MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

星と音楽 (6) 「星も光りぬ」

2008-10-18 07:10:32 | 星と音楽・科学一般
10/18   プッチーニ(1858/12/22~1924/11/29、イタリア) の
         『星も光りぬ (星は煌めき)』 (歌劇トスカ』より)。



 頃は夜明け前。 所はローマの牢獄、サンタンジェロ城。 屋上では、まもなく画家マリオ・カヴァラドッシが理不尽な銃殺刑に処せられる。 最後の手紙を恋人の歌姫、トスカに書くが、死への恐怖と生への執着がこみ上げ、泣き伏す。

 「星すら見えない夜の果て…。」

 哲学的なヴァーグナーの『夕星の歌』に比べると、さすがに歌詞は直截的だ。 悲しみの演技にも、体当たり的な表現が要求され、オイオイと嗚咽の聞こえる演奏まである。 音楽の授業で聴かされたなぁ、中学か高校の…。


          [動画付き音源サイト]

          [音源サイト、イタリア語歌詞付き]
 
 この終幕に先立つ第二幕で、トスカがスカルピアを刺す場面がある。 彼女を我が物に出来ると確信した、この悪徳警視総監。 「恋人と一緒にイタリアから逃してやるぞ。」 彼はそう "約束" し、"取引き" をしたのだ。

 出国証を認(したた)めるスカルピアの背後。 トスカはそのとき、食卓の上にナイフがあるのに気付く。 「天の助けだわ!」 これをそっと隠し持つと、書類を手にして迫って来るスカルピアを、いきなり一突き!


 ところがトスカはあるとき、隣りに置かれたバナナを掴んでしまった。 ナイフの代りに。 「しまった!」と思ったときは、もう遅い。 すでに次のセリフを口にしていた。

 「これがトスカのキスよ!」
 手にしたバナナで「蜂の一刺し」!

 “刺された” 側のスカルピア。 「これはまずい」と思ったが、どうしようも無い。 “痛む” 胸を押さえて倒れ込むのだった。
 「ミスは痛いな…」と呟きながら。


 これは、アメリカの某有名歌劇場で実際に起こった話です。
 あなたが舞台上の歌手だったら、一体どんな機転を利かせますか。 何か善い手はある?

 そう言えば、英語の "banana" には、"偽もの"、"まがい物" の意味もあったな。 これを地で行ってしまったわけだ。 いくら英語圏とは言え。

 しかし聴衆の側は、一体どんな風に反応したんだろうね。 「なるほど!」と思えるような顛末を思いつかれたら、ぜひお聞かせください。 私は自分では目撃していないので。 まことに残念ながら。

 もしあなたなら? 失笑、爆笑、ブーイング、それとも拍手喝采?


 でも二人にバナナだけは投げつけないでね。
 もう、見るのもイヤだってさ…。
 ダイエットにいくら良くても。

 (続く)