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米バズフィード・ニュース、疑惑文書を全文公開(トランプ、”魔女狩りだ”と猛反発)

2017-01-12 | Weblog

トランプ氏とロシアめぐる疑惑文書 バズフィード(BuzzFeed)による全文公開

元英国情報当局者を名乗る人物が作成した調査文書

ロシア政府が長年にわたって、米国のドナルド・トランプ次期大統領に「近づき、支持し、支援している」という内容や、トランプ氏の名誉を傷つけるような情報をロシアが入手しているとの疑惑を記した調査文書が、米国議員、情報当局者、報道関係者の間で出回っている。この数ヵ月間にわたるメモが集められた調査文書には、ロシア政府とトランプ陣営の接触に関する情報も含まれている。また、ロシア側が記録したというトランプ個人の性的な行為に関する描写も含まれている。アメリカとヨーロッパのバズフィード・ニュース(BuzzFeed News)記者は、文書に書かれた疑惑を調査してきたが、立証もしくは反証はできていない。CNNが1月10日に報じたところによると、この調査文書に関して2ページの概要が、オバマ大統領とトランプ次期大統領の双方に渡された。

BuzzFeed Newsが調査文書を全文公開

BuzzFeed Newsは、米国政府の上層部で出回っているトランプ氏にまつわる疑惑に関して、米国民自身が判断できるように、入手した調査文書(35ページ)を全文公開した。

調査文書は、トランプ氏の反対陣営のために、元英国情報当局者とみられる人物が準備した。調査文書は、事実検証がされていないだけでなく、企業名の綴りなど事実と明らかに異なる記載もある。

BuzzFeed Newsはトランプ氏の政権移行チームにコメントを求めたが、すぐには応じなかった。トランプ氏の弁護士マイケル・コーエン氏はネットニュースMicの取材には、疑惑は事実と全く異なると否定している。

トランプ氏「魔女狩りだ!」と猛反発   

FAKE NEWS - A TOTAL POLITICAL WITCH HUNT!

調査文書に対して、トランプ氏はTwitterで「虚偽ニュース(FAKE NEWS)。政治的な魔女狩りそのものだ!(A TOTAL POLITICAL WITCH HUNT!)」と猛反発した。

トランプ氏の側近ケリーアン・コンウェイ氏も、米テレビ局とのインタビューで、疑惑は「何も確認が取れていない」と否定した。また、コンウェイ氏はトランプ氏がこの調査文書に関して、CNNが報じたような報告を受けた事実は「把握していない」と述べた。

調査文書は、数ヵ月前から出回っていた。米政府上層部、情報諜報員、報道関係者の間では、非常に有名だった。米国の評論雑誌「マザージョーンズ」のライター、デビッド・コーン氏は10月のコラムで、この調査文書に言及している。

選挙後初の記者会見では調査文書を強く批判

7月以来初めての記者会見では、調査文書を強く批判
 

トランプ氏は、昨年11月の大統領選で勝利した後、一度も行っていなかった記者会見を11日(日本時間12日未明)に開いた。BuzzFeed Newsが公開した調査文書に記された疑惑は「起きていない」と否定した。「フェイク(虚偽)ニュース」「でっち上げ」とも述べた。

選挙運動の間、トランプ氏もしくは彼の政権チームがロシア当局と接触していたかという質問には、答えなかった。モスクワのホテルルームでの性的な行為に関する疑惑に対しては、海外出張では常に用心していると話した上で「非常に潔癖性だ」と付け加えた。

トランプ氏、マイク・ペンス次期副大統領と広報担当は、調査文書を全文公開したBuzzFeed Newsを強く非難した。トランプ氏は、公開しなかった他メディアを褒めたたえ、情報機関がこの調査文書を流出させたのだとすれば、当該機関にとって「とてつもなく大きな汚点」だと話した。

また、トランプ氏は記者会見で、BuzzFeed Newsを真偽が証明されていない調査文書を公開した「クズなゴミの山」と呼んだ。


調査文書全文を読む前に:

この真偽が検証されていない調査文書に書かれている内容や、文書の公開を巡る主な動きは以下の通り。

・ロシア政府は長年にわたって、トランプ氏に「近づき、支持し、支援している」との疑惑が記載されている。

・ロシア政府は、トランプ次期大統領に関する不名誉な情報を持っている。トランプ次期大統領陣営の幹部は選挙の数ヵ月前から、ロシアの高官と秘密裏に会合を持っていたと記載されている。

・CNNが、2ページにまとめられた概要書が、オバマ大統領とトランプ次期大統領に報告された、と報じた直後、BuzzFeedは、「調査文書の事実検証はされていない」と注意書きをした上で、全35ページの調査文書の全文を公開した。

・トランプ次期大統領は疑惑浮上に対して猛反発。「私たちはナチス・ドイツに住んでいるのか」とツイートした。機密文書を漏えいさせてはならないと国の情報機関を叱責した。

・トランプ次期大統領は、就任後初となる記者会見を開くまで、約13時間の間に7回ツイート。疑惑を否定するとともに「虚偽ニュースだ」と非難した。

・複数のロシア政府関係者が、トランプ氏あるいはトランプ陣営への関与を否定している。ロシアの連邦保安庁(FSB)の元幹部は、オバマ政権が「大統領選の勝者を全力で傷つけている」と、ロシアの通信社インタファクス通信に話した。

・重要人物の一人であるトランプ氏の弁護士マイケル・コーエン氏は、ロシア政府との関係を否定している。BuzzFeedが入手した調査文書には、コーエン氏は8月、チェコの首都プラハを訪れ、ロシアの関係者と密かに会ったと書かれている。

・コーエン氏はプラハ訪問を全否定。米雑誌「アトランティック」のインタビューで、調査文書は「完全な偽物で、不正確だ」と話した。The Washingtonianの報道によると、南カリフォルニア大学の職員が、「コーエン氏は8月23日から29日の期間、ロサンゼルス・キャンパスを訪問していた」と証言している。

・調査文書は、コーエン氏がプラハを訪問したとされる具体的な日付について、言及していない。コーエン氏のTwitterを分析すると、8月の大半を米国内で過ごしていた可能性がある。Twitterの投稿がない最長期間は、8月15日、16日の2日間。

・少なくとも1人の民主党幹部が、疑惑の調査実施を求めた。ディック・ダービン上院議員は、議会または特別委員会による調査が必要との見方を示した。

・ダービン上院議員は声明で、機密指定された文書とそうでない文書の両方を、調査文書の存在が報道される以前に読んだと発表。次期司法長官に指名されたジェフ・セッションズ上院議員の聴問会で、この疑惑について追及するかは明らかでない。

・トランプ支持者は、米国のネット掲示板などで、調査文書に関して誤った情報を拡散するキャンペーンを始めた。トランプ支持者は、調査文書は完全なる捏造で、共和党の戦略官リック・ウィルソン氏にも昨年報告されたと主張。ウィルソン氏は情報の流出元であることを否定している。

・複数のジャーナリストは、調査文書公開に踏み切ったBuzzFeed Newsの決断を批判した。メディア研究機関ポインターのケリー・マックブライド氏は、「文書の全文公開はジャーナリズムではない」と話した上で、BuzzFeed Newsは、詳細に事実検証し、読者に対してその検証の過程を説明することもできたはずだ、との見解を示した。

・トランプ氏支持者で保守的なラジオ番組の司会者、ローラ・イングラハム氏は、ニュースサイトlifezette.comの記事で、調査文書の公開を「ジャーナリズム倫理の驚くべき崩壊」と表現した。トランプ次期大統領は、この記事をTwitterで#FakeNewsのタグをつけて引用した。

・アメリカの非営利報道機関プロパブリカのリチャード・トフェル氏はTwitterで「市民は自身で判断するために証拠が必要だ」とBuzzFeedの決断を援護した。

・調査文書を作成したとされるクリストファー・スティール氏の職歴をよく知る人物によると、彼は元英国情報当局者だった。ロイター通信が報じた。情報活動が主な任務の英国情報局秘密情報部(MI-6)で数年働いていた。ロシア、パリ、ロンドンのイギリス外務省で働いていたという。MI-6を離れてからはFBIにFIFAの汚職に関する情報提供をしていた。

調査文書全文(英語):

https://www.buzzfeed.com/kenbensinger/these-reports-allege-trump-has-deep-ties-to-russia?utm_term=.oaxpV2zb3#.yr9yoA5pz

調査文書の全文公開に踏み切った理由:

BuzzFeed編集長ベン・スミス(Ben Smith)による説明(英語)です。

公開した調査文書は、ケン・ベンシンガー(Ken Bensinger)記者が熱心な取材をした結果、手に入れたものです。記事にもあるように、私たちは「トランプ次期大統領にまつわる疑惑に関して、米国民自身が判断できるように、調査文書を公開する」と決めました。

この決断はジャーナリズムにおける透明性を担保し、持っている情報は読者に提供するという前提に基づいています。可能なかぎり情報を共有する姿勢を保ってきました。今回の調査文書はすでに、アメリカ政府高官や報道関係者の間で広く出回っています。

記事にも書きましたが、この疑惑に対して問いを投げかけるべき、深刻な理由があります。私たちは、この調査文書に書かれた主張に関して、数週間取材を続けてきました。この取材はこれからも継続します。

調査文書の公開を決断することは、簡単で単純なものではありませんでした。私たちの選択に賛成されない方もいると思います。しかし、この調査文書の公開は、2017年における記者の仕事とは何か、ということに関するBuzzFeedの考えを反映したものです。

Ben Smith@BuzzFeedBen 1月11日

Here's the note I sent to staff this evening  

 

参考:

「お前の組織は最低だ」「黙れ」「偽ニュースだ」。

ドナルド・トランプ次期米大統領は昨年の大統領選後初めてとなる記者会見で、手を挙げて質問をしようとする米CNNテレビの記者をののしり、機会を与えなかった。1月20日の就任式を前にメディアとの関係が修復されたとは言い難く、今後も激しい攻防が続くとみられる。メディアを選別する態度に、識者からは日本の報道への影響を懸念する声も上がった。

11日、マンハッタンにあるトランプタワー1階のエレベーターホールに椅子を並べて作られた臨時会見場には、約300人の記者とカメラマンが集まった。

トランプ氏は冒頭、大統領選から2カ月以上会見を開かなかった理由を「不正確な報道をされたから」と説明。さらに、ロシアがトランプ氏に関する不利な個人情報や財務情報を握っていると10日に報じた「CNN」とウェブニュース「BuzzFeed(バズフィード)」を、それぞれ「フェイクニュース」「ゴミ」と呼び、情報の出元とされる情報当局も「恥知らず」と批判した。

トランプ氏は当選前から自分に批判的な主要メディアを「不正直」「汚い」「偏っている」と非難し続けてきた。

名指しで批判されたCNNの記者は「あなたは我々を攻撃している。質問する機会を与えるべきだ」「不適切(な批判)だ」などと食い下がったが、トランプ氏は無視した。

こうした態度について、上智大学の前嶋和弘教授(米国政治)は「メディアを名指しして『偽ニュースだ』と発言したのは衝撃的だった。メディアを選別し、自分に都合良く報道しろという脅しで、反対するメディアとの決別宣言とも言える。ジャーナリストも権力の監視の役割を続けていくと思うが、懸念されるのは脅しに屈するメディアが増えることだ。どこの国のリーダーもアメリカを見てメディアをコントロールする手法を学ぶ側面があり、日本も無関係ではない」と話した。

大統領選後初の記者会見で、トランプはCNN及びBuzzFeed記者からの質問を無視、「お前らのは嘘記事だ」と激しく罵る
 TRUMP BLATANTLY IGNORES REPORTERS: "You're FAKE News" CALLS OUT CNN

 

 

 

 


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