
晴、2度、66%
ジュリエット・ビノシュ主演の「ポトフ」を観て来ました。昨年から上映されていました。やっと時間が取れたので上映日最後の昨日、映画館へ急ぎました。
フランス19世紀初頭の裕福な美食家とその料理人の話です。ビノシュは料理人を演じています。美食家の主人とは20年、同じ館に住み共に台所に立つ親しい間柄です。美食家がロシアの王子の晩餐に招待され、その返礼にもてなしを考えます。そのメインメニューを「ポトフ」と決めました。フランスの最も家庭的な料理です。ところが美食家が念願していた料理人との結婚、そしてそのすぐ直後、料理人は病で亡くなります。
「ポトフ」と馴染み深い料理の話ではなく、実はこの美食家と料理人の二人の愛情を描いた映画でした。冒頭20分近く館での料理のシーンが続きます。今の台所ではありません。銅の鍋が並ぶ古めかしい薪ストーブを前にしての料理シーンでした。意気の合った美食家と料理人の調理風景、フランスらしい贅を尽くした材料の数々、見惚れてしまいます。その間に美食家が愛情のある眼差しで、料理人ビノシュを見つめます。実にいい台所、見事な料理の数々です。
料理人が急逝した後、ロシアの王子を招く気力もなく落ち込む美食家です。映画では「ポトフ」を作るまでには至りませんでした。料理人との思い出と共に少しづつ生き甲斐を取戻していく美食家を描きながら映画は終わります。
食べ物だけでなく、館を取り巻く自然、館の調度に至るまで見応えのある映画です。とりわけ、この二人の間に流れる愛情そのものが心打ちます。男女の関係も時代で変わって来ています。お互いを思いやる心、思い続ける心は変わって欲しくないと思います。
いかにも大人の国フランス的な映画でした。「ポンヌフの橋」以来ビノシュのファンです.繰り返し見た作品もたくさんあります。今年60歳になるビノシュ、フランスでも美人女優としては扱われていないそうですが、私の目には美しい人として映ります。「ポトフ」は繰り返し見るだろうビノシュの映画の一つになりました。
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