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MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

眠り姫の呪い

2009-03-26 00:01:02 | 私のオケ仲間たち

03/26  私の音楽仲間 (39) ~



  私のオーケストラ仲間たち (16) 眠り姫の呪い






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              ロココの主題による変奏曲
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 雪女の呪い ~チ(ャ)イコーフスキィ の 『冬の日の幻想』 第Ⅲ楽章
                  眠り姫の呪い
               『眠れる森の美女』組曲







 10年以上前、ふとした発言が元で "雪女の呪い" に

遭い、高速道路に入れなかった "深夜の帰宅" の話、

そして以後は、言葉に充分気をつけてきたところまで、

お読みいただきました。




 話は再び今回の合宿に戻ります。



 私が二日目から合流し、到着した直後に挨拶をしている場面
から、お読みいただきましょう。




 夕食を終え、リラックスした雰囲気の中で、私の舌が回転し
始めます。



 「昔ね、こんなことがあったんだよ…」と、私は古い祟りの話を
学生さんたちに聞かせます。

 幸いにも、今回はそんな心配は無さそう。 私は続けます。



 「彼女のことを "雪女" と呼んだばかりにね、"祟り" があった
んだよ。 それで帰り道はね…。」




 その夜の練習も無事に過ぎました。 また直後の "歓迎会"
でも、手荒い目には遭いませんでした。

 さらに、例の "深夜の儀式" も、楽しく終わりました。 幸い、
私自身が生贄となって湖に沈められることもありませんでした。

 翌日もずっと快調。 このまま私も無事に帰れそうです。




 さて、帰る日の朝になりました。

 ところが朝食に降りてくると、何と、また雪が…!!
それも、どんどん激しく降っているのです。

 そんな…。



 「これはまずいな…。」

 慌ててホテルの人に尋ねました。

 「帰り道、どんなものでしょうか…?」



 返ってきた答は、

 「心配ですね、河口湖方面は、もっとひどく降っているかも
しれません。」

 ワーン…。



 今回は、インターチェンジからさらに遠い、精進湖 (しょうじこ)
に滞在しているので、途中が心配なばかりか、河口湖一帯の
方が、いつもたくさん降っているのだそうです。

 そう、やはり今回もタイヤ・チェーンを用意してこなかったの
です。 学習能力が無く、懲りない私…。




 私はすぐに、朝食のその場でみなさんに謝り、今から帰り道に
着くことを告げました。 不幸中の幸いだったのは、私の公式の
役目が、すでに終わっていたことでした。

 しかしいずれにせよ、午後に予定の入っている私としては、
"大事" を取って、この場を後にしなければなりません。




 でも本当は、もう少し居残って、朝の『眠れる森の美女』組曲
の練習に同席したかったのです。

 そして、その真の目的と言えば、Viola のメンバーの一体誰が
眠気に負け、"眠り姫" になるかを、見届けたかったのです!

 ワルの私…。



 ちなみに、今回のメンバーは全員が美女です。 黒一点の
男性メンバーは、先日ついに卒業してしまったし。

 今度は私が黒一点かと思ったのに、これでは黒星百点です。

 一体、何の祟りなのか…。




 今回の合宿、到着時には確かに "雪女" という言葉を
使いました。

 でもそれは過去のことを説明するためで、誰に対しても
"雪女" みたいだ」などとは、決して言いませんでした。

 意識して。

 それなのに! おかしいな、どうしてなんだろう…?




 待てよ…。 そう言えば、朝食時、雪がひどく降り始めたとき、
私の右隣りにやって来て座ったのは、Viola の "ゆきチャン"
だったな…!

 そうだ、きっとそうだ、彼女の呪いなんだ…。



 ゆきチャン、きみ、やっぱり "ゆき=" だったんだね…!
ぼくの教え方、そんなにひどかった?? ワーン!




 私はそそくさと外に出ると、急いで車を転がし始めました。



 一般道を走りながら、雪と競争している気分です。 でも
インターチェンジの料金所、今回は無事にくぐり抜けること
が出来ました。 山を下って大月までが危険地帯で、雪は
やはりかなり積もっていましたが。

 早く "ゆき" から逃げねば…。

 本線の中央自動車道では、私が通り過ぎた直後に速度
規制が出たらしいのですが、幸いにも何とか安全地帯に
辿り着けた次第です。 東京圏に入っても雪が降り続けて
いたのには、本当に驚きました。



 教訓。 今後は、"雪" にも "ゆき" にも気をつけようっと。
それから、タイヤ・チェーンは忘れないようにしようっと。




 それにしても、私が大急ぎで帰ったあの後、誰が
"眠り姫" になったのかな…。



 ひょっとして、ゆきチャンだったりして!



 …とすると、"眠り白雪姫" になったわけだな…?

 いいな~、…。 素敵な王子様に、二度も出会えて…。




 でも、ちゃんと目覚めるんだよ? 万が一、
また眠り姫になったときはね!?

 でないと、今度は「シンデ!」なんて、
言われちゃうよ?



 周りの、口の悪い仲間たちに。



 …ステージの上で…。




 (続く)



雪女の呪い~"冬の日の幻想"

2009-03-25 00:00:40 | 私のオケ仲間たち

03/25  私の音楽仲間 (38) ~



  私のオーケストラ仲間たち (15) 雪女の呪い



          (ャ)イコフスキィ

   交響曲第1番『冬の日の幻想』 第Ⅲ楽章






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               『眠れる森の美女』組曲







 さて、今回の神奈川大学管弦楽団の合宿への参加。

 私の役目も何とか無事に終わりました。



 一日目の深夜の儀式の後も、"祟り" はありません
でした。 また幸いに、学生の間で健康を害した者も、
この時点でありません。

 よかった、よかった。 私も、あとは帰るばかりです。




 祟りと言えば、10年以上前に、こんなことがありました。

 当時 Viola パートには、リーダーを務めていたM.O.さん
という方がいました。 女性です。



 そして、そのときの演奏曲目は、チ(ャ)イコフスキィの
交響曲第1番『冬の日の幻想』でした。

 これを練習していたのは、やはり今回と同じ、春の合宿
です。 場所も同じ、水の冷たい富士五湖周辺でした。




 ところで、この曲の第Ⅲ楽章には Viola のソロがあります。
3/8拍子でテンポは速く、音は低く、ごく短いものですが。

 「あれっ、チェロのソロかな?」と思うと、すぐに低音域で
Viola が引き継ぎます。 「聴き過ごしたのかな…」と思うと、
楽章はすぐに終わってしまいます。




 音源  第Ⅲ楽章 : SCHERZO, Allegro scherzando giocoso

  [演奏者不詳

  [Dorian Wilson, Conductor] (中途から)




 この短いソロの部分を、二人で一緒に練習した後のことでした。

 彼女の出来が大変見事だったので、私は何気なく次のように
口走ったのです。

 「うまいね! まるで雪女みたいだ。



 この楽章は速いスケルツォなのですが、ちょうど雪がチラチラ
舞いながら音楽が始まる、そんなイメージなのです。

 バレェの『くるみ割り人形』の中にも、雪の降る、幻想的で
ロマンチックな場面がありますね。




 さて、この昔の合宿での話の続きです。

 私の役目も終わりに近づき、夜の練習を終えて帰ろうとした
ときのことです。 三月なのに、何と時ならぬ雪が…。

 見れば大分激しく降っています。



 「これはまずいな…。」 私は大慌てで自分の車に向かい、
帰りを急ぎました。

 なぜって、タイヤ・チェーンを積んでいなかったからです。



 そそくさと一般道を走り終え、河口湖インターチェンジまで
来たときでした。 料金所の電光掲示板を見て、唖然!

 「大雪、チェーン規制」…。



 案の定、係員が懐中電灯を片手に、私の車のタイヤを
チェックしにきました。 そして冷たく言い放ちました。

 「駄目ですね、入れません。 一般道を行ってください。」



 そんな…。 でも、しょうがないですよね。 それが決まりだし、
高速道に入れたとしても、事故を起こしたのでは元も子も無い
から。




 それからは、ひたすら忍耐でした。 一般道を河口湖から
大月まで。 思いを同じくする車の数々で混雑した下り道を、
ひたすらチンタラ、チンタラ行きました。 3時間もかけて。



 やっと大月まで降りて来ました。 ひょっとして、この先も
中央自動車道には入れないのでしょうか。

 その際は私の場合、新宿方面へ向かうには、甲州街道の
旧道を行かねばなりません。 いったい何時間かかるので
しょうか。



 幸いにも大月からは、無事に自動車道に乗れました。

 やれやれ。 それでも帰宅は二時過ぎ。 このときは
"深夜の帰宅" になりました。




 「あれはきっと雪女の呪いだったんだ…。」



 以後はそれに懲り、この季節に富士山麓で合宿があるときは、
間違っても「"雪女" みたいだね!」などという言葉は、決して
口にしないようにしました。 仮に冗談でも。

 そしてそれが功を奏したのか、その後も無事に済んできました。



 ところが今回この合宿で、またしても新たな呪いに見舞われる
ことになろうとは、想像もしていませんでした。

 あれほど気をつけていたのに…。




 (続く)



↓↓


音楽の贈物 ②

2009-03-24 00:00:29 | 私のオケ仲間たち

03/24  私の音楽仲間 (37) ~



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 与えられたオーケストラ曲。 それだけで手一杯なのに、
その上に室内楽をやらねばならないなんて、言語道断
ですね。 余裕の無いところへ持ってきて、時間的にも
労力的にも、余計な事を押し付けられるように聞こえる
かもしれませんから。



 でも私は、無理してまで "うまい" オーケストラを作る
べきだなどとは、まったく考えていません。

 どのような方法にせよ。 強制されてやるぐらいなら、
やらない方がマシです。

 ただ願わくは、自発性のある、心の通い合った、
"いい" オーケストラで常にあってほしいと思います。
さらに言えば、自発性とは自分たちを大事にする
ことではないかと思います。




 私は今回の (7) で、"すれ違う際の礼儀正しい挨拶"、
"仲間同士の意思疎通の確認"、"はっきりした大きな声
での返事" などが根付いた、"いいオーケストラ" への
道を歩んでいる団体
について触れてきました。

 それらがいつもあることが、一番大事だと思います。
諸々の技術などをまず求めるより、はるかに重要です
から。

 それは、聴きにきてくださる方々にも伝わるのでは
ないでしょうか




 "仲間同士"、"集団" などと、これまで色々書いてきました。
オーケストラは、もちろん集団の活動です。

 しかし、オーケストラを構成する個人個人が、もし "辛い"
状態にある場合、それぞれの心に力を与えてくれるのは、
やはり音楽自身の素晴らしさ、魅力なのではないでしょうか。




 話は突然変わりますが、あのイチロー選手が次のよう
に述べている様子が、野球好きの私には、どうしても頭に
浮かんでくるのです。

 「チーム・プレーは、自らが犠牲になるのではなく、自分の
ためにやるものです。 自分が野球の喜びを味わうために、
自分がやるのです。 (大意)




 室内楽などのアンサンブルは、全員に期待すべきもの
だとは思いません。 ただこれらに、より多く接した者が、
オケとは別の素晴らしさを味わい、また、無言のうちに
それを仲間に伝えることが出来れば、結果も必ずこれに
着いてくるはずです。

 そして、合奏経験が豊富であってもなくても、様々な者
たちが一緒にオケを楽しんでいくうちに、技術、余裕、
はたまた、他者への愛情さえ "副産物" として与えられる
ように、私には思われます。

 もちろん「愛がまず根底にある」のが、理想でしょうが、
「愛される素晴らしさを知る」ことによって、他を愛せる
ようになるのも、また真実です。 合奏の世界でも。

 "アマチュア" は特にそうあってほしいと願っています。



 誤解を避けるために付け加えれば、自分が楽しくないのに、
仲間に楽しみを伝えることは出来ないのではないでしょうか。
言葉でなく、音楽で

 そう私は感じるのです。




 (1) 深夜の儀式では、ハイドンの『皇帝』、その第Ⅲ楽章を
一緒に楽しんだことをお伝えしました。



 実はその後で第Ⅱ楽章、あの例の変奏曲も、みなで
代わる代わる演奏したのです。

 いや、むしろこちらの方に時間を割いたぐらいです。
あの、心を打つ傑作に。



 音源は以前と同じものです。




   [Kodaly Quartet]     [


   [Quator Mosaiques]   [




 実は私は、この前日に『皇帝』全曲を弾いたばかりでした。

 しかし学生さんたちは、楽譜の準備が直前になったので、
事前に音を出す余裕はほとんど無かったと思われます。



 私を入れた11人。 色々な組み合わせで、代わる代わる
演奏してみました。

 Violin は、一人一人がⅠ、Ⅱの両方のパートを弾くように
しました。 Viola は二人だけだったので、交代しても、ほぼ
出ずっぱり。 また Contrabass には気の毒ながら、チェロの
パートを一人だけで弾いてもらいました。



 私は先生ぶった指摘など、何もしませんでした。 ただ、
一緒にこの楽章を楽しませてもらっただけです。

 音を出すときは、あちこちのパートに首を突っ込みました。
ときにはチェロの席にまで割り込んで。



 またあるときは聴衆として。 彼らの熱中ぶりを眺めながら。
むしろそのことに、私自身は秘かに大きな喜びを感じていた
のです。

 ああ、この素晴らしい作品に誰でも近づき、接することが
許されているなんて…!



 終わったのは、午前二時。 それでも一部の者たちは、
なかなか止めようとしませんでした。




 演奏会に備えての重要な合宿。 プログラムに上った三曲
の最終的完成度は、そのスタートが大きく左右するでしょう。

 しかし、合宿でなければ出来ないことも幾つかあります。
その中には、一見すると、演奏会の出来に直接は結び
付かないと思えるようなことも。

 これが "深夜の儀式" になってしまったのは、忙しい合宿の
スケジュールの中で、ここしか時間がとれなかったからです。




 余談ですが、この団体では先輩たちが合宿中の練習枠 (コマ)
を割いてまで確保していた、自発的なアンサンブルが無くなって、
もう 10年は経ったでしょうか。 どうしてそうなったのか、私には
解りませんが。

 それはそれとして、自分たちの素朴な楽しみを、今後も
大切にしていただければ、これ以上のことはありません。




 最後に、当夜参加してくれた、

Violin君、君、さん、君、

Violaさん、さん、

チェロ君、さん、

Contrabassさん、さん、

ありがとうございました!



 楽しんでいただけたなら、まことに幸いです。



 20数年前の深夜の到着とともに、この深夜の儀式も、
私の心の中にきっと長く残ることでしょう。




 (続く)



音楽の贈物 ①

2009-03-23 00:03:38 | 私のオケ仲間たち

03/23  私の音楽仲間 (36) ~



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 雪女の呪い ~チ(ャ)イコーフスキィ の 『冬の日の幻想』 第Ⅲ楽章
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               『眠れる森の美女』組曲







 これまで、個々の技術向上や、"うまい" オーケストラを作る
ことは、一朝一夕には出来ない、また、「目標を、与えられた
課題として捉えるだけでは足りない」と申し上げてきました。



 前回まで、シベリウス交響曲第1番、その第Ⅱ楽章を
聴きながら、アンサンブルの難しさをご一緒に見てきました。

 神奈川大学管弦楽団が、2009年6月14日(日)の演奏会に
向けて取り組んでいるので、この曲を引き合いに出させて
いただきました。




 指揮者の労力を、アンサンブル面で最小限に済まさせる
には、当然のことながら、オーケストラ側の自治能力が必要
です。

 一例として、指揮者に "一つ" 振らせるだけで、その中に2個、
4個、あるいは6個の音符を、演奏者が正確に入れなければ
いけませんでした。

 厳密に。 また自分勝手にテンポを変えずに。



 また、それだけでは充分ではありません。

 練習、特に本番では、何が起こるか分からないので、
仲間の微妙なズレにも対処できるような、余裕と愛情が
あればいい、そんな風にも申しあげました。 




 楽器演奏に携わる私たちは、当り前のことですが、音楽が
好きだからそれを始めました。 しかし一旦楽器を手にして
みると、障害がいかに多いかに気付かされ、唖然としますね。

 特に、いわゆる初心者としてオーケストラを初めて体験した
方にとっては、難題山積! 解決の糸口さえ見えない場合も
多いことでしょう。



 そのような状態で悩んでいる方も含めて、私は今、"楽しみ
のための自発的アンサンブル" を奨励しようとしています。

 弦楽器で言えば、四重奏など、室内楽のことです。 "オケの
アンサンブル" の "核" となる、弦セクションの方々に対して。



 と言っても、まず「オーケストラを良くしたいから」ではない
ことを、くれぐれもお解りいただきたいのです。

 それは結果であり、その前に、もっと大切なものがあるはず
だからです。




 しかし、どちらにせよ、

「それでは "難問" を増やすだけだ、ただでさえオケの曲
だけで手一杯なのに!」

とお考えの方が多いでしょう。



 それではもし、「どちらか、好きな方だけ取っていい」と
言われたら、どうしますか? 「どんなに失敗してもいい
から」という、条件付きで。

 元々、オケをやるためにオケに入られたのですから、
もちろんオケを選ばれて当然かもしれませんね。



 それはそれで、もちろん結構です。 でも私はただ、オケ
もっと楽しむために、別の面からの魅力を体験して
いただきたいと考えているだけです。 一度だけでもいい
から。

 はたして、「オケの曲ほどには面白くない」ものかどうか。
また本当に、「高級すぎて近寄りがたい」ものなのか…。

 でも、まだ体験しないうちに答を出すのは早いようです。
今までその場が無かっただけかもしれません。



 事実私の周りにも、「聴いてよかった、やってよかった」
と言ってくれる若い方々が、たくさんおられます。 中には、

「卒業してしまったが、また合宿に顔を出すなら、そのときは
ぜひ "深夜の儀式" がある夜に来て、一緒に弾きたい」

という、あわれな犠牲者まで。 何人も。




 音楽を楽しむのは、あなた自身です。 他の誰のため
でもありません。 指揮者でも、トレーナーのためでもなく。




 室内楽では、当然のことながら指揮者はいません。
テンポを自分でキープし、周囲の音と気配だけで、
音楽の進行を察知せねばなりません。

 また、自分のパート譜を鳴らすのは自分一人。
音符にも、また休符の勘定にも、自分で責任を
持たねばなりません。 一人一パートですから。

 そして、一旦 "落ちたり"、"走ったり" してズレたら、
再び正確に音楽に乗る努力も、自分一人でしなければ
なりません。



 しかし、室内楽が与えてくれる楽しみ、仲介者無しに、
仲間と直接触れ合って音楽を作っていく独自の楽しみ…。
その魅力は、ここでは語り尽くせません。




 あまり強調し過ぎると、逆効果ですね。 そろそろ
口を閉じるときが近づいてきました。



でも、今まで経験されたことがない方で、

「騙されたつもりで、一度試してみよう…」

という気になった方は、ひょっとしておられないでしょうか…?

 (まだ喋っている…。)




 (続く)



指揮者への依存

2009-03-22 00:03:11 | 私のオケ仲間たち

03/22  私の音楽仲間 (35) ~



 私のオーケストラ仲間たち  (12)  指揮者への依存






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 雪女の呪い ~チ(ャ)イコーフスキィ の 『冬の日の幻想』 第Ⅲ楽章
                  眠り姫の呪い
               『眠れる森の美女』組曲







 前回まで、神奈川大学管弦楽団で現在取り組んでいる、

シベリウス交響曲第1番、その第Ⅱ楽章を聴いて

いただきました。




 音源 [




 曲の前半では、テンポに多少の変化はあるものの、基本的
にはゆっくりな 2/2拍子です。

 指揮者が一小節を "二つ" に振り続ける中で、演奏者は
様々な数の細かい音符、色々なリズムを正確に入れな
ければなりませんでした。




 この文章や楽譜をご覧になりながら、音源をお聴き
いただき、さぞ大変だったでしょう。 お疲れ様でした。



 ここのアンサンブルの難しさもまた、かなりのものです。

 テンポの変わる難しさと並んで、それ以上に集中力と
慣れが必要な、"数の換算" という難しさ。



 「ほぼ合っている」 だけでは意味がありません。 そのため
には、個々が正確に演奏するだけでなく、互いの音を聴き合う
習慣もまた根付いていなければなりません。 指揮者がいても
いなくても。

 また、周囲の仲間が出す音が常に正確とは限りません。
耳を開き、リズムの微妙なずれにも対応出来る "余裕" が
もしあれば、音楽全体が、さらに調和して聞こえるでしょう。
演奏の場における助け合いです。




 オーケストラにはただ一人、音を出さない音楽家がいますね。
ここで指揮者の役割を、ご一緒に考えてみましょう。



 ご一緒に聴いてきた、この第Ⅱ楽章の前半で、もし不幸にして

アンサンブルの縦の線が合わない場合、指揮者はどこまで

寄与しなければいけないのでしょうか。



 「それはオーケストラの技量によって異なる。 相手次第だ。」

 なるほど、それもそうです。



 では、指揮者が一小節を四つに振れば治まる問題でしょうか。
それとも、六つ? あるいは 12個?




 今ここに、細かく振ってくれる、親切な指揮者がいたとしま
しょう。 一貫して "二つ" に振っていたのを改め、あるときは
"四つ" に、また場所によっては "六つ" と、正確にテンポを
キープしてくれました。 さすがに12個は無理でしたが。



 うまく行きました! 指揮者のおかげで、細かいアンサンブル
は合ったようです。



 それではその場合に、音楽の流れ全体は、どう聞こえる
でしょうか? また、会場で生の実演に接した聴衆には、一体
どんな音楽が "見える" でしょうか?

 パッセジ全体、あるいは楽章全体、音楽全体のメッセージが
伝わるでしょうか。 それとも、一拍一拍のアンサンブルだけ?

 答えは明らかですね。




 お客さんは、音楽の流れに身を任せたいとは望んでいても、
アンサンブルの辻褄合わせのため、指揮者が細分化して振る
のを見に来ているのではありません。 演奏者側も、見ていて
それを煩わしく感じることがあります。

 もし本番や、その間近だけならやむを得ないかもしれません。
しかしこれが日常的なものになっていると、オーケストラ内には
他人 (ひと) 任せの風潮がはびこり、アンサンブルの技量は向上
しません。



 またこの楽章では、"スラー" のかかった、歌うフレーズが多い
ので、もし指揮者に "鋭く" 振られてしまうと、非常にやりにくい
のです。

 歯切れのよい音符と、丸くつながった音符とでは、演奏者の
音の出し方、弦楽器奏者でも呼吸の仕方が、まるで異なります。
その "弾き分け" を、指揮者が助けるか、それとも壊すかの
違いも、まことに重大です。



 細かく振りながら、なおかつ音楽全体の流れを感じさせる、
そのような指揮の仕方も無いわけではありませんが、通常は
期待できません。

 また、出だしだけ細かく振り始め、あとは演奏者に任せると
いうやり方も、有力な選択肢です。 ただしこの場合は、小さく
振っているのか、それとも白玉の音符を大まかに振っている
のかの差が、歴然としていなければなりません。




 ちなみに上記の音源の指揮者ですが、演奏者の立場から
すると、決して見やすい振り方ではありません。

 少なくとも "アンサンブルを助ける棒" とは言えないよう
です。 9分間のほとんどは、「オーケストラ側が、テンポや、
音の出だしを正確にキープしているので、破綻が生じない」
と言ってもいいほどです。




 指揮者がテンポを変えてくれと指示しない限り、音符の数、

リズムのパターンが変わっても、同じテンポをキープする

のは演奏者側の責任
です。 本来は。



 これは絶対的な不文律であり、ちょうど交差点の青信号の

ような、信頼の原則に基づくものです。




 話題が指揮の話になったので、さらに付け加えれば、
「音の頭さえ解りやすいように鋭く振ればよい」と誤解
している指揮者が、多すぎるのではないか、そう感じる
ことが、私にはまことに頻繁にあります。



 なぜなら、もし演奏者が、丸く柔らかく、伸びのある音を
出して歌いたいときに、指揮者に "突発的な鋭い動作" を
されてしまうと、演奏者には妨害行為としてしか感じられ
ないからです。

 深い呼吸で、余裕を持って備えることが出来ないため
ですね。

 それでもうまく行くとすれば、演奏者の方がはるかに
"格上" である場合に限られます。 アマチュア・オケで、
どこでもそれが可能だとは考えられませんが。



 音を出さない指揮者が、どんな音に対しても同じような
振り方をするのは、はっきり言って "音の出し方に対する
勉強不足" ! 演奏側としては我慢できないほど迷惑な
話なのです。

 権力があるように見える指揮者も、また "人間" なのです。




 話がそれてしまいました。

 それでは、指揮者の力をアンサンブルの面で、出来るだけ
借りずに済むには、どのように取り組んでいけばいいので
しょうか? もっとも指揮者に "おんぶに抱っこ" という状態は、
合奏経験が不足がちなアマチュア・オケでは、ある程度やむを
得ないことなのですが。

 もしこれを言葉で表すと、オケの自治個々の自発性という
ことになりますね。 プロのオケではないのですから、そんな
ことは求めるべくもないのでしょうか?

 それとも、アマチュア・オケだからこそ、却って必要なの
でしょうか?

 これは、演奏技術に止まらない、極めて重要な問題です。




 ひょっとして理想論に聞こえ過ぎるでしょうか。 問題も、
ますます難しくなるように感じられますね。



 でも、もともと簡単だと思ってアマチュア・オケを始められた
方はいないでしょう。 こんなところで挫折しては駄目。

 ただし、苦しい話をするつもりは毛頭ありません。 音楽は
楽しくなければ駄目ですから。



 「乗り掛かった船」と諦めて、もう少しだけ、ご一緒に
お付き合いください。




 (続く)