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MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

Violin の 虫 ?

2010-09-12 00:00:00 | 私のオケ仲間たち

09/12 私の音楽仲間 (205) ~

        私のオーケストラ仲間たち (21)


              Violin の 虫 ?




 この磐梯山噴火記念館。 着いて時計を見ると、まだ朝の
9時半にもなっていません。 「ひょっとして開いてないかな?」



 しかし幸いにも入口が開いていたので、足を踏み入れます。
でも、受付のカウンターには係の人が居ません。 声をかけ
たら、やっと奥から出てきてくれました。

 「こんなに朝早くから? 物好きね…」なんて思ったろうな…。



 館内の資料は、さすがに豊富です。 磐梯山の成り立ちから、
噴火の歴史、1888年の被害状況を描いた錦絵の実物、この
地方に伝わる民話、火山一般に関する説明…。 何時間いて
も興味は尽きないでしょう。




 そんな中で私の目を惹いたのは、"世界初の地震計" です。

 と言っても1,900年前の物なので、当時の実物がそのまま
残っているわけではありません。 史料を基に再構成した
だけですが、銅製の大きな壺のような形をしており、大きさ
は "ひと抱え" ほどもあります。

 [世界最初の地震計は後漢の張衡が発明した



 装置には、竜の頭が8つ、ちょうど水道の蛇口のように付いて
おり、東西南北など、それぞれの方位を向いています。 そして
地震が起こると、その震源方向の竜が、口にくわえた球をはじき
出し、下で待ち構えているカエルの口の中に、うまく落ちるような
仕掛けになっています。 視覚的効果が満点です。

 もっとも今日の学問からすれば、地震波の伝播方向は複雑に
屈折することが判っています。 ですから必ずしも正確とは言い
難いのですが、「着眼点は素晴らしい!」と思いました。




 階段を昇ると、小さいながら展望台がありました。 北東には
安達太良山 (あだたらやま)、また南には裏磐梯が一望できます。
                     ↓

   




 さらに館内を歩いていると、昆虫の展示室まであります。

 そこには、蝶の標本の数々が! 大きさと美しさを競って
います。 この福島や、日本に限ったものではなく、世界中
の貴重な資料があります。



 その中に、何と "バイオリンムシ" が!




 そこで、真面目な謎々です。 (ご存知の方はごめんなさい。)

 この虫には、なぜそんな名前がついているのでしょうか



 ① バイオリンなど木製の楽器を食べる虫だから

 ② バイオリンのような鳴き声を出す虫だから

 ③ 鳴き声は似ていないが、天井や屋根で鳴く虫だから

 ④ バイオリンのような形をした虫だから

 ⑤ バイオリン氏が新種を発見して名付けた虫だから

 ⑥ バイオリンの音が好きで寄ってくる虫だから

 ⑦ "バイオリンの虫" のことで、人間をもじっただけ




 以上は、サイト、[問答家族]を参考にさせていただきました。

     解答は、このページの末尾をクリックしてください。
         そのサイトも紹介してあります。




 さて、私の戯れもここまで。 本来の目的地へ車を走らせます。

 これから、あるオーケストラの合宿があるのです。




 到着したのは、裏磐梯キャンプ場に近いホテル。 まだ時間に
余裕があるので、付近を歩いてみようかな…。

 すぐ裏には、綺麗な沼がありました。



     



 名前は乙女沼。 東の小野川湖、西の桧原湖とは、細い流れ
でつながっているようです。



  (続く)




 クイズの解答
   ↓







 「バイオリン虫とは?」



     



 ① バイオリンなど木製の楽器を食べる虫だから

 ② バイオリンのような鳴き声を出す虫だから

 ③ 鳴き声は似ていないが、天井や屋根で鳴く虫だから

 ④ バイオリンのような形をした虫だから

 ⑤ バイオリン氏が新種を発見して名付けた虫だから

 ⑥ バイオリンの音が好きで寄ってくる虫だから

 ⑦ "バイオリンの虫" のことで、人間をもじっただけ




 答はです。
   



 このバイオリンムシは、タイ、マレ-シア、インドネシア
のボルネオ島、ジャワ島などに生息する昆虫で、6種類が
知られています。

 学術名は "Mormolycce phyllodes"。 コガネムシやカミキリ
ムシと同じコウチュウの仲間で、甲虫目オサムシ科に属する
のだそうです。



 体長は10センチもありますが、体の厚さは5ミリにも足らず、
薄いので透けて見えるほどだそうです。

 幼虫はサルノコシカケを食べ、成虫もその裏側や樹皮の間
などに入り込みやすいように、体形は扁平です。 成虫になると
他の虫を食べ、肉食性になります。



 英語では "Guitar Beetle"。 日本ではほかに "ウチワムシ"
とも呼ばれるそうです。



 過去には投機の対象にもなりましたが、今は「価格が下がり」、
オークションや通販サイトでは 650~3,000円とのことです。




     参考サイト

 問答家族 バイオリンムシってどんな虫?

 きょうの誕生虫と虫言葉




 "虫言葉" なんていうのもあるんですね。 知りませんでした。

 この虫は、『混ぜるな!危険!』が虫言葉なのだそうです。



 「え~っ!? 一体なぜなんだろう??」

 答は、どこを探しても見当りませんでした。 ご存知の方は
ご教示ください。



 判明するまでは、以下の写真の解説を信じることにします。
この噴火記念館にあった標本と解説です。







 「この虫は捕まえると尻から霧の様な臭気の強い液体を出し
相手を攻撃する」と書いてあります。 ギャッ!




 毒気の強いを出し、相手を攻撃する…んじゃないだろうな…。

 「混ぜるな! 危険!」。 じゃ、オーケストラはどうなるんだ…?



               ↓


          [クイズ正解の方]

 


想い出の沼と湖

2010-09-11 00:00:00 | 私のオケ仲間たち

09/11 私の音楽仲間 (204) ~

        私のオーケストラ仲間たち (20)


             想い出の沼と湖




 九月初旬のある朝、私は今 水際で休憩をとるところです。

 時間は八時をちょっと過ぎた頃。 場所は上戸 (じょうこ) 浜。

 "浜" といっても、海辺ではありません。 琵琶湖、霞ヶ浦、
サロマ湖に次いで大きな湖の湖畔です。



    

           湖の北東岸より西方向を望む



 ここは猪苗代湖。 福島県の代表的な憩いの地の一つです。

 2010年夏は記録的な猛暑で、それは私の住む東京も同じ。
九月になっても秋の気配はありません。 私は東京脱出を試み、
夜明け前の涼しいうちに、車で抜け出して来たのでした。




 この上戸浜のすぐ北側には越後街道 (国道49号線) が走って
おり、東の いわき と、西の新潟を結んでいます。 また、これ
とほぼ東西に並行しているのが、磐越自動車道です。

 この休憩所、駐車スペースは豊富ですが、私が訪れるときは、
どういうわけか他の車は皆無と言っていい状態で、少なくとも
これまでは「人間に出会ったこと」はありません。

 猪苗代湖のこの浜は、ここ数年、この時期は必ず訪れる場所
になっています。 すぐそばに、毎年お世話になるホテルがある
のです。



 ところが、今年の目的地は別の場所。 本来はここに来る必要
は無かったのですが、もはや私の心の中に大きな意味を占めて
いるので、どうしても足が向いてしまうのです。




 「今年も来たよ? 猪苗代湖さん。 でも、もう行かなきゃ…。」


 私は湖に別れを告げ、車を北へ走らせることにしました。




 この磐梯山の周囲の地図 ← で言うと、上戸浜は白鳥浜、
天神浜のさらに東にあります。 これからまず北西へ向かい、
猪苗代の駅付近を北上し、桧原湖を目指します。 ちょうど
磐梯山を左に見ながら走ることになります。



 磐梯山の北側は裏磐梯と呼ばれていますね。 あの1888年
(明治21年) 水蒸気爆発と、これに続く山体崩壊では、500人
近くの方々が犠牲になるなど、甚大な被害に見舞われた地域
です。

 ちょうど山腹に当る部分がすっぽり消滅しており、同じ山で
ありながら、南の猪苗代側から眺めるのとは、容貌がまったく
異なります。



裏磐梯ライブ映像] 弥六沼付近 (桧原湖南端) から南方を望む




 ちょうどこの辺りには五色沼という、有名な観光スポットがあり
ます。 先の大爆発の副産物として出来た10の沼で、主なもの
には毘沙門沼 (びしゃもんぬま)、赤沼 (あかぬま)、深泥沼 (みどろぬま)
竜沼 (たつぬま)、弁天沼 (べんてんぬま)、瑠璃沼 (るりぬま)、青沼
(あおぬま)、柳沼 (やなぎぬま)があります。







 名前の由来は、読んで字の如し。 色が沼ごとに微妙に異なる
のです。 また同じ沼でも、季節、位置、天候、時間帯、見る角度
によって違うのだそうです。 含有鉱物、水中の植生、光の屈折
などにより、色は青、緑、赤、茶など、微妙に変化します。

 ところが、「沼はすべて繋がっている」のだそうです。 湖底の
どこかで。 そんなテレビ番組を観た覚えがあります。 NHK
だったでしょうか。




 実は私も以前一度だけ、この五色沼を訪れたことがあります。
と言っても、それは中学生時代。 数えると半世紀前ですから、
まさに前世紀になります。

 そう、私自身も前世紀の遺物ですが、10代の可愛い時代も
あったんですよ? 当時はバスで移動した覚えがありますが、
「舗装してある道路の方が珍しい」という状態。 何はともあれ
"埃だらけ" だったのを覚えています。



 しかし、今や未舗装の道路の方が皆無。 快適なこと、この上
ありません。 車にはエアコンがあるし。

 でも窓を開けてみると、気温はどう見ても30℃以下。 さっそく
スイッチを切りました。 ガソリンの無駄です。



 まず立ち寄ったのは毘沙門沼。 五色沼中、最大の沼です。
時間があればすべての沼を探索したいところですが、残念
ながらそれは無理。 諦めました。


 

     

     あいにく日射しが無く、色調は鮮やかとは言えませんでした。




 次は、磐梯山噴火記念館に向かいます。



 でも、こんなことに時間を費やしてばかりでいいのでしょうか?
何やら大事な仕事もありそうなのですが…。

 お読みくださっている貴方を心配させてはいけませんね。



  (続く)




コントロンボーン ②

2009-04-07 00:00:06 | 私のオケ仲間たち

04/07       私の音楽仲間 (42) ~

私のオーケストラ仲間たち (19) ~ コントロンボーン ②





  関連記事



   グリンカの管弦楽曲

    (2) グリンカの青りんご ~ カマーリンスカヤ ①

    (3) グリンカの青りんご ~ カマーリンスカヤ ②




   私のオーケストラ仲間たち

     (5) 大いなるアンバランス

    (18) コントロンボーン ①




 人数の少ないオケで、「チューバを吹いてみたい」という、
T.N.君の希望、私は頭を抱えました。



 ご存じのとおり、オーケストラの曲の中には、この楽器を
扱ったものは、ごく僅かしかありません。 メンデルスゾーン
やベルリオ(ー)ズ以前には皆無ですし、またそれ以後も、
近代の曲で使われ始めるまでは、ほんの一握りの曲しか
ありません。



 しかも、チューバまであるということは、当然のことながら、
トロンボーンが一緒に、何本か使われているはずです。

 さらにその上、色彩豊かな打楽器陣、また場合によっては
ハープその他、社会人オケでさえ確保が困難な、特殊楽器
が同時に要求されているというのが、ごく一般的な話です。




 でも、"Viola さえ" 一人もおらず、トロンボーンが一人だけ
という、このオーケストラ。 どうやって曲を探せばいいので
しょう。

 そのトロンボーンというのも教授のA先生で、しかも、片方
の肺を切除しながら参加しておられるという、極めて熱意に
満ちた、また若輩の私など足元にも及ばないほど謙虚な、
年配の方でした。




 私は曲を探しました。 チューバがあって、しかも
トロンボーンに出来るだけ負担のかからない曲を。

 当然のことながら、ホルン、トランペットなど、他の
金管も少なくて済む曲。 打楽器はおろか、弦楽器
の動員もそれほど要らない曲。



 もう一つ、困った条件が。 それは、T.N.君はまた
唯一の Contrabass 奏者でもあったという事情…。



 この、矛盾に満ちた逆境。

 案の定、曲はありませんでした。




 私は考えました。

 「弦楽器だってこんな人数しかいないのに、よりによって
チューバなんて…。 Contrabass で参加できるだけで、
充分じゃないか…。」

 そう言って彼を説得するのは簡単です。



 でも、今回駄目だったら、今後、また当てはあるのでしょうか。
社会人オケにでも入れば、また希望が叶えられる機会が、
確実にあるとでもいうのでしょうか。




 私は、何冊か集めたスコアの一つに注目しました。 ただし、
"チューバ" とは書いてありません。 バス・トロンボーンです。

 でも、ほかのトロンボーンは要りません。 他の金管も最小限
で済みます。

 メンバーに負担をかけず、しかも彼の希望を叶えるには、この
曲を "使わせてもらう" しかありませんでした。

 「この時代には、チューバはまだ行き亘っていないはずだ、
特にロシアには。 もし手軽に入手できたら、むしろこちらを
使ったかもしれない。 バス・トロンボーンよりは…」
などと、勝手な想像さえ巡らしました。



 「作曲者さん、ごめんなさい。 そういうわけなので、今回は
赦してください。 指定されたパート、どうしてもチューバで
吹かせたいんです…。」

 それが、グリンカの "カマーリンスカヤ" でした。




 その年の演奏会は11月。 ちなみにほかの曲目は、

   Beethoven : ピアノ協奏曲第4番ト長調、
   Schubert  : 交響曲 『未完成』、
   Bach     : 『主よ、人の望みよ、喜びよ』 (アンコール)

というプログラムでした。




 ちなみに、私がこの曲と接することが出来た機会、それは
今までのもろもろのオケ経験において、ただこの一度しか
ありません。

 また、今回この場で、『カマーリンスカヤ』を中心にして
何度か記すことが出来たのも、このときの経験があった
からで、その上この曲に格別の思い出があったからに
ほかなりません。

 この体験がもし私に無かったら、この曲についてのみ
ならず、"この曲がチ(ャ)ィコーフスキィに与えた影響" など
について、書くことなど無かったかもしれません。

 また、以下のすべてを書く契機となった記事は、
『私のオーケストラ仲間たち』 (5) 大いなるアンバランスです。

   グリンカの管弦楽曲
    (1) 幻想的ワルツ        ~ ほろ苦いプレゼント
    (2) 幻想曲『カマーリンスカヤ』 ~ グリンカの青りんご ①
    (3) 幻想曲『カマーリンスカヤ』 ~ グリンカの青りんご ②

   (ャ)ィコーフスキィ と 『カマーリンスカヤ』
    (1) (ャ)ィコーフスキィ 交響曲第4番 ~ 地下の白樺
    (2) (ャ)ィコーフスキィ 弦楽セレナーデ ~ ピョートル君の青りんご
    (3) 青りんごのタネ




 「歴史に "たら"、"れば" は無い」と言います。 しかし、
もしT.N.君がチューバを吹きたいと言わなかったら…。

 お互い、人生は分からないものです。




 そして、目を閉じると、また浮かんでくるのは、自分が
まったく未熟だったという悔悟の念。 それはこの直後
からも、幾度となく。

 言い訳が許されるならば、これは私にとって最初の経験
だったのです、アマチュア・オケと接した。

 またそれ以上に、自分自身の楽器演奏が余りにも未熟
だったこと。 それはそのまま外部へ流れ出し、少なからぬ
悪影響を周囲に及ぼしたことが、今となって、よく分るのです。




 私は今でも、かつて指導に当たっていた頃の、ほかの
オケのメンバーと、たまに会うことがあります。 中には、
私とほとんど齢 (とし) の変わらない方々も。



 そんなときの私の決まり文句、それは、
昔の学生さんたち、ごめんなさい」です。

 今だったら、もう少しマシな教え方、マシな音楽の楽しみ方
が伝えられるだろうに…。 そんな思いからの、このセリフ、
お分かりいただけるでしょうか。




 私はいつも一人で後悔しながら、自分を励ますのです。

 「どんな名医だって、ヒトの一人は殺している」、そんな
ひどいブラック・ジョークを思い浮かべながら。



 まことにひどい話ですね。 医療関係に携わっておられる
方がおいででしたら、どうぞお赦しください。




 でも、とても赦してもらえないだろうと確信する理由が、
実はもう一つあるのです。

 それは、その団体が、さる医科大のオケだったから…。




 今私は、当時の一人一人の顔を懸命に思い出しながら、
謝っています。 どうか信じてくださいね。

 Violin のA君、D君、S君、Sさん、チェロのA先生、Hさん、
K君、Contrabass のN君、ごめんなさい。

 Flute のT君、そしてクラのM君、特にごめんなさい。

 ホルンのT君、トロンボーンのA先生、ごめんなさい。
おっと、もう一人、チューバのN君、ごめんなさい。

 そしてほかにも、顔は思い出してもどうしても名前が
浮かんでこない、Flute、クラ、トランペットのあの人…。



 聞くところによれば、この中の数人はすでに逝去して
おられるとのこと。 お詫びしようにも、もう出来なくなって
しまいました。




 ちなみにそのオケは、慈恵医大管弦楽団という団体です。

 今日でも盛んに活動しておられるご様子、心からお喜び
申し上げます。




 もう昔の演奏会記録にも記載が無い頃に、ご一緒した私から、
この場を借りて一言お伝えしたかった次第です。

 まことに遅ればせながら…。




 (この項終わり)



コントロンボーン ①

2009-04-06 00:09:57 | 私のオケ仲間たち

04/06       私の音楽仲間 (41) ~

私のオーケストラ仲間たち (18) ~ コントロンボーン ①





  関連記事



   グリンカの管弦楽曲

    (1) ほろ苦いプレゼント ~ 幻想的ワルツ

    (2) グリンカの青りんご ~ カマーリンスカヤ ①

    (3) グリンカの青りんご ~ カマーリンスカヤ ②



   私のオーケストラ仲間たち

    (5) 大いなるアンバランス




 前回まで、グリンカの幻想曲『カマーリンスカヤ』を中心に、

「グリンカが民謡をどう扱ったか」、また

(ャ)ィコーフスキィ がどのような影響をそこから受けたか」

などについて、ご一緒に見てきました。




 今回は、そのような (次元の高い?) 話ではありません。
私の、まったく私的な事柄です。



 ただ、それを書かせていただく前に、一つだけ、これまでに
書き忘れたことがあるので、補足しなければいけません。
それは、グリンカのこの曲のオーケストラ編成です。



 いわゆる "二管編成" で、ホルン、トランペット

   バス・トロンボーン、それに timpani です。






 私の大昔、ほんの駆け出しの時代。 楽器を抱え、よちよち
歩きで "プロ・オケの世界" に足を踏み入れて、まだ間もない
頃の話です。

 そんなとき、縁あって、私を初めて "先生" と呼んでくれる、
小さな学生オーケストラと知り合いました。




 その団体は、所属する人数が極めて少ないオーケストラ
でした。 もっとも当時は、そのようなオケが多かったの
ですが。

 彼らは、自分たちだけでは最低限の人数も確保出来ない
状況に置かれており、同じ職種の友好大学、また愛好家の
ツテを頼って人員集めをしなければならない状態でした。



 人数を見てみると、Violin は4、チェロが2、Contrabass は1、
Viola はいません。 木管は辛うじて数名が確保出来ていた
ものの、Oboe、Fagott はゼロ。 金管も打楽器もまばら。

 教授や講師の先生をメンバーとして頼らないと存続が
危うい、そのような団体です。



 もっとも考え方によれば、だからこそ「気持ちが一つに
なりやすかった」とも言えますが。




 そんな学生さんの中に、T.N.君がいました。

 楽器は Contrabass です。 私に接してくれる態度も、また
弾きっぷりも、極めて神経が行き届いている一方で、豪放な
リードぶりを見せてくれる、なかなか得難い存在でした。



 あるとき、最初の演奏会を一緒に終え、次回の曲目はどう
しようかと考えていた時期のことでした。 「話がある」と言い、
彼が相談に来ました。

 何かと思うと、「一つだけわがままを聞いてほしい」と頼んで
くるのです。



 それは、次の演奏会では違う楽器を "吹きたい" という希望
でした。



 聞いてみれば、彼は今の大学へ入って Contrabass を手に
する前、ブラスバンドでユーフォニウムを吹いていたとか。




 「それはオケでは無い楽器だ、無理だよ」と私は答えました。



 すると彼は、

 「いや、そうではない、一度でいいから、
オーケストラでチューバを吹いてみたい

と言うのです。




 (続く)



『眠れる森の美女』組曲

2009-03-27 00:04:51 | 私のオケ仲間たち

03/27  私の音楽仲間 (40) ~



  私のオーケストラ仲間たち

        (17) 『眠れる森の美女』組曲







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                大いなるアンバランス
              ロココの主題による変奏曲
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                  急がば回れ ②
          シベリウスの交響曲第1番 第Ⅱ楽章①
          シベリウスの交響曲第1番 第Ⅱ楽章②
                  指揮者への依存
                  音楽の贈り物 ①
                  音楽の贈り物 ②
 雪女の呪い ~チ(ャ)イコーフスキィ の 『冬の日の幻想』 第Ⅲ楽章
                  眠り姫の呪い
               『眠れる森の美女』組曲







 「人生は短く、芸術は長い」、なんて格言がありますね。

 「"くるみ" は短く、"眠り" は長い…。」



 私たち "楽隊屋" は、この偉大な作曲家の三つのバレェを、
白鳥湖』、『眠り』、『くるみ』と呼んでいます。

 短い『くるみ割り人形』でも、二時間弱かかります。 そして
もっとも長い、この "眠り" は、どんなにカットしても三時間を
超えるのが普通です。



 演奏者泣かせのこの曲。 昔々あるところで、公演中に
眠ってしまった人までいました。 嘘のような本当の話です。

 ちなみに、私ではありませんが、かつての私の演奏仲間で、
正真正銘、女性の眠り姫でした。 今どうしてるかな…。




 ところで、もし演奏者でなくて、踊り手がそうなったら…。
きっと迫真の演技になることでしょう。

 王子に接吻されても、なかなか起きないとか…。



 王子役の踊り手も、そのままずっと、とぼけてたりして。 

 「今日の "眠り" はいやに長いな…」なんて喜んだり
しながら…。 けしからん…。

 いくら、本番には事故がつきものと言っても。




 おっと、話を戻さないといけませんね。

 「"楽隊屋" とは何か?」ですって?



 困ったな…。 それは、あなたの先生にお訊きになるか、
それとも検索でお調べください。

 「私の年代は、辛うじてその名残りに属する」とだけ、
申し上げておきます。




 さて、ヴォトカ (ウォッカ) で "よいよい" (宵酔い) の作曲者は、
また大変な "演奏家思い" でも知られていました。
   (私の勝手な想像かな…。)

 「オケ・ピットで寝てしまった日本人がいたとは…。 四時間も
かけて演奏させて、本当に申しわけなかった。 酒も無いのに。」

 そう反省した作曲者は、自身で何曲かを選び、演奏会用の
組曲を作りました。 (なんか変だな…?)



 それは以下の5曲です。



 なお曲順は、バレェ原曲の順番とはまったく異なります。

 よくあることですね、『白鳥湖』にしろ、『くるみ』にしろ。




1. 『序奏とリラの精



 「大変だ、大変だ! 姫が針で指を刺して倒れた!」

 序奏部の激しい不吉な音楽は、この情景から採られています。

 オーロラ姫に呪いをかけた、悪の妖精、カラボスのテーマは、
"半音階の連続" が特徴的です。

 騒然とする城内。 悲嘆にくれる王と王妃。



 音楽が静まり、ハープの響きに乗って進み出るのはリラの精
コーラングレ (コール アングレ、イングリッシュ ホルン) で登場します。

 これは、いわば低音のオーボエで、ちょうど Violin と Viola の
関係に当り、落ち着いた、丸く優しい音色の楽器です。



 リラの精のテーマは、希望の光。 人々から人々へ、様々な
楽器で引き継がれ、音楽とともに期待が盛り上がります。

 ついに銅鑼の響きとともに、リラの精の手にした魔法の杖が
一旋! "死の呪い" は、"眠り" へと和らげられます。

 半音階ばかりだった、カラボスの不吉なテーマにも、明るく
輝かしい "全音階の光" が射し込みます。




 おや、何か変な音が聞こえますよ? 「シュルシュルシュル…」。

 見ると Violin の足元から、何やら生えてきました。 あれよ
あれよという間に、Viola、チェロと、地面のあちこちから。

 やがて城は鬱蒼とした森に覆われ、静かに100年の眠りに
就きます。 姫、王、王妃、廷臣たちを中に抱いたまま。



 そう、細かいトリルのような速い半音階が、延々と続くの
です。 足に纏わりついて身動きが取れないばかりか、
肝心の指までもつれてしまう難所でもあります。

 一緒に眠ってしまっていいのなら、どんなに楽なことか…。




 以上はすべて第一幕の終わりの場面で、この一曲目の
音楽はその部分から採られています。




 音源 ① 静止画像



 音源 ② 第Ⅰ幕の幕切れ場面 (1)



 音源 ③ 第Ⅰ幕の幕切れ場面 (2)




2. 『パ・ダクシオン~バラのアダージョ



 最後まで延々と続く、"つま先立ち" のウルトラE!

 しかし若いオーロラ姫は、難しそうな素振りなど、まったく
見せません。 四人の王子に代わる代わる支えられながら、
一人ずつ手を差し伸べ、求婚のバラの花を受け取ります。
いともにこやかな表情で。

 でも演出によっては、それらをすぐにポイしてしまうのです。

 舞台は第一幕の前半。 オーロラ姫が初めて登場する、
城内の庭園の場面です。




 "パ・ダクシオン" は、直訳すると "動作の踊り、ステップ"
といった意味です。 活発に踊り回るのではなく、静かで
優雅な動作の見せ場なので、こう呼ばれるのでしょう。



 バレエ基礎用語解説には、以下の記述が見られます。

 「物語の筋を展開させるため、パントマイムを含んだ踊り
などで感情の表現を行う場面。」




 音源 ① Margot Fonteyn (オーロラ姫の登場から中途まで)



 音源 ② Margot Fonteyn (TV番組からの抜粋)



 音源 ③ Featuring Alla Sizova and the Kirov Ballet 
      1965
  (オーロラ姫の登場~ヴァリアシオンまで)



 音源 ④ Viviana Durante As Aurora.
      The Royal Ballet at Covent Garden 1995




 音源 ⑤ Alina Cojocaru dancing the Rose Adagio
     from Act 1 of the Royal Ballet's 2006 production

       (1) (2)



 音源 ⑥ Christine Walsh  (オーロラ姫の登場の場面から)



 音源 ⑦ Aurelie Dupont and the Paris Opera Ballet
                  
 (オーロラ姫の登場の場面から)



 音源 ⑧ Maria Kochetkova



 音源 ⑨ カットだらけの短縮版



 音源 ⑩ 静止画像




3. 『パ・ドゥ・カラクテール~長靴を履いたネコと白いネコ



 舞台は、すでに第三幕の婚礼の場です。 二匹のネコの
ユーモラスな踊り。



 えっ! 「ネコの婚礼?」

 違います、いくら何でも…。 私の書き方が悪かったですね。



 ネコは本筋と関係なく、"招待客の一員" という設定になって
います。 『白鳥湖』に "チャールダシュ" や "ナポリの踊り" が
出て来るのと同じです。

 ちなみに "本筋" は、第二幕まででほぼ、完結しています。




 "パ・ドゥ・カラクテール" は "特徴的な踊り" の意味です。



 "カクテルの踊り" ではありませんよ。 それでは
"おんどり (雄鶏) どり" になってしまいますもの。



 それに、すぐに「アサ~!!」になっちゃって、
とてもお酒を楽しむどころじゃありません。



 …さて、そろそろ、マジになって書かないといけませんね。

 でないと、「おんどりゃ~、この~!!!」なんて、叱られ
ちゃいそう…。




 音源 ① Dutch National Ballet



 音源 ② Stephane Elizabe y Laetitia Pujol



 音源 ③ (詳細不明)



 音源 ④ 日中共演ネコちゃん、"尻尾" がありません



 音源 ⑤ Abilene Ballet Theatre のヤンキーねこチャン



 音源 ⑥ 静止画像




4. 『パノラマ



 第二幕の後半。 城はまだ眠りについています。

 それを目指して水面を滑っていくのは、真珠貝の舟。
リラの精に導かれ、デジレ王子が急ぎます。

 幻に見た、オーロラ姫のもとへ…。

 何と幻想的で、見事な音楽なのでしょうか。




 音源 ① 静止画像



 音源 ② 風景の静止画像



 音源 ③ Walk in the green nature.



 音源 ④ 演奏会




5. 『ワルツ



 "眠り姫" と言えばこれ。 最も有名なワルツです。

 舞台は第一幕の後半。 16歳を迎えたオーロラ姫の誕生日
です。 祝宴の場で村の娘たちが踊ります。



 でも、どこに紛れ込んでいるのでしょう、つむ (紡錘、糸紡ぎの針)
を隠し持った老婆は? やがて姫は、遊んでいるうちに誤って
指を刺し、倒れてしまうのです。




 音源 ① kirov ballet w/ vaganova students



 音源 ② dancing forest academy



 音源 ③ (中途から)



 音源 ④ 静止画像



 音源 ⑤ 静止画像 『素晴らしきロシア』



 音源 ⑥ 演奏会




 詳細な解説は、以下の優れたサイトにもあります。




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      クラシックの部屋 ⇒ [三大バレエ組曲
                        (組曲)




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