雨が降り、
久しぶりにクーラーを切った。
それは、紛れもない安堵感なはずだけれど、
こんな日は、野良猫はやって来ない。
おはようございます。
会社では、
胡蝶蘭が今年２度目の花を咲かせ始めて、
私は少し安堵している。
胡蝶蘭は咲けば、非常に強い花だ。
ちょっとやそっとでは、枯れない。
けれど、蕾のうちは繊細で儚い。
無事、咲いてくれるまでは見守るほかない。
それは、野良猫にも通ずる。
道を闊歩する野良猫は、この世を知り尽くした賢者だ。
風の通る日陰も、
柔らかな陽射しが集まる丘も、
鳥を狩るに最適な木も知っている。
暮らす界隈の裏も表も、
誰も知らない道の地図さえ描いている。
嫌な人間は一生忘れないし、
ちょっと良い奴かもと思える人間も知っていて、
そういう人間は、時々利用する。
そうやって、賢者は強かに生き抜く。
ママちゃんという野良猫は、まさにそんな野良猫だ。
けれど、
そんな野良猫に育てられていた子猫らは違う。
欄の蕾みたいに繊細で儚い。
ママちゃんは、自身の持つ知恵と母性を全て尽くし子育てをする中、
私も、買い込んだキャットフードでかばんの中を埋め尽くし、
子育てをサポートした。
それでも、保護した２匹以外の子猫らは、
次々と儚く消えていった。
ママちゃんの最後の子猫も、
しばらく姿を見なくなり、私はその子も諦めかけた。
しかし、
再び連れて来るようになり、取り敢えず安堵した。
「さて、どうするか？。」
保護したいと言っても、捕獲機はやっぱり無理だ。
捕獲機を知っているママちゃんに感づかれる。
私は答えを出せないまま、親子への給餌を続けていた。
猫にも宿命や運命があるのなら、
この子を保護する機会はきっとあると信じていた。
そしてもし、この子が野良猫になる運命ならば、
ママちゃんみたいな野良猫に育って欲しいと願った。
「蕾よ、咲け！」と。
そこで、
私は、ついに子猫に名前を付けた。
えむだ。
額のＭが綺麗だったから。
今思えば、つぼみと名付ければ良かった。
こういうところだ、私のズレた脳みそめ。
とにかく私は、子猫の持つ運命を手繰り寄せるには、
名前が必要な気がしたのだ。
「えむちゃん、あなたはえむちゃんだからね。」
そう呼んだ日の夜、私は夢を見た。
会社の広い駐車場の真ん中で、倒れたえむを蘇生せんと
心臓マッサージをする私だ。
目覚めると、汗と涙でぐっしょり濡れていた。
やけに生々しい夢のせいで、
「やっぱり、えむは保護する。」
飼い猫になる運命を手繰り寄せると決めた。
その日から、えむとの距離を、
以前より積極的に縮めていった。
焦って近寄り過ぎると、えむはササッと逃げ隠れてしまう。
「ごめんごめん。えむ、えむちゃん？」
そんな攻防の中でも、ママちゃんは静観の構えだ。
えむの背後に、なんと香箱座りのママちゃんだ。
「あたし譲りの我が子が、スットコ女に
捕まる心配は微塵もないわ」と言いたげだ。
「ママちゃん、そうも言ってらんないの。
えむは死んじゃう運命かもなの。
保護できたら病院行けるし助けられるかもなの。」
この攻防は、一週間以上続いた。
家では家族会議を開いていた。
「えむちゃんは、かなり臆病な子だから里子には出せない。
うちの子になると思う。」
そう言うと、我が家のおじさんは、なにやら嬉しそうだから、
「可愛い子よ。でも多分、手強い子だからね〜。」
と一応、脅しておいた。
会社では、傍から見れば、
駐車場の至るところで車の下を、
転がって覗き込む私を笑わずにはいられなかっただろうが、
私はかなり真剣だった。
そして焦りながら
「焦るな焦るな。」
と自分にいい聞かせていた。
けれど、ある日、
それは一瞬で終わりを迎えた。
えむは、広い駐車場の真ん中で死んでしまったのだ。
死因は分からない。
あの夢と違うのは、私が帰った数分後だったことだ。
つぶらな瞳は開いたままなのも夢と同じだ。
なのに現実では、最も肝心な場面に、私は立ち会っていない。
あの夢の続きは、どうだったのだろう？
蘇生できていたら、エムは助かったのだろうか。
そんな後悔は、ママちゃんを見て吹き飛んだ。
ママちゃんは、エムの死を側で見届けている。
「ママちゃん、あの子死んじゃったんだね。」
そう声をかけると、
ママちゃんは３回、驚くほど大きな声をあげた。
そして何もなかったように、静かに餌を食べ始めた。
厳しくも切ない現実を、賢者は生き抜く。
私は、その姿に、
自分の薄っぺらい後悔とあやふやな運命論を
吹き飛ばされ、
安堵に似た感情を覚えた。
えむと背後のママちゃん
最後まで、
ずっとお母さんといられて良かったね、えむちゃん。
そんな外猫さんの命を守ろうと行動を起こされるおかっぱちゃんを、尊敬の眼で見つめているかあちゃんの視線を感じませんか？👀
えむちゃんは短いねこ性をママと過ごし、おかっぱちゃんから名前をもらって、幸せな子のままお空に帰っていたんだね。来世はもっと幸せに生まれ変わってくれることを心から祈ります。
助けたい命があって、覚悟も用意もしていたのに、
散ってしまうのを見届けなければならない
事実が、どれほど酷なことか、胸が痛いです。
そっか、えむちゃんは兄弟達の元へ旅立ったのですね。
名前を貰って、優しい気持ちを貰って、
えむちゃんは次に生まれてくるときは、
きっともっと長い猫生を幸せに生きると信じます。
おかっぱさんの仰るように、最期までママと
いられたのは、幸いだったのでしょうね。
でも仔猫の突然死ってままある事で、
こちらはダメージが大きいですよね。
ちぃの妹を保護した時、さっきまで離乳食を
食べていたのに、少し目を離した間に
逝ってしまった事があります。
あれは本当にキツくて、後悔ばかりで
涙も出ませんでした。
おかっぱさん、大丈夫ですか？
えむちゃんのご冥福をお祈りいたします。
かあちゃんの視線、感じる感じる。
ありがとうございます。
いやでもね、全然ヘッポコだから動けば動くほど
から回っております（笑）。
そうなんですよね。
野良猫が『野良猫』になれる確率なんて、
ほんの一握りなんですよね。
厳しい環境の中で、それでも子猫と居る時のママちゃんは、
どんな時よりも幸せそうな顔をするんです。
それが尊くて、どうしたって手伝いしたくなっちゃいます。
えむちゃんは、最後までお腹空いて苦しいという思いは
無かったと思うんですよね。
ママちゃんの温もりと、ヘッポコ女のフードでお腹いっぱいのまま、
眠ってしまったんでしょうね。
淘汰と簡単には言えないけれど、
やはり現実、野良猫への道は厳しいですね。
お気遣い、痛み入ります。
そうなんですよね。子猫の死はきついですね。
のん太の兄弟も生後２３日まで育ってたのに、
突然死んでしまって、愕然としました。
えむが死んだことを知ったのは、けっこう時間が経った後だったので、
もう何もなすすべ無しで、言葉が出ませんでした。
でも万が一、えむを保護できていたとしても、
あの子の命の限りが宿命だったのなら、
えむが死んだ頃は、まだ親と引き離された悲しみと不安で
いっぱいだった頃だと思うんです。
そんな心境のまま死なせてしまっていたら、
私はもっと、酷い後悔をしたでしょう。
ママちゃんの側で逝けたことは、本当に幸いでした。
今回の経験でも、やっぱり、猫って間違えないなぁっと
そういう感服も得ました。
そして、ママちゃんとのことは、まだ続きますからね。
こうなったら、徹底的に付き合いたいです。
ママちゃんは、「ヘッポコ女に興味はない」と
言ってるっぽいですけどもね（笑）。
これが野良猫生活の
現実なんですね。
野良として生き抜くためにいろんな体験を知恵と勇気に変えて、健気に力強く生きているその子達にエールを送りたいと思います。
頑張れ！って♥
そして、猫ちゃん達が、優しい人に出会えますようにって♥
えむちゃんの最期は悲しいものだったけど、そういう事もしっかり受け止めてこの先も頑張るママちゃん猫と優しいおかっぱさんに幸あれ！！！と思います。
だけどおかっぱさんは予期してたんだね。
出来る限りの力を尽くして
毎日這いつくばって探し回り、ご飯をあげて。
どうしてえむちゃんに死が迫っているって
思ったの？それほど弱っていたの？
あたしなんて何時間見ていたって
そんなことには気付かないと思うのよね。
やっぱりねこ神様は、おかっぱさんに
そういう能力までも授けているのか･･･。
一生懸命生きようと、ご飯を食べているえむちゃんが
ママちゃんが見守る中で逝ってしまったなんて
信じられない気がするけど、それは事実なんだよね。
本当だね。最後の最期まで、ママちゃんと
一緒に居られたこと。
えむちゃんにとっては、これ以上ない、
限りなく幸せな時間だったのだろうね。
暑い中、おかっぱさん、お疲れ様でした。
今は少し、心も身体もクールダウンさせて
自身の身体を労わってあげてくださいm(__)m
エールをありがとうございます。
本当に、野良猫の現状は厳しいものですよね。
そこを生き抜いている野良猫には、
もはや可哀想より、ありがとうとさ思えます。
でもだから野良猫が皆、飼い猫になればいいとは思えないんですよね。
野良猫はいていいと思う。
野良猫を決して否定はしたくないんですよね。
ただそこに、緩くてしなやかな人との繋がりがあればいいなぁっと
思います。
そんな世の中の方が、私は楽しいと思うんですよね。
たしかに、えむはガツガツご飯食べる子では無いし、
小さめでか弱い印象でしたが、元気だったんですよね。
死んでしまう？と思ったのは、あの夢を見たからなんです。
夢で見たえむの状況が寸分たがわない姿でした。
死んだ場所も夢の通りだった。
まさか、予知夢だったとは？！と驚きました。
だから急いだのだけれど、運命を変えることはできませんでした。
でもほんと、最期までママちゃんと居られて、幸いでした。
そして、まだまだ続くよね。
秋にも、おそらく子猫が産まれる。
ほんとは、そろそろＴＮＲしたい所ですが、
現状、ボラさんとのやり取りでは、
「捕獲機でＴＮＲというのは、ママちゃんの場合難しいから、
おかっぱさんが抱っこ出来るまで馴らしくれると嬉しい」って。
ボラのＳさん、ほんとドＳなの（笑）。
猫の絶対的味方だから、あの人が猫神だよね。
私は、そのしもべだよね（爆）。
ありがとうございます。
それがねえ、エアコン壊れて暑いよ～助けて～！
どうして私って、こうなるの？（爆）