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マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

とうがらし

2018-07-21 | book
94歳の母が、
カッと辛いキムチが食べたくなった、
というので、
早速スーパーで、大阪の鶴橋製の真っ赤なキムチを買ってきました。

辛いけどおいしい!
映画「タクシー運転手」にも、もちろんキムチが出てきます。

新大陸原産の唐辛子はごく短期間に、
世界中に広まりまっていったそうです。
イタリアでも朝鮮でもアフリカでも、
ブータンやインドネシアやインドでも、
唐辛子がない料理なんて、もはや考えられません。

ナスカの土器に描かれたトウガラシ

ヨーロッパは金銀財宝を中南米の国々から強奪し、やりたい放題してきました。
時は過ぎ、、金銀財宝は雲散霧消。
けれど、今や、世界の人々は新大陸原産の作物無しでは、
生きていくことが出来ません。
ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、カボチャ、
ピーナッツ、ヒマワリ、イチゴ、パイナップル、
ズッキーニ、カカオ(チョコレート)タバコ、
そして唐辛子、もちろんピーマンなども含まれます。


イタリアの「トウガラシ・アカデミー」のロゴマーク
(ペペロンチーノはイタリア語で唐辛子のこと)
唐辛子博物館もあるそうです。
覗いてみたいなあ。
(ハンガリーにはパブリカ博物館があり、韓国には唐辛子文化村があるそうです。)


日本では激辛ブームが続いているようですが、
江戸時代にも人気だったようです。
主に観賞用と薬用に広まっていったようです。
「朝顔に鶴瓶とられてもらひ水」で有名な俳人、千代女が
ある人が作った、「赤蜻蛉 羽を もぎれば とうがらし」
という句を「唐辛子 羽を はやせば 赤蜻蛉」と修正したというエピソードがあるそうです。
唐辛子が身近な存在だったことがうかがわれます。

甘い唐辛子(写真は万願寺唐芥子)もおいしい。

上記のエピソード等は、下の本を参考にして書いています。

面白かった!
作者の「山本紀夫」さんを検索してみたところ、
1943年生まれ。植物民俗学の研究者。
世界各国の高地に長年滞在し調査してこられた人です。
面白そうな本を他にも書いておられることが分かりました。
知らなかったなー、
今から読むぞ!





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植物園にキャベツを

2018-04-28 | book
奥本大三郎(1944年生まれ)の本は、
古本屋などでも見つけたら手に入れて読んでいます。

『当世 虫のゐどころ(2001年、新潮社)』(この本は図書館で借りた)の中に
「公園にキャベツ畑を」という短いエッセイがあります。

読んでいる内に、
たしかに、植物園に「野菜」がないのは片手落ちのような気がしてきました。
植物園の一角に、
小さな野菜畑を作って、
カボチャやゴーヤやキャベツやオクラを作るのはとてもいいと思います。
子どもたちだって、
キャベツやオクラやピーマンがスーパーで作られているのではなく、
土から育っていることが一目瞭然で理解できるし、
野菜にもこんなにきれいな花が咲く、というのも嬉しい発見だし、
おもしろそうです。

奥本大三郎は、フランス文学と、虫の専門家なので、
虫のために、キャベツや夏ミカンの木なども欲しい、と書いています。
私はどの虫がどの植物を食べるかよく知りませんが、
そのようなことを考えて植物を配置したら、どんな植物園になるでしょう?

ぜひとも野菜作りの専門家や、
果樹のプロや
虫に詳しい人も職員に加えて、やってもらいたい。

野生の植物をどんどん改良して華やかな園芸草花を創り出していったと同時に、
野菜こそ、現在の私たちにとって最も大切な園芸作物です。
出来れば原種と、野菜となって私達が食べている現在のモノと、
一緒に植えたら、画期的な植物園になるのでは!

いつの間にかたまった6冊の文庫や新書、
『虫の宇宙誌』などは何度も開いては読んでいます。
縦横無尽でユーモアのある文章、
著者の虫に寄せる愛情が一筋縄でなくて、
私も虫を愛しそうになります。

でも、それはやはり、個性の違い。
本を読み終えれば、
へっぴり腰で虫を見ている自分に気が付きます。

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鮟鱇・アンコウ

2018-02-21 | book
スーパーの魚コーナーにアンコウのパックがたくさん並んでいました。
寄せ鍋をしようと思っていたのでちょうどいいと思って購入。
白みそ仕立ての鍋にもピッタリでおいしくいただきました、が
今食べたアンコウはもやはり深海魚なのだろうか、どんな姿なのだろうか、と気になり、
調べてみました。

子どもの頃、図鑑を開いて飽きず眺めた深海の生物、
暗闇に光るアンコウの頭の上の光るひらひらは、とりわけ神秘的で、
忘れられない絵でした。

先日手に入れた本が楽しい。
「深海生物ファイル」その中にもアンコウの写真やイラストがたくさんあります。

アンコウにもいろんなアンコウがあるらしいです。
食用になるのはその一部の種類だけ、
上のイラストの、平べったいキアンコウは食用になっています。
鮟鱇の生態は、その奇怪な姿に負けない驚きに満ちています。


ところでお相撲さんの「あんこ型」はアンコウの姿から連想した言葉だそうで、
深海魚ながら、日本では鮟鱇は結構ポピュラーな魚だったのかもしれません。

『深海生物ファイル』  北村雄一 著、
   海洋研究開発機構 協力  2005年 ネコ・パブリッシング
前半三分の一は写真で、後半の三分の二は著者自らの楽しいイラストで深海の生物を紹介しています。
便利な用語解説やインデックスもあります。

歩けばあっという間の1キロの距離であっても、
海の底へ向かう1キロは途方もなく遠い。
けれど、巨大な水圧に閉ざされた暗黒の世界にも、
いろいろな生物が生きています。

(日本海溝と千島海溝の最深部、9200メートルの谷はクマナマコの王国だそうです。)


(スケーリーフット、4センチくらいの小さな巻貝、
足は黄鉄鉱にコーティングされた鱗でおおわれている。)

酸素ではなく、メタンや二酸化炭素を利用して栄養を得ている生物もいる。
でも、海の底の熱水噴出孔に群がる奇妙な生物も、ヒトも、アンコウも
地球上の生物は皆、
同じDNAの仕組みを使って生きている、
不思議すぎます。
命はどこからやってきたのでしょう?

最近では、生命は宇宙からやってきた、
と考えらるようになってきているようですが、
きっとそうだと思いますが、
それにしても「命」は全く不思議な存在です。
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戦争とヘイト

2017-12-15 | book
2冊紹介します。
小説ではありませんが、
とても読みやすい本で、
すぐに読めます。

1冊は図書館のティーンズ・コーナーに並んでいました。

『14歳からの 戦争のリアル』 
雨宮処凛・あまみやかりん(1975~ )河出書房新社 2015年 

・イラク戦争のアメリカの帰還兵の話、
・太平洋戦争時トラック島に配属された、当時24歳青年の体験。
・戦地でのボランティア活動の現在。
・戦場出稼ぎ人たちのリアル。
・徴兵拒否で亡命した韓国の青年の話。
・元自衛官の話などの項目があり、
文字も少なく、やさしい文章なので、どんどん読めますが、
内容の重たさに、
ちょっとぐったりしました。
しかし、これからの日本で生きていく若い人たちに、
知っておいてほしいことが、たくさん書かれています。
アメリカの、貧しい若者を、戦争に行くしか道がない状態に追い込む、
経済的徴兵制の話は恐ろしいです。
貧富の差が広がっている情報鎖国の日本も、
このまま進んでいけばきっとそうなるだろう、と思えるからです。


『アンチヘイト・ダイアローグ』
 中沢けい 著    人文書院 2015年

こちらは作家「中沢けい」がヘイトについて
8人の様々な分野の人と語り合う、対談集です。
ダイアローグ、というのは対談、対話というような意味だそうです。

右翼の派手なトラックが日の丸を立てて軍歌を鳴らしながら走り回るのは見慣れていたものの、
安倍政権が誕生し、
街に現れた、ヘイトデモには驚きました。
市民社会の常識ではありえない言葉で、
特定の人たちを差別し侮辱する様子は、
安倍政権の中で生まれ育った「悪魔」が遂に姿を現した、
という感じがしてぞっとしました。

この本では、
ヘイトの歴史、世界の事情、右翼について、
モラル、学者の立場、民主主義について、市民運動とのかかわり、
報道について、ツイッターなどのネットについて、言葉について、
親鸞の思想について、などなど
思いつくまま、語り合います。
この本もすいすい読めます。

おぞましい言葉を吐くヘイトデモは、
カウンターデモや、裁判などで、
脅迫や、醜い中傷の渦の中でも、頑張って闘い続けた人たちの努力によって少し減りましたが、
マスコミの一方的な報道や、
ネットで差別心を煽られた人たちが、
事実や歴史を知ろうともせず、
罪悪感もなく、
軽い気持ちで抱く差別心を、
次第に膨らませているのではないかと感じます。

誰かが苦しんでいたら心配し、寄添う気持ち、
共感する心は、
最も大切な人間的な部分ではないかと思うのですが、
そして、それは本能ではないかと思うのですが、
違うのでしょうか?













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『R帝国』

2017-12-07 | book
このところ40~50代の日本の作家の作品を続けて読んでいます。
現代日本に、世界に、
危機感をつのらせている若い小説家たちの作品に、
読みごたえがあります。

R帝国 』中村文則(1977~)  
中央公論新社、2017・8


どのようにして戦争ははじまるのか、
「今」権力者は何を考え何を準備しているのか、
凡人には考えつかない怖ろしいことを考えているに違いないと思うのですが、
それでもやっぱり、庶民には権力者の考えてることはわかりません。
このような小説を読むと、
想像力が高められ思考を一歩進めることが出来るような気がします。

架空の近未来を舞台に物語は進みますが、
人々の不安や不満が、
差別と憎しみへとつながっていく仕組みがありありとえがかれます。
権力者にとっては全て予定通りのこと、
読んでいて苦しくなります。
しかし、現に日本で、今まさにその通りのことが進んでいるのです。

今が未来を作っていく、
当たり前のことですが、
その大切な「今」を見ようとしない人たち、
世界から遮断された「ここだけの世界」しか見ない人たち。
そのような人たちばかりになったとき、未来はあるのか?と問いかけます。

特に若い人に読んでもらいたい本です。
以下に、もう2冊紹介します。

馳星周(1965~) 『雪炎

原発の町に生きる人々の苦悩は
都会に住む人には想像もできません。
政治家や電力会社と暴力団の癒着もリアル。
原発の町から送られてきた電気を、
盛大に使っている都会に住む人に読んでほしい小説です。

東山彰良(1968~)『

抜群に面白い小説です。
台湾出身、この作品で直木賞を受賞しています
台湾と中国と日本の、近代の歴史的な関係なんてほとんど何も知りませんでした。
しゃべり声や、料理の匂いや、
舟の音、海の風・・・雑多な風景の中で、
どんな事態に立ち入っても、自らの意志で行動する主人公らに
心を揺り動かされました。
辛くすさまじい内容ですが、
青春の物語も絡んで、
どこか希望を感じる終わり方で、ホッとしました。





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「杉浦明平」の本を読む

2017-07-20 | book
1930年当時、わたしの父は5歳でした。
治安維持法が強化され、
思想弾圧が強まり、
出版物の検閲は激しさを増し、
自分が考えていることを発表するのは難しくなっていました。

若い杉浦明平が何を書いても、検閲で闇に葬られていました。
しかし、杉浦は
1939年から終戦までに書いた悲痛な叫びや、
憤怒の思いを書き留めたものの一部を、
ひそかに隠しもっていました。
下記の本はそれをまとめたものです。
「この本を出版した今の思いは、原稿を書いた時とかなりずれているところもあるが、
あえて訂正していない」という意のことが後書きに書いてあります。
(日記もありますが、別の本になっています。)

1『暗い夜の記念に』
杉浦明平 著 1997年、風媒社

そんな暗い時代に直面した、文化人と言われる人たちには、
小説家も、評論家も、詩人も、絵描きも、哲学者も、科学者も、音楽家も、
巧みに権力を忖度して(顔色を窺って)
生き延びる者や、
華麗なる転身をして、
侵略戦争の賛美者となるものも多くいました。
スパイになり果てる者もいたそうです。
しかし、
口をつぐみ、
地位を捨て、
じっと耐える道を選んだ人もいます。
また、絶望して自ら死を選んだ人もいました。
小林多喜二のように、残酷な拷問で殺された人もいます。
牢で病死した人は数知れません。

これからどう生きるべきか、
一人一人が考えなければならない時代が再び来ようとしています。

杉浦明平(1913~2001)
ルネッサンス研究の著書が多くありますが、
「ピノッキオの冒険」や「チッポリーノの冒険」「クオレ」などの翻訳も多く、
私が子供のころ読んだ本の翻訳をしていたのも、
杉浦明平だったのかもしれません。

戦後は郷里(渥美半島)で共産党の町会議員を長く務めました。
その頃の人間観察に基づく記録文学、小説も書いていますが、
それが、とてもおもしろい!!!(2と3)

2『泥芝居』福武文庫、1986

3『ノリソダ騒動記』講談社文芸文庫 1998

4『カワハギの肝』光文社文庫1986
5『養蜂記』中公文庫 1995
(以上5冊、杉浦明平を続けて読みました。
うち2冊は図書館、3冊は古本屋で見つけて買って、
読みました。古本屋はいいな~)




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『日本会議の正体』

2017-03-18 | book
日本の現政権を背後で動かしている団体「日本会議」は、
国粋主義団体、復古主義団体、
あるいは、極右ロビー団体などの名で
外国メディアに呼ばれています。


そして、「日本会議」が日本の政権の中枢に食い込んでいるにも拘らず、
日本のメディアは報道しようとしない。
と海外メディア(イギリス・エコノミスト誌/ガーディアン誌/
アメリカ・CNNテレビ/オーストラリア・ABCテレビ/
フランス・ルモンド誌)は伝えています。


戦前の「大日本帝国」の栄光を夢見る
時代錯誤の思想は死に絶えることなく、脈々と受け継がれ、
ついにアベシンゾウというたぐいまれな「くぐつ」(血統書付き)を手に入れ、
秘密保護法などの法律を通すなど、つぎつぎと念願をはたして、
とうとう現憲法の廃棄に手が届きそうな所に来ています。

しかしここへ来てずっこけそうになっています。
ここで、こけるわけにはいかないと、あらゆる手段を使って
結束して安倍政権を守りぬこうとするでしょう。

今、松井、迫田、稲田、安倍等を逮捕できず、
安倍政権を倒すことができないならば、
本当に日本は暗黒の時代に転がり落ちることになるかもしれません。
ヴォルデモードの復活を許してはなりません。

『日本会議の正体』
青木理 著
2016年   平凡社新書


安倍政権と密接な関係を持つ草の根右派組織「日本会議」の成り立ちと、
活動の状況のルポルタージュです。
「日本会議」には様々な立場の人が寄り集まってはいるものの、
ヘイトスピーチをあおり、再軍備を即し、
また、女性の家庭への従属、等の点で一致し、
現憲法を廃棄するのが念願のようです。

注・「菅野 完」の『日本会議の研究』とは別の本です。





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自爆するアリ

2016-06-22 | book
昆虫はすごい丸山宗利 著
  光文社新書 2014

ページを繰るごとに、すごい!

いつも疑問に思っていた完全変態と不完全変態の意味が
冒頭に書いて在って、一気に引きこまれました。

この本によれば、ヒトが今日まで築いてきた文明社会のもろもろは
とっくの昔に昆虫たちがやっているというのです。
狩猟採集、農業、牧畜、建築、戦争、クローン、奴隷制、居候、共生、
そしてもちろん、着飾る、プレゼント、恋、旅…
随分昆虫の本は見てきたので、
擬態や奴隷制や寄生などには驚かないけれど、
自爆するアリの存在には驚きました。

どんな小さな生き物でも生きようとするのが生き物だと思っていました。
仲間を守る、あるいは巣を守るために自爆し、
敵に毒液をかけて自分も死ぬというのはあり得ないことです。
しかし、この自爆するバクダンオオアリは、
巣の中の同じ(共通の)遺伝子を守るという意味で、
生命は遺伝子の乗り物、という考え方からすれば、
理に適っているのかもしれないのです。

人間の自爆と比較して考えてしまいます。
ヒトの場合は個の死は遺伝子の死と同じ。
ヒトとして2百万年以上も受け継がれて、
誕生した、宇宙にたったひとつの遺伝子は消え去るのです。

ヒトは国家や宗教などの幻想のために自爆します。
幻想のために戦争し、人殺しをします。
アリやハチが巣を守るのと、
兵隊が城を守るのとは全く意味が違うのです。

個こそヒトにとって最も大切なもの、
ヒトが人になること、ではないでしょうか。

ヒトの脳が大きくなったのは、
個の生、個の発達、個の行動のためなのだと思います。
そして、昆虫たちがやらないこと、
それは言語ではないかと思います。
一人一人が考えて自分の言葉を発する、
言語を使って、コミュニケーションをとり、記憶し、更に考える。
そのために、ヒトは今のような頭でっかちな姿になったのではないでしょうか。
昆虫の本を読みつつ、思ったことです。




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スーパーおばあちゃん・塔本シスコ

2016-05-09 | book
「塔本シスコ」さんを紹介したいと思います。
1913年(大正2)生れ、熊本の貧しい半農半漁の家に生れ、
尋常小学校4年で家計を助けるために退学し労働を続け、
20歳で結婚、2人の子供を産み育て、
やっと一息つけるかと思った矢先、
夫が事故死、自らも脳溢血で倒れます。
半身まひが残る中、
石を掘ることに挑んでいます。
一方、絵描きを志していた息子賢一は、
就職のために大阪に出ていきます。
そして結婚し、美術教室をしながら暮らしていました。
その息子が久し振りに帰省した時に見たものは、
自分が一生懸命描いたキャンバスの絵を掻き取って描いた
母シスコの絵だったのです。
息子の賢一は驚くと同時に、
母シスコの大きな絵を描きたいという事実に圧倒され
大阪の自宅(団地)に呼びよせるのです。
その団地の4畳半の部屋で、シスコは頭の中に浮かぶもの、見えるもの
ありとあらゆるものを絵にしていきます。
大きな絵を描く時はキャンバスを団地の壁に立てかけて描いたそうです。

(学校の帰りに大きな蛇に追いかけられた)

(晩白柚、ザボン、ザクロ、マンゴーなど)
花も木も猫も鳥も虫も人も全て同等の命あるものとして、
シスコの感じるままに描かれ輝いています。
81歳の時に大規模な個展が開かれ、ここからアクセル全開、
貧血や認知症になっても、その情熱は衰えず、
92歳で亡くなるまで、
チラシやダンボールやカレンダーやあらゆるものに、絵を描き続けたそうです。

(4年生の時の遠足の思い出、ノウリに焼きついて忘れ難く、74歳で絵に仕上げる)
花も木も猫も鳥も虫も人も全て同等の命あるものとして描くシスコの絵に圧倒されます。

(秋の庭)

(野外彫刻展を見に行く、の一部)
〔シスコは本名、サンフランシスコ行きを夢見ていた父親が名付けたそうです。〕
『塔本シスコ・絵の手帖』
コロナ・ブックス、平凡社 2015年

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昨日、自転車で走っていると、ちらとこちらを見る視線を感じました。
道路脇のお地蔵さんでした。
シスコの描く顔に見えました。
それでこの記事を書こうと思ったのです。








コメント (3)
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「こどものとも」Ⅲ 井上洋介

2016-02-08 | book
井上洋介さんが亡くなられたそうです。
手元に残っている「こどものとも」の中から
「井上洋介 作」の本を探してみました。

「まがればまがりみち」もいい本だったなぁ。
本棚に無いということは、
たぶん息子が持っていったんだと思います…
「あじのひらき」っていうのもあったな-。

「おだんごぱん」は1960年(文は瀬田貞二)
「ボッボッボッ」は1996年

1988年に発行された「まえむき よこむき うしろむき」より、
  





「ボッボッツボッ」(1996年)より



力強い絵、詩的な文、ユ-モアは子どもたちの心をしっかり捉えていました。
改めて見て、読んで、井上洋介の子どもたちへの愛情あふれるメッセ-ジに感動です。


  
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