goo blog サービス終了のお知らせ 

マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

ロシア映画「ストーカー」1979年制作、監督・タルコフスキー

2011-11-13 | 映画
図書館で予約して映画「ストーカー」を借りてきました。

DVD2枚組、155分の長編ですが、長過ぎると感じることはありませんでした。
殆どモノトーンで、時々印象的なカラー画面になります。
音や音楽が効果的に使われていて静けさが際立ち、忘れられないシーンを作っています。
「ソラリス」同様、人の心の奥深く下りていくタルコフスキーの映画手法が独特です。

「ストーカー」というのは「ゾーン」の「部屋」まで希望者を連れていく「案内人」のことです。
在る場所に何かが起こり、隕石が落ちたのではないかと推測されました。
住民はいなくなって、調査に入った軍隊も戻ってくることはなく、誰にもなにもわからないのです…
そこは「ゾーン」と呼ばれ立ち入り禁止区域となります。
やがて噂がたちます。「ゾーン」の奥にある「「部屋」に入ると「希望」がかなえられると。
ストーカー(主人公)は作家と科学者の二人を連れてゲートを突破してゾーンに向かいます。


(ここからは、これから見ようと思っている人はご注意。)

案内人は包帯に包んだナットを放り投げては安全を確かめて僅かずつ進んでいきます。
道を間違えば直ちに死の危険があり、道は刻一刻変わっているというのです。
作家と科学者は芸術や科学を論じ、不安や孤独や絶望を吐露します。
草原や荒れ地、湿地、水の滴るトンネル、汚水の溜まったプール、廃屋、雨、霧…
ついに3人は部屋の入口までたどりつきます。


結局二人は部屋へ入ることを拒否しストーカーは二人を連れて帰ります。
疲れ切ったストーカーを待っているのは、
辛い暮らしを運命として受け入れている妻と奇形の足に生まれついた娘でした。
娘は一人で椅子に座ってテーブルの上のコップを見ています。
凝視されたコップはゆっくり動きテーブルから落ちる…
映画はそこで終ります。


この映画はチェルノブイリ事故の7年前に制作されましたが、
タルコフスキーが原発事故の予感を映画言語で語ったものだったのかもしれません。
タンポポの綿毛のようなものがストーカーの家族の周りに舞い散っているも印象的です。
(ストーカーの家族が暮らす水辺の背景に原発が見えるシーンがあります。)

映像の詩人と言われたタルコフスキーは1986年に54歳で亡くなりました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする