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チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

ライチの紅茶

2021年06月27日 | 香港

曇、23度、90%

 主人の実家はすでに人が住まなくなって2年以上になりました。郵便物の点検などに週一回は覗きに行きます。梅雨なのに雨が降らない日が続いていました。でも急に家の匂いが「ぬかみそ」臭く感じます。保存食でも腐り始めたのかと、点検し始めました。私は嫁の身ですから、戸棚や箪笥を開けるのに何か後ろめたさを感じます。何時かこの荷物の整理をするのはきっと私の仕事になるでしょう。

 戸棚を開けていると、「あら?」と思うものが目に留まります。私が香港から送ったものです。義母が体調を崩したのは20年近く前でした。以来「霊芝」が体の良いと月一度「霊芝」を送りました。香港でもお値段がいい「霊芝」です。送る前に「まだある?」と尋ねると決まって「もう全部飲んじゃった。」と義母の返事でした。「霊芝」と一緒に中国茶やお菓子も入れました。その「霊芝」が山のように棚の奥に仕舞われています。昔の人だから蓄えていたのかもしれません。匂いの元を探っているうちに、懐かしい缶が出てきました。「ライチの紅茶」です。缶を振ると茶っ葉の音がしています。

 「ライチの紅茶」は義母のお気に入りでした。「朝飲むと声の出がいいよ。」と言っていたのを思い出します。「ライチの紅茶」はどこにでもある紅茶ではありませんでした。中国茶ですが紅茶です。ほのかな「ライチ」の香りと微かな甘さのあるお茶です。何時も買う店も決まっていました。懐かしさから家に持ち帰りました。

 賞味期限は2006年、ということはこの紅茶を送ったのはそれより2、3年前のことでしょう。お店の棚から取り出した私の手のひらにまた戻ってきました。葉っぱを匂うとと「ライチ」の香りがどこかに感じます。お湯を沸かして入れてみました。 古いお茶です。香りも味も「ライチの紅茶」の残像だけです。一口で捨てました。この紅茶の葉は捨てません。「燻製」に使うため貯めておきます。

  デザインが昔の香港のままです。美しい女性の絵は有名な「月餅」の店の缶にも使われていました。「マカオ」土産のドライフルーツの紙箱もこのようなデザインでした。やはり中国製ですから締まりの悪い缶です。

 ちょうど今頃「ライチ」の季節です。「タイ」からまず入って来ます。そしていよいよお隣「深圳」から大量に運び込まれます。市場に並ぶ大きな竹かごが目に浮かびます。一つの缶がたくさんの香港の思い出を呼び戻してくれました。


「満天星」 香港の花

2021年02月07日 | 香港

晴、7度、

 この季節、香港の山を歩くと、鈴なりになった薄ピンクの花を見つけることがあります。気付いた人は皆立ち止まります。香港にいた間は月一度、同じ山に入っていました。どこにこの花が咲くか木の在処を覚えていましたが、年によっては、咲く時期がずれたりで見れないこともありました。この花を見上げた人の顔はなぜか皆幸せに見えました。

 香港では「満天星」と呼んでいます。中国人は花の名前や料理の名前に風情ある名をつける名人です。別名「春節花」とも。中華圏はこの週半ばから「春節」に入ります。長いお休み、春を迎える中国の新年です。見出し写真の「満天星」は昨日主人から送られて来ました。休みに山を歩けば山からの景色や花の写真、街を歩けば昔懐かしい店屋の写真が送られて来ます。まるで一緒に歩いているかのようです。

 花の写真は嬉し、日本で見られない亜熱帯の花など懐かしさがこみ上げて来ます。「満天星」は日本でも4月下旬ごろから咲き始めるあの花です。「ドウダンツツジ」香港のこのところの気温は18度から25度です。ちょうど日本の5月初めと同じくらいの気温です。「満天星」は場所は違えども、気温に応じて咲く花のようです。

 「満天星」の写真を見ながら、香港の「春節」を思い出します。今年のイルミネーションはどうなのかしら?「花市」は立つのかしら?コロナばかりか、政治的にも不安定な香港です。行き来が自由になれば飛んでいくつもりです。「満天星」はひと月近く咲き続けます。


イタリアのバター

2019年04月14日 | 香港

曇、12度、71%

 今回香港から持ち帰った食材はイタリアのバターです。香港で売られているバターはこれもまた世界中から集まったものばかりです。一般的なオーストラリア、ニュージーランドをはじめ、アメリカ、イギリス、デンマーク、フランス、韓国、マレーシア、日本と様々な国から輸入されています。そのバターの色も匂いも味もそれぞれ違います。

 イタリアのバターは初めて見るものです。私は料理やパンに塗るばかりか一番消費するのはお菓子作りです。有塩か無塩かも大きな決め手ですが匂いが気になります。バターの味もコクがあるものさっぱりしたバターと違いがあります。

 一見普通に見えるこのバターの包装、角の部分は折りたたんでいるのではなく、鋲で留められていました。 開けると、 真っ白に近いバターが出てきました。この色も黄色の濃いものから白に近いものまであります。色より驚いたのはその香りです。熱を加えていないのにバターのいい香りがします。中には乳臭いクッキーなどに使うには避けたいようなバターもあります。カヌレの生地に入れるために一度加熱しました。熱を加えるとこのバターのいい香りが尚更わかります。しかもこの白い色ですから黄色い脂が浮きません。

 毎朝焼くフランスパンには「クルミオイル」をつけて食べています。「クルミオイル」の香ばしさが大好きでここ数年毎朝使っています。このイタリアのバターのいい香りにつられて、焼きたてのフランスパンにコロンと乗せてみました。口溶けも良く、「ああ、バターだ。」と納得します。

 バターのお値段も様々です。2年前にいただいた佐渡島のバターは濃厚で色は黄色くこれまた美味しいバターでした。さっぱりしているカルピスバターも旨味があります。

 今、冷蔵庫にあるのはフランスバター3種類にこのイタリアのバターです。フランスの「エシレバター」は常備するほど好きです。日本の四つ葉バターなど使ってみたいバターがたくさんあります。このイタリアバターはどんな用途にも使えるバターです。バターもミルク同様に季節によって味が違うそうです。牧草の味がそのまま反映するのだそうです。イタリアの地の草を食んだ乳から作られたバターで今朝もパンをいただくつもりです。


小籠包

2019年04月13日 | 香港

晴、9度、89%

 駆け足だった香港への旅、お昼ご飯は一人で人目を憚ることなく小籠包を食べたいと思っていました。ずいぶん以前、上海に行った時「豫園」で注文した小籠包は蒸し器一つに16個の小籠包、一人だから半分にしてくれとどんなに頼んでも16個出て来ました。小ぶりでしたがあまりに美味しくて16個全部食べました。今回行ったお店の小籠包はやや大きめです。そこで蒸し器2つ頼みました。中くらいの小籠包が8個です。注文を受けるお姉さん「あんた一人だろう?」と何度も念を押します。このお店を選んだのはもう一つ食べたいものがありました。薄く切った干したお豆腐と枝豆、雪菜のお漬物を和えたものです。上海料理では前菜に出てくる一品です。これを注文するとお姉さん「10分かかるよ。」と言います。普通前菜ですから作り置きで小皿に出てくる料理です。「はて?」10分かかるのは名物の「小籠包」かと思って待っていました。小籠包2つは5分ほどで出てきました。

 パクパクと小籠包を口に運びます。熱いうちでないと美味しくありません。食べながら思います。「この豚肉の旨味とお汁がたっぷり、そして皮の薄さに甘み、満足。」確かに10分ほどすると注文の和え物が出てきました。 あれ!量が半端なく多い。小皿にひと盛りと思っていたのに、出てきたのは普通のお皿です。しかも冷菜ではなく出来立ての温かな和え物でした。お味は雪菜のお漬物だけですのでさっぱりと、この干したお豆腐の歯ごたえが何とも言えません。一皿ペロリと食べました。食べ終えて、あっ失敗したと思います。実はこの足で別のお店で「海老の雲呑麺」を食べるつもりでいたのに、お腹がいっぱいです。お姉さんが「一人だろう?」と念を押した意味がわかります。

 小籠包のある上海料理のお店に行くときは、この和え物も注文してみてください。こんな中華料理もあるのだと驚くはずです。雲呑は翌朝のお楽しみにしました。


香港の公衆トイレ

2019年04月11日 | 香港

曇、11度、68%

 30年前の香港の公園などにある公共トイレは衛生的にも治安的にも入り辛いものがありました。大きな施設内のトイレはトイレの掃除のおばさんがいても普通のトイレでした。公共トイレの改善は2003年のサーズに始まり、今では身障者が昼間は掃除と管理を含めて必ずいます。トイレットペーパーも備え付けられました。画期的です。

 セントラル、金鐘、などの中心部の商業ビルのトイレは驚くぐらいスタイリッシュになりました。以前からトイレのおばさんがいましたがトイレの作りそのものが美しい。ホテルのトイレよりも素敵です。

  これは個室内。化粧直しの鏡もついて広さも十分です。ある映画館のトイレは個室の中に小さな洗面も備えられています。多くの利用者が鏡の前で混雑しないためです。

 利便性だけでなく、 一つ一つが気持ち豊かに作られています。

 大きな中華レストランのトイレもミッシュランが対象の店などは店の雰囲気に合わせたトイレ作りです。トイレのおばさんがいますが、いつ頃からかチップを置かなくなりました。以前はトイレに行くときは小銭の用意を忘れずにしたものです。「心付け」です。律儀な日本人はチップを忘れると戻っておばさんに手渡していました。今でも手を洗った後にタオルを差し出してくれるおばさんがいるとやはりバックから小銭を出します。でも昨今は大半が備え付けのペーパータオルです。

 明るく清潔な公衆トイレは気持ちよく感じます。日本の公共トイレでここまで豪華なものには出くわしません。東京ではオリンピックに向けてトイレ施設の充実を図っていると聞きます。清潔で心地よい公共トイレは人の手での管理が必要です。数も必要でしょうが、わっと印象に残るトイレも作って欲しいものです。


初夏の香港

2019年04月09日 | 香港

曇、25度、86%   香港

 たった3週間で香港が夏になっていました。まだ早い夏です。四季の移ろいの少ない香港は春がない時もあります。毎年書いていた「夏に突入」です。

 降り立った空港では重い重い空気が迎えてくれました。まとわりつくような湿った暑い空気です。この空気感に馴染んでいる者にとってはある意味ホッとします。湿ったっ空気は乾燥した空気とは違い緊張感を解いてくれます。五月も末に入ると本格的な夏です。雲の形が変わります。それまではじめついた日が続きます。珍しく晴天に恵まれました。

 私が好きなアカシアが枝もたわわに花をつけています。小さな球状の花は日本で見られるアカシアと変わりありませんが、その香りは静かな香りのベールとなって一帯に降り注ぎます。この香りの中を夜明け前に走っていたことを思い出します。 薄い黄色の「魚魚の木」の花も満開です。この花が咲くと日本の新学期が始まります。仕事柄この花を見ると、これから1年の新たに教える子のことを思った20数年が蘇ります。

 大きなビル工事が至る所で見られます。空港周辺も含めて埋め立ても進んでいます。中国へ伸びる道路工事も順調で幾重にも入り組んだハイウェイが海の上に見られます。

 でも、変わんないのよね。 街を歩く人はちっとも変わりません。声高な話し声、元気に食べるその姿、これが長寿世界一の元気な香港の源です。そしてそんな高齢者のためにでしょうか、バス停に小さな椅子が作られていました。 厚かましく私も座ってみました。

 この3週間、やや疲れ切っていた心身です。香港の空気がそっと労ってくれた昨日でした。

 


香港の買い物

2019年03月24日 | 香港

晴、8度、55%

 一年ぶりとはいえ長年住んだ香港です。街を歩いていて体が道を覚えています。旅先で道を歩くのとは違うことに気付きます。人が多いので脇道に、急ぐから近道を、やはり地元です。

 どうしても欲しい物はありません。時折戻ってくる主人が食料品などは運んできてくれます。それに東京周りで福岡に戻りますから、トランクはスーツやら替えの靴やらですでに一杯です。東京、福岡は荷物を預けるつもりがありません。義母の留守中の入院、ココさんのお迎えがあります。一刻も早い帰宅を考えていました。

 福岡にいると物の品数の少なさに頭を抱えます。そんな時ネットで物探しをすればいいのですが、実際に見てみたい物の時にはポチンと押すのを控えてしまいます。銀行の用事が思いの外長引きました。昼食の会食までの短い時間、セントラルで一軒だけ行きたいお店がありました。探し物はオーブンミトンとゴムベラです。

 毎朝パンを焼く時、オーブンの温度は300度近くまで上げます。その温度に耐えれるオーブンミトンが見つかりませんでした。業務用がありますが実際にはめて見た感覚が大事です。いく種類かあるミトンの中で腕までの長さ、握った感覚の良いものを見つけました。早速この数日、毎朝仕事をしてもらっています。

 ゴムベラをなぜ香港で?と思われると思います。すでに数本持っているゴムベラです。日本製のものが優れているに違いないと思っていましたが、その中の一本、小さなフランス製の物が一番使いやすいことに気付きました。小さいのを買ったのもこのセントラルのお店でした。 一番大きなサイズを求めました。ゴムベラも毎朝、パン種を捏ねるとき使っています。ケーキの種に粉を混ぜるのもさっくりと行きます。しなり具合が非常にいいゴムベラです。

 買ったものはこの2つだけ。非常に満足のいく香港での買い物でした。


中華のナマコ

2019年03月21日 | 香港

雨、18度、88%

 ナマコが大好きです。日本料理の酢ナマコは苦手ですが、中華料理の煮込んだナマコは大好物です。酢ナマコのようなコリコリとした食感ではなく、プリンとした柔らかなナマコが中華の「ナマコの煮込み」です。

 今回の香港、お安いものからお高いものまで主人が私の好み通りのアレンジをしてくれていました。その中でも一番が「ナマコの煮込み」でした。上質なスープで煮上げたナマコは姿のまま出て来ます。そしていただく時はフォークにナイフで切り分けます。一人一匹のナマコです。このナマコは日本のナマコです。トゲの立ち具合が質の良さを物語っています。青梗菜の根元を花に見立ててカットされたものが添えられていました。

 香港の長州島の名物料理は鳩です。鳩をゆっくりと油をかけながら焼き上げる丸のまま一匹の料理も有名ですが、この鳩のミンチをレタスで包む料理はサラダ感覚でいくらでもいただけます。 

 最近、主人と私は中華なら3皿で十分になりました。最後にはエビの炒め物ですが、 立派なエビが使われています。この3品とも、広東料理の味付けです。

 香港の中華料理もフュージョン化したものが多くなりましたが、それぞれの地方料理をこうしてしっかりと守っているお店の方が口に馴染むように思います。

 見慣れた夜景を見ながらの夕食です。毎晩この景色を見ながらお風呂に浸かっていたのが嘘のよう。鳩を立ててワインは赤を選びました。久々に満足のいくお味でした。


香港の匂い

2019年03月15日 | 香港

雨、18度、91%   香港

 福岡から香港に向かう便、いつもの通路側の席を窓側に変えてもらいました。久しぶりの香港を上空から見て見たい、そんな思いです。ところが香港の上空に来ても厚い雲ばかりです。香港空港は土砂降り、香港も薄曇り、この季節特有のどんよりした天候で上空からは島一つ見えませんでした。

 慣れ親しんだ空港、世界各国の人が集まりいろんな言葉が飛び交う中に身を置くと一種安心感が生まれます。メインターミナルに移るのにバスに乗り換えました。その時、風に乗って香港の匂いが、この季節独特の重い湿った匂いがしました。ほんのその束の間に大きくその匂いを胸に吸い込みます。身体中が蘇りました。その時、「モモさんにもう一度この匂いを嗅がしてやりたかった。」と思います。

 今日もしっとり雨降りです。これがこの季節の香港、離れるとこの鬱陶しさまでもが恋しくなります。大事な用事をいくつか済ませて、主人の会社のスタッフ達と飲茶の予定です。今日、明日、モモさんとこの街を歩きます。


ホームシック

2018年09月10日 | 香港

雨、22度、90%

 ここ数ヶ月ホームシックです。おかしな話ですが、人生の半分近く住んだ香港にホームシックです。福岡の街中で香港からの観光客の話す広東語を聴くと胸が痛くなります。敏感に香港という言葉に反応します。いえ、このホームシックが来ることは帰国を決めた時からわかっていました。もっと早く来ると思っていました。1年半にしてやって来ました。おそらく思いもかけずに帰国3ヶ月でモモさんを亡くしてしまったのでホームシックが遅くなったのだと思います。

 恋しいのは空気の匂い、湿度の高いまとわりつくようなあの感覚、高いビルの上の小さな空。 どこに行っても人が多く、声高に話す広東語。食べ物も懐かしい、けどこれも帰国前からわかっていたことです。

 今月末に予定していた主人とのヨーロッパ行きを断りました。ヨーロッパに行くぐらいなら香港の方がいいい、本音です。毎日のように香港の写真を見ています。 九龍サイドから写した香港島、この写真の中にはモモさんが休んでいた我が家も写っています。どこへ行く、何をするというのではなく、2階建バスに乗り広東語のざわめきを聴きながら田舎に向かいます。日本人のいないような田舎の町までよく足を運びました。私を育ててくれた街です。

 まだいつとは決めていません。主人は「いつでもおいで。」と言ってくれます。年内には必ず戻ります。見出し写真のような朝焼けを懐かしく思います。