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チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

モモさんの故郷に戻って来ました。

2018年03月16日 | 香港

霧、19度、96%  香港

 香港を「東洋の真珠」と呼ぶようになったのはずいぶん古い話です。この街に住んでいた30年、「東洋の真珠」という言葉があまり好きではありませんでした。こう呼び始めたのは白人ではないかしら、何かあまりにもロマチックな呼び方です。実際の香港はバイタリティー溢れる人種のるつぼです。ところがこの街を離れて1年、私は香港を「東洋の真珠」と思うようになりました。夜、遥か空高くから香港を見下ろせば煌々と電気の灯る香港は、真っ暗な海底に沈む大粒の真珠に見えるはずです。

 1月7日に香港に戻る予定がありました。ところが前日の6日に義母が骨折で入院しました。ふた月延期して昨夕香港に戻って来ました。毎年この時期の香港は最悪の天候です。湿度が高く、道路までジメジメしています。昨日は予想外に晴れていました。

 人の多さ、人種の多さ、言葉の多さ、車の多さ。そんな香港の雑踏に立つと心の底からホッとしました。福岡ではのんびりと静かな生活を送っています。それなのに、このざわめきの中に身を置くとすっぽりと収まったような安堵感を覚えます。家に向かう車はいつもながらの混雑の中を走ります。ほんの1年前まで、私は今福岡で乗っている車でこの雑踏を走らせていました。ちょうど夕方のラッシュのせいもありましたが、我ながらこんなところをよく走っていたものだと思います。香港人の声高の広東語もここで生活していた時は嫌だったのに、今では微笑ましい。30年といえば私の人生のほぼ半分です。

 夕飯は普通の広東料理。私の好きなものをよくご存知の主人です。 これさえあればという、ナマコとアワビの煮物。日本の酢ナマコは苦手なのに、中華のナマコの煮物は大好物です。腰はあるものの柔らかなナマコ、アワビもふっくら仕上がっています。おそらくこのナマコは日本のものです。6つの棘があるナマコ、高級品は日本から乾燥して入って来ます。アワビも日本のものが一番高級、小ぶりなものはオーストラリア産です。 こんな大きな蝦の炒め物、流石広東料理です。

 お外に出れば見上げても最上階が見えないビルばかり、 ここはモモさんの故郷、香港です。そして、私たち夫婦が人生の半分、結婚生活の4分の3を過ごした香港です。今日は銀行、証券などの用事を済ませ、明日には福岡に戻ります。

 ここ数日、家中のモモさんの写真に向かって「モモ、香港に戻るよ。」と言いました。主人もこの家のモモさんの写真に向かって「モモ、お母さんが来るよ。」と言っていたそうです。モモさん、分身の術でいつも私たち夫婦のそばにいます。

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香港での買い物

2017年11月08日 | 香港

雨、17度、94%

 香港は買い物が楽しいと皆さん仰います。30年も生活していると、香港でしか物を買わないので楽しいかどうかわからないでいました。ただ、$25,000の服を見て、外に出れば同じような服が$25で売っているようなことはしばしばあります。つまりピンとキリがあっての面白さです。

 今回、買って帰りたいなあと思っていたものがいくつかありました。少し早いけれど孫娘へのクリスマスプレゼント、私の薄手のカシミアのパーカー、もっと寒くなって着るジョギング用の機能性の上着。ここ10年近く服を買うお店は決まっています。ウィンドーショッピングなどせずに目的のお店に直行です。

 「レンクロフォード」というセレクトショップのようなところがあります。IFCにある「レンクロフォード」に向かいます。IFCには他にもブランドのお店が入っています。「レンクロフォード」の一角、毎年子供向けのクリスマスコーナーがあるところに、今年もまた同じようにクリスマスコーナーがありました。孫娘に選んだのは、「エンジェルセット」です。クリスマスにエンジェルに変身してもらいます。

 カシミアのパーカーは数年前は流行っていて、色とりどりあったのですが、今年は普通のプルオーバーばかりです。そこで、階下の「J.CREW」に行きました。毎年カシミアのセーターがたくさん出ます。顔見知りのお姉さん、「今年はパーカーはないよ。」とのこと、がっかりです。セーターの横のソックスのカゴに「あれ?パグかしら?」グレーの地に犬が編み込まれています。 手にとってよくよく眺めます。「パグよね。」しかも心の中では、まるでモモさんが笑っている時にそっくりと思います。カゴにあった2つを求めました。

 いつも行くお店は全部見ましたが、カシミアのパーカーは今年は出ていません。諦めてスポーツショップに向かいます。同じブランドのスポーツショップでも日本と香港では品揃えが違います。帰国前に揃えた手持ちの防寒着でも十分ですが、薄くて暖かなパーカーを見つけました。しかも昨シーズンのものでお値段も半分、私のサイズもあります。しめしめ。

 買い物に出る前に、珍しく主人が「買い物に使いなさい。」とお金をくれました。孫娘へのプレゼント、ソックス、ジョギング用の上着。カシミアのパーカーがないので、いつものお店で半袖のブラウスと黒のウールのスカートを買いました。買い物途中で主人から電話です。「お金足りてる?」「もう全部使っちゃったよ。」

 初めて、やっぱり香港での買い物は楽しいなあと思います。福岡の同じブランドの店にある商品とは違って豊富にあります。暖かな土地なのに、ダウンウェアーを一年中売っている店では同じ店だとは思えない品数でした。ターゲットが香港人、中国人だからかもしれません。

 荷物を増やしたくありません。やっぱり香港の買い物は楽しいと、買ったものを大事にトランクに詰めました。パグのソックスは履くことができないだろと思います。モモさんが笑っているソックスです。

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やっぱり飲茶!

2017年11月06日 | 香港

小雨、22度、69%

 美味しい中華料理を食べたいとこの数カ月思い続けていました。「美味しい=お高い」ではないところが香港のいいところです。食べ物屋さんは屋台も含めればかなりの数です。

 主人は日曜日なのに午後から大連に出張に行きます。少し早めの飲茶です。朝飲茶も日曜日なら並びます。番号札を持ってさほど待たずに席に着きました。飲茶も昔ながらのワゴンに蒸籠を乗せて来るタイプとメニューに欲しいものに印ををつけて注文するタイプの2通りあります。ワゴンタイプはめっきり少なくなりました。ワゴンタイプのお店は蒸籠から上がる湯気とその食べ物の匂い、そして人たちのざわめきの入り混じった空間です。大きな中華レストランも数が減りました。家族や知人のテーブルを見つけられないほど大きなレストラン、今のようにスマホなんてないので歩き回って探しました。注文タイプの飲茶のお店の空気は綺麗です。お客様をお連れするのはワゴンが回ってくるタイプのレストランです。蒸籠の蓋を取って、中をお見せして好きなものを取ります。昨日は注文する飲茶でした。

 主人はまだまだ会食が続きます。ほんとはお家で軽く済ませたかったでしょうに、私に付き合って又しても中華です。このお店、アレンジされた飲茶です。オーソドックスなエビ餃子も形が違います。蒸し物ばかり6品頼みました。 そしてどれもエビばかりです。披露宴の食事のエビよりも大きなエビがコロコロと入っています。満足満足。

 「腸粉」もエビ。 小籠包はスープに入って出て来ました。 このスープも大変美味しいものでした。メニューを見て興味があったので頼んだこちら、 大きな餃子がスープに入っています。この餃子の皮は湯葉です。スープは金華ハムから取ったものでしょうか、清んだお味です。中華には辟易している主人を目の前にパクパクと食べあげて行きました。

 こんな高級な飲茶ばかりではありません。買い物に疲れてお腹がぐーぐー。町の麺ばかりのお店に入ります。背もたれもない椅子、当然相席です。頼むのは「鮮蝦雲呑麺」。 プラスチックの器からどんなお店かご想像ください。エビがプリプリとした雲呑に腰の強い細い麺です。こんなお店ですら、スープまで美味しく全部食べあげました。ワンタン麺を食べながら思い出しました。昨晩の新婦はイスタント麺しか作れなかったはずです。でも、香港なら大丈夫、町中に美味しいお店があふれています。

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香港の結婚披露宴

2017年11月05日 | 香港

曇、20度、68%

 香港に戻って来たのは、知人の結婚式に出席するためでした。式はカトリック式で行われます。新郎も新婦も敬虔な信者です。教会はやや中国寄りの田舎町、お式は欠席して夜の披露宴だけに出ることにしました。新郎新婦共に50歳を過ぎての結婚です。

 披露宴の始まる時間は8時、中国式ですからそれまでの時間は麻雀をして時間を潰します。ご親戚、友人、教会の方達、200席ほどの円卓が気がつけば満席です。この披露宴は中華のレストラン、披露宴専門のお店でした。テーブルに置かれたメニューには披露宴らしい料理の名前がつけられています。 断っておきますが、一品一品はそれほど高級なものではありませんでした。

  子豚の丸焼きです。生後8ヶ月の子豚を使います。目には赤い電球を入れてこれを灯して会場を暗くして子豚の丸焼きから料理は始まります。子豚の丸焼きは皮を食べる料理です。パリパリの皮の下は美味しい脂です。

こういう宴会の料理の時は、給仕の方が切り分けてくれます。 お次はエビとホタテを緑の野菜と炒めたものです。 丸々としたカニの爪。魚のすり身で太らされたカニの爪です。糸瓜という長い瓜があります。淡白な瓜です。その瓜の真ん中にホタテを詰めて蒸しあげてのがこちら。 

 フカヒレが香港で禁止されて幾年か経ちます。披露宴のメインディッシュだったフカヒレスープは消えて無くなりました。よく似た感触のゼラチン質の筋とエビカニを合わせたスープです。 本物のフカヒレのスープは大好物で、主人がどこに行っても頼んでくれました。おかげでフカヒレが禁止される前に「フカヒレのスープはもういらない。」と言うまでになっていました。 大きなアワビでなくトコブシの煮込みです。アワビとナマコの煮込み、これはいくら食べても大好きなものの一つです。クライマックスはこちら、 クエの蒸し物。「これが食べたかったのよ。」このクエのヒレの部分のお肉は全部私のお腹に入りました。最後はチャーハン、チャーミン。私にはチャーハン。 デザートは銀木犀のゼリーと昔ながらの蓮の実が入ったあずきのしるこです。 お祝いの意味を持つ「陳年」の陳皮で香りがつけられています。 昨晩もフルコース最後までしっかりいただきました。

 新婦とは15年以上のお付き合いです。もう結婚はしないのだろうと彼女の老後のことを主人は気にかけていました。「結婚式に出てください。」と送られて来た手紙に私がエイっと腰をあげた理由がお分かりいただけたと思います。しばらくぶりに会う彼女、披露宴の壇上で私と抱擁です。華奢な彼女はウェディングドレスがよく似合っていました。「おめでとう、ノーベンさん。」

 夜半近い帰りのタクシーの中、「本当に美味しかったの?」と主人が聞きます。お料理のレベルは分かっています。嬉しい結婚式、飢えていた中華料理、美味しかったに決まってますよ。

 

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モモさん、新しい家に来て10日になりました。

2017年02月14日 | 香港

曇り、5度、69%

 10日前、東京から新幹線に5時間乗って福岡の家にやって来たモモさんです。その前日には香港からの飛行機に5時間乗りました。すべてモモさんにとって初めての体験です。この家がおそらくモモさんの終の住処となるはずです。

 新しい家に来てから、引越しの荷物も着きました。片端から箱を開けていく私を横で見ながらモモさん何を感じたでしょうか。出てくるものはモモさんにとっては馴染み深い匂いを持つものばかりです。東京から一緒に来ていた息子一家も帰りました。モモさんと私だけの生活になってまだ数日です。ゆっくりした時間を一緒に過ごしたいと思いながら、こまごました用事で出かけます。色々な人がやって来ます。家でモモさんとゆっくりする間がありません。雪が降るのも初体験、さすがに雪の朝は2日続けて朝の散歩に出ませんでした。

 家の広さが倍近くなりました。庭もあります。急な階段を上れば2階もあります。庭で用を足して欲しいのにおしっこの匂いがないので、ひとまわりで終わり。2階は畳の部屋です。畳が初めてだからか落ち着かずソワソワ。 2階のデッキに出しても部屋の私ばかり見ています。日が昇ってお散歩に出ますがお友達に会いません。以前は学校が並ぶ川沿いの道は朝夕、犬の散歩の方がいたものです。歩道を来る自転車、歩道がない狭い道では車にも気をつけます。側溝の蓋の隙間に足を取られることもしばしば。 それでもクンクンは欠かしません。 

 この家に帰る前からモモさんと掃除ロボットとの初対面はどうなるかと心配でした。2歳の孫娘は咋夏、掃除ロボットを見て「きゃー。」と逃げました。 ところがモモさん、ご覧のように寝ていて掃除ロボットが近付いてきても、動じません。目で追うことすらしません。拍子が抜けた私です。

 散歩の道は相変わらずモモさんが選びます。この2日、いく方角が朝夕それぞれ決まり始めました。暖かくなればお友達にも出会えると思います。居間と台所、寝室が今の所モモさんの生活範囲ですが、そのうち座敷や2階まで自分で足を延ばすと思います。

 13歳のモモさん、この10日間、たくさんの初めての体験をしました。飛行機での輸送を乗り越え、新幹線でも狭いキャリーバックに耐え、新しい環境です。日本の犬になっていくモモさんを見守りたいと思います。

 

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鮮蝦雲呑麺

2017年01月31日 | 香港

雨、15度、93%

 香港の雲呑は蝦が丸のまま入った美味しいものです。その蝦の雲呑麺、一般には「鮮蝦雲呑麺」と呼ばれます。この「鮮蝦雲呑麺」を売り物にしている店は香港中いたるところにあります。小さなお椀に入ってくる「鮮蝦雲呑麺」、日本のラーメンやおうどんの感覚ではいたってごく少量です。「小食」と書いてスナックの意味ですが、ちょっと小腹を満たすための食べ物です。お店によってお値段も安いところから、こんな小さなお椀にこの値段?と思うような店まであります。このひと碗の「鮮蝦雲呑麺」でミッシュランをとった店まであるほどです。

 「鮮蝦雲呑麺」は、蝦の雲呑、スープ、麺から成り立っています。雲呑の美味しさはもちろん、麺がまた独特です。細く腰があり硬めに茹であげた麺です。麺ばかりを売る店に行けばこの雲呑麺用の麺を買うことができます。幾度も幾度も家で雲呑麺を作ろうとしましたが、まず麺の茹で加減で躓きます。お店のようにコシっとした歯ごたえが残りません。スープは蝦からとったスープで透き通っています。このスープが蝦臭くてもいただけません。「鮮蝦雲呑麺」がテーブルに運ばれてきたら、まず、蓮華をとってこのスープを飲んでみてください。一口、二口、だいたいここでこの「鮮蝦雲呑麺」の美味しさがわかります。「鮮蝦雲呑麺」の雲呑は麺の下に隠れています。決して、「雲呑がない。」などと慌てないでください。

 美味しいものが数ある香港です。さて、香港を離れる前に何を食べようか?数えればきりがありません。思いつくのは様々な中華料理、ローカルのへしゃがった様な安い甘いパン。日本で間違いなく美味しいものに有り付けないとも思われるのは、やはり「鮮蝦雲呑麺」です。運良く、旧正月だというのに二日続けて「鮮蝦雲呑麺」を食べる機会に恵まれました。

 初日は初めて行くお店です。いつも初めての店での「鮮蝦雲呑麺」には期待をしません。見出し写真が出てきた「鮮蝦雲呑麺」です。麺の上に細かい「蟹の卵」を乾燥したものが振られています。「蟹の卵」は風味をよくしてくれます。「蟹の卵」が振ってあるだけでお値段もお高くなります。雲呑は麺の下です。慌てずに、スープをすすります。臭みもなく化学調味料の味もありません。そして何といっても熱々のスープです。麺をひっくり返して、雲呑を数えます。小さい雲呑が5つ、ほんの少し豚肉がつなぎで入っています。美味しい。そこで麺を頬ばります。腰があり噛み締めると甘みもあります。初めてのお店の「鮮蝦雲呑麺」私には合格点でした。

 2日目は、例のミッシュランをとったお店の「鮮蝦雲呑麺」です。 黄色いにらもワンタンと一緒に麺の下です。ここの雲呑は蝦2匹のみ包まれています。麺のコシ、スープ共にさすがミッシュランをとったお店です。このミッシュランのお店では、私は例のごとく「鮮蝦雲呑」のみを頂きました。 麺がないだけです。「鮮蝦雲呑麺」には雲呑が5つ、私のは8個入りです。スープは癖もなく、臭みもなくで最後まで飲み干します。強いて言えば、もっと熱いスープの方が好ましい。蒸し物、麺類は熱さが美味しさの一つです。

 香港島のセントラル界隈、たくさんの「鮮蝦雲呑麺」屋があります。ウィークデーの昼間はどの店の人が並びます。どの店が美味しいかは好みです。それにお値段だって高い安いがあります。観光客の多い九龍サイドのチムサッチョイの「鮮蝦雲呑麺」屋さん、私は当たりが悪いのか、美味しい店を見つけられません。スープの匂い、麺の茹で加減、ぬるいスープ。地元セントラルで十分です。

 今日は旧正月最後のお休み、今日のお昼も「鮮蝦雲呑」が食べたいなあと思いますが、それにお付き合いくださる主人には申し訳ありません。

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ビルのある景色

2017年01月28日 | 香港

晴れ、16度、77%

 「吉祥如意」たくさんある中国のお正月の挨拶の言葉の一つです。「万事うまく行きますように」と意味があります。出会う人出会う人にこうしたお正月の挨拶をして、赤い袋に入った「利是」と呼ばれるお年玉を渡します。香港の街は静かな春節の朝を迎えました。

 毎年一番寒くなると言われている旧正月ですが、今年はちっとも寒くなりません。お天気もまずまずの日が続いています。本帰国に向けての大きな仕事がひとまず片付いた午後セントラルに向かいました。我が家からセントラルに降りる道は数ありますが、ここ数日は好きな道を選んで通っています。その一つが「卑利街」PEEL STREETです。理由は簡単、この景色が見たいためです。

 我が家を出て、やや西よりの坂を下ります。2つ下の大きな道「堅道」の上には古い歩道橋が架かっています。その歩道橋を登り始めると少しづつ姿を見せるのが、「中環中心」THE CENTERのビルです。左右は香港の古いビルが下の市場まで続きます。歩道橋の上からは、見上げずとも目の前に広がる景色です。見出し写真のこのビルの一番下は小さく市場が写り込んでいます。こうした雲ひとつないお天気の日に、歩道橋の上から見るこの景色は、なぜか私に元気をくれました。この景色が好きです。お天気のいい日には、遠回りになってもこの道を選びます。私にとってはありふれたひとつの景色を見るために、この道を下ります。

 ここからまだ下に坂を下ります。途中には、古い「廟」が階段沿いにあります。 地元の人がお参りする「廟」です。お線香の火が絶えることがありません。まだ坂を下りると、市場に入ります。市場のお店だって坂道ですから、 写真に撮ると斜めに見えます。もっと坂を下りると、 「中環中心」は大きく見えます。この時の私は顎を上げています。ここまで来る間に幾度となくこのビルを見上げます。

 実はこの「中環中心」は今私が座っているこの部屋からも見えています。この家に移り住んで17年、日の上る前のネオンを消した真っ黒な「中環中心」、夕方6時過ぎから虹色にネオンを灯す「中環中心」。雲の多い、湿度の高い日はガスって見えません。考えてみれば、一日中、「中環中心」と生活をしていました。お風呂の明かりを消して、この「中環中心」のネオンを見ながら湯船に浸かることもありました。オフィスビルです。先日ひょんな事からこの上階のオフィスに行く機会がありました。私が坂を下る「卑利街」が山に向かって上がっているのが見えます。毎日通っている道なのに急に懐かしくなりました。

 あと数日でこの私の日常に別れを告げます。一日中、私の生活を見ていてくれた「中環中心」もう一度、青空を背景にしたこのビルを歩道橋の上から見てみたい、そう思います。

 

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香港、春節の飾り付けが始まりました。

2017年01月24日 | 香港

曇り、15度、78%

 今年の春節、旧正月はこの土曜日が元旦にあたります。通常、三が日が祝日ですが日曜日を挟むので4日の連休です。昔は日本同様この旧正月休みは長くて、2週間近く休む店すらありました。大陸、中国の親戚を訪ねる人、長い海外旅行に出かける人と地元香港人が一番少なくなる季節です。観光地の香港、長い休みが取れないのが現状です。元旦だけ休みのお店も多くなりました。町中が中国のお祝いの色、赤一色に染まるのもこの時期ならではです。

 クリスマス、お正月と続いて来た春節、イルミネーションも街の飾りもすっかり春節色に変わりました。ぽってりとした赤い花をつける桃の木を飾るのは昔からの風習です。この時のために大事に育てられた桃の木です。この季節、桃の木を沢山積んで運ぶトラックの姿を街では見かけます。花を傷めないようネットを被っています。根元から切られた桃の木を見ると、クリスマスツリー同様哀れになりますが、飾られた姿は美しいものです。 昨日転居届を出しに行った日本領事館がある交易廣場の桃の木です。赤い色の他にもお金を意味する金色、黄色が喜ばれます。まあるい金柑の木、黄色い大菊。街は中国的な華やかさを帯びてきました。

 我が家のフラットも赤い色に染められています。 実際は赤い提灯ですが、LEDのおかげで白色に見えます。この30年、慌ただしく旧正月の為の買い出し、飾り付けをしてきた私ですが、今年は街の喧騒を余所目にしています。初めてのんびり迎える春節です。

 モモさん、13年毎年見てきたこの赤い季節、今年が最後ですよ。モモさんがふるさとの赤い季節を覚えていてくれますように。

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鮮蝦雲呑(センハーワンタン)香港

2017年01月21日 | 香港

曇り、14度、70%

 香港は麺類の数が限りなくあります。インスタントラーメンを食べさせる店からお祝いの席に出てくる豪華な伊勢海老の麺まで材料と麺との組み合わせでよりどりみどり。スープの麺、炒めた麺、茹でただけで具材が載っている麺。その中でも、地元の人にも、観光客にもポピュラーな麺といえば、やはり、「鮮蝦雲呑麺」であることに異議がある人はいないと思います。

 この「鮮蝦雲呑麺」だけでミッシュランをとった店もあります。小さな麺だけを扱う店は朝早くから夜遅くまで店を開けています。ちょっとお腹が空いた時ふっと入っていけるお店です。お昼時はもちろん一日中お客でいっぱいです。この「鮮蝦雲呑麺」は、固めに茹でた細い麺に澄んだ蝦のスープと雲呑がついてきます。雲呑もいろいろありますが香港の雲呑は丸のままのプリプリとした蝦がたくさん入っているのが特徴です。生の蝦と少しの豚のミンチを雲呑の皮で包みます。この豚のミンチの割合、脂身の具合が美味しさを決めます。

 私はお店に食べに行ってもこの「鮮蝦雲呑」だけを頼みます。お腹の空いてる時は「鮮蝦雲呑麺」を頼みます。「鮮蝦雲呑麺」を頼むとお店によっては麺の下の雲呑を隠して出してくるので、「あら?雲呑がない。」と思うことがありますが、麺を返すと雲呑登場です。薬味は黄色いニラです。そして、時々「鮮蝦雲呑」だけをお店で買ってきます。寒くなってお鍋の季節には、香港人も生のままの「鮮蝦雲呑」を買っていきます。大抵の麺屋さんでレジの人に「鮮蝦雲呑、一打。」といえば発泡スチロールの容れ物に入れてくれます。一打、とは一ダースのことです。つまり12個です。

 先日は、この「鮮蝦雲呑」とお豆腐、えのきのスープを作りました。出汁はこの雲呑のエビから出てきます。 直径が4、5センチもある雲呑です。それがゴロゴロ入っているのはなんとも贅沢な気分になります。

 豪華な値段の高い中華もそれはそれで美味しいのですが、庶民のお腹と舌を満足させ続けてきた「鮮蝦雲呑麺」などこそ香港の食べ物の美味しさを素直に伝えてくれます。日本に帰ったら、一番恋しく思う味になると思います。

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「印度商店」香港

2017年01月07日 | 香港

曇り、19度、85%

 香港はイギリスの統治下に置かれる以前からインドとは歴史的に長いつながりがあります。インドは香港などの東洋と西欧を結ぶ中継地点です。香港のインド料理の店は派手さこそありませんが、美味しい本場に近い味を出してくれています。そして、インドの数あるスパイスや食材を売る店も私が知るだけでも5店舗もあります。南アジアの料理にはスパイスは欠かせませんが、この5店舗はインド、バングラディッシュからのものを扱っています。

 狭い店内入るとインド独特の香の香りがします。店のショーウィンドーに並んでいるのはバングラディッシュからのスパイスです。私はこの30年、店の奥にある インドからにスパイスを使っています。スパイスというよりそれぞれの料理にあったマサラです。スパイスは家庭でも買いやすいように、 小袋入りで買うことができます。インドの美味しいお米バスマティライス、 お菓子に欠かせないローズウォーター。ベジタリアンの豆料理のためのいろいろな種類の豆たち。 まだ日本では乾燥物が手に入らなかった頃、ここで初めてレンティル豆やひよこ豆に出会いました。インドの一般的な紅茶も手に入ります。 スナック菓子も地方色がありそれぞれ取り揃えられています。 ここ数年、大きな変化がありました。野菜や生の香辛料がインドから入ってきます。 カレーリーフといって南インドの料理に出てくる葉っぱがあります。ずっとどんな葉っぱか想像していました。生のカレーリーフを手に取った時は感激でした。私のインド料理の知識を超えた野菜も並んでいます。そしてもう一つ、 冷凍物が輸入され始めました。パンニールという白いチーズ、よくほうれん草と合わせたカレーで使われます。そのパンニールが冷凍で手に入るようになりました。

 香港にはたくさんのインド人がいます。出稼ぎの人ばかりではありません。エリートのIT関係の方、カドリー一家のような財閥までいらっしゃいます。そんな家族の食事を支えるインドの食材屋さんです。

 さあ、日本に返す最後の荷物を出す日が近づいてきました。福岡では手に入りにくそうなスパイスを調達に行きました。トンロー湾の市場の外れの香港人より無愛想なおばさんがいるこの「印度商店」、30年来の付き合いです。パンニール、日本に帰ったら久しぶりに手作りしなくてはと横目で冷凍庫を見やりました。「印度商店」私のインド料理の源です。

 

 

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