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チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

「皿洗い」

2016年10月13日 | 日々のこと

曇り、24度、79%

 私の母は、家事が嫌いでした。全て嫌いだったと思います。いよいよ必要になったら家事をします。台所の流し場は、使ったお皿やお鍋が積まれていました。母の留守に、まだ流しによく届かないので椅子を持ってきてお皿やお椀を洗いました。褒めてもらいたかったのでしょう。褒めてもらった記憶はありません。お皿やお椀は子供の手でも洗えますが、お鍋は苦手でした。こびりついたおこげなどは子供の力では無理でした。「皿洗い」が好きなのはその頃からです。

 主人の実家の台所の流し場もいつもお皿やお鍋が浮いています。母とは違い義母は手早くそれを片付けます。ところがあるとき、お椀を手にした私は、掌が油っぽく感じます。お椀の外側ばかりか角ばったお皿の角っこは油で黒ずんでいます。義母は要領よく手も早いけど少しばかり大雑把です。きっとお椀の外側はあまり洗わないのかもしれません。それまで、実は私もお椀やお皿の外側のことは気にかけないでいました。

 二人の母の「皿洗い」に教えられることが多く、ここ数十年、私はお皿やお椀の外から洗います。特に足の付いたもの糸引きの周り、油のベタベタがないか気になります。お湯は使わずに洗剤とお水だけでも結構きれいに落ちてくれます。ただ、ゴム手袋はいけません。あれをしていると、汚れが落ちたかどうかさっぱりわからない。素手で洗うことが肝心です。

 母がまだ自分の身の回りのことは自分でしている頃のことでした。80少し前だったと思います。「真奈さん、これから食事が済んだら、すぐ流しのものを洗うことにしたわ。」とおっしゃいます。あれまあ、今頃気付いたのねと思いながらも続いてくれればと思いました。もちろん続きませんでした。いつ帰っても流しには、お皿にお鍋。

 義母も相変わらず流しにお皿やお鍋を貯めています。私は行くとすぐにそれを全部洗います。クレンザーを使っても、もう経年の油の黒ずみは取れません。

 「皿洗い」簡単な仕事です。汚れが落ちると食器はピカピカになります。乾いたおふきんで拭くときはキュッと音がします。きれいなシルバーには自分の顔も映ります。簡単な仕事の「皿洗い」だからこそ、ちょっとした気遣いを、私は外側から洗い始めます。