晴、12度、52%
雨の中、日帰りで東京に行きました。「小村雪岱」の美術展を観るためでした。折良く、4作の「鳥獣戯画」すべてが公開されることを知りこちらも予約を入れました。場所は上野の国立博物館です。京都高山寺にある4作すべてが一同に公開されるのは滅多にないそうです。「鳥獣戯画」は有名ですが、私は断片を見たり、模作を見たり、全編通して観るのは初めてです。
予約制ですが、相変わらず長蛇の列でした。当日券もあるそうです。国立博物館の展示は工夫が施されています。今回は「鳥獣戯画 甲の巻」はその長さ分「動く歩道」になっていました。「動く歩道」に並びゆっくりと鑑賞する仕組みです。面白い仕掛けですが、人が滞ります。4巻の他にも模作の出展があり、実物の上には拡大された絵と解説がついています。国立博物館の展示にはいつも感心します。私が見知っていた「鳥獣戯画」はほんの一部だと知りました。
「本作」「模作」の会場の後に「高山寺」にまつわる会場がありました。「高山寺」の開祖「明恵上人」の紹介です。この第3会場の入り口には「明恵上人の坐像」が飾られています。「高山寺」には「国宝」に指定されたものがいくつもあります。明恵上人が木の上で座禅を組む絵もその一つです。高山寺を訪れたら見たいと予々思っていましたが、今回は出展されていませんでした。ところがこの第3回会場の最後、思わず「あっ!」と声を上げたものがありました。明恵上人が常々身近に置いていたという「子犬」の像です。木の上で座禅を組む明恵商人の絵と共にいつか見たいと思っていた「子犬」の像に思わぬところで巡り会いました。写真で見ていたものより大きな像です。ガラスケースの中の「子犬」の像は本当にいい表情をしています。どんな人でもほっとする幼い犬の表情です。
飛行機で日帰りまでして観に来たふたつの美術展、最後の最後にいいものに出会いました。博物館を出ると雨が上がっていました。上野公園を横切る間、人通りの少ないところでマスクを外して深呼吸、雨上がりの上野の匂いを胸いっぱい吸い込みました。慌しい一日でしたが、2つの展覧会で観たものがふつふつと蘇り久々に心が踊っていました。いい一日をありがとう。
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