マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

町誌を読んで、その2

2024-07-21 | book

『村を出た人々』

江戸時代、農民らが、村を出たり入ったりしたその人数や事情が克明に記録されている帳面があったそうです。

どこの藩でもそのように克明に記帳されていたのかどうか分かりませんが、

鳥羽藩領の例によれば、嫁とり、養子とりの他、

都会へ奉公に行った者や神社参詣の記録の他、無断で飛び出して行ったものは欠落として記録されています。

その中に、源六一家が4人で欠落し、なんと24年振りに帰郷したという記録があるそうです。

諸国の神社仏閣を回っていたそうで、源六は82歳になっていたそうです。

家や田畑はどうなっていたでしょう?

浦島太郎みたいです。家族4人で、という所がすごいです。

いったいどんな旅だったのか、想像もできません。

伊勢地方に住む人たちの参詣の先は「秋葉山」「富士山」「津島神社」などが多かったようです。

江戸時代、御師の誘いに応じて、あるいは参詣を口実?に旅に出た人たちが結構いるらしいのです。

特に伊勢地方は、日本の各地からやってきた人たちが街道を行ったり来たりしているのですから、

話好きの人をつかまえて、お茶を飲んだりしながらいろいろな情報を集めたり、

或いは流行りの戯作を読んだり、浮世絵をどこかで目にしていたかもしれません。

広重らの浮世絵には旅人の姿がとてもたくさん描かれています。

大いに参考になったに違いありません。

遠い見知らぬ国への憧れを、胸の奥で密かに膨らませ、

ついにある日、着の身着のまま、笠をかぶり、草鞋を履いて未知の世界へ一歩踏み出す・・・!

 

もっとも、信仰も今の私にはおよびもつかないほど深かった、のかもしれません。

写真は「江戸時代図誌・筑摩書房」より

 

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町誌を読む その1

2024-07-20 | book

25年位前に町が発行した「ふるさとの年輪」という本を読んでいます。

当時、現在の町名になって40年を記念して発刊、町民に配布された本です。

自然、歴史、文化財について、102項目。

2ページずつの読み切りでモノクロの写真や図が入り、

読みやすく工夫されています。

私は今までこのような本を読んだことが無かったので新鮮です。

でも、きっと、何処の町にも似たような冊子があって、

色々なことがたくさん書いてあるのだろうなと思いました。

 

その本の中から「へ~」と驚いたことなど幾つか記します。

いつも利用する松阪と伊勢を結ぶ道路(県道)は、とても真っ直ぐで便利な道路です。

電車(関西急行伊勢線)が走っていた跡地を道路にしたそうです、

が!なんと「ただ」の道路ではなくて、日本で最初の「有料道路」だったのです。

櫛田橋(櫛田川)から渡会橋(宮川)まで10,6キロ、道幅は7,5メートルで、

当時としては広い道幅だったそうです。

昭和28年のことです。

通行料金はバス250円、普通自動車180円、小型自動車130円、

原付自転車40円、リヤカー、自転車40円!だったそうです。

観光バスが増え始め、やがて年間関係費を差し引いても1500万円の利益を上げるようになったそうです。

しかし近隣住民からが不満があり、無料化を要望、昭和42年に、建設費の償還を終え無料になったそうです。

かつては集落と集落を繋ぐ道がたくさんあっただろうとはいえ、自転車やリヤカーからも徴収するとは驚きましたが、

多分抜け道もいろいろあったんだろうな、なんて思います。

上の写真は当時の「絵葉書」だそうです。ネットからコピーしました。

バスが延々連なっているのが謎

 

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『竹の文化誌』

2024-02-09 | book

かつての日本の暮らしに「竹」は欠かせないものでした。

大小の笊箕、籠、さお竹、筆、笛や尺八、火吹き竹・・・

家の天井、床、壁の中にも竹が使われていました。

そして、タケノコは大切な食べ物でした。

竹の無い暮らしは想像もつかなかったことでしょう。

でも、何となく、それは、日本と中国や東南アジアの文化のように思っていました。

それは間違いでした。

この本で、竹は、世界の広い範囲に分布していて、それぞれの地域で、

日々の生活の中で大切な役割をもっていることを知りました。

今もアフリカや、インド、中国などアジアの各地で、中米や南米で、

住居に、建築現場の足場に、家具や楽器や、筏など

日常の様々な場面で使われています。

 

驚いたのは、コロンブス以前の北アメリカに、竹の原生林が広がっていた、という事実です。

当然、先住民(インディアン)は自生していた竹を利用して暮らしていました。

ヨーロッパからやってきた白人は、

自分たちの農業と牧畜のために自生していた竹林を伐採し、多くを消滅させてしまったのです。

先住民の文化を学ぶことも、竹の可能性に気付くこともありませんでした。

 

今では、世界各地で、

成長が早く、伸長圧縮に強い竹が見直され、

建築資材の他、炭や床材や繊維などへと利用価値が高まってきています。

持続可能な資源として、竹は、多くの可能性を秘めていると考えられています。

二酸化炭素の吸収率などについての研究はまだ始まったばかりのようです。

***************

『竹の文化誌』

スザンヌ・ルーカス 著

山田美明 訳

原書房 2021年

**************

日本には竹の部首の付いた漢字が150以上あるそうです。

多くは籠、竿、笙、などの竹製の「モノ」の名ですが、

竹の節の間の長さが揃っている事や、竹の姿が由来の文字もあるようです。

第、等、簡、算、筋、節・・・など

『笑』は竹には関係なく「わらっている姿」を現しているらしいです。

そう言われてよく見ればこの文字、

体をよじって笑っているようにも、

顔中くしゃくしゃにして笑っているようにも見えてきました!

プラスチックとは一味も二味も違う触り心地です。

 

 

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今は氷河期・・・

2023-10-31 | book

『ニッポンの氷河時代』という本を読みました。

新刊です。

今は「氷河期」だそうです。

「氷河期」とは、地球上に、氷河が存在している状態のこと、氷河が無い時期は、

そのまんま「無氷河期」というそうです。

現在は南極やグリーンランドなどに氷河があるので「氷河期」なのです。

(北極の氷は海に浮かんでいるので、氷河ではなく海氷という。

北極の氷の厚さは最大で10mくらいだが、

南極の氷河の厚さは、平均2400mもあり、温度も低い。)

 

「氷河期」の中に、「氷期」と「間氷期」があって、

今は氷河期で「間氷期・後氷期」なのです。

氷期や間氷期にも、温暖な時期と寒冷な時期があって、

ジグザグのグラフを描いています。

何重もの「入れ子」になっているのです。

そのことを知って、今まで混乱していた事柄がすっきりしました。

 

氷河期や無氷河期は、大陸(プレート)の大移動、造山活動、火山の大噴火などに伴う、

大地や海流の大規模な変動によってひきおこされると考えられています。

氷期と間氷期は地球の地軸の傾きの変動と、ぐらつきの周期、

太陽の周りをまわる地球の軌道の変化の周期が原因らしいです。

 

恐竜のいた時代は無氷河期、地球は超温暖だったと考えられています。

その超温暖無氷河期は1億年位前に終わり、徐々に氷河期へと変わり、

恐竜は死に絶え、やがてその変化の中で生き延びた生物と、哺乳類の時代へと変わっていきました。

(今はおよそ258万年前に始まった新生代第四紀

最終氷期は、約1万年前に終わったと推測されています。

縄文時代の日本列島は温暖だったそうです。が、

あくまで、氷河期の中での今に続く間氷期のことなのです。

氷期や間氷期の間も気温はノコギリの刃のように上がったり下がったりを繰り返し、

瀬戸内海も、陸になったり海になったり、大阪湾も陸になったり、海になったりを繰り返したそうです。

その繰り返しの跡が残る「大阪層・真水と塩水の生物の化石が、層になっている」では

5種類のゾウの化石やワニの化石が見つかっているそうです。

 

そして、新生代第四紀は人類の時代でもあります。

数万年後には次の氷期がやってくると推測されていますが、

極端に短い期間の、人類の手による自然のかく乱(動植物の絶滅、温暖化など)が、

地球的規模の自然に対して、どのような影響を与えるのかは予測が立てられない状況になっています。

今を生きるヒトにとって、その影響は決して歓迎できないことだけは確かだと思います。

地球の歴史の中で、人類が誕生して今まで生きてきた時間は本当に短い、

一瞬に過ぎない、けれど、だからこそ、

奇跡のようなその時間を、人はもっと大切にすべきだと思います。

*******************

ニッポンの氷河時代

大阪市立自然史博物館・監修 (執筆者7名) 

化石でたどる気候変動

河出書房新社 2023年

*******************

図や写真やグラフが豊富で、短いコラムもあり、

読みやすく工夫されています。

(ただし私には、グラフや表を見るには拡大鏡が必要!)

 

 

 

 

 

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本を読んで、年表に書き加えた

2023-09-12 | book

中公新書『重金属のはなし』を読みました。

昔作った、地球の年表を広げて、

この本から得た事柄を、数行書き加えました。

赤い数字は、○億年前の略です。

この年表を作ったきっかけは、恐竜に興味を持った息子でしたが、

私自身が、白亜紀とかジュラ紀とかカンブリア紀とか、もっといろいろ知りたくなって、

まずは、地球の年表を作ってみようと思い立ち、

模造紙を切って作ったものです。

1億年を30cmにしたので、長さは1380cm(13.8m)です。

↑ 人類の誕生は約500万年前として、1,5cmになりました。(右端)

以来、関連の本を読むたびに少しづつ分かったことを書き加えています。

 

中公新書『重金属のはなし』では、

重金属とは何か?それぞれの金属の性質や現代の社会での重金属の役割などの話から、

生命や宇宙の物語と交差しつつ、それぞれの重金属と、

人とのかかわりの歴史、そして人類と重金属の未来を展望している・・・と書くと、

難しい本のように思えますが、読みやすくて、とても面白かった!

 

原始の海に溶け込んでいた鉄や様々な「金属」を取り込んで進化(変化)していく生命の話が特に面白く、

光合成の始まりが、紫外線から生命を守り、地球を命の星にする転機だった、

やがて、溜った猛毒の酸素を利用して生命活動を飛躍させていく生物が生まれていった・・・という事実に感動します。

途方もない長い時間に繰り返される、大気や海や陸地の変化と、

それに伴って、絶滅したり、また新しい生物が生まれたりを繰り返し、

そして、今がある・・・

ヒトが今いるのは、人が存在できる地球環境が出来たからであり、

環境と無数の生物たちとのせめぎ合いの中の「奇蹟」です。

その人類が、地中深くから毒物を掘りだして、

海や環境中に放出することが、どんなに愚かなことか!

 

水俣病やイタイイタイ病、ヒ素中毒等の公害についても、発生から、認定、今日に至るまでの経過を、

ページ数は少ないながらも、要点がしっかりと書かれています。

どれも、忘れてはならないことの数々です。

しかし!福島の原発事故後の政府と企業の対応は、100年経っても同じ!

 

そして最後はレアメタル、人類が利用するようになってまだ歴史は浅いものの、

コンピューター、携帯電話、ジェット機など現代社会はレアメタルなしでは考えられないようになり、

レアメタルを求めての乱開発は深海にまで及んでいます。

予期せぬ大規模な汚染が起きる恐れもあり、その時、人類はどのような選択をするのでしょうか?

放射能の汚染水を海に捨てるような現状を考えると、

悲観的にならざるをえません。

 

図書館で借りてきた本ですが、買って手元に置いておきたいと思います。

********************

『重金属のはなし』鉄、水銀、レアメタル

渡邉泉 著

中公新書 2012

 

 

 

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『カースト』

2023-08-31 | book

中日新聞で、本書の翻訳者を紹介する記事を読みました。

早速図書館に予約して、だいぶ順番を待ち、ようやく借りてきました。

**************************

『カースト』アメリカに渦巻く不満の根源

イザベル・ウイルカーソン 著

秋元由紀 訳

2022、岩波書店

(18か国語に翻訳されたベストセラー・ノンフィクション・496頁)

☆上の青い文字をクリックすると、試し読みで、目次など23頁まで読むことが出来ます。

**************************

私が子供の頃の教科書には、

コロンブスが1492年に「新大陸」を発見した、と書いてありました。

まるで何もない未開の大陸を発見したかのような記述でした。

事実は、その頃、現在の合衆国地域に住んでいた先住民の数は、200万~1800万人と推定され、

アステカ、インカ、マヤなどの都市には計7000~9000万人もの人が住んでいたと考えられています。

1世紀半後には、350万人くらいになってしまったそうです。

ヨーロッパからやってきた人たちが、

金も銀も土地も水も、人の命も、歴史も、ありとあらゆるものを奪い盗ったのです。

 

初期には先住民を奴隷に使おうとしたそうですが、

白人の持ち込んだ病気に感染してたちまち多くの人が亡くなってしまいました。

アフリカから連れてきた黒人は比較的ヨーロッパから持ち込まれた病気に強いことで、

奴隷船でどんどん送り込まれてきました。

 

アフリカでは、「黒人」はいません。それぞれの地域のそれぞれの名があるのです。

ベルベル人、ハウサ人、ヨルバ人、 イボ人、オロモ人、アムハラ人・・・

ヨーロッパで、ポーランド人とか、ドイツ人とか、オランダ人とかそれぞれの地域の名で呼ぶように。

けれど、アメリカ大陸では、黒か白かで分けられ、黒はアウト・カーストとして、

人格を剥奪され、暴力と虐待に曝され続けてきました。

 

ナチスは、ユダヤ人差別のために、アメリカの黒人を差別する様々な法律を研究し真似たそうです。

そのナチスでさえ、そこまではできない、と言ったほど、

アメリカでの黒人差別の実態は、理不尽で残虐非道だったそうです。

リンチはまるでカーニバルの見世物のように、子どもまでもが見に集まることもあったそうです。

また、遺体の一部を持ち帰ったり、死体のそばで写真を撮って、

絵葉書にして送り合ったりしたそうです。

 

自由も、民主主義も、ずーっと「黒人以外」の話でした。

しかしアメリカの土台を実際に築いたのは黒人だったのです。

ジム・クロウ法(差別法)が1964年に撤廃され

今では、スポーツや、音楽や、絵画や、あるいは研究や、ビジネスで地位を得、政治家やお金持ちになった黒人もいますが、

差別は無くならず、社会を腐らせ、混乱させ、多くの人が、苦しんでいます。

「差別があまりにも長く続いたために、多くの人々の心の奥に刷り込まれてしまっている・・・」

と著者は書いています。

 

重たい本でした。

今も続く欧米白人の、差別、そして際限のない強欲のルーツを見た思いがしています。

もう1冊、こちらも重たい本。

『収奪された大地』 ラテンアメリカ500年

エドゥアルド・ガレアーノ 著

大久保三男 訳

1991年、藤原書店(494頁)

*1997年 新装版

平和を求める中南米の人々の心を踏みにじってきたのも、

金や銀や石油やゴムやコーヒーや様々な資源を我が物にしようとするアメリカやヨーロッパの国々の「強欲」です。

でも、この本が書かれてから、32年経ちました。

ウルグアイ、コスタリカ、メキシコ、ブラジル、ベネズエラ・・・

ほんの少しづつですが、世界は変わりつつあるのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

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『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』

2023-06-11 | book

不思議な味わいの小説でした。

熊がテーマの「8つの短編集」の様な作りですが、

つながった一つの文学世界です。

皮肉や風刺が利いた迫力のあるファンタジーのようでもあり、

叙事詩のようでもあり、

挿絵の雰囲気も相まって引き込まれました。

この小説と、訳者の「あとがき」によって、イギリスの動物虐待の歴史を知りました。

あとがきによれば、イギリスでは、11世紀には、娯楽としての狩猟によって、クマが絶滅。

(熊は絶滅してからも、闘熊が見世物として大人気だったので輸入し続けたそうです。)

続いて13世紀にはイノシシも絶滅し、

次に、オオカミも絶滅対象に、続いてオジカ、角をトロフィー代わりに乱獲、

しかしシカは繁殖力が強く絶滅には至らず、次はキツネ狩りがトレンドとなり、

キツネも絶滅しかけたので、輸入しては放して狩りまくって、

その結果ウサギが繁殖して草木が減っていった・・・

という歴史を辿っているそうです。

『こうして イギリスから 熊がいなく なりました』

ミック・ジャクソン 著

デイヴィット・ロバーツ 画

太内 志文 翻訳

2018年 東京創元社

 

牧草地や畑を作るために、あるいは製鉄のために、

さらには森や山につながる古い信仰を根絶するため、山を削り森を伐採していった事と

娯楽としての狩りが長く続き、

その結果、今では、イギリスには森も山もほとんどなく、獣や虫や植物の種類もとても少ないそうです。

植民地においても同じパターンで、森林を、動植物を、古い文化を破壊し、

更には原住民を狩り、売買した・・・

 

日本では、かつてさまざまな動物が神様になったり、

或いは仏様のお手伝いをしたリ。

人がすべての生き物を支配するとしたキリスト教との

大きな違いかもしれません。

 

 

 

 

 

 

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楽しい図書館

2023-03-06 | book

6~7年前、テレビが故障した時、廃棄して、そのままテレビ無し生活になり、

本を読む時間が増えました。

こちらに越してきて、近所に本屋さんも古本屋さんも無くて、古本市も無いので、

私の生活の中で、図書館の存在はとても大きい。

 

この日は、この図書館の開館25周年ということで、玄関に天井まで届く紙製のバースディ・ケーキが飾ってありました。

図書館を利用した子どもたちにはシールが渡され、そのシールを各自貼る、という趣向になっているようです。

図書館は、入り口で手を消毒して、体温を自動測定して、中に入ります。

ゆったりとしていて、工夫が凝らされ、司書さんたちも親切でほっとします。

ネットを通じて貸出の延長や、他館からの取り寄せや、リクエストもスムーズで助かります。

 

今回は、久しぶりに翻訳本が並ぶ書架へ。

まず、「いざよいさん」ご紹介のミラン・クンデラの『冗談』を探し、

その近くに並んでいた本の中から、好きな作家の最新作を見つけて借り、

その傍の、軽く読めそうな本や、ちょっと気になる本を籠の中に入れ、計8冊選んだら、

なんと著者の生まれはそれぞれ、ロシア、チェコ、イタリア、イギリス、アメリカ、フランス!

 

図書館から帰って来て、本を入れた重い袋を床に降し、

1冊づつ出して並べて、手に取って、さてどれから読み始めようか。わくわく!

アクーニン(ロシアの作家、日本文学を多数ロシア語に翻訳・紹介している、

アクーニンは「悪人」からとったペンネーム)のサスペンスも気になる。

イタリアの作家が書いた、アフガニスタンの少年の孤独な旅の物語『海にはワニがいる』も気になる。

『贖罪』のイアン・マキューアンの新作『ソーラー』は随分雰囲気が違う、面白いといいんだけど。

日本在住のフランス人の書いた『フクシマ・ノート』は?

 

でも、最初はミラン・クンデラの『冗談』から。

思いの外読みやすく、翻訳も滑らかで、引き込まれました。

それぞれの登場人物の心の底へ深く降りていく描写に、震えました。

ストーリーに呼応して語られる音楽も興味深い、

ラストはどうなるのだろうと、心配でしたが、いいラストでした。

返却前にもう一度目を通したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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泳ぐイノシシ

2022-12-01 | book

今では、山間地の田畑は、周囲に電気柵が張り巡らしてあります。そうしなければ、作物が作れなくなったのです。

獣害のために、耕作を放棄してしまったところも多く、

耕作放棄地はたちまち藪になり、獣の隠れ場所や通り道となり、さらに被害が拡大するという悪循環が起きています。

イノシシは、増えているのでしょうか、昔とどこがかわったのでしょう。

図書館で猪の本を2冊借りてきました。

面白かったので紹介します。

 

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猪変

中国新聞取材班 編

本の雑誌社  2015年

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泳ぐイノシシの時代 ーなぜ、イノシシは周辺の島々にわたるのか?ー』

びわ湖の森の生き物・6

高橋春成 著

サンライズ出版 2017年

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イノシシは、餌を探して、あるいは人に追われて、川を、湖を、海も巧みに泳いで渡るそうです。

(猪の仲間のバビルサ(インドネシアのイノシシの仲間)は潜ることもできるそうです。

イタチがラッコになったように、いつか見たことも無い生き物が生まれるかもしれません。)

 

琵琶湖の沖ノ島(漁業と石材業の島)は、滋賀県近江八幡市の沖合1、5キロの所にある、標高最高220メートルの小さな島です。

2009年に対岸から泳いでやってくるイノシシが目撃されて以来、

小さな畑で作られる、豆やサツマイモや里芋が、被害を受けています。

同様に、琵琶湖に浮かぶ竹生島(観音菩薩の霊場・札所)や瀬戸内の島々や、

九州の壱岐周辺の島々、天草諸島などで、以前は猪がいなかった島に、猪が上陸しているそうです。

(イノブタの飼育場から逃げ出した猪が野生化して増えてしまった、という島もあるそうです。)

↑ イノシシが泳いで渡った島々(アンケート調査より「泳ぐイノシシの時代」)

 

近年の猪の被害の拡大には様々な理由があります。

かつて、薪や山菜などを採るために絶えず人が入って手入れしていた(奥山と人里との間の)里山が失われたこと、

田畑に人の姿がない。(農村人口の減少)

犬の放し飼いが無くなった。天敵(狼)がいない。

集落全体の結束が失われたこと(個人で田畑を守らなくてはならない)

雑木林がスギやヒノキに変わり、獣の餌の木の実が少なくなったこと。

暖冬も影響があると考えられています。

 

ヨーロッパ(フランス・ポーランドなど)では、日本とは狩猟の伝統が違うようです。

今でも、狩猟は楽しみであり、社交の場でもあり、かつ、耕作地を守るためという責任もあり、

また、ビジネスでもあるそうです。

野性動物の研究者も多く、調査も進んでいるそうです。

フランスへ「猪変」の取材班が訪れた時、ドゴール空港の売店には、狩猟雑誌が並び、

なんと3種の狩猟雑誌の表紙が、すべてイノシシの写真だったそうです。イノシシは人気らしいです。

 

日本でも、イノシシやシカの肉は、山間部では、ご馳走だったと思いますが、

それを「楽しい、美味しい」と大きな声で言えない、

むしろ後ろめたい気持ちにさせられた時代が長く続いたことも、

今の状況に影響しているのかもしれません。

 

 

 

 

 

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古本の楽しみ

2022-11-06 | book

京都にいた頃の愉しみの一つは、古本まつりと古物市(北野天神、東寺)でした。

古本まつりは、年3回、お寺の境内などで6日間に渡って開かれる、盛大な古本市で、

各地から古本屋さんがぞくぞく集まってきます。

特に夏の「糺の森」の古本まつりは家の近くなので、暑い最中に、何度も通いました。

中央テントの事務局で貰った団扇です)

横のテントには宅急便の臨時の受付もあり、段ボール箱が積み上げられていました。

 

古本屋さんでは、見たい本を安価で手に入れることが出来る、という魅力もさることながら、

思わぬ本との出合いが何より楽しい!

こんな事も、あんな人のことも、こんな国のことも、知らなかったなー!と、感動しつつ読む。

本の中には無限の世界が広がっています。

 

こちらに来てからは、もっぱら図書館にお世話になっています。

コロナ禍でも、新聞やネットで、読みたい本を見つけた時には、ネットで予約しておいて取りに行くことが出来るのは本当に助かります

そして、年に1回の、図書館の処分本の市(無料、冊数制限なし)です。

書庫の整理で、10年~30年前の本も、並びます。

今回地元の図書館では、百科事典や〇〇全集、○○図鑑のような箱入りの大きくて立派な本が揃いで出ていたことに驚きました。

とても綺麗で、まるで、新本のようです。

新版が出たので不要になった、ということになったのでしょうか?

それとも、何か理由があって書架に並ばなかった本なのでしょうか?

引き取り手があるといいなー

今では、子どもでもネットで調べるので、何処の家庭でも重い本は不要かもしれません。

断捨離ブームで、本も邪魔者にされる時代です。

しみじみ時代の流れを感じます。

写真集や百科事典を開いて、床に座り込んで、いつまでも読みふける、なんて風景は過去のものになったのですね。

図書館では、誰も引き取り手が無かった本は処分されるそうです。

なんとか、再利用の方法が無いものでしょうか?

本好きの私としては、とても悲しいです。

 

古い本を読んでいると、思想や哲学の深まりは、技術の進歩とは別物だな、としみじみ思います。

例えば「男女平等」という事でも、世界各地で、日本で、当たり前のこととして誰もが受け入れるまでには、

まだまだ長い年月が必要なようです。

というわけで、今年もどっさり古本をいただいてきました。

(前回は詩集や民族学の本などを多く貰ってきましたが、

今年は出ていませんでした。)

未だ読んでいない本を、ソファーの脇の床に積み上げて、にんまりしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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