マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

『狸の腹鼓』

2021-01-15 | book
「宇江敏勝」は熊野の山奥の生活などを書いた随筆の他に、
小説も書いています。
『宇江敏勝・民族伝奇小説集』と題して、
なんと、73歳から83歳まで毎年1冊刊行、
去年の11月にこの『狸の腹鼓』の10冊目が出て、全10巻が完結しました。
著者自身が見聞きした事、あるいは著者自身の体験をもとに創作した「短編集」です。
最後の一篇は恋物語で、自伝的なものではないかと感じました。
宇江利勝は、どこへ行っても、何をしても、原点がぶれない人だと思いました。
宇江利勝の母親は字が読めなかったそうです。(山奥の義務教育免除地で生まれ育ったため)
その母に、いつか読んでもらいたいと、いつも、カタカナ語は使わず平易な言葉で書いていたそうです。
残念ながらその願いはかなわなかったそうですが。
この本も、瑞々しい読みやすい文章なのでどんどん読めます。
でも、あんまり早く読み終わるのはもったいない、
ゆっくり、山の風景の中に入り込んで、炭の焼ける匂いや、獣の気配や、虫の動きや、
川の流れや、風の音に耳を澄ませながら、読みたい本です。



(目次です)

『狸の腹鼓』

宇江敏勝 著   2020年  新宿書房
<既刊>
①山人伝 ②幽鬼伝 ③鹿笛 ④鬼の哭く山 ⑤黄金色の夜
⑥流れ施餓鬼 ⑦熊野木遣節 ⑧呪い釘 ⑨牛鬼の滝











コメント
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