小説ばかりを読んでいる期間が長くなって、なんだか飽きてきたなあと。
エッセイ本が読みたくなって中央図書館へ。すぐに読みたい本が見つかるとうれしくなる。
トレードマークはアフロヘア、
朝日新聞コラム執筆や報道ステーション出演などで話題を
呼んだ 稲垣記者。
震災や節電、朝日新聞の報道姿勢など、
大反響を呼んだ退職するまでの記事に加え、
辞めた今だからこそ書けたことをまとめた一冊。
稲垣さんのことはNHKのテレビ番組で初めて知った。「ヒューマンサイエンス 整理整頓」
ものの見事に余分なものがない、カーテンもないその部屋での暮らし。
この時から注目していたわけでして。
申しわけないけれど本業の新聞記者時代のことは何も知らない。
興味は彼女の生活スタイルとその信念。
原発事故以来、電気に頼らない生活とは何かが知りたくて冷暖房を使わない暮らしをしている。
その生活が続いて、冷蔵庫を手放し、洗濯機を手放し、最終的に電気製品と呼べるものは、
電灯、ラジオ、パソコンと携帯電話の4つだけ。もちろんひとり暮らしだからできると
いうことはあるだろうけれど。
本当の自由とは必需品を減らしていくこと。
あれがなくてもこれがなくてもやっていける自分を作ることという稲垣さん。
当時51歳が東京の片隅で生きている。ちょうど10年前か。
今もこの生活を続けているんだろうな。
四季の景色や草花を楽しむこと、移住者のコミュニティに
参加すること、地産の食べ物を存分に味わうこと、
虫との闘いや 浄化槽故障など想定外のトラブルに
翻弄されること、オンラインで 仕事をこなすこと、
「終の住処」として医療・介護資源を考えること……。
山暮らしを勧める雑誌にはけっして出ていないことまでも語られる、
うえのちづこ版「森の生活」24の物語。
上野千鶴子さんのこと「平成31年度東京大学学部入学式 祝辞」をネットで読んだだけ。
とても力強いメッセージで感動したことを覚えている。
(一部抜粋)
あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。
恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、
そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、
支え合って生きてください。
大学で学ぶ価値とは、すでにある知を身につけることではなく、これまで誰も見たことの
ない知を生み出すための知を身に付けることだと、わたしは確信しています。
そんな強いメッセージからのイメージをもっていたので、山の家と東京のマンションとの
二拠点生活を選んで生活し徐々に山の家の方に軸足が移っていくとは、興味深かった。
山登りが好き、スキー大好き、車大好きとはね。そうだったんだ。
ま、大学時代ワンダーフォーゲル部に所属していた経歴を知れば、さもありなんか。
プライベートな暮らしについては書いてこなかったという上野さん、このエッセイ本を
長い間憧れだった山と渓谷社から、出すことになってうれしいとあとがきに書いてあるから
意外に可愛い面があるのね、なんて。
わたしのいまのテーマは「大好きな北杜で最期まで」。
それにもちろん「おひとりさまでも」が加わる。
―――本文より
たんたんと、時にシュールに、そして深くリアルに。
あなたの日常でも不思議なこと、実は起きていませんか?
奇しくもコロナ禍の3年間にあたった、
2020年から2022年の日記。
東京日記も7ですか。
コロナ禍を挟んでいることが関係あるのかどうか分からないけど、今までと
どこか何かが、なんとなくそこはかとなく違う気がするのよ。
6までは「それってほんとか??ほんとにほんとのことか、川上さんの創作じゃないの」
なんて疑いの眼で読んでにやにやしていたけれど、7は妙にリアル。日常そのもの。
川上さん、あとがきで
もしかして『東京日記』も雰囲気が変わってしまうのかな・・・と思いながら、
ネット連載を行った記憶がありますが、読み返してみると、今までの東京日記と
あまり違わないトーンが相変わらず続いていますね。
いやあ、やっぱり違うんじゃないかな、なんてえらそうに思うわけ。
でもでもやっぱり東京日記は面白くて好き。どうか今後も出版してほしいわ。
あっ、川上作品、エッセイは読むのに小説になるとからきしいけない。
20ページくらい読むと挫折して、「三度目の恋」なんて2回もほおり投げた。
いやはや。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます