、「早く返しなよ…」と、返済問題は
絶えず大きな話題になっていました。 しかし家庭内暴力も
激しい状態の上、借りた当人が無視し続ければ、それ以上
どうしようもありません。

 お金もさることながら、信頼を裏切られたのを悔しがりつつ
亡くなった、私の父の二の舞にならぬよう、ご注意ください。
個人間での貸金の場合は、10年で債権が消滅するので、
その間に適当なタイミングで、上記の "法的な請求" をして
おく必要があるわけです。

 また、いくら親族間とは言え、借用書の作成は不可欠です。

 さて、借りた本人は、相続人の私に対して、まず借金の
存在自体を否定し、問い詰められて弁護士事務所に逃げ
込むと、"すでに時効完成" と告げられ、大喜びでした。



 しかしその債務者、海野秀一 (同姓同名の方、ごめんなさい)
(大手コンピューター会社勤務、東京都杉並区桃井*-**-**、山形県西村山郡朝日町出身)
からすれば、民法の保護に与り、自己の財産を守ることが
出来た、賢い実例です。 本当によかったですね。 アナタ
から見れば、"たかが氷山の一角" でしょうが、「同じように
見習え」…などとは、私の読者の方々にはとても奨励でき
ません。

 ほかにも色々問題を抱えておられるようですが、ぜひ賢く
乗り切ってください。




 さて先ほどの書き込みには、私も参加しました。 内容を
纏め、補筆すると、こんなふうになります。



 もし貸すのなら、① 必ずその場で借用書と引き換えに!

 かつ、② 利息を設けて、そこに明記させることをお薦め
します。 「儲ける」ためではなく、返済をズルズル延ばされ
るのを防ぐためで、年利5%程度が常識的です。



 また出来れば、③ 借用目的、返済回数、返済期限、返済
方法 (手渡し、振込) などを記載させるようにすると、事態の
重大さ、こちらの真剣さが、相手に伝わるかもしれません。

 もちろん③は、"強制力ゼロ" です。 法的には不要な項目
ですし、借り手が書いたとして、そのとおり実行されなくても
仕方ありません。

 どんな形にせよ、返って来ればそれでいいのですが。



 「金を貸すなら、"あげる" つもりで貸せ」…という名言もあります。
金額の大小や、個人間/取引関係…などの違いもありますが。

 私はヒトがいいので(笑)、これでも過去に "貸金等返還訴訟"
などを何度か起こしています。 その他にも、実父が手痛い目
に遭っているので、他人事ではありません。 ぜひ慎重にね?




 先ほどの書き込みは、まだまだ続きます。 こんな意見も。

 「貸すなら、あげるつもりで借用書なんかなしでくれてやれ!
5万ぐらいなら、どっちに転んでも、書かないほうが後々清々
しい。 貸さないのが一番だが。 そもそも普通の大人なら、
5万程度、誰に頼まんでもキャッシングでポーンと借りられる。」



 なるほどね。

 でも、"5万" という金額が大きいか、小さいか?

 そして、「5万ぐらいなら」というセリフを、誰が言うのか?
それが大問題です。



 「5万ぐらいなら、見過ごしてくれるだろう。 もし払えなく
なっても。 面倒、見てるんだし。 借りてしまえば、こっち
のものさ。」

 借り手が、もしそんな意識だったら…。

 また当初は返済する意思が固くても、その後の状況で、
意識が変化することだってあります。 そんな人間が金を
手にしたら "勝ち"。 いわゆる "借り得" です。



 いずれにせよ、借り手には甘えがあるのですから、
貸し手側は、毅然と対応する必要があります。 こと、
"金" に関しては。 たとえ、自分が世話になっている
相手であっても。




 「"あげるつもり" は、さらさらない。 そこまでお人好し
じゃあない。」

 Aさん自身の最後の書き込みですが、さあ、どうなった
んでしょうね。 貸したとして、もし返ってこないと、金額
から見て、"訴訟"は現実的とは言えません。



 ちなみに、私が "貸金等返還訴訟" で訴えた相手は、
40年以上付き合いがあった "友人" です。 私だけで
なく、家族ぐるみで大変世話になっていました。

 残念ながら、今では行き来がありません。



 愚かな私の、反面教師ぶりでした。