
晴れ、28度、86%
中国には漢民族と55の少数民族がいると言われています。つまりあわせて56民族です。人数的には80%以上を漢民族を占めているそうです。ここ香港に随分永く住んでいますが、広東語すら満足に話せない私には、顔を見ただけで北の人か南の人なのかも解りません。しかも、私自身よくチュウチャオ地方の人に間違えられます。日本語でも話していれば、どこかの少数民族と思われているに違いありません。しかも、香港は広州一帯、遠くは上海からの移民も多い地方です。そのうえイギリスの支配下にありましたから、民族衣装など来ている人はほとんどいないわけです。
香港に来たすぐの頃、落馬州という、中国シンセンが見渡せるという香港北の小高いところに行ってみようと家を出ました。香港も北に進むと次第に山の形が違ってきます。なだらかな丸みのある山の形です。中国に近くなるせいか、私はその山の形をみると、中国的だと一人思い込んでいます。今と違って中国にほど近い街に行くのすら2時間もかかりました。そこから落馬州に行くには、14人乗りのミニバスに乗らなくてはなりません。流石の私も、広東語が全く解らない時のことでしたから、諦めてその街を歩いてみました。
香港の中心部とは違いゆっくりした空気が流れています。日差しも強く感じました。道端で自家製というか山から採って来たようなものを売っているおじいさんおばあさんも沢山います。週日の昼間でしたから、街は年よりか子供ばかりでした。
その街で、面白い竹でできた被り物を頭にのせている女性を多くみました。力仕事、掃除をしています。その被り物、つばの広い麦わら帽子のようで、縁には黒い薄手の生地で日除けがついています。その後すぐに知ったことですが、この帽子をかぶっているのは客家と言う民族の女性でした。
客家は、正確にいうと漢民族の一派だそうです。つまり少数民族でかありません。歴史の長い民族で,秦の時代には中国東北部にいたもののその後次第に南に移動して来て、今では、広東省、福建省の山岳部に定住しているそうです。その流れが香港の北にもをなして住んでいます。客家語が会話の母体だそうですが、まだ耳にしたことがありません。
客家、と名前のように、どこに行ってもよそ者の客として扱われて来た歴史を背負っています。南下した彼らの一族は、果てはシンガポールにまで住み着いているそうです。
香港の町中でもレストランに客家料理と名をうった店が数件あります。こうして移動を重ねた民族の食べ物です、使う食材はその土地にあったもの、味付けは労働者が多いので味が濃いそうですが、香港のレストランの客家料理は、味にメリハリがありませんでした。ただ、蒸し煮料理が基本で、鳥1羽を蒸し煮したスープは有名です。
香港の田舎町の黒い縁取りのある被り物をかぶっている人たちからも、中国の大きさ、民族、言語の多さ、ひとつの国で一見すれば変わりない人種のようですが、実はそうではない、奥の深さをつくづく知らされます。
中国は、深く大きいわね。