まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

『キャパの十字架』

2016-06-21 08:40:57 | 

この本も図書館でぱっと出会った1冊。

  贔屓の沢木耕太郎さんの著書でなかったらきっと手に取らなかったと思う。

写真家「キャパ」という名も有名な「崩れ落ちる兵士」の写真もうっすらとなんとなく記憶の片隅にあるような・・・

 

 (崩れ落ちる兵士)

あまりに「完成度」が高いことや、頭部に負傷がはっきりと確認できないこと、
更にキャパ自身が生前この写真について殆ど語らなかったことなどから、
本当に撃たれた瞬間を撮った写真であるかどうかについて、真贋論争が長年にわたり続けられてきた。
(webより)

誰が撮影したのか?どのカメラだったのか?誰が撃たれたのか?その場所は何処だったのか?
などの追及角度で、沢木さんは何度も現地や関係各地に赴き多くの人たちに取材を重ねて真贋の核心に迫ろうとしていく。
それぞれ今まで疑問だった事柄をひとつひとつ検証して解き明かし真相に迫って行く。
そして。
画面の縦横比率からいうと「崩れ落ちる兵士」の写真はキャパが使用していたライカではなく、
ゲルダが使用していたローライフレックスだった、という大きな理由で「崩れ落ちる兵士」は恋人ゲルダが撮った写真だった。
と結論付けていく。もちろんキャパは亡くなっているわけだから本当にその結論なのかは確証できない。

私は読み進めていくにつれ、沢木さんがそこまで熱心に「崩れ落ちる兵士」が持つ真相に迫ろうとする意図が理解しきれずに、
正直、やらせでもねつ造でも別にいいじゃないの誰が撮影したのでもいいじゃないの、
そこに人々の胸を打つ写真が現に存在しているんだからと思ってしまった。

ミステリーを読んでいるようなサスペンス小説を読んでいるような謎解き感覚で最後まで読んだが、
キャパに対する沢木さんの尊敬や愛が感じられなかったら途中で投げ出していたかもしれない。

ちなみに
2013年  NHK 沢木耕太郎 推理ドキュメント 運命の一枚 ~"戦場"写真 最大の謎に挑む~放映
       横浜美術館にて「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」開催

されていたそうで。

 

そして「キャパの十字架」とは対極にあるような 1冊  
上橋菜穂子さんのエッセイ『明日は、いずこの空の下』
上橋さんの著書は初めて。 

高校生の頃から、これまでに訪れた様々な国々での出来事をつづりながら、
「あの頃の私」が「いまの私」になっていくまでを書いてみようと思います。(メッセージより)
上橋菜穂子さんの魅力的な物語世界を生んだ「物語が芽吹く土壌となった旅」とはどのようなものだったのでしょうか。
(紹介文より)

2014年 国際アンデルセン賞作家賞や2015年「鹿の王」 本屋大賞を受賞された凄い作家だということは承知している。
が、映画も小説もファンタジーとかホラーとか児童文学とかはどうしてもだめな自分。入り込めない。
端から拒否反応が起きて。読まない、観ない、まことに食わず嫌いで。実にもったいないことだと思う。
でも気にはなっていた方だからアンテナは張っていた。で、4月のEテレ。

SWITCHインタビュー達人達「上橋菜穂子×齊藤慶輔」
上橋は「物語が突然降りてくる」天性の作家。何気ないきっかけから人物設定や名前、声や体温までありありと浮かぶのだという。
異世界が交錯する壮大な世界観の秘密とは?知的興奮に満ちた対話が展開する。

と番組紹介にあるけれど、うーん、知的興奮に満ちた対話が展開しているのかもしれないけれど。
凡人の私には分かりかねる。知的興奮には程遠く、そうかいなの感想。困ったもんだ自分。

それが、幼いころの上橋さん、世界各地を旅してる時の生き生きとした上橋さん、いろいろなエピソードが詰まった
『明日は、いずこの空の下』 を読んでいると、穏やかで温かい上橋さんのお人柄が伺われて(それでいて凄く行動的なのよ)
エッセイなのに読んだこともないのにこれが上等のファンタジー小説を読んでいる気になってくるから妙だ。
ひょっとして上橋さんの著書を読むようになってくるのかしら。

 

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